街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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2010年 11月 15日 ( 1 )

モスクワ動物園のウランゲリ(旭山動物園のイワンの父)、負傷するも生存中! ~ 犯人は治安関係者か?

ウランゲリは発砲を浴びたものの生存しています。お騒がせいたしました。
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Image(C) Первый канал
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Photo (C) Московский зоопарк
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Photo (C) Московский зоопарк
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ウランゲリの銃創
Photo (C) Московский зоопарк

情報はやや錯綜気味です。ウランゲリはやはりアパートからと思われる発砲にあっていますが、生存中の模様です。モスクワ動物園のHPでは一時、死亡をうかがわせる記載が非常に短い時間アップされたためロシアのマスコミや動物ファンの間で現在大騒ぎになったようです。モスクワ動物園はその後になってHPに新しい情報をアップし、ウランゲリが生存していることを発表し、ウランゲリの銃創の写真を公開しています。ただ、ウランゲリの容態は必ずしも100%安心できるもののようではなく、感染症の疑いがあるという報道もあります。傷口からはまだ少し出血があるとも伝えられています。

現在仕事で多忙中ですが、とりあえず一報です。
(10時30分記)
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発砲があったと思われるアパート  Photo (C) Московский зоопарк

「死亡」というのは私の知人よりの情報でした。彼女は翌日動物園に行って様子を見てきたそうですが、ホッキョクグマ舎の展示は通常通り行われていたそうですが、マスコミが大勢来ていたそうです。彼女はマスコミに聞いてみたところウランゲリは生存中であるということを聞き、昨夜私に「ウランゲリの死の情報は早とちりだった。」と私に謝ってきました。モスクワ動物園は現在HPでこのウランゲリ銃撃の事実を公表しています。発砲があったと思われるアパートの写真(上)を公開していますが、こういう写真を動物園側が公開するのは大丈夫でしょうか。無関係の住民からはクレームがつくのではないでしょうか? しかしモスクワ動物園が激怒していることはよく伝わってきます。
(11時30分記)

ロシアのTVニュース番組(第一チャンネル)を見てみました。ウランゲリの様子が映っています(映像だけでも是非ご覧下さい)。
 


このアパートとバックヤードとの位置関係がよくわかります。飼育主任のエゴロフさんが、抑制されながらも本当に怒っている様子も伝わってきます。ただし広報担当のメンドゥーサさんは微妙に違う態度ですね。いろいろなロシアの報道を読んで見ますとモスクワ動物園の上層部と飼育現場との間にかなりの温度差があるように思われます。飼育現場は怒り心頭ですが、上層部はなにか奥歯の物が挟まったような態度のように思います。これが銃創であることさえ断言したくないという態度です。この番組によると、この建物は通常の居住用のアパートではなくロシアの治安機関が使用しているそうですね。そういう治安関係の人間がここを事務所にしたり居住場所にしたりしている模様です。 そしてそういう治安関係の組織に対して恐怖感を抱いているのがモスクワ動物園の上層部なのでしょう。相手がなんであれ治安機関と関係のある組織ならば、そこと事を構えるのは実に大変です。上層部の気持ちはわからないではありません。 しかし飼育現場は心底怒っている....そういう図式が確かに存在しているようです。上層部の意を汲んでのことでしょうか獣医さんも腰が引けています。ウランゲリの体に麻酔をかけて身体検査をすることすら消極的です。麻酔に対して極めて慎重なのは欧米もロシアも同じではありますけれどね。

1年前にも何者かがここに侵入して発砲した事件があったそうです。そのときはウランゲリに銃弾が命中することはなかったようです。今回は10月下旬に発砲されたにもかかわらず今頃こういう事実が明らかになって報道記事に出てくるということは上層部が飼育現場の怒りを抑えきれなくなったためではないでしょうか。この1年前の事件に対しても上層部は腰の引けた対応しかできなかったらしいのは侵入者が治安組織関係の人間であると推察されたためでしょうか。飼育現場としては「もう我慢できない!」と声を上げ出した為だと思われます。おそらく今回の件は、モスクワ動物園内部(飼育現場?)がマスコミにリークしたためにこうやって大騒ぎになったのではないでしょうか。諸々の報道を読み込んでいきますと、そういう印象を強く持ちます。そしてモスクワ動物園のHP管理の担当者は心情的には飼育現場の肩を強く持っているために、このような嫌疑のあるアパートの写真のように思い切ったものが出てくるのではないでしょうか。やはりロシアというのはいろいろと複雑な事情があって実に怖い国です。
(13時30分 記)


