街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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2017年 02月 10日 ( 2 )

ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの移動時期が迫る ~ バルナウル動物園への移動は否定

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ロスチク Photo(C) Ольга Головина/Новосибирский зоопарк

ロシア・ノヴォシビルスク動物園で2015年の12月7日にゲルダお母さんから誕生した雄(オス)のロスチクについてノヴォシビルスクの地元メディアが興味深い報道を行っています。まずこのロスチクですが、ノヴォシビルスク動物園としては他園に移動させるためにすでに「繁殖計画作成者」(*注 - ロシア語で "куратор по белым медведям, которые занимаются этим и распределяют всех детенышей" という表現になっていますが、これを一応は「繁殖計画作成者」と訳しておきます。 問題のこの「繁殖計画作成者」が欧州のEAZAのコーディネーターを意味するのか、それともモスクワ動物園がリーダーとなっている旧ソ連圏・旧東欧圏のEARAZAの調整者を指すのかについては報道で引用されているアンドレイ・シロ園長の発言では明確ではありません)からの確認の回答を待っている段階であるとアンドレイ・シロ園長が語っているとのことです。このことはつまり、ノヴォシビルスク動物園は今年2017年のシーズンにゲルダが繁殖に挑戦することをあくまでも前提としているということを意味するわけです。

実はノヴォシビルスク近郊の都市であるバルナウルの動物園がホッキョクグマを飼育したいという意向を2年ほど前から示しており、このロスチクを入手したいという意向のようなのですがシロ園長はバルナウル動物園ではホッキョクグマの飼育環境は十分ではないと語り、ロスチクをバルナウル動物園に売却する意向はないと明らかにしています。このバルナウル動物園はホッキョクグマを入手するためにまずモスクワ動物園に話を持っていたわけですがモスクワ動物園から断られたという経緯がありました。

実はここ数日の報道でロシア国内のある動物園がホッキョクグマの飼育を行いたいという意向を表明しており、それがいくつかの報道記事で読むことができます。それはモスクワの南東約400キロのところにあるリペツクという都市にあるリペツク動物園 (Липецкий зоопарк)です。私は数日前に「ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクがリペツク動物園に移動か?」という投稿の下書きを行っていたのですが、どうも今一つ確たる裏付けが取れないために未投稿のままで放置していました。リペツクにおける複数の報道内容は幾分食い違っており、リペツク動物園が入手のターゲットとしているのが本当にロスチクなのかについての確証が取れません。

さて、このロスチクの移動先を調整・決定する「繁殖計画作成者」が仮にEAZAのコーディネーターであれEARAZAのモスクワ動物園の調整者であれ、ロスチクの移動先における彼のパートナーをアレンジすることは必ずしも簡単ではないためにロスチクの移動先の調整・決定がこの時期まで後回しになってしまっているという状況だけは間違いないだろうと思います。私はその理由がわかる気がします。つまり障害になっているのはロスチクの「血統問題」だろうと思うからです。これは実に厄介なのです。この問題で「繁殖計画作成者」は二の足を踏んでいるのだろうと私は考えます。御興味のある方は「『ロシア血統の謎 』に迫る(1) ~ ラスプーチン、ゲルダ、血統番号2893個体の三頭の謎を追う」という投稿を是非ご参照下さい。かなりのマニアの方でありませんと理解していただくことは難しいかもしれません。しかし実はこの問題は重大なのです。日本のホッキョクグマ界をも直撃した問題なのです。

(資料)
НГС - Независимые Городские Сайты (Feb.10 2017 - Молодому белому медведю Ростику решили найти новый дом)
ТРК Липецкое время (Feb.7 2017 - Белый медведь появится в зоопарке Липецка)

(過去関連投稿)
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ロシア・ノヴォシビルスク動物園で誕生の赤ちゃんの「国際ホッキョクグマの日」の映像を追加
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ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダお母さんと赤ちゃんの近況
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ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃん、オイゼビウス(Ойзебиус - 仮称)が泳ぎ始める
ロシア・ノヴォシビルスク動物園生まれの二頭 ~ シルカ vs オイゼビウス (Ойзебиус - 仮称)
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダをシモーナと比較する ~ 母親と息子の実力は反比例?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のホッキョクグマ飼育展示場のライブカメラ映像配信、遂に復活!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のオイゼビウス(Ойзебиус - 仮称)が間もなく生後半年が経過へ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のオイゼビウス(仮称)の正式命名が後日行われる予定となる
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ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの成長 ~ シルカ/ゲルダとは非常に異なる親子関係
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子のライブ映像配信が二年前と同様に大人気となる
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチク、その日常の姿 ~ 経験を積んだゲルダお母さん
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ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの成長 ~ 「シルカの物語」を乗り越えられるか?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子の近況 ~ 「ゲルダ/シルカ」、「バフィン/モモ」と比較する
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチクの親子の姿 ~ 娘とよりも息子との関係が気楽か
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの近況 ~ 予想の難しい彼の将来の移動先
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチクの親子模様 ~ 「未完の大器」ゲルダ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチクの親子、その秋の日の姿
ロシア・ノヴォシビルスク動物園、ロスチクに手こずり始めたゲルダお母さん ~ 成長の確かな手応え
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ロシア・ノヴォシビルスク動物園で満一歳となったロスチク ~ 移動先候補の複数の動物園と交渉が進行中
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチクの冬の日 ~ シルカの「あの日」とロスチクの「その日」
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子の冬の日の本能 ~ ロスチクの移動先は欧州以外か?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のホッキョクグマたちの冬の日 ~ 人工雪製造機の導入が決定
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by polarbearmaniac | 2017-02-10 20:30 | Polarbearology

