街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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カテゴリ:しろくま紀行( 854 )

バフィンとモモの月曜日に見るチェーホフ的世界の親子関係 ~ ララ親子との違いを考える

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バフィン(右)とモモ(左)はかなり特異な親子のようである。
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母親のバフィンは完全にモモを庇護しているが、モモは自分の自由を謳歌しているもののバフィンの母親としての支配力を全く息苦しく感じていないようである。つまり親子関係としてはまさに理想的な調和を保っているのだ。
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私にはこの親子がこういった関係となることを以前には予想できなかった。大阪では理解できなかったことがここ浜松でようやく理解できた。バフィンとモモは実に素晴らしい親子である。このバフィン親子の特質と真の魅力を味わうためには、実は相当の理解力が必要であることがようやくわかった。
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今日も日差しの非常に強い日である。必然的に気温も高いのだが吹いてくる風は意外に爽やかである。
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バフィンは朝からゆったりとしている。
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モモはお疲れのようである。昨日の日曜日に遊び過ぎたのかもしれない。
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しかしやはりこの二頭は水に入る。次の映像は20分間の長さがあるが、眠気を感じるようなゆったりとした親子の様子である。記録用としてのみ貼り付けておきたい。


バフィンとモモの水の中の一日 - Baffin and Momo the polar bear Mother and daughter, in the water today at Hamamatsu Zoo (Hamamatsu Zoological Gardens), Japan, on Jun.12 2017.

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まだまだ母親に甘えるモモ。


二歳半のモモへの授乳 - Baffin the Polar Bear nurses her two and half years old cub Momo, at Hamamatsu Zoo(Hamamatsu Zoological Gardens), Japan, on Jun.12 2017.

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遊びの時間への間合いを計っているモモ。
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「我が人生 (Bear's life)は遊びそのものである。」と思っている精悍な顔つきのモモである。


モモの遊び - Momo the Polar Bear jumps into the water, kicking away her favorite toys, at Hamamatsu Zoo(Hamamatsu Zoological Gardens), Japan, on Jun.12 2017.

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よく言われるようにモモがお転婆だというのは私は少し違っていると思っている。
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モモの遊びは意外に節度を保っているのだ。
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バフィンとモモの期待感 - Baffin and Momo the Polar Bears' feeling of expectation, at Hamamatsu Zoo, Japan, on Jun.12 2017.

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バフィンとモモとの関係はララと彼女の子供たちとの関係とはかなり異なっている。
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ララと彼女の子供たちとの関係は一種のメリハリの効いた関係である。そこには母親から子供たちへの「原因」としての働きかけがあり、そして子供たちは「結果」としてのそれに対する敏感な反応を示すという関係であり、そこには外から見ていて一つの物語を感じるのである。その物語は時間の推移によって進行していく。つまりララ親子の関係には時間軸を持った「起承転結」のドラマがあるのである。ところがバフィンとモモとの関係は何かフワリとしていて柔らかさを感じる。バフィンとモモとの関係はそこに物語を読み取るということではなく、親子の間に漂っている霞のような雰囲気にこそ見るべきものがあるのだ。だからバフィン親子の間の関係に時間の推移といったものによって進行していくドラマを期待しても肩透かしを食らう。何故ならバフィン親子の関係は時間軸ではなく空間軸によって展開しているからである。そういったララ親子の関係とバフィン親子の関係との本質的な違いを理解しなければバフィン親子の関係の本当の魅力を味わうことは難しいと思う。
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ララ親子の間の関係を観察するのはスタンダールの小説を読むようなものである。スタンダールの小説の登場人物の行動は一つの出来事に対する反応が引き起こす行動という形をとって次の段階の状況が生じ、そしてその新しい状況に対して別の登場人物が反応して次の行動を行う。それによってドラマは進行しそして一定の結末という形をとる。つまりスタンダールの小説は時間軸によって展開していくのである。ところが一方でバフィン親子の関係を観察するのはチェーホフの小説を読むようなものである。チェーホフの作品では一つの出来事が必然的に次の状況をもたらすとは必ずしも言えない。そして作り出されるのは登場人物が存在・共存している空間における共有感情であり、それは登場人物の次の行動をもたらすものとは必ずしも言えない。だからチェーホフの作品は時間軸では理解しにくい。だからチェーホフの作品やバフィン親子の間の関係は「未完のドラマ」なのだ。
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Nikon D5500
Tamron 16-300mm F/3.5-6.3 DI II VC PZD MACRO
Panasonic HC-W870M
(Jun.12 2017 @浜松市動物園)

