街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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2017年 08月 30日 ( 2 )

フィンランド・ラヌア動物園のマナッセが亡くなる

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マナッセ Photo(C)Photo(C)PEKKA AHO / LKA

フィンランドのラヌア動物園が公式発表したところによりますと、同園で飼育されていた現在は27歳の雄(オス)のホッキョクグマであるマナッセが昨日29日に亡くなったとのことです。安楽死によってであることが発表の内容によって強く示唆されています。
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マナッセ Photo(C)Kaisa Siren / Lehtikuva

マナッセは夏になってからというもの胃腸に異常が生じ投薬にもかかわらず下痢の止まらない状態となっていたそうです。そして日中は動きまわることをせずに休んでいる状態だったそうで彼が大好きであるプールにも入らないという状態だったとのことです。同園は彼の病状の進行などについては詳細は発表してはいないものの、安楽死せざるを得ないという決断のもとでマナッセは昨日この世を去ったとのことです。ちなみにこのマナッセは1989年にスウェーデンのコルモルデン (Kolmården)動物園の生まれで日本に暮らす(暮らしていた)三つ子である故ユキヒメ、故アークティク、バフィンのすぐ上の兄にあたります。ですから浜松のモモの叔父さんということになるわけです。
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マナッセ Photo(C)PEKKA AHO / LKA

このマナッセはパートナーであるヴィーナスとの間で二頭のホッキョクグマの父親となっており、一頭はウィーンのシェーンブルン動物園で暮らす5歳の雄(オス)のランツォ、もう一頭は昨年11月に誕生した雄(オス)の幼年個体で現在はその名前が公募中です。
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Photo(C)Ranua Zoo

謹んでマナッセの死に哀悼の意を表します。

(*追記)これは私だけの感じ方かもしれませんが、日本に暮らす(暮らしていた)欧州出身の個体について、欧州に暮らしている彼ら(or 彼女ら)の両親や兄弟姉妹との関係を強く意識せざるを得ない要素は薄いような感じがするのです。ところが一方で日本に暮らすロシア出身のホッキョクグマについてはロシアに暮らす彼ら(or 彼女ら)の両親や兄弟姉妹との関係を強く意識するのは何故なのかということです。要するにアンデルマ、ウスラーダ、シモーナ、ムルマ、ゲルダといったロシアのホッキョクグマたちのほうが欧州のホッキョクグマたちよりも個性的で強い存在感があり、そういったものが一族のメンバーに強く投影され、それによって一種の「ファミリー」として意識せざるを得ないというのが理由なのではないでしょうか? 同じことは「ララファミリー」にも言えることです。ところが、今回亡くなったマナッセが故ユキヒメ、故アークティク、バフィンと両親を同じくする兄であると言われても私には何かピンとこないものがあるわけです。

(資料)
Ranua Zoo (Aug.29 2017 - In memoriam Jääkarhu-uros Manasse)
Kaleva.fi (Aug.29 2017 - Ranuan eläinpuiston vanha Manasse-jääkarhu on poissa – olisi täyttänyt loppuvuodesta 28 vuotta)
YLE (Aug.29 2017 - Ranuan valkea jättiläinen on poissa)
Ilta-Sanomat (Aug.29 2017 - Ranuan Manasse-jääkarhu jouduttu lopettamaan – ”Valkea jättiläinen on poissa”)
Aamulehti (Aug.30 2017 - Ranuan eläinpuiston iäkäs Manasse-jääkarhu kuoli – naaraskarhu Venus voi joutua muuttamaan pois)

(過去関連投稿)
札幌・円山動物園のマルルが熊本、ポロロが徳島の動物園に移動が決定 ~ ララの2年サイクル繁殖が継続へ
「ホッキョクグマ飼育マニュアル(Care Manual)」よりの考察(9) ~ 同居を許容しうる雌雄の頭数構成
by polarbearmaniac | 2017-08-30 14:00 | Polarbearology

ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のナヌクとジフィルカの近況 ~ 何者かによる動物の毒殺で脅迫される同園

