街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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2017年 10月 16日 ( 1 )

モスクワ動物園 ヴォロコラムスク附属保護施設のアヤーナがニカと同居の見通し ~ 「適応化」へ

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ウムカ-アヤーナ Photo(C)НВК Саха

ロシア北東部、サハ共和国の内陸部のコルィマ河岸でホッキョクグマの幼年個体が保護され、スレドネコルィムスクからヤクーツクを経てモスクワ動物園のヴォロコラムスク附属保護施設で飼育されることになった、間もなく一歳になる雌(メス)のホッキョクグマがウムカ-アヤーナ (Умка -Аяна) と命名されたところまでは投稿しています。前回の投稿でこの名前を「ウムカ-アヤナ」とご紹介しましたがサハ共和国のTV局のアナウンサーは「アヤナ」ではなく「アヤーナ」と発音していますの、本ブログでもそう表記することとします。さらに今後は彼女の名前を「アヤーナ」とだけ表記することとします。連邦政府・天然資源省の自然管理監督局 (RPN - Росприроднадзор) は、このアヤーナのモスクワ(動物園)での「永住許可 ("Постоянная прописка в Москве")」を出したそうですから、彼女はモスクワ動物園からはよほどの理由がない限り他園に転出することはなくなったというわけです。

このアヤーナがヴォロコラムスク附属保護施設に入ってからもう一週間が経過しているわけですがモスクワ動物園の飼育主任の方がTVニュースのインタビューに答えており興味深い発言を行っています。アヤーナの健康状態は非常によく、今後このアヤーナを昨年同じような経緯でやはりヴォロコラムスク附属保護施設で保護されるようになった一歳年上の雌(メス)のニカと同居させて「適応化 (socialization)」を行う予定だそうです。(ロシア語ではこの適応化については "социализироваться" という用語を用いています。)  さらに、このアヤーナ、そして昨年入園したニカの二頭は野生出身でありホッキョクグマの繁殖計画の中に積極的に組み入れていく意向を示しています。そのためには彼女たちのパートナーはロシア国内の動物園から血統的に孤立度の高い個体から選ばれるだろうとも述べています。 このニュース映像を以下にご紹介しておきます。音声はonにして下さい。アナウンサーは「アヤーナ」と発音していることが聞き取れると思います。



アヤーナとニカが同居になるということは果たしてこの二頭が一緒にモスクワ動物園の本園に移動して行われることになるのか、それともこのヴォロコラムスク附属保護施設で行われることになるのかは明確にされてはいません。常識的に考えれば後者のような気がしますが、アヤーナは近々に本園に移動することが一度報道されていますので、このあたりは微妙です。さらにアヤーナとニカの将来のパートナーですが、今後数年以内にやはり野生孤児個体の雄(オス)が保護されるようなケースが阿多場合はその個体がこの二頭のパートナーになる可能性は高いでしょう。そうでないとすればペンザ動物園のベルィやイジェフスク動物園のバルーが候補になってくる可能性があります。後者の場合ですとザバーヴァとのペアの解消も視野に入ってきそうです。モスクワ動物園としては野生出身の個体同士をペアにし、生まれた個体をロシア国内、そして欧州の動物園に配給しようということでしょう。欧露間のホッキョクグマ繁殖に関する協力体制は目に煮えないところで着々と進行していることをうかがわせる今回の報道です。

(資料)
НВК Саха (Oct.16 2017 - Для медвежонка-сироты из Среднеколымского района выбрали имя Умка -Аяна)
Вечерняя Москва (Oct.12 2017 - Медвежонка)

(過去関連投稿)
ロシア北東部サハ共和国で北極海岸より700キロも離れた内陸で野生孤児が目撃 ~ 保護に動く自然管理監督局
ロシア北東部の内陸をさまよう個体への対応の二つの選択肢 ~ 動物園での保護か生息地への移送・解放か?
ロシア北東部 サハ共和国の内陸でホッキョクグマの幼年個体が保護 ~ 生後一年未満の雌(メス)と発表
ロシア北東部 サハ共和国の内陸で保護された雌(メス)の幼年個体がスレドネコルィムスクの街に移送される
ロシア北東部 サハ共和国の内陸で保護された幼年個体がヤクーツクに到着 ~ ただちにモスクワへ
ロシア北東部サハ共和国で保護された幼年個体がモスクワ動物園のヴォロコラムスク附属保護施設に無事到着
ロシア北東部サハ共和国で保護された幼年個体、検疫終了後にただちにモスクワ動物園の本園に登場の予定
モスクワ動物園 ヴォロコラムスク附属保護施設で保護された孤児の名前が「ウムカ-アヤーナ」に決まる
(*ニカ関連)
ロシア極北・チュクチ自治管区 リィルカイピ村でホッキョクグマの生後約8ヶ月の孤児が発見・保護される
ロシア極北 リィルカイピ村で保護された推定生後8ヶ月の孤児はモスクワ動物園で保護・飼育が決定
ロシア極北で保護されたホッキョクグマの野生孤児がモスクワ動物園・ヴォロコラムスク附属保護施設に到着
ロシア極北で保護のホッキョクグマの野生孤児のモスクワへの移送の様子が公開 ~ ロシア軍が輸送に協力
モスクワ動物園・ヴォロコラムスク附属保護施設に移送された野生孤児は雌(メス)で「ニカ」と命名
モスクワ動物園で保護された野生孤児ニカに欧州の多くの動物園が重大な関心を抱く
モスクワ動物園 ヴォロコラムスク附属保護施設の野生孤児ニカ (Ника) の近況 ~ 順調な成育
モスクワ動物園が「国際ホッキョクグマの日」にヴォロコラムスク附属保護施設を希望者に限定公開へ
モスクワ動物園が、今後ロシア国内で誕生の個体はロシア国内と欧州だけで飼育の意向を表明
モスクワ動物園の「国際ホッキョクグマの日」~ ヴォロコラムスク附属保護施設を一般来園者に初公開
デンマーク・コペンハーゲン動物園がロシア・イジェフスク動物園のノルドの来園予定を正式発表
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モスクワ動物園・ヴォロコラムスク付属保護施設の野生孤児出身のニカの近況 ~ 公式予想クマとなる
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by polarbearmaniac | 2017-10-16 18:00 | Polarbearology

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