街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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2017年 09月 23日 ( 2 )

ロシア北東部サハ共和国で北極海岸より700キロも離れた内陸で野生孤児が目撃 ~ 保護に動く自然管理監督局

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Photo: С сайта Минприроды РС

非常に気になる報道がロシアから流れてきています。野生孤児の目撃情報に対してロシアの連邦政府の自然管理監督局がこの個体の保護に動きだし、モスクワ動物園がその捕獲作戦に協力する構えを見せているという現在進行形のニュースです。複数のソースは細部において内容がかなり錯綜していますが内容をまとめると以下のようなことだそうです。
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事の発端は9月の初旬のことだそうです。ロシア北東部のサハ共和国のスレドネコルィムスク地区の村に住む漁師が付近で一頭のホッキョクグマを目撃した情報が当局に寄せられたためその地区の自然保護官が確認に向かったものの、ホッキョクグマは発見できなかったそうです。そして数日後になってコルィマ河付近のスルギヤタールという村に一頭のホッキョクグマが現れ犬と遊んだりしていたものの、連絡を受けた自然保護官が到着する前にホッキョクグマは姿を消してしまったそうです。9月19日と22日に再びホッキョクグマは姿を現したそうです。その際に撮影された映像をご紹介しておきます。



この一頭のホッキョクグマは一歳と思われる幼年個体であり(ロシア大統領府は推定生後約9ヶ月だと述べていますが)、このような年齢のホッキョクグマは単独では生きていけないということと、この地域に生息している別種の熊たちに襲われる危険性があるため自然保護官はサハ共和国にある連邦政府の自然管理監督局の出先部署に連絡し、このホッキョクグマを保護するための捕獲の許可を求め、その許可を受けたとのことです(この許可がありませんとロシアでは野生のホッキョクグマの保護のための捕獲ができません)。この幼年個体は多分コルィマ河流域を移動するだろうという予測のもとで、サハ共和国の自然管理局は至急に捕獲のための専門家チームを集め、それにモスクワ動物園のスタッフも合流してなんとかこの幼年個体を保護したいと動き始めたそうです。しかし何故ホッキョクグマの本来の生息地である北極海の海岸から約700キロも離れた場所でホッキョクグマの幼年個体が単独で歩いていたのかは謎であると地元の報道は伝えています。

モスクワ動物園は実に素早い動きを見せていますね。多分連邦政府の自然管理監督局に対して日頃から、こういった野生個体が見つかったら保護に協力したいと申し出ていたのでしょう。うまく保護できればモスクワ動物園のヴォロコラムスク附属保護施設に収容するのでしょう。そしてロシアにおける飼育下のホッキョクグマの血統の遺伝的多様性の維持に協力してもらいたいということでしょう。ロシアにおけるホッキョクグマの野生孤児個体の保護政策とロシアの動物園における飼育下のホッキョクグマの個体数維持をこうした形で結び付けようとしているわけです。しかし最も重要なことは野生のホッキョクグマの生命を守るということにあります。飼育下のホッキョクグマの血統の多様性維持という問題はその次の話であることは言うまでもありません。

そういったことはともかくとして、なんとか今回目撃された野生の幼年個体を無事保護してもらいたいと思います。これから数日が正念場となるでしょう。ロシア大統領府のHP内のプーチン大統領のホッキョクグマ保護に関するサイトでも今回出現したホッキョクグマについて述べられており、ロシア政府の全面的な支援のもとでの捕獲・保護作戦となっています。

(資料)
Администрация президента России (ПРОГРАММА «БЕЛЫЙ МЕДВЕДЬ» Sep.22 2017 - В Якутии пытаются спасти белого медвежонка)
SAKHALIFE.RU (Sep.22 2017 - В Среднеколымском районе рыбаки заметили белого медведя. Мишка их тоже заметил)
РИА Новости (Sep.22 2017 - В Якутии пытаются спасти белого медвежонка)
SakhaNews (Sep.23 2017 - В Среднеколымском районе появился… белый медведь)
Российской газеты (Sep.23 2017 - В Якутии белого медвежонка заметили в 700 километрах от берега моря)
YakutiaMedia.ru (Sep.22 2017 - Белого медведя заметили рыбаки на реке Колыма в Среднеколымском районе Якутии)

(過去関連投稿)
ロシア極北で負傷、ペルミ動物園で保護されたセリクについて ~ ロシアでの野生孤児の個体保護の問題点
ロシア極北・チュクチ自治管区 リィルカイピ村でホッキョクグマの生後約8ヶ月の孤児が発見・保護される
by polarbearmaniac | 2017-09-23 22:00 | Polarbearology

ロシア・ペルミ動物園が間もなくミルカ(ユムカ)の出産準備体制移行へ ~ 運気を引き寄せる流れに乗る同園

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ミルカ(ユムカ)
Photo(C)Пермский зоопарк/Екатерина Мельникова

