街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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2017年 09月 26日 ( 2 )

アメリカ・トレド動物園のホープがソルトレイクシティのホーグル動物園に無事到着

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ホープ Photo(C)Hogle Zoo

すでに今年の5月に決定されていたようにアメリカ・オハイオ州のトレド動物園で2015年12月3日に誕生した雌(メス)のホープ (Hope) が先週末に無事にユタ州ソルトレイクシティのホーグル動物園に無事到着したそうです。もちろんまだ検疫期間中で一般公開の日程は決まっていないそうです。ホープは新しい環境に適応しつつあるとホーグル動物園では述べています。
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ホープ Photo(C)Hogle Zoo

このホープがホーグル動物園に来園した目的は、もちろんオレゴン動物園からやはり先日このホーグル動物園にやってきた雌(メス)のノーラの遊び友達になることです。ノーラはコロンバス動物園で人工哺育された個体ですので「適応化 (socialization)」、つまりホッキョクグマとしての本来の特性を獲得するための「指導者」としての別の個体が必要であり、その役を担っているのが今回到着したホープということなのです。ホープはノーラと同年齢ですのでこうした役割を期待するのに最も適した個体でしょう。

(資料)
fox13now.com (Sep.25 2017 - ‘Hope’ the polar bear arrives at Hogle Zoo)

(過去関連投稿)
アメリカ・オハイオ州 トレド動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ クリスタルの安定感
アメリカ・オハイオ州 トレド動物園の赤ちゃんの近況 ~ 一般公開に向け準備中
アメリカ・トレド動物園の赤ちゃんの性別は雌(メス)と判明 ~ 報道陣にのみ公開される
アメリカ、トレド動物園の雌の赤ちゃんの名前が「ホープ(Hope)」に決まる ~ 本日より一般公開開始
アメリカ、トレド動物園の赤ちゃん、ホープの一般公開開始のネット・ライブ中継が行われる
アメリカ・トレド動物園のクリスタル親子の近況 ~ 北米で最高との評価を持つクリスタルの育児を探る
アメリカ・オハイオ州のトレド動物園、活動的なホープと手慣れした育児のクリスタルお母さん
アメリカ・トレド動物園で満一歳となったホープ ~ 飼育下の繁殖を野生個体保護の延長線上に位置付ける同園
アメリカ・トレド動物園のホープ、及びオレゴン動物園のノーラが共にソルトレイクシティのホーグル動物園へ
by polarbearmaniac | 2017-09-26 10:00 | Polarbearology

ロシア北東部の内陸をさまよう個体への対応の二つの選択肢 ~ 動物園での保護か生息地への移送・解放か?

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(C)Министерство охраны природы Республики Саха (Якутия)

実に興味深い事案となっているのが一昨日に「ロシア北東部サハ共和国で北極海岸より700キロも離れた内陸で野生孤児が目撃 ~ 保護に動く自然管理監督局」という投稿でご紹介した件です。こういったニュースを追っていくことはロシアというホッキョクグマの生息地を自国領内に有している国が、野生のホッキョクグマの保護についてどう考え、そして実践していくかを私たちが知ることのできる、言ってみれば現在進行形のケース・スタディのようなものであるということです。

本日の月曜日になって新しいニュースが報じられています。まず、サハ共和国の自然保護省 (Министерство охраны природы Республики Саха) が組織した専門家からなる捕獲チームのメンバーがこの個体がいると思われる場所にすでに向かったそうですが、このメンバーの見解として今回の問題のホッキョクグマの年齢を一歳、あるいは一歳未満という当初の地元の自然管理官の見立てを否定して写真や映像の判定を基にして二歳であると見解を改めたそうです。なるほど、確かに前回の投稿の写真では一歳(一歳未満)という見解には幾分無理があるだろういという気はしました。この見解に基づいて、捕獲後には動物園で保護して飼育するということの他に、場合によっては極北の地のホッキョクグマの生息地である島(ウランゲリ島などでしょう)に移送してそこで自然に戻してやるという選択肢も考慮に入れることにしたそうです。つまり、二歳(ということはもうすぐ三歳になることを意味していますが)の個体ならばすでに母親から離れて単独生活を開始した個体である可能性が大きく、その場合には自然に戻してやるほうがよいということになるというわけです。

動物園で保護・飼育するにせよ本来の生息地に戻してやるにせよ、まずは捕獲しなければ次につながっていかないというのがサハ共和国の自然保護省の現時点での見解であり、この選択肢のうちどちらを採用するかは捕獲後に決定するようです。動物園で保護するとすればまずサハ共和国のヤクーツク動物園に収容し、しかる後にモスクワ動物園に移送される見通しであることも同省によって公式に明らかにされました。

まずはなんとか無事にこの個体を早く捕獲してほしいと思います。そして果たしてどのような考え方によって今後は動物園で飼育していくか、それとも本来の生息地で解放してやるのかを決定するプロセスには興味が尽きません。私の思うところでは、捕獲した個体を観察して果たしでその個体が離乳して単独生活をすでに始めた個体であるのか、それとも母親からはぐれてしまっただけなのかをどう判断するのかということです。一つのニュースソースによれば、自然保護官はこの個体はどこか人間に親しみを持っているようであるといった印象を持っているようです。この背後の意味を考えますと、つまりこのコルィマ河の流域の村で誰かに食べ物をもらっていた形跡があるということではないでしょうか。何故この個体が北極海岸から700キロも離れた場所にいるのかという謎を解く鍵はそこにあるかもしれません。つまり、人間によって運ばれてきてある場所で食べ物をもらい、そして誰かによって別の場所に連れてこられて「捨てられた」のではないかという疑惑です。ということならば生息地に戻して解放してやるという選択肢は難しくなるかもしれません。

モスクワ動物園としては自分たちで飼育することを希望しているでしょう。ヴォロコラムスク附属保護施設での飼育になるはずです。注目して事態の推移を見守りたいと思います。

(資料)
Министерство охраны природы Республики Саха (Якутия) (Новости/Sep.25 2017 - Минприроды Якутии: решается вопрос дальнейшей судьбы белого медвежонка)
YakutiaMedia (Sep.25 2017 - Белого медвежонка, который бродит у села в Якутии, могут отправить в Московский зоопарк)
SakhaNews (Sep.25 2017 - В Якутии решилась судьба "заблудившегося" белого медведя)
SAKHALIFE.RU (Sep.25 2017 - Минприроды Якутии: решается дальнейшая судьба белого медвежонка)

(過去関連投稿)
ロシア北東部サハ共和国で北極海岸より700キロも離れた内陸で野生孤児が目撃 ~ 保護に動く自然管理監督局
by polarbearmaniac | 2017-09-26 03:00 | Polarbearology

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