街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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2017年 02月 15日 ( 3 )

ロシア・クラスノヤルスク動物園でホッキョクグマのバレンタインデーが祝われる ~ 冬期の新しいイベント

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フェリックス(左)とオーロラ(右)
Photo(C)"Роев ручей" Красноярский зоопарк

ロシアの動物園と日本の動物園の大きな違いは、前者は冬期になると入園者の数がめっきりと減ってしまうということです。これは本当に顕著なのです。あのモスクワ動物園ですらその例外ではありません。さて、そうなるとロシアの動物園は冬期になんとか来園者を増やそうとする試みを行うわけですがロシアの冬は厳しく動物たちの中で冬期に夏期以上の活躍が期待できるのはホッキョクグマぐらいしかないわけです。そこでホッキョクグマにイベントの主役となってくれないかと人間は頼み込むわけです。そしてついにホッキョクグマのためのバレンタインデーというイベントがロシア・シベリア中部のクラスノヤルスク動物園(正確には、ロエフ・ルチェイ・クラスノヤルスク動物園 - Красноярский зоопарк "Роев ручей")で昨日行われました。その様子を見てみましょう。搭乗しているのはもちろん雄のフェリックスと雌のオーロラ(本名ヴィクトリア)という野生出身同士の期待のペアです。





バレンタインデーのプレゼントとはいっても雄のフェリックスにだけ与えられたのではなくペアの両方がもらえたようです。
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(C)Life.ru

さて、このペアは以前からご紹介しています通り野生出身同士のペアであり、このペアの間で仮に繁殖に成功して誕生した個体は今までにはない「新血統」の個体となるわけですので日本のホッキョクグマ界としては何が何でも入手したいわけですが、昨年の秋頃からロシアと欧州との間でのホッキョクグマ繁殖に関する協力関係が急進展してきましたので、このクラスノヤルスク動物園で誕生した個体を日本に導入することは事実上はもう不可能になっている状況です。ロシアと欧州によるホッキョクグマの幼年・若年個体の「囲い込み体制」がほぼ確立してしまっているわけです。日本の動物園にとっては非常に残念なことです。解決策としては日本の動物園のうち飼育展示場の基準を達成した施設を持つ動物園から順にこの「囲い込み体制」の中に入っていくことです。かなり面倒な状況ですね。

(資料)
Life.ru (Feb.14 2017 - В красноярском зоопарке влюблённые звери отмечают День святого Валентина)
ТВ-Енисей (Feb.14 2017 - К празднованию Дня всех влюбленных присоединился "Роев Ручей")
Комсомольская правда в Красноярске (Feb.14 2017 - Любви все особи покорны: 5 самых романтичных пар среди животных… и птиц)

(過去関連投稿)
(*オーロラ関連)
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(*フェリックス関連)
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(*フェリックスとオーロラ関係)
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ロシア・クラスノヤルスク動物園のフェリックスとオーロラの同居開始 ~ 新血統の誕生への大きな期待
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ロシア・クラスノヤルスク動物園の新飼育展示場計画発表 ~ 欧露の「囲い込み」体制に日本はどう対応するか
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by polarbearmaniac | 2017-02-15 16:00 | Polarbearology

アメリカ・トレド動物園のナヌヤークがシカゴのブルックフィールド動物園へ ~ 出産成功経験への期待

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ナヌヤーク (Nanuyaak the Polar bear/Белая медведица Нануяак) Photo(C)Chicago Zoological Society

ここのところアメリカの動物園におけるホッキョクグマの繁殖のための意欲的な個体再配置が行われています。アメリカ・オハイオ州のトレド動物園で飼育されていた野生出身の22歳の雌(メス)のホッキョクグマであるナヌヤークが今月初めにシカゴのブルックフィールド動物園に移動したそうです。この移動はAZAのSSP(Polar Bear Species Survival Plan)による移動だそうでブルックフィールド動物園で飼育されている10歳の雄(オス)のハドソンとの間の繁殖を狙うと言う目的です。このナヌヤークのブルックフィールド動物園での映像を下にご紹介しておきます。



このナヌヤークというホッキョクグマは1995年5月にアラスカのバローという街で保護された野生孤児の個体です。その後2001年からトレド動物園で飼育されてきたわけですが2006年の11月に雄のニキータ(現 ノースカロライナ動物園)を出産しています。つまり彼女は出産と育児の経験があるわけです。トレド動物園ではあの有名なクリスタルと共にマーティをパートナーとして繁殖の舞台に立ち続けてきたホッキョクグマです。
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ナヌヤークと息子のニキータ(現 ノースカロライナ動物園)
- April 18, 2007  Photo(C)Toledo Blade

