街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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2017年 11月 02日 ( 2 )

ロシア・ノヴォシビルスク動物園で本格的な冬の到来を待つホッキョクグマたち ~ 「美しさ」への視点

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ゲルダ (Белая медведица Герда/Eisbärin Gerda) 
Image:Телеканал ОТС
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カイ(クラーシン) (Белый медведь Кай/Красин)(Eisbär Kai/Krasin)
Image:Телеканал ОТС

ロシアの動物園ほど夏期と冬期の来園者数に大きな落差のある動物園あないのではないかと思います。その理由は簡単で、動物園という場所はある程度の時間立ち止まって動物たちを観察する場所でありロシアの冬はそういった来園者の心に余裕を持たせてくれるには厳しい気候条件だからです。ロシアの動物園担当者はどうやったら冬にも来園者を維持できるかに苦心しているのですが簡単な話ではないようです。冬にも来園者数を維持しようとすれば何といってもホッキョクグマの存在を大きくアピールするということになります。ロシアのシベリア西部にあるノヴォシビルスク動物園もその例外ではないようです。ノヴォシビルスクの地元TV局がノヴォシビルスク動物園のホッキョクグマたち、特にカイ(クラーシン)とゲルダの様子を昨日11月1日のニュースのなかで報じていますのでご紹介しておきます。この二頭の堂々たる姿と来園者の姿が少なくて寂しさの漂う飼育展示場の光景の対比にもご注目下さい。



ノヴォシビルスク動物園はホッキョクグマがまさに体現してるものを 「"Красота и мощь" (美しさと強さ)」 そして「"загадка и опасность" (神秘性と危険性)」と表現しています。このうち最初の "загадка и опасность" については英米人はよく "majestic" という用語で表現するものと同じでしょう。 "majestic" すなわち "Having or showing impressive beauty or scale" といったところです。or を and に言い換えればよいわけです。ロシア人は繊細で弱々しいものはあまり「美しい (красивый/красивая)」とは言わないようです。そこに何か「強さ」がないと「美しい」と表現することは少ないようですね。日本人はそういった「強さ」よりも「繊細さ」に美しさを見出す傾向が強いわけです。となると、日本人にはホッキョクグマは向かない動物かもしれません。動物園でホッキョクグマを見て日本人の子供たちが「美しい」と言うのを少なくとも私は聞いたことがありません。ところが上の映像の開始後1分42秒あたりでロシア人の女の子がノヴォシビルスク動物園でホッキョクグアを見た印象について発する言葉は「美しい! (красивый)」なのです。

すっかり話が外れてしまいました。上の映像で見るゲルダは明らかに出産準備で給餌量が増やされていた状態であることがわかります。カイ(クラーシン)も増々男らしさを増しています。この二頭はまさに典型的なロシアのホッキョクグマであり、その堂々とした姿は周囲を圧倒する「強さ」を発散しています。もう一つ、これは地元の方の撮った映像です。カイ(クラーシン)、ロスチク、ゲルダの順番で登場しています。



以前に何度もご紹介していますが、ここであらためてノヴォシビルスク動物園のライブカメラのサイトをご紹介しておきます。ここをクリックして下さい。Медведи 1 ではゲルダ、Медведи 2 ではカイ(クラーシン)の姿を見ることができます。

(資料)
Телеканал ОТС (Nov.1 2017 - Белые медведи Кай и Герда из Новосибирского зоопарка отмечают юбилей)
ТТК (Веб-камеры Новосибирский Зоопарк)

(過去関連投稿)
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ロシア・ノヴォシビルスク動物園が開園70周年を祝う ~ ホッキョクグマ飼育展示場に人工雪製造機が導入
(*クラーシン/カイとゲルダの幼年時代関連)
・ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの戸外映像 ~ ゲルダとクラーシンの幼年時代
・ロシア・ノヴォシビルスク動物園のクラーシン(カイ)とゲルダの幼年時代の成長を映像と写真で追う
・ロシア・ノヴォシビルスク動物園の「カイとゲルダ」の最近の話題 ~ このペアの名前の由来の真相を考える
・ピョートル(ロッシー)とクラーシン(カイ)、双子兄弟のそれぞれの生き方
by polarbearmaniac | 2017-11-02 19:00 | Polarbearology

