街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・ペルミ動物園のアンデルマ、その日常の姿(1) ~ 遠征での映像より

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アンデルマ (2011年9月12日撮影 於 ロシア・ペルミ動物園)
Nikon D7000
Tamron 18-270mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD

ロシア・ペルミ動物園のアンデルマ...彼女ほど世界のホッキョクグマ界で伝説と神秘のヴェールに包まれたホッキョクグマはいないといってよいでしょう。 彼女が「アンデルマ・ウスラーダ系」という大血族グループのルーツであることは私たち日本のホッキョクグマ界に重大な意味を持っていると同時に、彼女の存在抜きで日本のホッキョクグマ界を語るわけにはいかないのです。

アンデルマ (2011年9月14日撮影 於 ロシア・ペルミ動物園)

1989年の9月のある日、ロシア極北の町であるアンデルマに忽然として姿を現した親子3頭のホッキョクグマがいかなる数奇な運命を辿ったかは当時のレニングラード動物園のスタッフの回想によって我々の知るところとなったのでした。以前、「極北の地より動物園へ(1) ~ ゴーゴのお母さんの物語」としてこのレニングラード動物園のスタッフの回想をご紹介しはじめたのですが、その後の時間が取れず止まったままになっていました。もともとこの回想、「アンデルマの物語(仮題)」(掲載原著 “От зверинцев к зоопарку. История ленинградского зоопарка”)のこの部分は非常に長い文章であり、それを全て翻訳するのは骨の折れる作業ですし私のロシア語の能力に余るものです。従ってこの回想を短縮した形でご紹介していきたく思います、全体は4回の投稿によって全てご紹介する予定です。まず今回は、レニングラード動物園がいかにして極北の町であるアンデルマに向かったかの部分からご紹介いたします。
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この件の事態は非常に早く進みました。 それは1989年9月7日の夜のことでした。 私たち(レニングラード動物園)は突然、極北の町であるアンデルマ(ネネツ自治管区)に駐在していた気象学者のラシュコフより電報を受け取ったのです。「親子3頭のホッキョクグマ出没。 すぐさま来られたし。」

早速翌朝、現地へ飛ぶフライトの手配をし、その次の日にはアンデルマへの遠征の準備に取り掛かったのです。必要な機材の手配のかたわらで動物園は至急、捕獲許可手続きを申請しました。 驚くべきことにこれらは1日で完了したのでした。極北で生存している希少価値のある動物の捕獲許可が出るのは、それが人間の生命に脅威を与えている時のように、ごくごく限られた非常時の場合だけなのです。そして今回のケースは正にそれに該当するのでした。その極北の町であるアンデルマではまさにホッキョクグマが人間の脅威になっていたわけでした。こぐまを連れた雌グマは食料を求めて寒村に出没するようになり、やがて軍の部隊の食糧貯蔵倉庫、そして人間を恐れることなく次には住居にまで押し入ろうとする状況だったのです。そうした極めて危険な状態になったため、私たちレニングラード動物園に捕獲要請依頼の電報が送られたということなのでした。
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アンデルマ空港 Photo(C)Собрания депутатов

アンデルマの町へのフライトは素早く用意されました。出発前日には1日で、捕えたホッキョクグマの運送用の2つのケージと麻酔銃、ロープ、その他の用具の手配がなされました、こういった場合に非常に役に立つがレニングラード動物園で屈強のスタッフであったコルネーエフとシェルグノフがブロコヴォ空港で機材を飛行機に積み込み、その日の夜にレニングラード動物園のチームはアンデルマの町に到着しラシュコフの出迎えを受けました。   
(続く)