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ナヌクとジフィルカ Photo(C)Николаевский Зоопарк

2012年11月にチェコのブルノ動物園で誕生した双子の一頭である雄(オス)のナヌク、そして2011年11月にモスクワ動物園で三つ子の一頭として誕生した雌(メス)のジフィルカはいろいろと複雑な事情があってウクライナのムィコラーイウ動物園にやってきたわけですが、そういった不透明さというのがスラヴ文化圏におけるホッキョクグマ移動の特徴であるとも言えましょう。特にブルノ動物園生まれのナヌクが何故ウクライナの動物園に移動せねばならなかったかは表向きの理由の背後に一種の闇の部分が存在していることは大いに想像できるわけです。ブルノのファンは彼のウクライナへの移動には反対していたわけですが、とにかくロシアとかウクライナという国の動物園に個体が移動してしまうとその近況を知ることが容易ではありません。ノヴォシビルスク動物園などの場合は(特にシルカの誕生以降)熱烈なファンの方々が何人もいらっしゃってホッキョクグマの動向を知るのには苦労はないわけですが、その他の動物園となれば非常に難しくなります。ただしロシアの動物園については最近ロスネフチ社の飼育下のホッキョクグマに対する強力な援助の手が差し伸べられており、そういった同社の広報活動を背景としてロシアの動物園はホッキョクグマに関する情報を写真や映像で公開するようになったのは良い傾向です。しかしウクライナの動物園に暮らすホッキョクグマたちには同社の援助は全く無く、依然として情報の欠乏状態が継続しているわけでブルノのファンの方々にとっては気が気ではないようです。
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ナヌク Photo(C)Николаевский Зоопарк
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ジフィルカ Photo(C)Николаевский Зоопарк

ウクライナという国の社会全体には腐敗がはびこっており、そういった腐敗は動物園にも及んでいることは以前、「ウクライナ東部、ハリコフ動物園のティムの無事を願う ~ ウクライナの動物園に蔓延した根深い腐敗」という投稿でもご紹介していました。それに加えて動物園の中でのレストランやカフェ経営する業者の利権には黒い噂がいつも付きまとっています。そういったマフィア的な利権がらみで動物園に対して根も葉もない噂が意図的に拡散されることはよくあり、それはムィコラーイウ動物園においても行われ続けてきました。しかしムィコラーイウ動物園のトプチィイ園長は腐敗の激しいウクライナの動物園においては珍しい良心派の園長さんで、動物園を取り巻く利権問題による脅迫や根拠のない噂話にも正面切って立ち向かう勇気と気骨のある園長さんです。しかし最悪の事件だったのは昨年の8月に同園で飼育されていたユキヒョウとピューマが何者かによって殺鼠剤によって殺害されたという事件でした。これは明らかに動物園に関係した利権がらみでマフィアからトプチィイ園長に対する一種の警告と脅迫だったことは間違いないと私は考えています。この事件について昨年私はよほど投稿しようかと思っていたのですがホッキョクグマの話題ではなかったのであきらめたという経緯がありました。ウクライナのTVニュースを見ていただきましょう。下の写真をワンクリックして下さい。
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トプチィイ園長とユキヒョウの赤ちゃん(父親は何者かにより後日殺害) 
Photo(C)niklife.com.ua

トプチィイ園長はチェコのファンのために定期的にナヌクの写真や映像をネット上にアップしていましたが昨年夏の最悪の事件以降は忙しいらしく、それも滞っているのが残念です。おそらく動物園を取り巻く内外の状況が非常に厳しくなっているからではないかと私は心配しています。

さて、ムィコラーイウ動物園では先日、ホッキョクグマたちにスイカのプレゼントがありました。その映像をご紹介してきましょう。下の写真をワンクリックして下さい。
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Photo(C)Николаевский Зоопарк

その他、比較的最近の映像をご紹介しておきます。







今後さらに同園に対して外部からもっとひどい脅迫が行われるとすれば、このホッキョクグマのナヌクとジフィルカに対して何らかの毒物の入った食べ物を飼育展示場の外から投げ入れられるといった可能性は否定できないかもしれません。次のように書いてしまうと非常に誤解を招くことになるかもしれませんが、やはりホッキョクグマの毒殺は他の動物たちの殺害よりももっと強いインパクトになるだろうと思うからです。