(*追記)
参考までにこの下の映像は上のバフィンとモモの最初の映像と同じく約20分近い長さのある水の中でのララ親子の映像である。そこに見ることのできるのはまさに「時間軸」で展開されるドラマである。ここにはバフィン親子とはかなり違う世界が展開している。この映像には、機会あらば母親のララの支配と影響を瞬間的ではあれ脱することを狙っている娘のリラの姿がある。しかしララは手練手管を用いてそういったリラの行動を操縦して自分の側に引き付けてしまうわけである。



ララ親子の水遊び - Lara the polar bear plays with her female cub in the water(2), at Sapporo Maruyama Zoo, Japan, on Jul.23 2015.
by polarbearmaniac | 2017-06-12 23:00 | しろくま紀行

チャッピー、是非とも歩かせてやりたい男の花道

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相変わらず貫録十分の23歳の雄(オス)のチャッピーである。彼もクッキー同様、ドイツの出身である。生まれたのは旧東ドイツのライプツィヒ動物園である。1993年12月14日が彼の誕生日である。
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彼の名前は実は国際血統登録台帳には "Chappy" ではなく "Cappy" と登録されている。これだと本当は「キャピー」という呼び方が正しいことになる。しかしそう堅苦しいことを言ってもしょうがないだろう。
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この動物園での紹介パネルを読むと、このチャッピーは神経質なところがあると述べられている。しかし私にはそういった感じには見えない。
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しかしそれはあくまで雌(メス)との間の関係においてではないだろうか。


チャッピーの水中おもちゃ遊び - Chappy (Cappy) the Polar Bear is playing in the water with a plastic toy, at Toyohashi Zoo & Botanical Park, Japan, on Jun.11 2017.

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彼は札幌のデナリと同じ年齢である。是非とも彼には繁殖に貢献して欲しいと思うのだが、なかなか事はうまくは運ばなかったようである。
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しかしこの動物園にはドイツ出身のホッキョクグマが三頭もいる。うち一頭のキャンディは繁殖目的で札幌へ出張中である。そうは言っても、このドイツ出身のホッキョクグマたちが日本のホッキョクグマ界にまだ貢献できずにいることは本当に残念でならない。
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そういったことについてはホッキョクグマたちに責任はないと考える。我々人間の側に問題があるのだ。
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この雄(オス)のチャッピーに対して同年代の雌(メス)のキャンディとクッキーという二頭の雌(メス)のホッキョクグマがそれぞれペアになっていたというのは、実は飼育下のホッキョクグマの繫殖には最も有利な条件だったのである。それは実に理想的なものだった。繫殖の成果を出せずにいることは、日本のホッキョクグマ界の血統の遺伝的多様性の維持にとっては実に残念なことである。


チャッピーの表情の変化 - A variation in Chappy the Polar Bear's appearance, at Toyohashi Zoo 6 Botanical Park, Japan, on Jun.11 2017.

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チャッピーは堂々としていて素晴らしい男である。貫録だけなら同じ年齢の札幌のデナリを上回るだろう。
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私の経験では日本の飼育下の雄(オス)のホッキョクグマたちは欧州やロシアの同性のホッキョクグマたちよりも控えめながらユーモアがあって好男子が多いと感じる。つまり、人間に好かれるタイプの雄(オス)が多いのだ。しかしまあこういった性格的なものは繁殖にはあまり関係のない話ではある。
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まだまだこのチャッピーも若い。必ず花を咲かせてやりたいと思うのだ。
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Nikon D5500
Tamron 16-300mm F/3.5-6.3 DI II VC PZD MACRO
Panasonic HC-W870M
(Jun.11 2017 @豊橋総合動植物公園)

(過去関連投稿)
チャッピーとクッキーの不思議な関係 ~ ドイツ生まれのペアの土曜日午後の穏やかな姿
チャッピーの素顔 ~ ザクセンの生んだ最後の偉大な星はこれから輝くか?
クッキーの素顔 ~ 母との死別、そして故郷からの旅立ち
by polarbearmaniac | 2017-06-11 23:30 | しろくま紀行

クッキー、その美貌のホッキョクグマに生じた失われた左眼による視界

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クッキーさん、いかがお過ごしでしょうか?
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この現在24歳の雌(メス)のクッキーはドイツのニュルンベルク動物園で1993年1月21日に誕生している。彼女の母親の悲劇的な死については以前、「クッキーの素顔 ~ 母との死別、そして故郷からの旅立ち」という投稿で述べたので、それを御参照頂きたい。これはどうしても知っていただきたいことだからである。ドイツの動物園というのはいろいろと事故が多いのである。特にニュルンベルク動物園はホッキョクグマに関しては問題がある(あった)のだ。
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そうしたニュルンベルク動物園から日本にやってきたクッキーだが、かなり心配なことがある。
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まず彼女、ほとんど左眼が見えていないようである。
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私が観察して得た印象だが、彼女は左眼が不自由になってもうかなり長い期間が経過しているように感じるのだ。
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何故なら、彼女の行動に不自然さがほとんど見られないことである。たとえば大阪でバフィンの眼の調子が悪くなったときは彼女の行動に影響が出たのである。それはバフィンが自分の眼の状態の悪さに慣れていなかったためである。ところがクッキーは、左眼がほとんど閉じたままなのに行動に不自然さがない。つまりクッキーは左側の視力の欠落には慣れてしまっているということである。
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つまり、もう右目だけで自分の欲しいものを狙ったり、あるいは飼育展示場を動き回ることに慣れてしまっているように見えるからである。そういった様子をなんとか映像で捉えようとしたが難しかった。下の映像は短いし、そういったことがわかるというものではないが一応ご紹介しておく。