ロシア・ウラル地方のペルミ動物園はこのところ自園で飼育しているホッキョクグマの動向を発信する機会が多くなってきたようです。実に素晴らしい傾向です。二日ほど前にペルミ動物園がアンデルマ、セリク、ミルカ(ユムカ)の三頭のホッキョクグマたちの近況を発表していますが前回投稿したように間もなく4歳になる雌(メス)のミルカ(ユムカ)には妊娠、そして出産の期待がかかっているわけで、今回の発表ではミルカ(ユムカ)は一層体重が増加し体を動かすことをしなくなっているそうです。食べ物の選り好みが激しくなっているそうで同園としては彼女の妊娠は確実であり、あとは出産を待つのみという認識を抱いている様子を感じさせます。

同じく間もなく5歳になるであろう野生出身の雄(オス)のセリクは多くの時間をプールでの遊びに費やしているそうで、おもちゃ遊びにも余念がないようです。間もなく33歳になるであろう御大アンデルマは非常に健康状態がよいそうでこれから迎える冬にそなえて摂食量も増えているようで、水に中でセリクの相手などもしてやっているそうです。アンデルマというのは水に入らないホッキョクグマだったのですが、今年あたりから急にプールに入るようになってきたのは驚きです。
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ミルカ(ユムカ - 左)、セリク(右)、アンデルマ(奥)
Photo(C)Пермский зоопарк/Екатерина Мельникова

少なくとも現時点では上の写真のようにこの三頭はさほど広くもない飼育展示場に同居しているわけですが、セリクがミルカ(ユムカ)にちょっかいを出さないようにアンデルマがプールでセリクの相手をしてやっていることはミルカ(ユムカ)にとってはありがたい話でしょう。アンデルマはそういったことを意識して行っているかどうかは別にして、こういったことが彼女の「人(熊)徳」なのです。
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アンデルマ Photo(C)Екатерина Мельникова

おそらく10月に入ればミルカ(ユムカ)はアンデルマやセリクと別飼育となって左側にある別区画に入れられるでしょう。その後で時期を見計らって産室に入れられると思います。そうなるとメインの飼育展示場はアンデルマとセリクだけになると思います。こういったあたりはペルミ動物園ならばうまく事を運ぶだろうと思います。
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ミルカ(ユムカ)
Photo(C)Пермский зоопарк/Екатерина Мельникова

非常にうまく運気を引き寄せる流れに乗っているペルミ動物園です。こういった流れを作り出しているのがアンデルマの存在なのです。ホッキョクグマの繁殖にもこういった運気といったものの存在をバカにしてはいけません。日本の動物園にはそういったものを引き付けようといったものが感じられないわけです。いつも逆風に立ち向かっているのが日本の動物園だという気がします。ペルミ動物園はロシアの地方都市の小さな動物園ですし予算もそれほど多くはないだろうと思います。しかしスタッフの方々はよく頑張っていますし応援してやりたいと思います。

ここで以前にご紹介していた映像ですが、ミルカ(ユムカ)とセリクがペルミ動物園に来園したことを報じる地元TV局の2013年秋のニュース映像を再度ご紹介しておきます(というよりもこれは本ブログをご覧いただいているノヴォシビルスクのファンの方々のためにですが)。まず最初の映像では2013年秋に極北の地でセリクが野生孤児として、しかも密漁者から狙撃されて負傷した状態で保護された時の映像、そしてペルミ動物園で飼育されるために入園した直後の映像です。


いかにセリクは保護されたか - Как спасли белого медвежонка

次の映像はミルカ(ユムカ)がペルミ動物園に入園することを報じるTVニュースの映像ですが冒頭にカザン市動物園時代のミルカ(ユムカ)が母親であるマレイシュカと同居している貴重な映像が挿入されています。私がカザン市動物園で撮影した映像以外でちゃんとしたものとして残っているものとしては非常に数の少ない貴重な映像です。


ペルミ動物園でのユムカ(ミルカ)とセリクの飼育について - Юмка и Сэрик: сердца белых медвежат соединит Пермский зоопарк

そして次はユムカ(ミルカ)のペルミ動物園への入園のニュースです。


ユムカ(ミルカ)の入園 - в Пермский зоопарк привезли медведицу

「通常単独生活を送るホッキョクグマは原則として雌雄別々に飼育することが望ましい」という一昨日の天王寺動物園の発表の中の記述ですが、それは Zoological correctness です。近年ではノヴォシビルスク動物園のゲルダとカイ(クラーシン)ヤクーツク動物園のコルィマーナとロモノーソフミュルーズ動物園のセシとヴィックスのように幼年期から同居させて見事に5歳前後で繁殖に成功しているといった事例があるわけです。ペルミ動物園のミルカ(ユムカ)とセリクもそれに続きそうです。飼育下における実践では Zoological correctness に対する反証としての海外での成功事例はあまた存在しています。「単独生活」という点で言えば、最近の欧米の動物園では雌(メス)の幼年・若年個体はむしろ複数で同居させる方向になっています。そのほうが繁殖成功率が高いということだそうです。

(資料)
Пермский зоопарк (Sep.20 2017 - Белые медведи в сентябре)

(過去関連投稿)
ロシア・ペルミ動物園がミルカ(ユムカ)の妊娠・出産の可能性を言及 ~ 無名の彼女が脚光を浴びる日を期待
by polarbearmaniac | 2017-09-23 00:30 | Polarbearology

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