AZAのSSP(Polar Bear Species Survival Plan)を推進する委員会の座長であるトレド動物園のメイヤーソン女史の考えで、トレド動物園で飼育されてきたこのナヌヤークをシカゴのブルックフィールド動物園に移動させて10歳になっているにもかかわらずパートナーのいないハドソンとペアにして繁殖を狙おうという意図であるわけです。ナヌヤークの野生出身の血と過去の出産・育児の成功経験を極力生かそうという意図によって行われた今回の彼女のシカゴへの移動について私はそれを高く評価したいと思いますが、できたらもう2~3年早くこれが実現していたらという感じもするわけです。浜松のバフィンが大阪に移動したのは彼女が19歳のときであり、そのときにゴーゴは6歳だったわけですが、それから何シーズンも費やしてようやくモモが誕生したわけです。バフィンとゴーゴの大阪における出会いからちょうど3年経過した年齢で今度はシカゴでナヌヤークとハドソンがペアを組む形となります。ただしバフィンは種産経験はあったものの育児経験はありませんでしたがこのナヌヤークは育児経験があるというのが強みではあります。ともかくこのシカゴにおける新しいペアには年齢差はあるものの期待したいと思います。私は2009年9月にシカゴでこのハドソンに会っていますが強い印象というものはありませんでした。むしろハドソンの母親である故アーキの神経質そうな表情のほうが強く記憶に残っています。
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ナヌヤーク Photo(C)Chicago Zoological Society
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ハドソン(左)とナヌヤーク(右)
Photo(C)Chicago Zoological Society

尚、ブルックフィールド動物園はこのナヌヤーク(Nanuyaak)という名前が長くて覚えにくいと考えたのでしょうか、単に「ナン(Nan)」という名前で呼ぶことにしたようです。本ブログでは引き続いてナヌヤークと表記することとします。

(資料)
Chicago Zoological Society (Feb.14 2017 - New Polar Bear "Nan" at Brookfield Zoo)
Chicago Tribune (Feb.14 2017 - Brookfield Zoo welcomes female polar bear)
The Blade (Feb.14 2017 - Toledo Zoo polar bear moved to Chicago) (Feb.14 2017 - Nan the polar bear moves to Chicago)
13abc Action News (Feb/14 2017 - Toledo Zoo polar bear moving to Chicago to find love)

(過去関連投稿)
シカゴ・ブルックフィールド動物園を去り新天地のケンタッキーへ移動するアーキ
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カナダ・ケベック水族館の11歳のティグアク、歯科治療の麻酔中に亡くなる
動物園による情報公開 ~ アメリカ・バッファロー動物園でのホッキョクグマ連続死亡事件
アメリカ ・ シカゴ郊外のブルックフィールド動物園のホッキョクグマたち ~ 氷のプレゼントと繁殖への展望
by polarbearmaniac | 2017-02-15 12:00 | Polarbearology

ロシア・西シベリア、セヴェルスク動物園のホッキョクグマ、ウドは健在 ~ 同園開園50周年のイベントが開催

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ウド (Белый медведь Уд / Eisbär Ud)
(C)Томская Телерадиокомпания

ロシア・西シベリア、トムスク近郊にあり核関連施設があるために一般に対しては閉鎖都市となっているセヴェルスクの動物園 (Северский зоопарк) に暮らす現在は25歳になっている雄のホッキョクグマのウド(Уд)については非常に情報が少なく、「幻のホッキョクグマ」化してきた感じもあります。本ブログでも何かニュースが報じられたときはここでご紹介してきました。今回は先週の日曜日に行われたセヴェルスク動物園50創立50周年のイベントを報じる地元のニュースの中でウドが登場しています。



このウドというのもいわゆる「アンデルマ/ウスラーダ系」、つまりカザン血統に属するわけです。レニングラード動物園のウスラーダの弟であり、そしてカザン市動物園のマレイシュカの兄ということになります。上の映像で見ますと非常に健康そうに見えます。とにかくこういったロシアの地方都市の動物園ぬ暮らすホッキョクグマたちは生死の情報すらはっきりしませんので絶えずニュースを追いかけていかなくてはならないというわけです。ましてやセヴェルスクは閉鎖都市ですので尚更情報は少ないということです。ソ連時代はペルミやイジェフスクなども外国人の立ち入りが許されていなかった都市であるわけで、ソ連時代ならば「ホッキョクグマ紀行」というのは無理だったというわけです。2月は比較的ホッキョクグマのイベントの多い月ですので、ロシアの地方都市の動物園に暮らすホッキョクグマたちの姿を確認しておくには絶好の月です。

(資料)
«Томская Телерадиокомпания» (Feb.13 2017 - В Северском зоопарке отметили юбилей)

(過去関連投稿)
ロシア・セヴェルスク動物園で空腹に悩むホッキョクグマ ~ 地方小都市動物園の窮状
ロシア・西シベリア、セヴェルスク動物園のウドに差し入れによるご馳走のプレゼント
ロシア・西シベリア、セヴェルスク動物園で暮らすウドの避暑 ~ 新動物園計画への子供たちの夢
ロシア・西シベリア、セヴェルスク動物園のホッキョクグマ、ウドに地元企業から救いの手
ロシア・西シベリア、セヴェルスク動物園のホッキョクグマ、ウドに市民からおもちゃのプレゼント
ロシア・西シベリア、セヴェルスク動物園で初めて開催される 「ホッキョクグマの日」 の催し物
ロシア・西シベリア、セヴェルスク動物園の「プール開き」 ~ ひっそりと暮らすカイとロッシーの叔父のウド
ロシア・西シベリア、セヴェルスク動物園で暮らすウドの近況 ~ 光の当たらぬロシア地方都市の小動物園
ロシア・西シベリア、セヴェルスク動物園に訪れた春 ~ プール開きの日のウド
ロシア・西シベリア、セヴェルスク動物園のウドの元気な姿と同園の飼育環境改良への努力への声援
ロシア・西シベリア、セヴェルスク動物園のウドの近況 ~ 冬の寒波到来で豊富な種類の給餌
by polarbearmaniac | 2017-02-15 00:30 | Polarbearology

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