水中でのクッキー - Cookie the Polar Bear moves in the water, at Toyohashi Zoo & Botanical Park, Japan, on Jun.11 2017.

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しかしそうは言っても左眼が閉じたままでよいなどということはありえない。
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ちゃんと治療をしてやったのだろうか?
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このクッキーは美貌のホッキョクグマである。
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だから余計に閉じたままの左眼が気になる。
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私の印象だが日本の動物園というのはホッキョクグマの眼の状態については意外に関心が無いように思うのである。札幌や大阪はホッキョクグマに何かおかしなことがあると「ああだ、こうだ」と動物園にいろいろ言ってくる「うるさ型」のファンが多いのだが、その他の動物園では必ずしもそうではない。
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どうも気になってしょうがない。
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私は今日このクッキーの写真を約200枚撮影したが、かろうじて両眼が開いていた写真は2枚だけである。それは本投稿の冒頭の写真と三枚目の写真、この二枚だけである。

Nikon D5500
Tamron 16-300mm F/3.5-6.3 DI II VC PZD MACRO
Panasonic HC-W870M
(Jun.11 2017 @豊橋総合動植物公園)

(過去関連投稿)
チャッピーとクッキーの不思議な関係 ~ ドイツ生まれのペアの土曜日午後の穏やかな姿
チャッピーの素顔 ~ ザクセンの生んだ最後の偉大な星はこれから輝くか?
クッキーの素顔 ~ 母との死別、そして故郷からの旅立ち
by polarbearmaniac | 2017-06-11 22:00 | しろくま紀行

初夏の浜松、バフィンとモモの土曜日 ~ 暑さの厳しい季節の到来と互いに成長する親子の姿

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浜松にやってきた。今日は夏を思わせる天気である。バフィンとモモの親子にとっても気になる季節である。
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人間でもそうだが、母親と娘の関係は特別なものがある。この親子を見ていると人間と同じだなと思う。
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世間では名古屋の夏の暑さは特別だと言われるが、私に言わせれば体感では浜松の暑さのほうが厳しいと思っている。
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この動物園はホッキョクグマたちのいる場所に行きつくまで大変である。また戻るときも坂が多いので暑い季節には来園者にとっては厳しい動物園である。
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しかしバフィンはよくこの場所を自分の領域として慣れ親しんでいるために、移動直後のモモもストレスはあまり感じなかっただろう。母親とくっついていればよいからである。
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バフィンは実にあっぱれな母親ぶりである。


水の中でのバフィンとモモの親子 - Baffin and Momo the Polar Bears in the water, getting closer and afar together, at Hamamatsu Zoo (Hamamatsu Zoological Gardens), Japan, on Jun.10 2017.

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このモモもかつて釧路のミルクがやっていたようなことを行うのに熱心なようである。つまり、おもちゃのようなものに狙いをつけ、それを蹴って水に飛び込むといった遊びである。


モモのおもちゃ蹴りと飛び込み - Momo the Polar Bear kicks a toy away before going into the water, at Hamamatsu Zoo (Hamamatsu Zoological Gardens), Japan, on Jun.10 2017.

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要するにこれはモモが自分で想像力を働かせる遊びといった性格のものである。
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このバフィンもそういった傾向がある。いわゆる体の動きそのものよりも、おもちゃを持つといろいろと想像力を働かせたくなるというホッキョクグマなのだ。
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そしてバフィンは、母親になって一枚も二枚も脱皮したホッキョクグマである。その脱皮こそが彼女の成長だった。
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そしてもちろん、彼女は美しさを増した。
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まさに進化するホッキョクグマ、それがバフィン(左)である。
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そういった母親の成長はこのモモがもたらせたものであると同時に、それは再びモモの成長にも良い影響を与えているように見える。
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このバフィンとモモの親子は互い相手に対して良い影響を与えている。
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この親子は理想的な形でこの動物園で成長を遂げている。


バフィンとモモ、その親子模様 - Baffin the Polar Bear nurses Momo, and sleeps with her. at Hamamatsu Zoo (Hamamatsu Zoological Gardens), Japan, on Jun.10 2017.

