街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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2017年 10月 07日 ( 1 )

チェコ・ブルノ動物園のコーラとノリアの母娘の近況 ~ 母親と娘を長く同居させる最近の欧州の傾向について

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コーラとノリア (Cora the Polar Bear and her female cub Noria)
Photo(C)Zoo Brno

一昨年2015年11月24日にチェコ・ブルノ動物園でコーラお母さんから誕生した雌(メス)のノリアですが間もなく二歳になろうとしていますが、まだ他の動物園に移動するといったような話は聞こえてきません。この年齢の雄(オス)ですともうかなり力が強くなっていて母親に対して反抗的な態度を示す場合に母親はそういった息子を抑えていくことは難しくなる場合が多いわけです。ところが雌(メス)ですとたとえ母親に対して反抗的な態度を示したとしても母親はそういった娘に対してまだまだ抑えていくことが可能なわけです。ブルノ動物園のこのコーラとノリアの母娘の場合もそのようなケースと言えるように思います。そういった最近のこの母娘の姿を映像で見てみましょう。それぞれをワンクリックしてみて下さい。
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上の映像ですとコーラお母さんはまだまだ娘のノリアを抑えることが十分可能なように見えます。次の映像です。
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娘のノリアは母親であるコーラを挑発するような態度を見せてはいますが母親は適当にあしらっているという感じです。

ひょっとしたらこのコーラとノリアの母娘には三年目の同居があるかもしれません。最近の欧州ではこのように幼年個体が雌(メス)である場合には必ずしも娘をすぐには他園に移動させないような傾向も感じられます。アンテフィーブのマリンランドのフロッケとホープの母娘などもそのようなケースであるように思います。日本でも札幌のララとリラの親子とか浜松のバフィンとモモの母娘のように安定した形で母娘が同居し続けているわけですが、日本の場合は他園に移動させよとしてもスペースの問題であるとか将来のパートナー探しの難しさなどといった別の要素があって母親と娘とが別居しないという要因にもなっているわけです。ただしかし、欧州では雌(メス)の幼年個体を母親(あるいは双子姉妹に場合は引き離さずに)と長く暮らさせたりする理由は、そのほうがその幼年個体が将来において繁殖に成功する確率が高いといった認識が近年飼育担当者の認識の上で共有されてきているからです。欧米ではかなり前から「二年サイクル」から「三年サイクル」へと繁殖のサイクルを変更してしまっているわけですが、さらに特に欧州においてはその次の段階として、雌(メス)の幼年個体は母親と長く同居させるという方針を突き進めつつあるわけです。こういったことについて日本の動物園関係者はまだ認識していないでしょう。しかしいみじくも男鹿水族館の当時の館長さんはクルミが繁殖に成功したのはクルミが母親であるコロと長い期間にわたって同居したためであるという感想を述べていたのを忘れてはいけないでしょう。こういったことは動物学的な根拠のある意見ではなく、ある種の直感のようなものであったにすぎないわけですが、結論的に言えば欧州の飼育担当者がここ数年において認識を共有している内容と同じことになるわけです。男鹿水族館の当時の園長さんが、たとえ根拠はないにせよそういった認識を持っていたにもかかわらず何故ミルクを生後一年ほどで釧路に移動させることに同意したのかといった問題は残ります。ミルクをあのような時期に釧路に移動させたのは当時の秋田県知事の意向だったわけです。

地方自治体の行政責任者がホッキョクグマの繁殖に口を出したことをホッキョクグマの神様は空の上からしっかりと見ていたに違いありません。

(資料)
tn.cz (Oct.5 2017 - To je zábava! Takhle to vypadá, když se koupou lední medvědice!)

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by polarbearmaniac | 2017-10-07 03:00 | Polarbearology

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