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*(注) アンデルマの綴りは(Амдерма/Amderma)です。これをそのままカタカナにしますと「アムデルマ」となります。そして大阪の天王寺動物園も表記にはこの「アムデルマ」を採用しています。しかし私は「アンデルマ」と表記しています。何故かといいますと、「アンデルマ」と表記するほうが日本語表記の慣例として正しいと考えるからです。たとえばオランダの有名な画家であるレンブラントの本当の綴りは Rembrandt です。 しかしこの画家の名前を「レムブラント」と表記する人はいません。 ドイツの大都市であるハンブルクの綴りは Hamburg です。 しかし、この街をハムブルクと表記する人はいません。 ハンバーガーの綴りは hamburger ですが「ハムバーガー」という表記はしません。 これらの例から言えることは、子音字 m のあとに濁音である子音 (b,d) が続く発音は日本人にとって苦手な音であるため m を鼻から抜ける音である n と変えて発音するほうが日本人にとって易しいからです。我々の先人は実に見事なセンスでこの表記の問題を解決したのです。それが「レンブラント」であり「ハンブルク」であり「ハンバーガー」であるわけです。ですから私はこの先人の巧みな表記方法に従って「アムデルマ」を「アンデルマ」と表記するわけです。「アンデルマ」こそ、日本語表記としては本当は正しいと考えます。 そしてそれどころではありません、ロシア人もこれを「アンデルマ」と発音しています。下にヴラディーミル・マカロフの歌う Амдерма をご紹介しておきます。 映像ではこのアンデルマの街が写っています。 この歌でマカロフは Амдерма を明確に「アンデルマ」と発音しています。 




(資料)
От зверинцев к зоопарку. История ленинградского зоопарка
(過去関連投稿)
極北の地より動物園へ(1) ~ ゴーゴのお母さんの物語
ロシア・ペルミ動物園のホッキョクグマ、「生ける伝説」となったアンデルマ
ロシア・ペルミ動物園で一般公開された生後3ヶ月のゴーゴ(現・天王寺動物園)の様子
ロシア・ペルミ動物園、アンデルマの表情(1) ~ 捕捉し難き素顔
ロシア・ペルミ動物園、アンデルマの表情(2) ~ その存在への認識
2011年ロシア遠征後半(ペルミ動物園関連部分)
by polarbearmaniac | 2011-10-31 17:00 | Polarbearology

ロシア・カリーニングラード動物園のスネジンカ、その日常の姿(3) ~ 遠征での映像より

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スネジンカ (2011年9月19日撮影 於 ロシア・カリーニングラード動物園)
Nikon D7000
Tamron 18-270mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD

前投稿よりの続き)
飼育下におけるホッキョクグマにどのような条件が備われば平均寿命が長くなるかは、正直言って数値化された統計資料がなければ明確な判断が難しいですね。 数値化可能な条件の筆頭は飼育展示場の面積ですが、これとホッキョクグマの平均寿命との関係を比較したデータはありません。次の有力な条件である平均気温と飼育下のホッキョクグマの平均寿命との関連についても比較のデータはないと思われます。 そうなると今度は個別的・具体的に長生きしている個体について、その個体がどんな飼育条件の下で生活しているかを見て彼(彼女)が長生きしている飼育要因は何なのかを探っていくことしか方法がないように思われます。 スネジンカの場合はどうでしょうか?





まずスネジンカは、私の見たところ非常にリラックスしていて過度のストレスのない生活をしているように見えます。 展示場で非常によく動き、非常に長い時間休養をとるという、生活にメリハリがあるように見えます。何故彼女が昼間の時間にも十分な休養がとれるかについては、カリーニングラード動物園のホッキョクグマ飼育展示場に存在している「死角」の存在が大きいように思われます。つまりスネジンカは来園者の視覚からは彼女の存在が認識できない「隠れ場所」、つまりプライベートな場所を持っているわけです。いったんそこに入りますと彼女は1~2時間動きません。私がスネジンカのそういった場所の位置がわかったのも、長時間ホッキョクグマ展示場に粘って彼女の動きを追っていたためであり、そうでもなければまずあの「死角」の場所の位置はわからないでしょう。この「死角」に入ってしまった彼女の姿を見ようとすれば、しゃがみ込んで極端に体をねじ曲げるという苦しい動作が必要です。 実際にそうやってみた時、彼女はその「隠れ場所」で気持ちよさそうな表情で眠っているのです。 (上の2つの動画はそういった「死角」を撮ったものではありません。)

