街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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2017年 10月 18日 ( 2 )

ドイツ・ロストック動物園が来春までに三頭のホッキョクグマを導入の予定 ~ ロスチクは「第三の個体」か?

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フィーテと故ヴィルマお母さん (Fiete with his mother Vilma)
Photo(C)AFP

実に興味深く、そして気になるニュースが報じられています。ドイツのロストック動物園では現在新しいホッキョクグマの飼育展示場 ("Polarium") を建設中で来年2018年春にオープンすることになっていますが、この工事中のために同園で飼育されていたホッキョクグマたちは2016年10月から11月にかけてそれぞれ他園に転出しています。雌(メス)のヴィルマ (Vilma) はデンマークのオールボー動物園に移動しましたが短期間のうちに亡くなり雄(オス)のフィーテ(Fiete)はハンガリー・ニーレジハーザの動物公園 (Nyíregyházi Állatpark) 内にあるソスト動物園 (Sóstó Zoo)に移動し、そして28歳となっていた雌(メス)のヴィエナ (Vienna) はフランス西部の大西洋岸ボルドー近郊のパルミール動物園 (Zoo de la Palmyre) に移動しています。ロストック動物園は新ホッキョクグマ飼育展示境をオープンするにあたり、ヴィエナやフィーテを帰園させるのではなく全く新しいホッキョクグマを三頭導入することを明らかにしました。ロストック動物園の新飼育展示場である "Polarium" の概要を下の映像で見てみましょう。



さて、問題はどのホッキョクグマがロストック動物園に登場するかです。同園は繁殖を担う若年個体がペアtして来園することを述べ、そしてさらにもう一頭来園することになるだろうとも述べています。そしてこれらのホッキョクグマたちが現在どの動物園で飼育されているどの個体であるかは明らかにできないとも語っています。
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ロスチクとゲルダお母さん (Rostik with his mother Gerda)
Photo(C)Александра Ощепкова/НГС.НОВОСТИ

さて.....これは実に興味の深い話です。話の流れからすれば、この新しいペアは2018年春には2~4歳あたりの年齢層の個体ではないかと推測できます。そうなると例の問題のノヴォシビルスク動物園のロスチクはこういった範囲に入って来るでしょう。しかしオランダのロッテルダム動物園やアウヴェハンス動物園で生まれた双子たちもこの範囲に入ってきますので敢えてロスチクが候補だとまでは言えないでしょう。奇妙なことにロストック動物園は「第三のホッキョクグマ」をさらに受け入れ得るということです。若年個体がペアとして存在していればそれでよいはずなのに、何故もう一頭なのでしょうか? 雄(オス)一頭に雌(メス)二頭という以前はオーソドックスであった繁殖のための飼育頭数ですが、それを復活させるのならば「第三のホッキョクグマ」という位置付けはしないでしょう。しかしペアが存在しているのに「第三のホッキョクグマ」が存在するということはつまりその「第三の個体」は必ずしも繁殖に関与してもらう必要はないという考え方ではないかと想像することが可能です。つまりEAZAのEEPを担う個体群である必要はないということなのかもしれません。その理由は血統に関してであろうとも考えられるわけです。そうなると俄然、ロスチクが候補の筆頭に躍り出るような感じが私にはします。

非常に思わせぶりなロストック動物園の発言です。

(資料)
Ostsee-Zeitung (Oct.18 2017 - Ein Paar für das Polarium)
ZOOQUARIUMDESIGN („Polarium“ Polarbear- and Penguin-exhibit, Zoo Rostock, Germany)

(過去関連登場)
ドイツ・ロストック動物園でホッキョクグマたちの「お別れ会」が行われる ~ 判明した移動先
デンマーク・オールボー動物園のヴィルマが急死! ~ 移動後二週間での不可解な死
デンマーク・オールボー動物園で急死したヴィルマの直接的死因が判明 ~ 「出血性腸炎」
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの待機続く ~ 移動先候補にフランスのセルザ動物園が急浮上か?
by polarbearmaniac | 2017-10-18 18:30 | Polarbearology

ロシア・シベリア中部、クラスノヤルスク動物園の7歳のオーロラに出産の期待 ~ 「新血統」の誕生なるか?