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非常に単調に一日が経過しているように見えて、実はどっしりとした内容のある親子の姿、そして親子の関係を観察できるのがここ浜松のバフィンとモモの存在の意味するところである。
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今日は多分30℃にはなっていないと思う。梅雨期にしてはそれほど湿度は高くないような気がした。しかし真夏の気候の雰囲気といったものが感じられる初夏の日である。
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Nikon D5500
Tamron 16-300mm F/3.5-6.3 DI II VC PZD MACRO
Panasonic HC-W870M
(Jun.10 2017 @浜松市動物園)
by polarbearmaniac | 2017-06-10 22:30 | しろくま紀行

ピョートル(ロッシー)再考 ~ ”Nur wer die Sehnsucht kennt, Weiß, was ich leide!”

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ピョートル(ロッシー / Белый медведь Пётр / Eisbär Pjotr)に会うのも久し振りである。彼は御存知のように大阪のシルカの父親であるノヴォシビルスク動物園のクラーシン(カイ)と双子の兄弟である。
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私は彼との昔の思い出が忘れられない。それはまだ彼が以前の古い旧飼育展示場に暮らしていた時代のことである。
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彼はプラスチックのおもちゃを咥えて私の方に放り投げ、私がそれをまた彼の方に投げるという遊びだった。私がわざと投げるのを遅らせると彼は私の顔を見て「早くこっちに頂戴よ!」という顔をしたものである。やがていろいろな経緯で彼は大事なおもちゃを取り上げられてしまった。彼が放り投げたおもちゃが来園者にあたってケガをさせてしまったからである。
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あれは、あたった不注意な来園者が悪かったのである。それにもかかわらずピョートル(ロッシー)はおもちゃをとりあげられてしまった。その後に新しい飼育展示場に移動してから足の裏をケガしたりと、いろいろなことがあった。それらは彼のストレスが本当の原因だったと思う。
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やがて私はピョートル(ロッシー)よりも彼の両親に会う回数の方が多くなってしまった。言うまでもなくそれはサンクトペテルブルクのウスラーダとメンシコフである。そしてさらにウスラーダが育児を行っていたピョートル(ロッシー)の弟や妹たち、つまりサイモン、サムソン、ロモノーソフ、ザバーヴァに会い、そしてまた彼らを追ってソウルや北京にまで行った。またさらに、ピョートル(ロッシー)と双子兄弟であるクラーシン(カイ)にもノヴォシビルスクで会った。いずれも素晴らしいホッキョクグマたちだった。
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しかしそういった体験の後でピョートル(ロッシー)に会ってみると、何か悲しくなってくるのである。
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いくらなんでもこの飼育展示場は理解し難い。陸の部分などは、狭いといって非難を浴びてきたレニングラード動物園の飼育展示場よりも狭いのだ。この飼育展示場は比較的近年に完成したもののはずである。ホッキョクグマの飼育展示場の面積の基準、つまりマニトバ基準やらEAZAの基準やらが語られるようになってもう何年も経過しているのに、まだこういった狭い場所が作られているというのが理解できない。そしてさらに、もう少しエンリッチメントというものを考えてやってほしいと思うのだ。しかしまあそういうことを私が言っても詮無い話ではあるが。


飼育展示場でのピョートル(ロッシー)- Pyotr (Rossy) the Polar Bear, swimming and walking in stereotypical manners at Nihondaira Zoo, Shizuoka, Japan, on Jun.1 2017.

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そんなことよりも私が気になるのは、このピョートル(ロッシー)は双子兄弟のノヴォシビルスク動物園のクラーシン(カイ)に全ての点でかなり負けているということだ。
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それだけではない、彼のパートナーもゲルダにかなり負けている。といってもゲルダというのはあまりに凄いホッキョクグマなのでそう簡単に彼女を凌駕するようなパートナーを彼のために探すことは難しいが。
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しかしもうそういったことを言ってもしょうがない。
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私が彼の姿に見るのは、遥か遠いサンクトペテルブルクの街への憧憬である。そしてあの偉大なる母親であるウスラーダの姿である。以下の映像をご覧いただきたい。以前にもご紹介したことがあったが、これは地震による津波から仙台のラダゴル(カイ)も静岡のピョートル(ロッシー)も無事であるというニュースの中で流されたピョートル(ロッシー)とクラーシン(カイ - シルカの父親)の双子兄弟が初めて母親であるウスラーダとお披露目になった日の貴重な映像である。また、映像の最後のあたり、つまり開始後1分13秒あたりからほんの数秒間に一頭で映っているのが仙台のラダゴル(カイ)のロシアでの幼少期の姿である。これも実に貴重な映像だ。音声はonにしていただきたい。