こういった「死角」の存在こそが昼間の時間でも彼女が十分に休養でき、ストレスの少ない生活を送っている要因ではないかと考えるわけです。あのカリーニングラード動物園のホッキョクグマ展示場を見て他の動物園と一番どこが違うかといえば、この「死角」の存在以上のものはないように思われます。間もなく38歳になろうというスネジンカが、何故あれほど元気でいられるかについて、それを彼女の体質ではなく敢えて飼育展示場の構造に要因を求めるとすれば、そういうことになります。それ以上の要因をあの飼育展示場がら抽出することは難しいように思われます。

スネジンカの末長い健康を心から祈っています。

(過去関連投稿)
カリーニングラード動物園を訪ねる ~ 老ホッキョクグマの姿を求めて
世界最高齢のホッキョクグマ、間もなく38歳になるスネジンカの姿に感激!
カリーニングラード動物園訪問2日目 ~ スネジンカさん、お元気で! 必ずまたお会いしましょう!
ロシア・カリーニングラード動物園のスネジンカ、その日常の姿(1) ~ 遠征での映像より
ロシア・カリーニングラード動物園のスネジンカ、その日常の姿(2) ~ 遠征での映像より
by polarbearmaniac | 2011-10-30 09:00 | Polarbearology

ロシア・カリーニングラード動物園のスネジンカ、その日常の姿(2) ~ 遠征での映像より

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スネジンカ (2011年9月19日撮影 於 ロシア・カリーニングラード動物園)
Nikon D7000
Tamron 18-270mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD

前投稿よりの続き)
以前の投稿でホッキョクグマの歴代最高齢生存記録はアメリカ・デトロイト動物園で飼育されていた個体の43歳10か月であるとご紹介しています(「高齢のデビーを愛し、慈しみ、送った人々 (下)」)。また、歴代最高齢出産成功記録については35歳11か月という記録が存在していることもご紹介しています(「ホッキョクグマの歴代最高齢出産成功記録は35歳11ヶ月? ~ サツキ、産室から出る...」)。 そして前者のこの記録自体の信憑性は高いと考えられる点についても触れています。38歳となる日を寸前に控えたロシア・カリーニングラード動物園のスネジンカですが、彼女が果たして歴代最高齢記録にどこまで迫れるか、あるいは更新できるのかについては正直言って予想しにくい問題です。少なくとも私は歴代最高齢記録を更新してほしいと切に願っています。そして、彼女に会いにこれから何度でもカリーニングラードに行くつもりです。





スネジンカの現在の姿を見ていると、1年前に34歳で亡くなった旭山動物園のコユキさんのことを考えてしまいます。コユキさんが亡くなった年の冬、まだ元気だったころの34歳のコユキさんの姿と現在のほぼ38歳のスネジンカを比較してみますと、スネジンカのほうがありとあらゆる点で元気なように感じます。コユキさんは偉大な姿を見せてはいましたが体を動かすといったことは非常に稀だったのに比べると、現在のスネジンカはよく歩き回っていますし長時間泳いでいる姿も見られます。しかし高齢のホッキョクグマというのはいつ何時病気になって動かなくなり亡くなってしまうということがあっても不思議ではありません。しかし仮にスネジンカにそういった病気にかからなかった場合(となれば、彼女の命を奪うのは「老衰」だけだと仮定して)、彼女は42歳で亡くなったデビーに並ぶ可能性は十分あると思います。是非そうあってほしいと思いますし、世界歴代最年長記録をも更新してほしいと強く願っています。