ベルリン動物公園がフリッツのために飼育展示場を一部改修の予定 ~ 父親のヴァロージャはベルリン動物園へ

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フリッツ Photo(C)Tierpark Berlin

ベルリン動物公園(Tierpark Berlin)で11月3日にトーニャお母さんから誕生した雄(オス)の赤ちゃんであるフリッツは生後三か月が経過していますが、まだ屋外に登場してはいません。しかし産室のある室内のエリアで次第に行動範囲が拡がっているようです。新しい映像が公開されましたのでご紹介しておきます。フリッツは与えられたぶどうを口にしようとするのですがトーニャお母さんにとってもぶどうは大好物でフリッツには渡したくないトーニャお母さんなのです。



さて、ベルリン動物公園ではこのフリッツの屋外登場に備えて一週間前から飼育展示場の部分改修工事が始まっているそうです。飼育展示場の高さのある岩場にフリッツが簡単に登ることができるように傾斜を緩くしたり高さを下げたりするような改修だそうです。また、来園者の観覧スペースの部分にも工事が行われるそうで、ホッキョクグマの置かれている現状などについて理解を深めてもらうための啓蒙的な展示物が設置されるようです。そういった一連の改修工事のためにフリッツの父親であるヴァロージャ(Володя/Wolodja) は来週に旧西ベルリンのベルリン動物園 (Zoologischer Garten Berlin - 略してZoo Berlin)に移ることになるそうです。このベルリン動物園というのはあのクヌートが暮らしていた動物園で現在は32歳の雌のカチューシャが一頭で暮らしています。このヴァロージャの旧東ベルリンのベルリン動物公園(Tierpark Berlin)から旧西ベルリンのベルリン動物園(Zoologischer Garten Berlin)への移動はあくまでも期間限定的なものであり、ベルリン動物公園の飼育展示場のスペースをトーニャとフリッツの親子が終日完全に使用することを可能とするための措置ということになります。

(資料)
Tierpark Berlin (Feb.9 2017 - Schöner Wohnen für Eisbären)
B.Z. Berlin (Feb.9 2017 - Der Tierpark baut um: kinderfreundlich für den kleinen Eisbär Fritz)
Berliner Morgenpost (Feb.9 2017 - Für Eisbär Fritz wird das Gehege umgebaut)
BILD (Feb.9 2017 - Eisbär-Papa Wolodja muss ausziehen)

(過去関連投稿)
ベルリン動物公園(Tierpark Berlin)でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生! ~ 第一関門は週末
ベルリン動物公園で誕生の双子の赤ちゃん、第一関門の生後72時間を見事に乗り切る ~ 授乳音確認
ベルリン動物公園で誕生の双子の赤ちゃんは生後五日を乗り切る ~ 生後10日間を最初の関門ととらえる同園
ベルリン動物公園で誕生の双子の赤ちゃん、一頭が産室内で姿を消す? ~ 生存は一頭と同園が発表
ベルリン動物公園、産室内のトーニャお母さんに若干の余裕が生まれる ~ 隣室での水分補給
ベルリン動物公園の赤ちゃんが生後20日が経過 ~ 産室内のトーニャお母さんにニンジンとリンゴの差し入れ
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、生後25日が経過し前脚で踏ん張って前に進もうとし始める
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、順調に満一ヶ月へ
ベルリン動物公園のトーニャお母さんと生後一か月を越した赤ちゃんの様子が公開
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、生後40日で立ち上がり始める ~ 同園がトーニャを「熟練の母親」と評価
ベルリン動物公園のヴァロージャ(Володя/Wolodja)の来園の経緯 ~ 霧の中に浮かぶ真相
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、生後50日が経過する
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、生後約二ヶ月が経過
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんの性別は雄(オス)と判明 ~ "Es ist ein Junge!"
ベルリン動物公園の雄(オス)の赤ちゃんの故クヌートと重なり合うもの、合わないもの
ベルリン動物公園のトーニャお母さん、散らかった床を片付ける ~ 初めて肉に挑戦した赤ちゃん
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんの命名投票が始まる
ベルリン動物公園で誕生の雄の赤ちゃんの名前が "フリッツ(Fritz)" に決まる
by polarbearmaniac | 2017-02-10 01:00 | Polarbearology

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