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私は現在の彼を見ていて幸福な気持ちには到底なれない。
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Nikon D5500
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR
Panasonic HC-W870M
(Jun.1 2017 @静岡・日本平動物園)
by polarbearmaniac | 2017-06-01 22:30 | しろくま紀行

ヴァニラ、その自意識のない自然体のホッキョクグマの神秘性 ~ " l'orsetta polare misteriosa"

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このヴァニラ(2009年2月10日 バンコク・サファリワールド生まれ 血統番号#3087)は実に不思議な印象を与えるホッキョクグマである。
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彼女には自意識といったものがあまり感じられない。いろいろな意味で彼女は奇妙なほど自然体である。
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ホッキョクグマの雌(メス)は非常に自意識の強い個体が多い。日本では札幌のララ、大阪のシルカ、浜松のバフィン、上野のデア、旭川のサツキなどはその筆頭である。旭川の故コユキ、徳山の故ユキなどに至っては自意識の塊のような存在だった。海外ではロシアのウスラーダ、ゲルダ、オランダのフギース、ドイツのヴェラなどは非常に自意識が強い。そういった個体と向かい合うと、こちらもどこかピリピリとした意識の動き方をするのだが、このヴァニラはそういった自意識を感じさせない。ちなみに作家で自意識が非常に強いのは三島由紀夫、ピアニストではアルフレート・ブレンデルである。
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彼女を見ていても、そこに内心の心のドラマのようなものを探し出すことは難しい。こういった特異な雰囲気を醸し出すホッキョクグマは極めて珍しいと言えるだろう。その理由を彼女の幼少期の暮らしに求めることはあながち無理なことではないと思われる。
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このヴァニラの妹は中国・陝西省、西安市の曲江海洋極地公園に住む双子姉妹のセシ(血統番号 #3092) とエスカ(血統番号#3093)である。この双子姉妹がバンコクのサファリワールドで母親のウディから誕生したのは2009年11月27日のことであった。つまりヴァニラと生年が同じなのだ。しかもヴァニラもセシもエスカも両親が同じである。これは一体何を意味するのだろうか? 以下にヴァニラ(国際血統登録名: Vania)、及びセシとエクサの血統登録情報を挙げておく。
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つまり言えることは、母親のウディは2008年の繁殖シーズン(2009年2月出産)と2009年の繁殖シーズン(2009年11月出産)の二つ共に繁殖に成功しているということである。この両方が成功するためには以下の二つの可能性のうちのどちらかでしかありえない。
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二つの可能性のうちの一つ目はヴァニラは人工哺育された可能性である。そうなると母親のウディは2009年春の繁殖行動期にパートナーと同居していることになり、その時点ではヴァニラの育児を行っていないことは明らかだからである。二つ目の可能性だが、ウディは2009年2月10日に産室内でウディを産んだ後に三か月は授乳を行ってヴァニラを育てたものの、その期間を5月に終了してすぐさまパートナーとの繁殖行為を行ってその年の11月にセシもエスカの双子を産んだ....つまり、ヴァニラは生後三ヶ月の2009年5月中旬頃の時点で母親と引き離されて強制離乳となり単独飼育となったという可能性である。つまりこれは1980年代に札幌でポロ(後にヨハネスブルク動物園に移動)に対して行われた「一年サイクルによる繁殖」を目的とした強制離乳がこの時にバンコクでも行われたことを意味する。人工哺育なのか生後三か月での強制離乳か、そのどちらが正解なのかはわからない。どちらにせよ、このヴァニラは母親との接触が全くなかったか、あるいは非常に短かったかのどちらかであるということなのだ。
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仮に前者の人工哺育が正解だっとすればヴァニラは自身が出産した瞬間から次の段階である授乳、その他の育児への段階に移行する際に作用するであろう本能的な母性の発揮には不安が付きまとう。ただし人工哺育された雌(メス)でもフロッケのように出産と育児に成功したという稀有と思われる事例は存在しているが。
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後者の強制離乳の場合ならば出産後の母親の本能で行われる育児への移行はそう問題ではないだろう。あくまでも私の憶測だが、このヴァニラは過度に人間の存在を意識する様子を見せていないので強制離乳だった可能性の方が幾分高いのではないかと思うのである。


一休みのヴァニラ (Vanilla the Polar Bear finds herself peacefully at home at the exhibit of Nihondaira Zoo, Shizuoka, Japan, on Jun.1 2017.)