さらに、実は2年前の2009年8月にアメリカ・インディアナ州のインディアナポリス動物園で35歳のターツァ(Tahtsa)という雌のホッキョクグマが亡くなっていますが、亡くなった当時は彼女が世界最高齢のホッキョクグマだったとアメリカでは報道されたわけでした(彼女の死はあの有名なデビーの死の9か月後です)。 しかしターツァは1974年にデンバー動物園で生まれたそうですから、彼女が亡くなった時点でもカリーニングラード動物園のスネジンカのほうが1歳年上だったわけです。
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35歳で亡くなったターツァ   Photo(C)Indianapolis Zoo

以下でこのターツァが亡くなった時のニュースと彼女の生前の姿をご覧になってみて下さい。このターツァの生前の映像は多分彼女の亡くなる年の映像だと思いますが、私にはこの35歳のターツァよりも現在ほぼ38歳であるスネジンカのほうがはるかに体の動きが若々しく感じます。


何故スネジンカがこれほどの高齢でもこうして元気でいられるかについては、私はカリーニングラード動物園の飼育方法とホッキョクグマ飼育場の構造にあるのではないかと睨んでいます。そこには何か飼育展示場の単なる広さとは違う要因が潜んでいると考えます。 ではその要因とは何なのか、そしてホッキョクグマをなるたけ長生きさせるにはどうしたらよいか...これを次に考えてみたいと思います。
続く

(資料)
IndyChannel.com (Aug.12 2009)
朝日新聞 (Jul.25 2010)

(過去関連投稿)
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ホッキョクグマの歴代最高齢出産成功記録は35歳11ヶ月? ~ サツキ、産室から出る...
高齢のデビーを愛し、慈しみ、送った人々 (上)
高齢のデビーを愛し、慈しみ、送った人々 (下)
by polarbearmaniac | 2011-10-29 07:00 | Polarbearology

オランダ・ロッテルダム動物園で昨年12月に誕生したヴィックスの順調な成長 ~ 最近の映像より

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ヴィックスとオリンカお母さん 
(2011年5月3撮影 於 オランダ・ロッテルダム動物園)
Nikon D7000
AF-S DX NIKKOR 55-300mm f/4.5-5.6G ED VR II

オランダ・ロッテルダム動物園で昨年12月6日に誕生したヴィックスについては、その誕生から成長を追いかけつつ何度が投稿しています。私自身も5月にロッテルダム動物園を訪問してヴィックスに会ってきましたが、その活発な姿に魅せられたものでした。デンマーク・オールボー動物園のアウゴの優しさと、このヴィックスの活発さは昨年暮れに誕生した雄のホッキョクグマの双璧の魅力だと思われます。さてそのヴィックスですが9月下旬の映像が動物園サイドの方でしょうか、2つ公開されていましたのでご紹介しておきます。 この映像で見るヴィックスは、珍しく比較的おとなしいようですね。





(過去関連投稿)
オランダ・ロッテルダム動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
オランダ・ロッテルダム動物園で誕生の赤ちゃんの産室内の映像(追加)
オランダ・ロッテルダム動物園の赤ちゃん、産室から一歩を踏み出す
オランダ・ロッテルダム動物園の赤ちゃん、とうとう戸外に姿を現す!
ロッテルダム動物園へ!
親子3頭の同居? ~ 常識に挑戦したロッテルダム動物園の方法
泰然自若のオリンカお母さん、その貫禄の子育て
お母さんの庇護の下で自由を謳歌するヴィックス
オランダ・ロッテルダム動物園のヴィックスの性別への地元ファンの関心 ~ 要求された奇妙な写真
オランダ・ロッテルダム動物園、オリンカ親子の姿 ~ 発散するヴィックスの魅力
by polarbearmaniac | 2011-10-28 06:00 | Polarbearology

