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2017年 11月 14日 ( 1 )

ロシア・サハ共和国、ヤクーツク動物園のコルィマーナとハールチャーナの母娘の一年を振り返るスタッフ

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コルィマーナとハールチャーナ Photo(C)Алексей КУРИЛО/SakhaNews

ロシア北東部・サハ共和国のヤクーツク動物園 (Якутский зоопарк «Орто-Дойду») で昨年2016年の11月30日にコルィマーナお母さんから誕生した雌(メス)のハールチャーナ (Хаарчаана) は間もなく満一歳となります。そして彼女がサンクトペテルブルクのレニングラード動物園に移動する日が近づいているということになります。このヤクーツク動物園におけるホッキョクグマ飼育と繁殖の成功について同園のルカ・サファノフ園長と飼育担当のナターリア・サファノヴァさんが地元メディアのインタビューに答えている記事が掲載されていますので簡単に内容を要約してご紹介しておくことにします。

昨年11月の同園でのハールチャーナの誕生はヤクーツク動物園にとって極めて大きな出来事であることを園長さんは強調していますが、それはそもそもハールチャーナの誕生そのものについて当初から事前に計画されていたわけではなく、彼女の母親である野生孤児だったコルィマーナを同園で保護・飼育することが開始されてからいくつものことが急ピッチで進行していったことの成果であったと感じているそうです。飼育展示場の建設やそれに必要な資金の調達、コルィマーナのパートナーの獲得などについてヤクーツク動物園はロシア国内の他の動物園や国外の動物園などからも助言を得ることができたことを幸運だったと感じているそうです。さらに同園はロシア国内の飼育下のホッキョクグマたちに大きな援助を行っているロスネフチ社に対して非常に感謝しており、ヤクーツク動物園における雄(オス)のロモノーソフの単独の飼育場建設にも同社からの資金提供があり、こういったことによってヤクーツク動物園ではコルィマーナとロモノーソフとの間の繁殖をこれからも続けていきたいとも述べています。
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コルィマーナとハールチャーナ Photo(C)Алексей КУРИЛО/SakhaNews

さらにハールチャーナの母親であるコルィマーナの行動の変化についてサファノフ園長が語るには、コルィマーナはもともと活動的なホッキョクグマでありいつも何かに注意を向けるといった性格であるものの産室内ではじっと娘であるハールチャーナへの育児に専念するという母親としての義務を完全に成し遂げたことをサファノフ園長は賞賛し、今年の3月に娘と一緒に屋外に登場してからもコルィマーナは片時も娘であるハールチャーナへの注意をそらさずにいたとのことです。そういった状態は夏まで続き、コルィマーナは娘と遊ぶなどして育児をしっかりと行ってきたことも述べています。さらに飼育担当のナターリア・サファノヴァさんはこの時期において非常に印象に残っていることとしてコルィマーナが娘のハールチャーナに泳ぎを教えるシーンを挙げています。コルィマーナは娘のハールチャーナが自ら水に入るのを辛抱強く待っていたそうで、決して娘を水に入るようにけしかけるという態度はとらなかったそうです。ハールチャーナは最初の頃はプールの縁のあたりばかりで泳いでいたものの次第に泳ぎの能力が発達し、そして完全に泳ぎをマスターしてからこの母娘は一緒にプールの中で遊ぶようになっていったそうです。サファノヴァさんはコルィマーナはまだ非常に若いものの母親として実に素晴らしいホッキョクグマであると語りコルィマーナを賞賛しています。

ヤクーツク動物園は、まだこの時期になっても動物園を訪問してくれる来園者に対して、このホッキョクグマの母娘が与えてくれる喜びは大きいものであると述べています。まもなくハールチャーナは他園(つまりレニングラード動物園)に移動することになると述べ、その移動先でもハールチャーナは多くの人々に幸福感を与えてくれるだろうとも述べています。
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ハールチャーナ Photo(C)Алексей КУРИЛО/SakhaNews

実に素晴らしい内容の記事だと思います。この親子の一年間を振り返ってヤクーツク動物園のスタッフの方々の気持ちが凝縮されているように感じます。こういった記事が掲載されるということは、ハールチャーナのヤクーツクからの旅立ちの日は迫っているということを意味しているでしょう。そらく二週間以内にハールチャーナは母親であるコルィマーナと別れ、そしてあの歴史と文化を感じさせる美しい都市であるサンクトペテルブルクに向かうことになるでしょう。そこでハールチャーナを待っているのは世界で最も偉大なホッキョクグマである、あのウスラーダということなのです。

(資料)
SakhaNews (Nov.13 2017 - Как поживают в «Орто Дойду» белые хозяева Арктики)

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by polarbearmaniac | 2017-11-14 01:00 | Polarbearology

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