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ヴァニラの購入時点でこういったことを考慮して情報を得ていれば、私だったらどうせなら同じ血統だったらヴァニラではなく彼女の妹である双子姉妹のセシとエスカを両方購入していただろう。セシとエスカ、まさに「双子姉妹の神話」は後年になって必ず実現したはずである。現在中国にいる双子姉妹のセシとエスカは現在においてもまだパートナーがいない状態である。ホッキョクグマが中国に行くと、ろくな話はないのだ。
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このヴァニラについては、是非大事に飼育してやってほしいものである。
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ヴァニラは本当に不思議な雰囲気を持った個体である。
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Nikon D5500
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR
Panasonic HC-W870M
(Jun.1 2017 @静岡・日本平動物園)
by polarbearmaniac | 2017-06-01 22:00 | しろくま紀行

ズーパラダイス八木山の二日目 ~ マイペースのホッキョクグマたち

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今日もズーパラダイス八木山にやってきた。天候は良くなく、5月の今頃としては気温が低い。ホッキョクグマたちにとってはありがたい話だろう。
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左からナナ、ポーラ、ラダゴル(カイ)である。
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今回はナナの水遊びのシーンがよく見られる。
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元気な証拠だからありがたいことだ。
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32歳とは思えないほど颯爽とした姿である。
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ラダゴル(カイ)は今日もマイペースの暮らしだ。
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ポーラはやや押され気味のようだ。
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ポーラを睨むラダゴル(カイ)。
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ポーラは圧倒されてしまっている。
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かくしてラダゴル(カイ)は飼育展示場を自分の領域として優位性を確立するようになったのだ。
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ナナの元気な姿を見るほどありがたい話はないのである。

一休みするナナ (Nana the 32 years old Polar Bear has a pleasure of taking a rest, at Zoo Paradise Yagiyama, Sendai, Japan, on May 26 2017.)


ナナの表情の変化 (Nana the 32 years old Polar Bear's facial expressions, at Zoo Paradise Yagiyama, Sendai, Japan, on May.26 2017.)
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ラダゴル(カイ)を見つめるナナ(奥)。
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ナナにはこれからも是非、元気でいてほしい。


ホッキョウグマたちの午後 (One lazy afternoon of the polar bears at Zoo Paradise Yagiyama, Sendai, Japan. on May.26 2017.)

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悠々とした昼寝が大好きなラダゴル(カイ)。


昼寝眼のラダゴル(カイ) (Ladogor (Kai) the Polar Bear likes to sleep in the afternoon, at Zoo Paradise Yagiyama, Sendai, Japan on May.26 2017.)

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ポーラはややラダゴル(カイ)の視線を気にしながらの昼寝となる。

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ラダゴル(カイ)。
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ポーラ。
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ナナ。
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三頭の素晴らしいホッキョクグマたちが揃ったズーパラダイス八木山である。今回も大いに堪能できた。
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Nikon D5500
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR
Panasonic HC-W870M
(May.25 2017 @仙台・ズーパラダイス八木山)
by polarbearmaniac | 2017-05-26 23:50 | しろくま紀行

ズーパラダイス八木山のホッキョクグマたち ~ 欧州・カナダ・ロシアのホッキョクグマ界の縮図を体験

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ラダゴル(カイ)とポーラとの関係はどうなっているのか? そういった問題意識を持って今日一日この二頭を見ていた。以前と比較するとポーラ(奥)がラダゴル(カイ)(手前)の顔色を窺うようになってきたのである。
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ラダゴル(カイ)(手前)は自分がそうされて当然という態度を示すようになっている。
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ポーラ(手前)はもう、かつてのようにラダゴル(カイ)(奥)に対して軽薄な態度はとれなくなったのだ。
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ラダゴル(カイ)は威厳を増したのである。以下の映像だが冒頭はラダゴル(カイ)がポーラに対して「そこをどけ」と態度で示している。ポーラは譲らざるを得ない。その後もラダゴル(カイ)は空間を支配し続けている。


ラダゴル(カイ)とポーラの一日 (Ladogor/Kai and Paula the Polar Bears live together, giving an inch to each other, at Zoo Paradise Yagiyama, Sendai, Japan, on May.25 2017.)


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ただし、ポーラも精神的に成長を遂げてきた。収まるべきところに収まるホッキョクグマに変身してきたようだ。
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だからラダゴル(カイ)のほうも譲るべきところは譲るのである。
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ナナは32歳とは思えないほど若々しい。
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ナナ(奥)はこちら側のメインの飼育展示場の様子は見えるのだろうか?
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ラダゴル(カイ)とポーラの若いペアばかりに気を取られていてはならない。この動物園においてナナの存在は大きく、そして貴重である。そしてズーパラダイス八木山(八木山動物公園)の三頭のホッキョクグマたちは実に個性的である。
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この「ズーパラダイス」という用語はほとんど意味をなしていないように思われる。"Zoo" は "zoologia" という 16世紀以降の近代ラテン語が中世英語に取り込まれたものが語源だが "paradise" は古代ギリシャ語の " paradeisos" が語源である。だから実は結合しにくい組み合わせなのだ。なんでもくっつければよいというものではない。こういったことはセンスが問われるのである。言語感覚に優れた人ならばあまりやらない造語である。しかしそれはさておき、この動物園のホッキョクグマ三頭は飼育は充実している。この三頭のホッキョクグマたちのそれぞれの母親たちが素晴らしいからであろう。ラダゴル(カイ)はロシアから、ポーラは欧州から、そしてナナはカナダからと、世界の主要なホッキョクグマ界の縮図を見るような気持ちになる。ずっしりとした手応えのあるホッキョクグマ体験ができるのがこの動物園の素晴らしさだ。
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Nikon D5500
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR
Panasonic HC-W870M
(May.25 2017 @仙台・ズーパラダイス八木山)
by polarbearmaniac | 2017-05-25 23:50 | しろくま紀行