コカコーラ社のホッキョクグマ保護キャンペーン開始 ~ WWFへ200万ドルの寄付

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Photo : Reuters

このブログで以前、「コカコーラ vs.ペプシコーラ ~ ホッキョクグマのCM合戦」という投稿でアメリカのコカコーラ社のCMをご紹介したことがありましたが、今度同社はメインの製品である缶入りコカコーラの缶の色を白く変え、ホッキョクグマ保護のキャンペーンを行うことになりました。WWFには200万ドルを寄付するとのことです。コカコーラ社は今までブランドイメージを第1に考えて製品の赤い色を変えようとはしなかったわけですが、たとえ期間限定とはいえ出荷する14億個もの缶の色とデザインを変えるというのは相当な英断ですね。この白い缶は北米のみの販売だそうです。



コカコーラ社は以前からホッキョクグマ保護活動に多額の寄付をしていますし、動物園に対しても寄付をおこなってきました。私がモスクワ動物園やサンクトペテルブルクのレニングラード動物園に行きましたときもホッキョクグマ展示場にコカコーラ社よりの寄付と支援はある旨の記載がボードに記されていました。
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(資料)
TIME (Oct.27 2011 - Why Coke Is Going White for Polar Bears)
CBC News (Oct.26 2011 - Polar bear campaign seeks 'last ice' Arctic preserve)
(過去関連投稿)
コカコーラ vs.ペプシコーラ ~ ホッキョクグマのCM合戦
by polarbearmaniac | 2011-10-28 01:00 | Polarbearology

ホッキョクグマ飼育経験のないロシア・ペンザ動物園が飼育準備を開始 ~ 「親和性」、「運」とは?

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ロシア・ペンザ動物園で飼育予定でモスクワで検疫中のホッキョクグマの孤児 
Photo(C)Комсомольская правда

数日前にロシア極北のヤマロ・ネネツ自治管区で孤児となっていたホッキョクグマの幼年個体が漁民によって保護され、今後ペンザ動物園で飼育するためにモスクワに送られたことを投稿しています(「ロシア極北で漁民に保護された1歳の野生孤児が中部ロシアのペンザ動物園での飼育が決定」)。 コムソモリスカヤ・プラウダ紙のペンザ地方版の報道によりますと、このホッキョクグマの幼年個体は現在モスクワで最低1ヶ月間の検疫中とのことで、ペンザ動物園の園長代理の方が言うには、それまでの期間にペンザ動物園はホッキョクグマ舎新設の準備を大至急行うとのことです。まず飼育に十分なスペースを確保し、ゆくゆくはプールの整備や人工雪の設備も用意するそうで、初めてのホッキョクグマ飼育に向けて相当力が入っているようです。是非ホッキョクグマが少しでも快適に過ごせる環境を用意してやってほしいです。
(*追記)10月28日付けのコムソモリスカヤプラウダ紙の報道によれば、モスクワ動物園で行われている検疫は1か月以上に及ぶ見通しだそうです。
Комсомольская правда (Oct.28 2011)


今までホッキョクグマの飼育を行っていなかった動物園やその他の施設が、新たにホッキョクグマの飼育を始めるというのは珍しいでしょう。日本の例では男鹿水族館がそうでした。むしろ、今までホッキョクグマを飼育していたのに、その個体が高齢になって死亡したため代替の個体が入手できず、ホッキョクグマの飼育ができなくなってしまう動物園は多いはずです。日本の最近の例では京都市動物園がそうでした。主無きホッキョクグマ舎の光景ほど、見ていて悲しいものはありません。

新たにホッキョクグマ飼育を開始するペンザ動物園には是非頑張ってほしいと思います。まあロシアというお国柄、そういったことはうまくやってのけるように思います。頭の中の知識だけではない、なにかホッキョクグマの飼育への親和性を持っているのがロシアという国なのです。カナダ(マニトバ州)の基準に適合させて完璧に立派な施設を作ったはずが、実は産室が無かったなどという醜態を晒してしまったのが、かつての男鹿水族館でした。秋田県にはカナダからの情報と一定の資金はあったものの、ホッキョクグマ飼育への親和性に問題があったといえましょう。