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オーロラ Photo:pikabu

ロシア・シベリア中部のクラスノヤルスク動物園(正確には、ロエフ・ルチェイ・クラスノヤルスク動物園 - Красноярский зоопарк "Роев ручей")に暮らす野生出身同士のペアである11歳の雄(オス)のフェリックスと7歳の雌(メス)のオーロラ(本名ヴィクトリア)はその繁殖が非常に期待されているペアです。最近はモスクワ動物園が中心となって推進しているロシア国内のホッキョクグマ繁殖計画からは幾分離れた位置付けとなっているクラスノヤルスク動物園のこのペアですが、地元の最新の報道によりますとクラスノヤルスク動物園の担当獣医さんはインタビューに答えてオーロラの11~12月の出産についてかなりの自信を示しているようです。そのニュース映像をご紹介しておきます。



獣医さんが語るには、すでにオーロラの生殖器官の機能についての検査を行っており極めて正常であるという結果が出ているということ以外には具体的な根拠は語っていないものの、やはり長い期間にわたってオーロラの状態を見続けてきたことによるある種の職業的な直感のようなものが発言の背後に見え隠れしているように私には感じます。さて、ここで今年の夏のクラスノヤルスク動物園におけるフェリックスとオーロラの映像を二つご紹介しておきます。





昨日(17日)の段階ではオーロラはまだ産室に入ってはいないようです。問題はクラスノヤルスク動物園の産室などの設備がしっかりしたものなのかどうかですが、こればかりはよくわかりません。運良くオーロラが出産、そして育児に成功した場合はその果実をどうしても日本に導入したいところですが、野生出身個体のペアに誕生した個体は欧州の動物園からも多くの入手希望があるでしょう。しかしやはりモスクワ動物園が介入してきそうな気がします。日本の動物園はまずはロシア動物園・水族館協会(事実上はモスクワ動物園)と繁殖に関する協定のようなものを結んでおかねばならないように思います。昨年後半あたりからのロシアの動物園界の情報を見ていきますとクラスノヤルスク動物園を「一本釣り」することはかなり難しくなってしまっているように思います。

(資料)
ТВ-Енисей (Oct.17 2017 - Белые медведи "Роева Ручья" Феликс и Аврора обзаведутся потомством)
Аргументы и Факты (Oct.3 2017 - «Скидывались на креветки». Как в Сибири спасали редких животных)
Sibnovosti - Красноярск (Jul.13 2017 - В «Роевом ручье» устраивают показательные кормления белых медведей)
(追加資料)
НГС.Красноярск (Oct.18 2017 - Для белой медведицы в «Роевом ручье» строят берлогу)

(過去関連投稿)
(*オーロラ関連)
ロシア極北・タイミール半島でホッキョクグマの2頭の赤ちゃんを保護!
ロシア・タイミール半島で保護された赤ちゃん孤児の続報
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(*フェリックス関連)
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ロシア・クラスノヤルスク動物園のプール開き
ロシア・シベリア中部、クラスノヤルスク動物園のプール開き
ロシア・クラスノヤルスク動物園のフェリックス、米大統領選挙でのトランプ氏勝利の予想が的中
ロシア・クラスノヤルスク動物園のフェリックス、米大統領選挙予想的中のご褒美はトランプケーキ
(*フェリックスとオーロラ関係)
ロシア・シベリア中部、クラスノヤルスク動物園の野生出身の新ペアの繁殖への期待 ~ 日本は果実を狙え
ロシア・シベリア中部、クラスノヤルスク動物園の「プール開き」 ~ 夏に向けたフェリックスとオーロラの姿
ロシア・シベリア中部、クラスノヤルスク動物園の野生出身のフェリックスとオーロラのペア形成への準備
ロシア・シベリア中部、クラスノヤルスク動物園の「国際ホッキョクグマの日」のフェリックスとオーロラの姿
ロシア・クラスノヤルスク動物園のフェリックスとオーロラの同居開始 ~ 新血統の誕生への大きな期待
ロシア・クラスノヤルスク動物園、野生出身のフェリックスとオーロラが繁殖に向け驀進
ロシア・シベリア中部、クラスノヤルスク動物園のホッキョクグマたちに欧州の来園者からプレゼント
ロシア・クラスノヤルスク動物園の新飼育展示場計画発表 ~ 欧露の「囲い込み」体制に日本はどう対応するか
ロシア・クラスノヤルスク動物園のフェリックスとオーロラ、来年の繁殖シーズンへの大きな期待
ロシア・クラスノヤルスク動物園でホッキョクグマのバレンタインデーが祝われる ~ 冬期の新しいイベント
ロシア・シベリア中部、クラスノヤルスク動物園のプール開き ~ フェリックスとオーロラの夏の季節の始まり
ロシア・中部シベリアに記録的な最高気温の夏が到来 ~ フェリックスとオーロラの夏の過ごし方
ロシアのクラスノヤルスク環境監視検察庁が監査で問題視したクラスノヤルスク動物園のホッキョクグマの移動
by polarbearmaniac | 2017-10-18 00:30 | Polarbearology

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