街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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2010年 11月 09日 ( 2 )

再びウィーンフィルハーモニー管弦楽団(Die Wiener Philharmoniker)を聴く

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指揮 フランツ・ヴェルザー=メスト
(曲目)
ヴァーグナー 楽劇「トリスタンとイゾルデ」から「前奏曲と愛の死」
ブルックナー 交響曲第9番

(Nov.9 2010 @東京・赤坂アークヒルズ、 サントリーホールにて開演前に)


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※(終演後)さすがにウィーンフィルの弦の豊かな表情と金管の厚みと陰影の素晴らしさを十分に堪能。ヴェルザー=メストはこのオケとの相性が良さそうだ。但し、やはり彼の音楽は軽量級。腹にズシンとくるものがない。こうした一種の「軽み」が評価できる曲ならばいいが、ブルックナーは微妙だ。過去の指揮者ではクレメンス・クラウスに一番タイプが近いかもしれない。
by polarbearmaniac | 2010-11-09 21:07 | Daily memorabilia

「高齢熊初産」に挑戦するサツキ(旭山動物園)への声援

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サツキ(於 円山動物園 2010年2月6日)

旭山動物園が11月8日付けで、そのHPの「しいくにゅーす」でサツキとルルの産室入りを発表しています。サツキは今月17日に19歳を迎えるわけですが、いわゆる「高齢者(熊)出産」にチャレンジすることになります。「繁殖」という点に関するならばサツキは今までそういったチャンスに恵まれていませんでしたし、今春のイワンとの繁殖行動すら今だから敢えて言いますが、事前に予想が難しかったと言えるでしょう。単に「高齢者(熊)出産」ということならば、いままで20歳代半ばまで出産した(し続けている)個体は何頭もいます。非常に最近で有名なのはアンデルマ(ペルミ動物園)やウスラーダ(サンクトペテルブルク・レニングラード動物園)などはその典型です。しかしアンデルマやウスラーダはそれまでの間に何頭も出産しており出産・子育てのベテランなわけで、いわゆるサツキのように過去に繁殖行動の存在が正確には確認できなかったケースでの「高齢者(熊)出産」とは全く異なります。

では「初産」での「高齢者(熊)出産」はといえば、最近きちんと確認できている例だけで言えば、ベルリン動物園のトスカが2006年の20歳のときに「初産」でクヌートを生んだぐらいでしょう(出産後にトスカが育児放棄をしてしまったことについてはここではまた別の話としておきます)。 その他、過去のロシア(ソ連)や欧州でトスカの例のようにサーカス団を引退して動物園に引き取られてから出産した「高齢者(熊)初産」の例などで20歳以上のケースは間違いなくあるでしょうが、ここでは厳密な検証が困難です。 (*後記の記載をご参照ください。トスカの場合ですが、「初めて生き残った最初の赤ちゃんを出産した時点でのホッキョクグマの最高齢」と表現するのが本当は正しいと思われます。)

ここでサツキと比較的似たケースを御紹介しておきます。先日オランダのロッテルダム動物園で産室に入ったオリンカの映像を御紹介しています。今度はその同じロッテルダム動物園で2009年暮れの出産を期待されて産室入りした18歳のターニャの例を御紹介しておきます。つまり当時のターニャは現在のサツキと全く同じ年齢だっただけではなく、やはり初産を期待されていた個体でした。そして2009年の春に雄のエリックとターニャとの間に何回もの繁殖行動が確認されていたわけでした。下はその映像です。



こうして、18歳のターニャの初産が期待されたわけでした。その年の晩秋から産室入りしたターニャは当時19歳の誕生日を目前に控えていました。



この時もターニャの妊娠の可能性について専門家からはかなり有望視されていたわけでしたが、大変残念なことに出産には至らなかったのでした。出産しなかった事実を知った上でこの短い映像だけでとやかく言うのは無責任ですし、あまりに乱暴すぎることは百も承知なのですが、どうでしょうか....妊娠から出産を控えた雌という雰囲気が上の映像からあまり伝わってこないように思うのは私の気のせいでしょうか。

さて、EAZAはこの時点において19歳のターニャを繁殖計画(EEP)から外してしまい、次のパートナーもあてがうことなくターニャをウィーンのシェーンブルン動物園に移動させたのですが、そのときに欧州のブロガーさんたちはEAZAのやり方に異議を唱えたのでした。

仮にサツキが今回出産に至らなかったとしても、少なくとも直近のトスカの20歳での「高齢者(熊)初産」の記録までにすらまだ1年ありますから、決してあきらめることなくまたチャレンジさせてやってほしいと思います。サツキの血統は日本のホッキョクグマ界にとっては非常に貴重であり、「繁殖」に貢献させることは不可欠だと思います。また、今までサツキにチャンスを与えきれなかった責任は我々人間の側にあるわけですから、たとえ遅きに失した感があったとしても、サツキにチャンスを与えてやるのが人間としての我々の義務でしょう。

サツキに対して心の中で声援を送る以上のことをしてやれない自分を歯がゆく思います。

*(過去関連投稿)
ターニャの悲劇(前) - 「繁殖計画(EEP)」と「個体の幸福」の狭間で
ターニャの悲劇(後) - 「繁殖計画(EEP)」と「個体の幸福」の狭間で

*(後記)先日動物園でお話しをさせていただいた方に「トスカの出産は彼女が16歳の時だった」と申し上げてしまったような記憶がありますが、正しくは20歳の時です。お詫びして訂正いたします。

*(後記)
トスカについてはクヌート出産以前に出産の事実があるようですが、それらの赤ちゃんは生存していないことは事実ですので正確には。「初めて生き残った最初の赤ちゃんを出産した時点でのホッキョクグマの最高齢」という表現に訂正するのが正しいと思われます。単純に「初産」と言ってしまうとやはり不正確ですね、それから、本当の最高齢初産の成功例はどうも22歳のようです。60年代に当時のソ連のカザン市動物園で飼育されていたサーカスから引き取られてきたホッキョクグマのようです。記録にはっきりしない点もありますので、そのうちまたロシアに行った時にでも調査してみたいと思います。

by polarbearmaniac | 2010-11-09 09:00 | Polarbearology

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