街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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アメリカ・シンシナティ動物園でのリトルワンとアナーナの誕生会 ~ 札幌でのデナリとサツキの同居回想

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リトルワン (Little One the Polar Bear)(旭山動物園のサツキの兄)
Image:Cincinnati Zoo

アメリカ・オハイオ州のシンシナティ動物園で飼育されている雄(オス)のリトルワンと雌(メス)のアナーナの合同誕生会が14日に開催されました。リトルワンは28歳に、そしてアナーナは17歳となったわけです。その様子を同園の公式映像で見てみましょう。アメリカの動物園の公式映像というのは専門のスタッフが担当していますので実に美しぐ仕上がっています。



このペアは日本のホッキョクグマ界にとっても関係のあるホッキョクグマです。リトルワンは旭山動物園のサツキの兄、アナーナは円山動物園のデナリの妹なのです。サツキとデナリは円山動物園で同居して繁殖が試みられたわけですが非常に相性が悪くサツキは旭山動物園に移動となったわけです。サツキとデナリの相性の悪さというものは私がそれ以降、世界の動物園で撮影された映像などで見た相性の良くないペアのどれよりももっと相性が悪いという、それはもう最悪の状態だったわけでした。そのデナリとサツキの同居の様子(多分、同居開始の日でしょう)を撮影された方の映像を御紹介しておきます。これほど凄まじい映像は滅多に見られるものではありません。音声はonにして下さい。


Denali (Anana's elder brother) and Satsuki (Little One's younger sister), at Sapporo Maruyama Zoo, in Jul. 2008.

しかしさすがにデナリだけあってサツキを徹底的に追い詰めるというところまではしなかったという点では救いでした。そのサツキの兄であるリトルワンとデナリの妹であるアナーナがシンシナティ動物園でペアを組むことになったというのは何かの奇遇のような気がします。ではそのリトルワンとアナーナの同居開始の日の映像を再びご紹介しておきます。上のデナリとサツキ(多分、同居開始の日)の映像と比較してみて下さい。


Anana (Denali's younger sister) and Little One (Satsuki's elder brother), at Cincinnati Zoo, in Dec. 2016.

このアナーナは出産経験があり(バッファロー動物園のルナの母親です)、シンシナティ動物園での繁殖が期待されてAZA の SSP (Species Survival Plan)による繁殖計画の一環として昨年11月にバッファロー動物園からシンシナティ動物園に移動してきたわけです。さて、それにもかかわらずアナーナは12月14日の誕生会に登場している姿を見て私はガッカリしてしまいました。確かに誕生会の様子は楽しそうなのですが、しかし本来ならばアナーナはまだ産室にいなければいけない時期なのです。となれば考えうるのはアナーナは11月初旬~中旬あたりに出産はしたものの赤ちゃんは成育しなかったという可能性です。ところがどうもそうでもないようです。下の映像なのですが、これは11月16日の映像で二頭に対する活魚のプレゼントのイベントの映像なのです。



こういう状況から考えますとリトルワンとアナーナには繁殖行動期に繁殖行為がなかったためにアナーナは産室に入らなかったという可能性です。果たしてアナーナが産室に入って出産したのかどうかということはアメリカの動物園というのはこういったことは滅多に情報を明らかにしないという場合が非常に多いわけです。こういったことを確認するためにメールやらSNSのコメントなどでシンシナティ動物園に問い合わせてみるという手段は確かにあります。しかし同園があえて触れていない点についてこちらから問い合わせるということは私はしないことにしています。あえて公表しないことに鼻を突っ込んでいくというのは好ましいことではないと考えるからです。公表しないということにはおそらく他人には知られたくないことがあるのでしょうから、そこに突っ込んでいくことは私は好みません。その代りといってはなんですが、私の方でいろいろと憶測は膨らまさせてもらうということにします。ひょっとしたら....アナーナは11月初頭に出産し、赤ちゃんは人工哺育になっているのではないでしょうか? バッファロー動物園でもアナーナの産んだルナは人工哺育になったのですが、バッファロー動物園はその事実を三か月以上も極秘にして公表しなかったのです。それと同じことが今回のシンシナティ動物園でも行われているのではないか....これが私の憶測です。根拠はありません。しかしシンシナティ動物園が夏以降、繁殖に関して全く触れていないという事実はこの憶測を呼ぶ材料ではあります。

イベントの様子を素晴らしい映像で一般に公開することと出産に関する情報の公開を滅多には行わないことの二つを比較すると、そこには大きなギャップがあるのはシンシナティ動物園だけではなくアメリカの大部分の動物園にみられる特徴なのです(最近のトレド動物園やコロンバス動物園はその例外です)。これをいったいどう理解すればよいでしょうか? アメリカにおいてはホッキョクグマの赤ちゃんの人気は凄まじいものがあります。それは日本の比ではありません。仮に赤ちゃん誕生の三日後あたりに誕生の事実を公表し、そして赤ちゃんが死亡してしまった場合にはその原因を追究する声が非常に大きいのがアメリカなのです。アメリカのファンというのは、ああだこうだとSNSなどで執拗に動物園の担当者に質問する傾向が極めて強いわけです。そういった質問に対する回答には答えにくいことも多く含まれているわけです。生後間もない赤ちゃんの死亡の原因などは簡単にはわかりません。にもかかわらずファンの質問は次から次へと発せられるというわけです。おいそれとは赤ちゃんの誕生後に直ちに動物園がその事実を公表できないのはそういった理由だろうと思います。
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サツキ (Satsuki the Polar Bear)
(2012年10月28日撮影 於 旭山動物園)

クリーヴランドのメトロパークス動物園のスノウボールは偉大なる母でした。しかし彼女の子供達のうち残っているのはこのシンシナティ動物園のリトルワンと旭山動物園のサツキだけとなっているはずです。リトルワンはもう28歳になりましたしサツキももう26歳になっています。アメリカも日本も結局この故スノウボールの血統を活かすことはできなくなってしまったようです。本当に残念なことです。

(資料)
CBS News (Dec.14 2017 - Polar Bears Celebrate Their Birthdays With Cake at the Cincinnati Zoo)
NDTV (Dec.15 2017 - Polar Bears At This Zoo Celebrated Their Birthdays With Cake)

(過去関連投稿)
【訃報】 円山動物園のサツキのお母さんが亡くなりました..
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by polarbearmaniac | 2017-12-18 00:30 | Polarbearology

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