試験準備のために100項目のうち真面目に99項目は完璧にマスターしたものの、実際に試験に出題されたのは残る1項目だった、ということがあります。 一方、100項目のうち不真面目に5項目しかマスターしなかったのに、どういうわけかその5項目から出題されたということもありえます。 どう考えても前者は秋田県の場合でしょう。人生を勝負事にたとえますと、この前者の場合には一度こういう事がありますと、その後も不思議と「運」と「流れ」に見放され続けるようです。 秋田県でのホッキョクグマの繁殖がそうならないことを祈るのみです。

(資料)
Комсомольская правда (Oct.26 2011 - В Пензенском зоопарке готовятся к появлению белого мишки)
(過去関連投稿)
ロシア極北で漁民に保護された1歳の野生孤児が中部ロシアのペンザ動物園での飼育が決定
by polarbearmaniac | 2011-10-27 09:00 | Polarbearology

モスクワ動物園で保護されている孤児のホッキョクグマ、アイオンの近況

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間もなく2歳となるアイオン Photo(C)WWF Russia

昨年の4月にロシアのシベリアの東端にある極北のチェクチ半島で、お母さんからはぐれてたった1頭でさまよい歩いていたホッキョクグマの赤ちゃん孤児が無事に保護されモスクワ動物園に送られたことを投稿しています。 映像も御紹介していますので是非、「ロシア・極北の街でホッキョクグマの赤ちゃん孤児を保護! 」、「モスクワ動物園に送られた赤ちゃん孤児のその後の映像」の2つの投稿を是非ご参照下さい。この赤ちゃんはアイオンという名前を付けられましたが、もうそろそろ2歳になります。このアイオンはモスクワ動物園の付属施設で飼育されていた模様で、私が昨年・今年とモスクワ動物園を訪問した際には見ることができませんでした。ロシアのWWFの報道によりますと、このたびアイオンはモスクワ動物園の別の展示施設に移されるそうです。もっとスペースが広くプールもある施設ということですから、多分シモーナとムルマが出産準備に入るために、そちらの2つの本展示場に移されるということなのでしょうか。 (*後記 - アイオンはモスクワ動物園のヴォロコラムスク保護施設で引き続き飼育されています。)
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Photo(C)WWF Russia

いずれにせよ間もなく2歳になるアイオンは非常に性格が良く、ナッツやキャンディなども好物だそうで泳ぎも大好きだそうです。

アイオンが極北の地でロシアのWWFに保護されたときの様子とモスクワ動物園で保護された当時の映像をあらためてここで再度御紹介しておきます。このアイオン、本当に危機一髪のところで救われたという感じです。





(資料)
Всемирный фонд дикой природы (WWF Russia) (Oct.26 2011 - Встреча с Айоном)
(過去関連投稿)
ロシア・極北の街でホッキョクグマの赤ちゃん孤児を保護!
モスクワ動物園に送られた赤ちゃん孤児のその後の映像
by polarbearmaniac | 2011-10-27 07:00 | Polarbearology

1985年札幌・円山動物園生まれのポロの南アフリカでの近況 ~ 樋泉さんのブログの記録的価値

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ギービー(ヨハネスブルク動物園) Photo(C)The Star / Steve Lawrence

以前2回にわたって1985年12月21日に札幌・円山動物園で生まれた雄のホッキョクグマのポロが南アフリカのヨハネスブルグ動物園にライオンと交換で送られ、同動物園で暮らしていることを投稿しています(「1985年に札幌で生まれたホッキョクグマの消息」、「南アフリカで今も元気に暮らす札幌生まれのホッキョクグマ」)。このポロは円山動物園で初めてホッキョクグマの自然繁殖に成功した記念すべき個体であり、このポロの札幌での幼少の写真については円山動物園の樋泉さんが担当されていた同動物園の公式ブログで見ることができますので、一度見られた方の是非再度ご覧いただきたく思います (「誰?」、「きっとまた会える」)。