ロシア・サハ共和国、ヤクーツク動物園のハールチャーナが間もなく満一歳へ

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ハールチャーナとコルィマーナお母さん Photo:Якутский зоопарк

ロシア北東部サハ共和国のヤクーツク動物園で昨年2016年の11月30日にコルィマーナ (Колымана) お母さんから誕生した雌(メス)のハールチャーナ (Хаарчаана)は間もなく満一歳を迎えようとしています。ヤクーツク動物園は最近のこの親子の様子について簡単に述べていますが、ハールチャーナは急速に体が大きくなって来園者の中にはこの二頭が親子であることを認識できないという人すらいるそうです。コルィマーナお母さんというのはなかなか面倒見の良い母親だそうで娘のハールチャーナにはホッキョクグマとしてのいろいろな行動を身を持って示してきたそうです。一つだけ映像をご紹介しておきましょう。これは9月の映像ではないでしょうか。ワンクリックしていただくと開始画面に飛びます。ちょっとだけ母親に挑みかかってみたという感じのハールチャーナです。
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Колымана и Хаарчаана играют (Якутский зоопарк)

予定ではハールチャーナは今月中にサンクトペテルブルクのレニングラード動物園に移動することになります。そこで待っているのは彼女の祖母にあたるウスラーダというわけです。ロシアの動物園というのはごく最近まで「二年サイクル」の繁殖を行ってきましたが、今回のハールチャーナのサンクトペテルブルクへの移動はハールチャーナの母親であるコルィマーナ、そしてそのパートナーであるロモノーソフのペアに来年のシーズンも繁殖に挑戦させようという「二年サイクル」の繁殖の維持も目的であるわけです。そういった今では過去のものとなってしまったはずの「二年サイクル」の繁殖に疑いを持たないのがレニングラード動物園やノヴォシビルスク動物園の故シロ園長といったわけなのです。しかしそれにしてもこうやってコルィマーナとロモノーソフとの間での繁殖の「量産体制」を確立してしまうとどういうことが起こるでしょうか。野生出身であるコルィマーナの血統的優位性がウスラーダの息子であるロモノーソフ(つまりモスクワのシモーナの弟にあたるわけですが)との組み合わせによってその価値を失ってしまうわけです。コルィマーナが野生孤児としてヤクーツク動物園に保護された時にはモスクワ動物園は全く関与しておらず、つまりモスクワ動物園はロシア国内のホッキョクグマの血統について当時はあまり強く意識していなかっためにレニングラード動物園がロモノーソフをヤクーツク動物園に移動させてコルィマーナのパートナーにすることにモスクワ動物園は強く異議を唱えなかったのだろうと思います。しかしやはり正解はコルィマーナのパートナーはペンザ動物園の野生出身のベルィであるべきだったでしょう。これでしたら野生出身同士のペアとなって理想的だったでしょう。

(資料)
Якутский зоопарк (Новости зоопарка/Oct.30 2017 - Колымана, Ломоносов и Хаарчаана)
ЯСИА (Nov.1 2017 - Белому медвежонку Харчаане через месяц исполнится годик)
SakhaLife.ru (Nov.1 2017 - Белому медвежонку Хаарчаане через месяц исполнится годик)
YakutiaMedia.ru (Nov.1 2017 - Белому медвежонку Хаарчаане, обитательнице зоопарка в Якутии, исполнится годик)

(過去関連投稿)
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ロシア・サハ共和国、ヤクーツク動物園がホッキョクグマ繫殖に一年サイクルを採用 ~ 理解不能な方針の背景
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ロシア・サハ共和国、ヤクーツク動物園の赤ちゃんのサンクトペテルブルクへの移動は年末に延期となる
ロシア・ヤクーツク動物園の雌(メス)赤ちゃんの名前が "ハールチャーナ (Хаарчаана)" に決まる
ロシア・ヤクーツク動物園のハールチャーナの将来 ~ ロシア・ホッキョクグマ界の期待の星
ロシア北東部・サハ共和国、ヤクーツク動物園のコルィマーナとハールチャーナの親子関係考察の難しさ
ロシア・ヤクーツク動物園のハールチャーナが11月にサンクトペテルブルクのレニングラード動物園へ
by polarbearmaniac | 2017-11-02 01:00 | Polarbearology

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