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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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カナダ・オンタリオ州コクレーン、「ホッキョクグマ居住村」のイヌクシュクの冬の日 ~ 悠々とした毎日

カナダ・オンタリオ州コクレーン、「ホッキョクグマ居住村」のイヌクシュクの冬の日 ~ 悠々とした毎日_a0151913_0175163.jpg
イヌクシュク (Inukshuk the Polar Bear)  Photo(C)Polar Bear Habitat

カナダ・オンタリオ州コクレーンの「ホッキョクグマ居住村 (Polar Bear Habitata)」に暮らしている野生出身で15歳となった雄(オス)のイヌクシュク (Inukshuk) といえば世界でも屈指の繁殖能力を誇っており若い時から目覚ましい活躍をしていたのですが、それが「災い」してか彼はカナダにおける飼育下のホッキョクグマの繁殖からは早々と「引退」させられてしまったわけです。これについては「カナダ・トロント動物園のイヌクシュクが繁殖から事実上の「強制引退」か? ~ 同園の大胆な決断」という投稿を御参照下さい。彼は本来所属しているトロント動物園からこのコクレーンの「ホッキョクグマ居住村 」に移ってきてここで悠々と暮らしています。そういった彼のごく最近の様子が映像で公開されていますので見てみましょう。この環境は日本や欧州、そしてロシアでも見られない風景だと思います。非常に広い飼育展示場にある湖の水が氷結し、そしてその上に新雪が降り積もっているという環境でイヌクシュクは雪を掻きわけて氷を割ってしまい、そしてそこで戯れています。



この「ホッキョクグマ居住村」のあるコクレーンの気候はホッキョクグマの本来の生息地とそれほど大きく異なっているわけではなく、また自然をそのまま利用した広大な敷地がそのまま飼育展示場になっているわけですし、またアザラシ狩りをする必要もなく病気になったら獣医さんのケアを受けることができるわけですからホッキョウグマたちにとっては、ひょっとしたら天国かもしれません。

そろそろホッキョクグマの繁殖行動期が始まるのですが、この「ホッキョクグマ居住村」で飼育されている3頭は全て雄(オス)です。しかしイヌクシュクは他の二頭に興味をもったり、あるいは他に雌(メス)のホッキョクグマがいないかと湖のある飼育展示場に出るのを楽しみにしている様子などを見ていると思わずほほえましく思ってしまうと担当者は述べています。繁殖行動期にはホルモンの一種であるテストステロン (testosterone) が普段の約10倍になるそうで、こういった時期にパートナーのいないイヌクシュクの衝動をコントロールするために「ホッキョクグマ居住村」では特別なトレーニングプログラムをいくつも彼のために用意しているそうです。

さて、もう一つイヌクシュクの映像を見てみましょう。これは雪の上で筒状のものをおもちゃ代わりにしている彼の姿です。20分以上もある映像なのですが、見ていると心地よくなってきて眠くなってくるほどです。自由でゆったりとした行動をしています。下をワンクリックしていただくと開始画面に飛びます。
カナダ・オンタリオ州コクレーン、「ホッキョクグマ居住村」のイヌクシュクの冬の日 ~ 悠々とした毎日_a0151913_093974.jpg

この「ホッキョクグマ居住村 (Polar Bear Habitata)」なのですが、地元オンタリオ州のムシュケゴウク評議会 (Mushkegowuk Council) というNPOとパートナーシップを結んでこの「ホッキョクグマ居住村」をホッキョクグマそして環境についての調査・研究機関としての役割を担っていくことが計画されているそうです。これはつまりウィニペグのアシニボイン公園動物園が現在担っているような役割を「ホッキョクグマ居住村」も担っていくということになると思います。
カナダ・オンタリオ州コクレーン、「ホッキョクグマ居住村」のイヌクシュクの冬の日 ~ 悠々とした毎日_a0151913_1482340.jpg
ホッキョクグマの生息地といえばまずマニトバ州が頭に浮かんでくるのですが、オンタリオ州もかなりその生息地になっていますので、将来的には「ホッキョクグマ居住村」も野生孤児の保護・飼育といったものにも取り組んでいくことになるのではないかと思います。

(資料)
The Sudbury Star (Jan.26 2018 - Cochrane's polar bear habitat looks for bigger role)

(過去関連投稿)
(*イヌクシュク関連)
カナダでの飼育下期待の星、イヌクシュクの物語
カナダ・コクレーン、保護教育生活文化村のイヌクシュク、繁殖への期待を担って再びトロント動物園へ
カナダ・コクレーン、保護教育生活文化村へのイヌクシュクの帰還とEAZAの狙うミラクの欧州域外流出阻止
カナダ・コクレーン、保護教育生活文化村にイヌクシュクが無事帰還 ~ 息子のガヌークの近況
カナダ・オンタリオ州 コクレーンの保護教育生活文化村に暮らすイヌクシュクとガヌークの父子の近況
カナダ・トロント動物園に戻ったイヌクシュクのさらなる挑戦 ~ 優秀な雄の最後の課題は相性の克服
カナダ・トロント動物園のイヌクシュクが繁殖から事実上の「強制引退」か? ~ 同園の大胆な決断
カナダ・トロント動物園のイヌクシュクが無事にコクレーンの「ホッキョクグマ居住村」に到着
カナダ・コクレーン「ホッキョクグマ居住村」のイヌクシュクの近況 ~ 彼の貢献が必要な日本
カナダ・コクレーン、「ホッキョクグマ居住村」のイヌクシュク、繁殖の世界での「再登板」はあるか?
カナダ・コクレーン、「ホッキョクグマ居住村」のイヌクシュクの14歳の誕生会 ~ 「価値ある男」の姿
by polarbearmaniac | 2018-02-13 01:30 | Polarbearology

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