街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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2017年 05月 03日 ( 2 )

ロシア極東・沿海州、ハバロフスク動物園の「ポリちゃん(仮称)」の名前が "ハバル(Хабар)" に決まる

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ハバル (Белый медведь Хабар/Eisbär Chabar/Khabar the Polar Bear) Photo(C)Зоосад Приамурский

モスクワ動物園で2014年11月にシモーナから誕生した双子のうち雄(オス)の「ポリちゃん(仮称)」が極東・沿海州のハバロフスク動物園(正式には「シソーエフ記念・プリアムールスキー動物園」 - Зоосад Приамурский имени В.П. Сысоева)に4月23日に突如その姿を現したわけですが、この雄の正式な名前が "ハバル (Хабар)" に決まったことを同園は発表し、そして沿海州のメディアも報じています。
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ハバル (Белый медведь Хабар/Eisbär Chabar/Khabar the Polar Bear) Photo(C)Зоосад Приамурский

あらかじめいくつかの名前の候補が選択肢として挙げられ、それに対してネットで投票するというやり方で行われました。決定したこの "ハバル (Хабар)" という名前は、もちろんハバロフスク(Хабаровск) という街の名前が由来です。今後もし彼がどこか別の動物園に移動したとしてもハバロフスクのファンに愛されたホッキョクグマということをその名前でしっかりと刻み付けたいという動機がこの名前が選ばれた理由のようです。飼育展示場の紹介プレートにもさっそくこのハバルという名前が付け加えられたとメディアは報じています。この正式な名前が発表されたあとにハバルの短い愛称をSNSで "ハブーシャ (Хабуша)" と呼んでいる人もいますが、ロシア人はそうした愛称で呼ぶのも好きです。たとえば、「シルカ(Шилка) 」を「シーロチカ(Шилочка)」と呼んだりするのはロシア人独特の愛情のこもった言い方なのです。



このハバルのハバロフスク動物園への入園に関するTVのニュース映像をまた一つご紹介しておきます。使用されている映像は他局のものとそう大きく違いませんが。



(資料)
Зоосад Приамурский (May.3 2017 - Внимание! Выбираем кличку для мишки!) (May.3 2017 - Белого медведя большинством голосов назвали Хабар!)
Восток-Медиа (May.3 2017 - Белый медведь из хабаровского зоосада получил имя)
ГТРК "Дальневосточная" (May.3 2017 - Имя для белого медведя)
vesti-yamal.ru (Apr.29 2017 - Косолапое пополнение: в зоопарк Хабаровска прибыл роскошный юный блондин весом в 320 кг)

(過去関連投稿)
モスクワ動物園の二歳半の雄(オス)の「ポリちゃん(仮称)」が突然、ハバロフスク動物園に姿を現す
ロシア極東・沿海州、ハバロフスク動物園の「ポリちゃん(仮称)」のパートナー探しは難航の予想
モスクワ動物園のアクーロヴァ園長が語る同園のホッキョクグマへの方針 ~ 野生孤児保護の新施設をオープン
by polarbearmaniac | 2017-05-03 17:00 | Polarbearology

モスクワ動物園のアクーロヴァ園長が語る同園のホッキョクグマへの方針 ~ 野生孤児保護の新施設をオープン

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シモーナお母さんとポリちゃん(仮称)、雪ちゃん(仮称)の双子
(Белая медведица Симона и медвежата)

(2015年10月3日撮影 於 モスクワ動物園)

モスクワ動物園のスヴェトラーナ・アクーロヴァ (Светлана Акулова) 園長(兼 最高責任者)が4月24~27日にイギリスのチェスターで開催された欧州動物園・水族館協会(EAZA)の総会に出席し、そこでホッキョクグマに関して興味深い報告を行っていますので重要な点をいくつかご紹介しておきたいと思います。

アクーロヴァ園長は、この数か月間にわたってモスクワ動物園が権利を有していた5頭のホッキョクグマ(*注 - ミラーナ、ノルド、シェールィ、ビェールィ、ポリちゃん)を国内外の動物園に移動させたことを述べ、そして5月にはもう一頭をハンガリーのソスト動物園に移動させることを述べています。このソスト動物園に移動するのはポリちゃんと双子である雌(メス)の雪ちゃん(仮称)であることはすでに以前の投稿でご紹介しています。アクーロヴァ園長はさらに、ロシアの動物園におけるホッキョクグマ繫殖の新しいプログラムを2016年に立ち上げ、そのなかで野生出身の二頭をペアにしてイジェフスク動物園で新血統の誕生を狙い、それによって飼育下のホッキョクグマの遺伝的多様性を維持しようという試みであることも明らかにしています。こういったことはすでにモスクワ動物園から野生孤児出身のアイオンがイジェフスク動物園に移動した際に私はモスクワ動物園の狙いを予想して書いていたことが正しかったことを意味しています。
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シモーナ (Белая медведица Симона/Eisbärin Simona)
(2015年10月3日撮影 於 モスクワ動物園)

