街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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2017年 05月 19日 ( 4 )

バフィン、偉業を成し遂げつつあるホッキョクグマへの敬意 ~ 運命への本能的な「選択」に宿っていた母性

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このバフィンは私独自の母親のカテゴリーを用いれば「理性型」の母親である。但し今日見ていた印象ではそういった分類では区別できない要素を彼女に感じるようにもなっている。
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彼女が大阪でモモと過ごした日々のうち、展示されていなかった午後における室内での母親としてのあり方は実は飼育展示用で見せていた姿とはやや異なるのではないかという疑問が生じてくる。
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今日見ているとバフィンはモモと体を寄せ合って寝ている時間が結構あった。こういったことは大阪では主に展示されていなかった午後に室内で長い時間行われていたことではないかと思うのである。そしてここ浜松で終日展示となたっために我々の眼の前で行われるようになったのではないかということである。


バフィンのプロフィール - Baffin the Polar Bear's profile, at Hamamatsu Zoo, Japan, on May.19 2017.

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そういった仮定が正しいとすれば、バフィンの母親像には大きな修正を加えねばならない可能性が生じてくる。
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二十歳をかなり過ぎた段階で彼女は残された自分の生き方において、育児を行うことを無意識的に「選択」した形となった。
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一頭で生きていれば楽であるにもかかわらずである。
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しかし彼女はそういった楽な道を本能的ではあれ「選択」しなかった。そこに彼女独特の母性の存在を metaphysical な観点から見ることは難しくはないだろう。
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私はバフィンを過小評価していたことを認めざるを得ない。彼女は大変な母親である。シモーナやララは天性の母親としての素質がある。だから若くして母親となったのである。その点において彼女たちは「情愛型」のタイプの母親となる可能性は非常に大きかったのであるし、事実そうなった。シモーナやララは育児を行うという「選択」をする必要はなかった。何故ならそれは彼女たちにとって自明のことだったからである。ところがバフィンにはそれは自明のことではなかった。バフィンは自分が母親となって育児を行うことを本能的・直観的に選択した。そこにおいてこそバフィンの「理性型」の母親のタイプを見るべきなのだった。私は全く別の視点から彼女を「理性型」と判断したのだが、バフィンが「理性型」である根拠は全く別のところにあっというわけである。
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バフィンの母性は自分の娘に対する具体的な接し方であるよりも、この年齢になって初めて体験することになった育児を行うことを産室内で出産した直後に本能的に「選択」したという、一種の運命的な啓示の存在にこそ認めるべきであろう。こういった母性というものは今までの私の理解の範疇を超えたものである。バフィンこそまさに奇跡のホッキョクグマなのである。彼女は偉業を行いつつあるのだ。大いなる敬意を彼女に捧げたい。
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Nikon D5500
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR
Panasonic HC-W870M
(May.19 2017 @浜松市動物園)
by polarbearmaniac | 2017-05-19 23:30 | しろくま紀行

モモの真っ直ぐな成長 ~ 母親の庇護下での憂い無き率直さ

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間もなく二歳半になるモモである。
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大阪時代のモモと比較して何が変わり何が変わっていないのか? そしてそれは成長とどういった関係があるのか?
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今日見た限りではそれをど多くのものは変わっていないように見える。
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もともとモモは遊び好き(playful)なのだ。
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しかしそういった性格はやはり母親の庇護がってのもののように感じる。


モモの水遊び - Momo the Polar Bear plays in the water, with her favorite toys, at Hamamatsu Zoo, Japan, on May.19 2017.


ブイとの格闘 - Momo the Polar Bear fights hard with buoys at Hamamatsu Zoo, Japan, on May.19 2017.

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モモはシルカと比較すると、おもちゃなどに対しては非常に率直な反応をする。
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誰から与えられるかよりも何をもらえるかに関心が集中している。


モモの遊びのプロフィール - Momo the Polar Bear's profile, at Hamamatsu Zoo, Japan, on May.19 2017.

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モモは母親であるバフィンとの二頭だけでの世界に留まっていられるのは幸せである。モモにはシルカのような「影」の部分が無く、率直で素直な成長を続けている。雌(メス)の幼年個体はなるたけ母親と一緒に過ごす時間の長い方が良いのだという考え方はモモに対しては非常に説得力があるように思える。
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Nikon D5500
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR
Panasonic HC-W870M
(May.19 2017 @浜松市動物園)
by polarbearmaniac | 2017-05-19 23:00 | しろくま紀行

浜松市動物園にゆったりと流れるバフィンとモモの母娘の至福の時間 ~ "Les Ours joyeuses"

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バフィンとモモの母娘に会うのは久しぶりである。
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この親子の関係にどのような変化があったかについて観察してみたい。
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今日は朝から日差しが強くて気温が高い。
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しかし非常にゆったりと時を過ごしている親子である。


ゆったりと時を過ごすバフィンとモモの母娘 - For Baffin and Momo the Polar bears, time goes by very slowly, at Hamamatsu Zoo, Japan, on May.19 2017.

