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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんが無事に生後十日目を経過 ~ 1992年撮影の謎の映像は故ホクトの姿か?

ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんが無事に生後十日目を経過 ~ 1992年撮影の謎の映像は故ホクトの姿か?_a0151913_5593376.jpg
Image:Tierpark Berlin

ドイツの首都であるベルリンにある二つの大きな動物園のうち旧東ベルリンにあるベルリン動物公園 (Tierpark Berlin) で12月7日にトーニャお母さんから誕生した赤ちゃんは生後10日を無事に通過しました。同園が最初で最大ととらえる第一関門を無事に突破したことになります。トーニャお母さんはしばしば隣室に水を飲みに行くそうですが赤ちゃんが泣き声をあげるとすぐに産室に戻るそうです。同園はトーニャは素晴らしい母親であると賛辞を述べています。下の映像は音声をonにしていただくことをお勧めします。



トーニャは母親として確固とした姿勢で育児を行っていることがわかります。なかなかたいしたものだと思います。今回トーニャが入っている産室は昨年彼女がフリッツを産んだ産室を模様替えしたものだそうで産室内にはエアコンが設置され温度は常に12℃に保たれているそうです。また、性別判定は1月に行う予定だそうです。

ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんが無事に生後十日目を経過 ~ 1992年撮影の謎の映像は故ホクトの姿か?_a0151913_6495786.jpg
ベルリン動物公園での幼年期の故ホクト(鹿児島・平川動物公園)? 
Image:youtube

さて、ここで一つ興味深い映像を下に御紹介しておきます。これは1992年8月4日に撮影されたというキャプションの入ったベルリン動物公園での映像です (ホッキョクグマの部分だけ再生されるように設定してあります)。この映像では母親とおぼしきホッキョクグマと一頭の子供(おそらく一歳半を過ぎたあたりでしょう)が映っています。水の中にいる母親らしきホッキョクグマは顔立ちからして先日亡くなったアイカであることは間違いありません。ではもう一頭、つまり彼女の子供とおぼしき個体は誰でしょう? 実はアイカは1990年11月に故ホクト(鹿児島の平川動物公園)を産んでおり、そして1993年12月に故エリック(ロッテルダム動物園)を産んでいるのです。そうなると1992年8月4日に撮影されたという下の映像で映っているのはアイカと息子のホクトであるという考え方をするのが常識的でしょう。そうだとすれはこの映像の時点でホクトは一歳八か月であり映像で見る体の大きさから言ってもピッタリだと思います。 さて.....ところが血統登録情報によれば実はホクトは前年の1991年12月にすでにベルリンから鹿児島へ移動していることになっているのです。



上の映像が本当に1992年8月4日に撮影されたとすれば、その時にはアイカは育児など行っていない時期なのです。つまり、1992年8月にはベルリン動物公園には上の映像のようなホッキョクグマ親子の姿など存在しているはずがないのです。となると上の映像の幼年個体は何者でしょうか? 一つの仮説としては、この映像の撮影年月日は間違いではないかということが言えなくもないと思います。しかし映像にはちゃんと1992年8月4日の日付が入っており、撮影年月日の間違いということは考えにくいとも思います。そうなると血統登録情報の故ホクトの平川動物公園入園日の1991年12月11日が誤りで実際は1992年12月11日が正しいのではないかという仮説も成り立ちうる可能性は否定できません。ホクトが亡くなったときの平川動物公園の正式発表には彼の入園日は記載されていませんので、このあたりはなんとも言えません。ですから、やはりこの映像は「謎の映像」として留まるであろうということです。ただしあくまでこれは私の直感ですが、この映像の幼年個体は鹿児島の故ホクトであるような気がしています。顔付きが1993年生まれの故エリックではなく1990年生まれの故ホクトにはるかに近いと思うからです。

(資料)
Der Tagesspiegel (Dec.18 2017 - Berliner Eisbärbaby hat erste kritische Phase überstanden)

(過去関連投稿)
ベルリン動物公園がトーニャの出産準備体制へ ~ 自ら産室に入ったトーニャの出産は間近か?
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ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、元気に生後四日目が経過
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんが生後一週間を無事に経過

(*アイカ関連)
南国・薩摩に生きるホッキョクグマたち ~ 欧州現代史激動期のベルリンに生を受けたホクトへの親しみ
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32歳となったアイカの素顔 ~ 老いを感じさせぬプライドの高さと足腰の強靭さ
(*2013年12月 ベルリン動物公園訪問記 - アイカ関連)
ベルリン動物公園 (Tierpark Berlin) を訪問 ~ アイカ、トーニャ、ヴァロージャの奇妙な三頭同居
33歳になったアイカ、その誇り高きプライド ~ 心配される足腰の衰え
by polarbearmaniac | 2017-12-19 02:00 | Polarbearology

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