街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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2017年 03月 26日 ( 1 )

フランス・ミュルーズ動物園のセシとナニュクの母娘の近況 ~ 「超大物」の母親であるセシ

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ナニュク Photo(C)Elsa Simonot/Parc zoologique et botanique de Mulhouse

生後100日前後で母親と共に屋外に登場した赤ちゃんは、そのお披露目の日の映像は多く公開されるものの、それ以降はやや数が少なくなってしまうのが普通です。ですから、ホッキョクグマの赤ちゃんの成長を追い続けていくには実際に自らがその動物園に通い続けて観察していくという以外には有効な手段はないわけです。しかしある程度の観察のそういった経験を重ねますと、短くて数の少ない映像からであっても多くのことが読み取れます。
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セシお母さんとナニュク Photo(C)L'Alsace

昨年2016年の11月7日にフランスのミュルーズ動物園 (Parc zoologique et botanique de Mulhouse) でセシ (Sesi)お母さんから誕生した雌(メス)の赤ちゃんであるナニュク(Nanuq)は2月27日に一般公開が開始されていますが、もともとフランスにはホッキョクグマファンの数が多くないためか、それ以降の映像というものは数が少ないようです。そういったなかでここで三つの映像を御紹介しておきたいと思います。

まず最初の映像ですが、これは表面的にはあの男鹿水族館のミルクが一般公開されて間もない時期の映像に非常に良く似ているようにも見えますが、しかしここで水の中にいるセシお母さんは上にいるナニュクに対して明確なメッセージを発しており自分が遊びたいために水に入っているということとはまるで違う行動をとっています。



次ですが、これはセシとナニュクの親子の暮らす場所と父親であるヴィックスが暮らす場所がどんぼように仕切られているかがよくわかる映像です。



次は4K動画です。ナニュクがセシお母さんに甘えるようにしていますし、母親のセシもそれに対してうまく対応しているという、いわゆる「スキンシップ型」の親子関係の一場面です。



前回にも書きましたが、このセシという母親は超大物の母親であるように私には見えます。彼女はこのナニュクを出産したときは5歳であり現在は6歳になっていますが、どうやって自分の子供と接したらよいかを本能的に完璧に近い形で会得しているように見えます。ノヴォシビルスク動物園のゲルダも大物の母親ですし、繁殖年で言えば今回のセシと同じ年齢でシルカを産んでいるのですが、母親としての完成度の高さや安定感という点ではセシのほうが当時のゲルダよりもかなり優れていることは間違いないように見えます。そういったことは先日ご紹介した幾つもの映像で感じられることです。ゲルダの持つホッキョクグマの「大きさ」や「度量」というものは、また別の観点から見れば実に優れたものなのですが、そういったホッキョクグマの母親像への考察といった視点で語られている文章を欧米のホッキョクグマファンの方々の中に見出すことはあまりないという点で私には不満に感じます。

(資料)
L'Alsace (Mar.27 2017 - Un voyage en Arctique pour commencer)

(過去関連投稿)
フランス・ミュルーズ動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ 5歳のセシが二度目にして出産に成功
フランス・ミュルーズ動物園で誕生した赤ちゃんの近況 ~ 大きな喜びに包まれる同園
フランス・ミュルーズ動物園で誕生した赤ちゃんが生後三か月となる ~ ネットによる命名投票受付中
フランス・ミュルーズ動物園の赤ちゃんがセシお母さんと共に屋外に登場
フランス・ミュルーズ動物園の赤ちゃんが遂に一般公開 ~ 性別は雌(メス)で「ナニュク (Nanuq)」と命名
フランス・ミュルーズ動物園で大人気となったセシとナニュクの親子を担当するスタッフの充実した毎日
by polarbearmaniac | 2017-03-26 22:00 | Polarbearology

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