ポーラに迫りつつある正念場 ~ パートナーに増した威厳によって生じた行動の変化は好機?

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ポーラ (Белая медведица Паула / Eisbärin Paula)

ラダゴル(カイ)と同じ12歳のポーラである。彼女は2004年12月5日にセルビアのパリッチ動物園 (Palić zoo) で生まれている。ファンは大きな声に出しては言わないが、内心彼女に非常に期待をかけていることは間違いないと思われる。
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ズーパラダイス八木山(八木山動物公園)は解説文などで彼女の名前を "Pola" と綴っている。彼女の名前は公募で "Polar Bear" に由来する名前としてポーラとなったからのようである。ところが同園は国際血統登録台帳に彼女の名前を追加情報登録した際にその綴りをどういうわけか "Pola ではなく "Pora" として登録したのだ。多分これはロストック動物園に彼女の日本での名前を報告する際に"ポーラ" をローマ字で "Pora" としたからだろう。しかしポーラというからには、欧米では "Paula" が普通の綴りであるから私は彼女の名前は "Paula" を用いている。その方が正しいと考えるからである。
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このポーラは姫路市立動物園のユキと姉妹の関係である。ポーラとユキの母親は現在ハンガリーのソスト動物園に暮らしているシンバである。シンバについては過去関連投稿を御参照いただきたい。ポーラとユキの父親である故ビョルン・ハインリヒは鹿児島の故ホクトの兄である。このビョルン・ハインリヒは人工哺育で育てられたが、雄(オス)については人工哺育されたことが繁殖にマイナスになるということはないというのが定説である。

ポーラのおもちゃ遊び (Paula the Polar Bear enjoys herself with a plastic toy at Zoo Paradise Yagiyama, Sendai, Japan, on May.25 2017.)
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このポーラの繁殖能力については私は単純に、そして楽観的に考えている。何故ならポーラの姉であるユキは繁殖能力が証明されているからである。だから妹のポーラも繁殖能力は備わっているだろうというのが理由である。こういったことはあまりあくせく考えてもしょうがない。
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しかし仮にこのポーラは育児は行わなくても、そろそろ出産だけはしてもらいたいと願っている。実際は出産はしているもののその事実が発表されていない事例というのは世界の動物園ではいくつもあるわけで、このズーパラダイス八木山(八木山動物公園)も実はそういったケースではないかということを憶測できる要素が存在しているようにも思う(一般的にこういうことに関しては飼育員さんは口を割らないが)。ただしかし出産してもポーラが育児を行わない限りそれは繁殖の成功とは言えない。こういったことは難しいものである。


ポーラのプロフィール (Paula the Polar Bear has got it all right, at Zoo Paradise Yagiyama, Sendai, Japan, on May.25 2017.)

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上の写真は左側がナナ、右側がポーラである。ポーラにはナナが果たせなかったことをどうしても実現してほしいと思う。
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そのためのはまず、育児に成功しなくとも少なくとも出産したという段階まではここ1~2年の間にどうしても到達してほしい。
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私の今日見ていたところではポーラは以前と比較するとかなり変わってきたと思う。ラダゴル(カイ)の威厳に押されてポーラは行動がかなり抑制的になっている。これは良いシグナルだと私は感じている。
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雌(メス)がこういう状況になってきたときに出産後の本能的な育児開始への母性が発揮されてくる例がある。要するに雌(メス)の個体の通常時における行動の変化が周囲の状況によってもたらされたという場合である。
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だからここ1~2年はポーラにとってまさに正念場である。
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幸運を祈りたい。

Nikon D5500
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR
Panasonic HC-W870M
(May.25 2017 @仙台・ズーパラダイス八木山)