このポロはヨハネスブルグ動物園ではワン(Wang) という名前になっていることも以前御紹介していますが、現在25歳になっているポロ(ワン)の近況が伝えられることは非常に稀であり、やや気になっていたところですが10月26日付けのザ・スター(The Star)紙の報道で、現在は夏である南半球の暑さをしのぐためにポロとパートナーのギービーの2頭が元気に水に入っている様子が報道されています。冒頭の写真は残念ながらポロ(ワン)の写真ではなく彼のパートナーであるカナダ生まれのギービーの写真です。
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ポロ(ワン)とギービー (ヨハネスブルグ動物園のホッキョクグマ展示場)
Photo(C)Panoramio/Andreve

下の映像は非常に不鮮明ではありますがヨハネスブルグ動物園のホッキョクグマ展示場の様子を伝えるものです。


ポロの札幌時代の写真が掲載されている樋泉さんのブログをこの機会にいくつか読み返してみましたが、樋泉さん個人の眼が見たイコロとキロルの成長の記録は今読み返してみても実に素晴らしいものです。2年前よりも現在読んでみたほうがその真価がよくわかりますね。記録性という観点でも大変に貴重なものです。樋泉さんの2010年3月3日の記事のタイトルは「きっと会える」ですが、これはデナリの釧路市動物園からの帰還に臨んで、翌年(2011年)きっとまたかわいい赤ちゃんを見ることができるように期待する内容の記事です。樋泉さんの期待通り、我々はこうしてアイラの成長を見守るチャンスを授かったわけでした。

(資料)
The Star (Oct.26 2011 - Have some sympathy for these polar bears)
Official website of the City of Johannesburg (Sep.18 2002 - The only polar bears in Africa)
札幌・円山動物園 「双子の白クマ赤ちゃん通信
(Mar. 3 2010 - 「誰?」  「きっとまた会える」)

(過去関連投稿)
1985年に札幌で生まれたホッキョクグマの消息
南アフリカで今も元気に暮らす札幌生まれのホッキョクグマ
by polarbearmaniac | 2011-10-26 21:00 | Polarbearology

ドイツ・ブレーマーハーフェンのヴィクトリア、ハンブルクへ戻る ~ 不可解な状況をどう考えるか?

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ヴィクトリア Photo(C) Zoo am Meer, Bremerhaven

大変に残念で考えさせられるニュースがドイツからの報道で入ってきています。昨年12月に「ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園での妊娠判定の試み」という投稿を行い、北ドイツの港町であるブレーマーハーフェンの臨海動物園で雌のヴィクトリアと雄のロイドとの間での繁殖が大いに期待され、妊娠判定検査まで行われたことをご紹介しています。

間もなく9歳になる雌のヴィクトリアは、報道によれば2007年11月にハンブルクのハーゲンベック動物園からブレーマーハーフェン臨海動物園に移動してきてそうですが、この移動の目的はハンブルクのハーゲンベック動物園のホッキョクグマ展示施設の新設準備があることに加え雄のロイド(当時7歳)とヴィクトリアとの間の繁殖を期待されてのことだったようです。残念なことにこのペアの繁殖がなされないうちにヴィクトリアは当初の契約に基づいて昨日の月曜日24日に故郷のハンブルクのハーゲンベック動物園に戻るべくハンブルクへ移送されてしまったとのことです。以下にブレーマーハーフェン臨海動物園でのヴィクトリアの姿をご紹介しておきます。