(資料)
НикВести - новости николаева (Aug.23 2017 - Николаевский зоопарк показал «водные забавы» своих питомцев)
Nikulife (Aug.28 2016 - «Это было сознательно брошено мясо с отравой»: в Николаевском зоопарке отравили пуму и снежного барса)
Интернет-газета "Вести" (Aug.29 2016 - В Николаевском зоопарке посетители убили пуму и снежного барса)
ГОРДОН (Oct.6 2016 - Директор: Животных в Николаевском зоопарке отравили крысиным ядом)
112.ua (Oct.6 2016 - В Николаеве за информацию об отравлении в зоопарке снежного барса и пумы обещают 25 тыс. грн)

(過去関連投稿)
(ジフィルカ関連)
モスクワ動物園のシモーナお母さんの三つ子の一頭の雌がウクライナ・ムィコラーイウ動物園に移動へ
ウクライナ、ムィコラーイウ動物園がホッキョクグマの輸入許可を取得するものの立ちはだかった難題
ウクライナのムィコラーイウ動物園にモスクワ動物園のシモーナの三つ子の一頭の雌のジフィルカが到着
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園にモスクワ動物園から到着したジフィルカを伝えるニュース映像が公開
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園にモスクワ動物園から到着したジフィルカが元気に展示場に登場
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園に来園したジフィルカの近況 ~ 場当たり的なEARAZAの繁殖計画か?
ロシア南部・ロストフ動物園とウクライナ・キエフ動物園との間の紛争 ~ 「ホッキョクグマ詐欺」事件の概要
ウクライナ南部・ムィコラーイウ動物園に来園したモスクワ動物園生まれの雌のジフィルカの人気高まる
ウクライナ南部・ムィコラーイウ動物園のジフィルカの近況 ~ ロシアの狙う自国内、旧ソ連圏内の展示充実
ウクライナ、チェコ、ポーランド、スロヴァキアの四か国の動物園が「欧州スラヴ圏動物園共同体」を形成か?
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園の「国際ホッキョクグマの日」のジフィルカの姿 ~ 与えられた赤いボール
(ナヌク関連)
チェコ・ブルノ動物園のコメタがロシア・ロストフ動物園へ ~ ブルノ、モスクワ、ロストフの巧妙な三角関係
チェコ・ブルノ動物園のコメタとナヌクの将来への不安 ~ 忍び寄るロシアとウクライナの紛争の暗い影
チェコ・ブルノ動物園のナヌクが同園を出発、ウクライナのムィコラーイウ動物園に向かう ~ 物語の終幕
チェコ・ブルノ動物園のナヌクが無事にウクライナのムィコラーイウ動物園に到着
ホッキョクグマ・アイカ と レディン一家の物語 ~ 愛情の日々、そして悲劇的な終末へ
ウクライナ、チェコ、ポーランド、スロヴァキアの四か国の動物園が「欧州スラヴ圏動物園共同体」を形成か?
ウクライナのムィコラーイウ動物園に移動したナヌクのその後 ~ 複雑なスラヴ圏のホッキョクグマ事情
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のナヌクが抜歯治療手術を受ける
(*ナヌクとジフィルカ関係)
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のジフィルカとナヌクの初顔合わせは、やや不調に終わる
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のジフィルカとナヌクとの近況 ~ 旧ソ連地域のホッキョクグマ界
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のナヌクとジフィルカに誕生日とクリスマスのお祝いが行われる
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園、ナヌクとジフィルカの「国際ホッキョクグマの日」
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のジフィルカとナヌクの背負わされた不幸 ~ "It should have been..."
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のナヌクとジフィルカへチェコのファンからおもちゃのプレゼント
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園のジフィルカとナヌクの誕生会が開催 ~ 国境をまたいだファンの交流
by polarbearmaniac | 2017-08-30 01:30 | Polarbearology

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