アクーロヴァ園長は野生孤児となってしまったホッキョクグマの保護と飼育に一層力を入れる意向で、現在同園に附属しているヴォロコラムスク附属保護施設に加えてもう一つ、ヴォログダ州のヴェリキイ・ウスチュグ (Великий Устюг) に新しい附属保護施設をオープンさせる予定になっていることも明らかにしています。

モスクワ動物園はアクーロヴァ園長のもとで実に意欲的にホッキョクグマの保護と飼育に取り組んでいるということです。そして自園が権利を有する「アンデルマ/ウスラーダ系(カザン血統)」の個体を半年の間に国外(コペンハーゲン、ハノーファー、ブダペスト)に四頭、国内(ハバロフスク)に一頭を移動させたわけです。そしてさらにもう一頭は今月中に国外(ソスト)に移動するということです。モスクワ動物園はEAZAと積極的な交渉を行い、そして欧州側は「アンデルマ/ウスラーダ系(カザン血統)」の個体を受容限度までの頭数をロシアから受け入れたということなのです。実にダイナミックな話です。

さて、こういった状況の下でノヴォシビルスク動物園のロスチクがどこへ移動するかですが、少なくともこれはモスクワ動物園が現時点ではもう積極的・直接的には関与していないようになっている気配がします。ですからつまり、欧州は少なくともモスクワ動物園を介してロスチクを受け入れるということはしないように思います。あるいは、たとえ介したとしても来年以降も血統面を考慮してロスチクは受け入れないのではないかという予想も成り立つように思います。私の感じでは、ロスチクは移動先が見つからない状況に陥っているように思えるわけです。
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シモーナとポリちゃん(仮称)、雪ちゃん(仮称)の双子
(Белая медведица Симона и медвежата)

(2015年10月3日撮影 於 モスクワ動物園)

さて、実は奇妙なことに気が付きました。それは、モスクワ動物園のシモーナが2014年11月に産んだ双子(ポリちゃん、雪ちゃん)を、同園は二頭共に雄(オス)として血統登録しているという奇妙な事実です。私は2015年の秋にモスクワ動物園で同園のホッキョクグマの担当者からこの双子は雄(オス)と雌(メス)であることを確認していますし、その後の報道でも飼育主任のエゴロフ氏がこの双子は性別が異なっていると語っていることが記事にもなっているのです。雄(オス)であるポリちゃんがハバロフスク動物園に先日移動し、そしてもう一頭の雪ちゃんが近日中にハンガリーのソスト動物園に移動するということは、雪ちゃんがロストック動物園生まれの雄(オス)のフィーテとペアとなることを意味しているわけです。ですから、2014年11月にシモーナの産んだ双子についてモスクワ動物園が性別について行った雄(オス)の二頭という血統登録は間違いであることが状況証拠で明らかなのです。 考えてもみて下さい、「イワンとゴーゴ兄弟説」、ノヴォシビルスク動物園のゲルダの血統の謎、ベルリン動物公園のトーニャの血統の謎.....これらは全てモスクワ動物園の血統登録には正確さが欠けていることを示しているわけです。そして今回のポリちゃんと雪ちゃんの双子の性別問題にもこの不正確さが表れているわけです。モスクワ動物園の飼育部門はロシア国内の飼育下のホッキョクグマの血統の遺伝的多様性を維持しようとしてアクーロヴァ園長と協力して野生孤児のアイオンをイジェフスク動物園に移動させたり「アンデルマ/ウスラーダ系(カザン血統)」の個体を欧州に送り出したりしているほどですから、このような血統登録情報については熟知しているはずなのです。しかし以前にも述べましたが、モスクワ動物園が自園で誕生した動物たちの血統登録を担当しているのは飼育部門ではなく管理部門なのです。同園のホッキョクグマの血統情報にいくつもの問題があることは、つまり血統登録を管理部門に任せてしまっていることが原因であると言わざるを得ません。このあたりもアクーロヴァ園長に改善をお願いしたいところです。

さて、ここでモスクワ動物園のスヴェトラーナ・アクーロヴァ園長が昨年の秋に園長代行から正式な園長、兼最高責任者となったときにTV局がその一日を取材したニュース映像がありますので下に御紹介しておきます。これはもっぱら私のメモ代わりの映像ですのでご覧になっていただく必要は特にありません。



(資料)
РИАМО (Apr.25 2017 - Московский зоопарк разработал программу сохранения белых медведей)
Российская газета (Apr.24 2017 - Сирота полярная)
Вечерняя Москва (Apr.24 2017 - За советом – к голштинцу Лене)
Вести (Oct.3 2016 - Московский зоопарк: с новым гендиректором - новая жизнь) (В Московском зоопарке и ЦПКиО им.Горького сменилось руководство)

(過去関連投稿)
モスクワ動物園が期待を持つ将来の新ペア ~ ヴォロコラムスク付属保護施設のホッキョクグマたち
モスクワ動物園・ヴォロコラムスク付属保護施設で暮らすアイオンとミラーナの夏の日
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モスクワ動物園で保護された野生孤児ニカに欧州の多くの動物園が重大な関心を抱く
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モスクワ動物園の「国際ホッキョクグマの日」~ ヴォロコラムスク附属保護施設を一般来園者に初公開
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by polarbearmaniac | 2017-05-03 03:00 | Polarbearology

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