(過去関連投稿)
(*シンバ関連)
25年前の東ドイツにいた「もう一頭のクヌート」 ~ ユキ(姫路)とポーラ(仙台)の父親の物語
セルビア・パリッチ動物園のビョルン・ハインリヒ死す ~ ユキ(姫路〕 とポーラ(仙台) の父親の訃報
セルビア・パリッチ動物園のシンバ (姫路のユキ、仙台のポーラの母) がハンガリーのソスト動物園へ
ハンガリー、ニーレジハーザのソスト動物園の28歳のシンバと36歳のオーテクの老境に咲く満開の花
ハンガリー・ニーレジハーザのソスト動物園、シンバ (姫路のユキ、仙台のポーラの母) の夏の日
ハンガリー・ニーレジハーザ、ソスト動物園のシンバ (姫路のユキ、仙台のポーラの母) の近況
ハンガリー・ニーレジハーザ、ソスト動物園でのフィーテの冬の日 ~ 三十歳のシンバとの同居
by polarbearmaniac | 2017-05-25 23:30 | しろくま紀行

ラダゴル(カイ)に備わってきた威厳 ~ 飼育展示場の空間的支配力を完全に確立

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ラダゴル(カイ)(Белый медведь Ладогор/Eisbär Ladogor)

世界最高の雌(メス)のホッキョクグマという高い評価を持つレニングラード動物園のウスラーダの息子である現在12歳のラダゴル(カイ)である。彼は日本でカイと命名されているがノヴォシビルスク動物園のクラーシンもカイという名前が通名になっていてこの二頭は紛らわしいので仙台のこのカイについては彼がロシア時代に付けられた国際血統登録上の名前であるラダゴル(Ладогор / Ladogor)を用いることにしたい。彼が何故ラダゴルと命名されたかについては「カイ (仙台・八木山動物公園 / ロシア名:ラダゴル) とウスラーダお母さんの物語」を御参照頂きたい。ロシア語の発音では “ラダール” と「ゴ」にアクセントをつける。
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このラダゴル(カイ)は端正な容姿を持つホッキョクグマである。ウスラーダの数ある息子たちの中で容姿としては最高であると私は思っている。娘たちの中で最高なのはシモーナ(モスクワ動物園)だろう。
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このラダゴル(カイ)とシモーナには共通点がある。それはウスラーダの子供達の中では性格的に非常に温和であるということである。それには理由がある。ラダゴル(カイ)もシモーナも母親であるウスラーダと共に過ごした期間が非常に長かったのである。そのことがこの二頭の性格形成に大きく作用したことは間違いないと思われる。
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私の以前の経験では、このラダゴル(カイ)はパートナーであるポーラからさまざまな悪戯やちょっかいなどを受けていた。しかしそれに対して動ずることもなく適当にあしらってきたのである。器の大きさが彼の特徴である。
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ところが今回見たラダゴル(カイ)は飼育展示場の全てを完全に支配して超越的な存在として君臨するようになっていた。
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彼には真の貫禄が付いたということなのだ。そういった彼に対してポーラは気後れし、そして彼女は趣味の悪い悪戯をやめたように感じられる。


ラダゴル(カイ)とポーラ (Ladogor/Kai and Paula the Polar Bears have a time of their own, at Zoo Paradise Yagiyama, Sendai, Japan, on May.25 2017.)

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このラダゴル(カイ)はもともと常同行動をしないホッキョクグマである。少なくとも私は彼のそういう行動を一度も見たことがない。こういったホッキョクグマは珍しいだろう。
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あとは繁殖の成功を待つばかりである。ズーパラダイス八木山(八木山動物公園)の担当者の方の担っている責任は重いと思う。このラダゴル(カイ)ほどの素晴らしい若年個体を有して繁殖に成功しないとなれば日本のホッキョクグマ界の将来は暗黒である。
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上の写真で右がラダゴル(カイ)、左がナナである。あの偉大な故デビーの娘であるナナが繁殖には成功せず、そしてまた当代最高のホッキョクグマであるウスラーダの息子のラダゴル(カイ)が繁殖の成功に寄与できないとなれば理不尽な話である。
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ラダゴル(カイ)は素晴らしいホッキョクグマになったものである。だからこそ、より一層の高みにまで登ってほしいのである。

Nikon D5500
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR
Panasonic HC-W870M
(May.25 2017 @仙台・ズーパラダイス八木山)

(過去関連投稿)
(*ウスラーダとラダゴル - カイ関連)
仙台・八木山動物公園のカイのロシア時代の写真
ウスラーダお母さんの10番目の子供、カイ (八木山動物公園 / ロシア名 : ラダゴル )のロシア時代の姿
ロシアのマスコミ、カイ(仙台)とロッシー(静岡)の地震・津波からの無事を大きく報じる
カイ (仙台・八木山動物公園 / ロシア名:ラダゴル) とウスラーダお母さんの物語
カイの素顔 ~ 「黄金の中庸(Aurea Mediocritas)」 としての存在、そして将来の可能性
初夏の日のカイ (ラダゴル) ~ 女帝ウスラーダが手塩にかけて育てた「正統派ホッキョクグマ」
by polarbearmaniac | 2017-05-25 23:10 | しろくま紀行

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