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見ているだけで、ほのぼのとした気持ちになってくる。
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この親子の関係は大阪時代と変わらない。変わったのはモモの体の大きさだけだろう。
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モモはもう少しで二歳半になるがまだ授乳シーンが見られる。これは世界でも同じような事例はいくつもあるので決して不自然なことではない。


Momo, the two and half years old polar bear, gets nursed by Baffin, at Hamamatsu Zoo, Japan, on May.19 2017.

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大阪時代は半日展示だったこの親子だが、やはりバフィンが間合いを測ることによって前日展示への生活のリズムが完全に確立しているようである。
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一日の展示時間が増加したが、その増えた時間の多くをモモはバフィンとのスキンシップに費やすようになったように見える。しかしこれは大阪では彼女たちが昼過ぎに室内に戻ったあとで行われていたことだっただろうと思うのだ。やはりホッキョクグマの親子は半日展示では不十分だったと思う。このバフィンとモモの母娘を観察して真価を完全に見出すことは大阪では完全にはできなかったようにも思う。シルカが来日したために致し方ないことではあったが.....。


Baffin and Momo the Polar Bears are relaxing themselves in the afternoon, at Hamamatsu Zoo, Japan, on May.19 2017.


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今日久し振りに親子を見ていると、まさに至福に満ちた情景と時間がゆっくりと流れていくのを感じた。こういった経験は稀有のことである。
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素晴らしい親子だと思う。シモーナ親子やララ親子に優るとも劣らない心打たれる姿である。
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Nikon D5500
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR
Panasonic HC-W870M
(May.19 2017 @浜松市動物園)
by polarbearmaniac | 2017-05-19 22:00 | しろくま紀行

ロシア・ヤクーツク動物園のハールチャーナの将来 ~ ロシア・ホッキョクグマ界の期待の星

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ハールチャーナ (Белый медвежонок Хаарчаана) 
Photo:YakutiaMedia

ロシア北東部サハ共和国のヤクーツク動物園で昨年2016年の11月30日にコルィマーナお母さんから誕生した雌(メス)の赤ちゃんのハールチャーナですが、間もなく生後半年を迎えることになります。野生孤児出身の5歳の雌のコルィマーナとウスラーダの15番目の子供である同じく5歳の雄のロモノーソフとの間に初めて誕生したのがハールチャーナなのですが、今年の年末(おそらく11~12月)にサンクトペテルブルクのレニングラード動物園に移動する予定となっています。レニングラード動物園はハールチャーナの父親であるロモノーソフの生まれた動物園であり、彼女の権利を持っているのもレニングラード動物園です。現在の状況ではハールチャーナはレニングラード動物園に留まってウスラーダの後継となる可能性が非常に大きいと思われます。

将来的にこのハールチャーナには雄のパートナーが用意され、そして新設されるレニングラード動物園の新園で繁殖を担っていくことになるだろうと思います。ロシアのホッキョクグマ界の将来を背負っていく重要なホッキョクグマのうちの一頭となるでしょう。パートナーとなる雄との相性はどうかとか、繁殖能力があるかどうかとか、そういったことは問題にはならないと思います。ロシアという国においてはこういったペアは不思議と繁殖に成功するものなのです。

ロシアには将来が有望な若いホッキョクグマが何頭も存在しています。ハールチャーナの両親であるヤクーツク動物園のコルィマーナとロモノーソフ、クラスノヤルスク動物園の野生出身同士の若いペアであるフェリックスとオーロラ(ヴィクトリア)、ノヴォシビルスク動物園のゲルダとクラーシン(カイ)、イジェフスク動物園のザバーヴァと野生出身のバルーのペア、同じく同園のドゥムカとアイオンという野生出身同士のペア、ブラジルからカザン市動物園に帰還する予定のオーロラとピリグリムのペア、ペルミ動物園のユムカ(ミルカ)とセリクのペア、このようなペアの他に単体として他にモスクワ動物園(ヴォロコラムスク附属保護施設)のニカ、ペンザ動物園のベルィ、ゲレンジークのサファリパークの野生孤児出身のスネジンカとセレジュカ、ハバロフスク動物園のハバルなどと、将来の繁殖に有望な個体が何頭も存在しているのです。心強い限りです。

ロシアにおいてもうすでにペアが形成されている若年個体や、まだ繁殖可能年齢に達していない幼年・若年個体などの動向には注視していく必要があります。何故ならばこういったロシア・ホッキョクグマ界の有望な若い個体たちが繁殖に成功した時に将来的に日本にそういった個体を導入する道を考える必要があるからです。

(資料)
YakutiaMedia (May.17 2017 - Семейные нежности якутских белых медведей)

(過去関連投稿)
ロシア北東部・ヤクーツク動物園のコルィマーナ、出産成功が濃厚の模様 ~ 2月21日に正式発表となる予定
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ロシア・サハ共和国、ヤクーツク動物園の赤ちゃんのサンクトペテルブルクへの移動は年末に延期となる
ロシア・ヤクーツク動物園の雌(メス)赤ちゃんの名前が "ハールチャーナ (Хаарчаана)" に決まる
by polarbearmaniac | 2017-05-19 06:00 | Polarbearology

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