モスクワ動物園のHPの記事は現在の公式記事がアップされる前に一度、短時間の間だけ別の記事で出たのはやはり事実のようです。最初の記事でマスコミやファンが騒ぎ出したために、その反応に驚いた動物園側の責任者がウランゲリの傷の写真を掲載した現在のページに差し替えて状況を説明しようとしたものと思われます。今回の事件の情報の混乱はモスクワ動物園内部での上層部と現場との間に大きな意見の相違が存在していることが原因であることは間違いないように思われます。 それにしても旭山動物園のイワンは、この一番上の写真の父親ウランゲリに良く似ています。
15時30分 記


あれれ、モスクワ動物園の広報のメンドゥーサさん、マスコミの電話取材に、ウランゲリの傷は銃創ではないと言い出しています。専門家に見せたらそう言われたと言っていますが真偽がわかりません。なんとか丸く治めたい上層部の意図でしょうか、それとも本当に銃創ではないとでも言うのでしょうか。いよいよわからなくなってきました。モスクワ動物園は今回のことを警察などの捜査機関には報告していないそうです。周囲にパニックを引き起こしたくなかったというのが理由のようです。メンドゥーサさん、さらに言うには、飼育担当者があまりにホッキョクグマを大事にしているので今回のことを大騒ぎして事態を大げさにしていると言っています。これは飼育主任のエゴロフさんへの批判ですね。なんだかおかしい雲行きになってきました。銃創かどうかはウランゲリに麻酔をかけて診断することなのですが獣医さんは危険だからやりたくないと言っているそうです。
(17時30分 記)
*(追記)
この夏に私がモスクワ動物園に行った時にホッキョクグマ舎のバックヤードの入り口の写真を撮ってきましたのでこちらもご参照下さい。 確かに問題のアパートが写っています。
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Photo: Сергей ШАХИДЖАНЯН

飼育主任のエゴロフさんの言うにはウランゲリの傷は楽観できるものではなく手術が必要だろうという内容のことを言っていますね。ウランゲリは体重が500キロあるので麻酔の量をよほど注意しないと手術後は覚醒しないだろうとも言っています。広報担当のメンドゥーサさんとは真っ向から考え方が異なるようです。
(20時30分 記)


......というわけで、どうも本件は魑魅魍魎としてきた気配があります。大騒ぎになっている本件について、なんとか事を丸く収めたいらしい気配のモスクワ動物園の上層部ですが、それにしては肝心の園長さんは広報担当のメンドゥーサさんばかりを表に出して自分はさっぱり正面に出てきません。何か都合の悪いことでもあるのかと勘繰りたくなります。今日は暇を見つけてはいろいろなロシアのサイトを覗いてみましたが、マスコミはそれぞれ少しずつ違うことを言っていますしニュアンスもかなり異なります。下に資料として主なものをあげておきますが、まだまだ沢山の報道がありますが多くて御紹介しきれません。

ウランゲリが生存しているのは事実です。しかしウランゲリが今まで見たことのないような種類の傷を負っていることも事実です。そして長年モスクワ動物園で沢山のホッキョクグマの飼育を担当してきたエゴロフさんがウランゲリのことを大いに心配しているのも事実です。私は長年ホッキョクグマの飼育現場を担当しているエゴロフさんの言うことのほうが正しいだろうと推察します。旭山動物園のイワンについてもエゴロフさんはウランゲリとシモーナの繁殖行動をちゃんと記録にとり、出産にも飼育担当として深く関与し、そしてイワンを旭川に送り出すところまで面倒を見てそれらを全て飼育記録にとっています。私の仕事上の経験でいえば、こういう場合はマネージメントの人間の言うことより現場のたたき上げの人の言うことのほうがほとんどの場合正しいことが多いです。いずれにせよ、ウランゲリの負っている傷については決して楽観できないと考えたほうがよいと思われます。

この事件、この後に新しい展開があれば必ずご報告いたします。お騒がせしたことを再度お詫び申し上げると同時に、本日この件についてはここまでといたします。
(21時30分 記)

(*後記 - youtubeの映像でロシアのTV局の短いニュースを以下に貼りつけておきます。)


*(資料)
РИА НОВОСТИ (Nov.13 2010①, Nov.13 2010②)
Первый канал ( Nov.13 2010)
Комсомольская правда (Nov.13 2010①、 Nov.13 2010②)
Редакция Ежедневной газеты (Nov.13 2010①, Nov.13 2010②)
by polarbearmaniac | 2010-11-15 21:30 | Polarbearology

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