ブレーマーハーフェン臨海動物園ではヴィクトリアとロイドとの間の繁殖に期待を持って全力を尽くしていたようですが、ヴィクトリアが去ったあとにはロイドの繁殖可能なパートナーはいないわけで、これはいったいどうしたものでしょうか? 雌のイルカはすでに30歳を超えていますのでロイドとの間の繁殖は不可能です。一方、故郷ハンブルクに戻ったヴィクトリアにもパートナーは用意されていません。まったく残念で不可解なことです。「ホッキョクグマは人気動物だから動物園には不可欠だ。」という考え方は繁殖の問題を無視した旧態依然とした間違った考え方であり、「ホッキョクグマの繁殖のためには一時的ではあれ、ある動物園からホッキョクグマが姿を消してもいたしかたない。」と考えなければ、動物園におけるホッキョクグマなどできるはずがありません。いかに当初からの契約とはいえ、10歳以下である有望なペアを引き離し、その後のパートナーがまだ決まっていないなどという状況は非常に不可解です。ハンブルクのヴィクトリア(現在8歳)はともかくとしても、ブレーマーハーフェンのロイド(現在10歳)に10歳以下の雌のパートナーを用意するとなるとEAZAのEEPの中でも極めて容易ではないでしょう。 ですので、ヴィクトリアをロイドから引き離すことなくペアとして継続させるのが正しいと思われます。その結果として大都市ハンブルクの動物園でホッキョクグマが見られなくなったとしても、しょうがないでしょう。ハンブルクのハーゲンベック動物園はホッキョクグマの繁殖よりも自分の園の事情を優先させたわけですから今回のヴィクトリアのハンブルク帰還は、それが契約条項の履行に過ぎないとしても、私は実に誤まった決定であると考えます。
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ヴィクトリアとロイド Photo : Nordsee-Zeitung

実に皮肉なことに血統面と年齢面からいって日本にはロイドのパートナーとなりうる絶好の個体が存在しています。それは釧路市動物園の雌で、まもなく8歳になるツヨシです。ツヨシは世界の動物園でも非常に特異な状況に置かれています。それはホッキョクグマの貴重な雌で繁殖可能な8歳にもなろうというのにパートナーの展望無しで1頭で暮らしているという状態です。実にもったいないことです。ここでツヨシをドイツのブレーマーハーフェンに送り出しロイドのパートナーとさせ、繁殖の果実の半分を日本に還元する...そういったことができればいいのですが、そのような視野をもってその実現に邁進するなどということは現在の我々日本の動物園には無理でしょう。それくらい思い切ったことを考えないと日本の動物園のホッキョクグマ界にはますます未来がないかもしれません。

(資料)
kreiszeitung.de (Oct.25 2011 - Victoria nimmt Abschied)
Nordsee-Zeitung (Oct.25 2011 - Der Liebesurlaub ist vorbei)

(過去関連投稿)
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園での妊娠判定の試み
ツヨシをどうするか? ~ 繁殖の展望への不安
by polarbearmaniac | 2011-10-25 21:00 | Polarbearology

アイラのブイ遊び ~ 母から娘へのリレー

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アイラ、今日は何で遊ぶの?
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飼育員さんの姿を、めざとく見つけたララお母さん。
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ララお母さんが飼育員さんからもらったのは新しいブイだった。
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お母さんがもらったブイに好奇心満々のアイラ。
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ララお母さんはそれをアイラにあげることにした。
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恐る恐る近づくアイラ。
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でも、早速遊び始めたアイラ。
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「お母さん、ありがとう!」とアイラが挨拶。
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きょうは夕方までずっと遊んでいたアイラだった。

ブイと格闘するララ。

ブイと遊ぶアイラ。

ララとアイラの水中遊び。

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デナリ大将は平和な1日。
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キャンディものんびり。

昨日の悪天から天候が回復した円山動物園だった。

Nikon D7000
AF-S VR Zoom-Nikkor 70-300mm f/4.5-5.6G IF-ED
(Oct.24 2011 @札幌・円山動物園)
by polarbearmaniac | 2011-10-24 22:00 | しろくま紀行

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