街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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周南市徳山動物園のユキ、その変わらぬ「永遠の青春」の素顔

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ユキさん、こんにちは! 随分と御無沙汰しておりました。
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ユキは現在推定27歳である。阿蘇のカドリードミニオンのカアチャンと同じ年齢のはずだ。 2頭とも野生出身なので、ユキとカアチャンのどちらが雌の日本最高齢なのかは不明のはずである。 しかし明らかにユキのほうがカアチャンよりも若々しく見える。
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年齢のためなのか、それとも足にけがをしていたためなのか、ユキは非常にゆっくりと歩く。
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おやつタイム以外でユキが水に入るときは後ろ向きに入るのである。 前回彼女に会ったときにもそうだったかどうかの記憶がない。 仮に最近そうなったのであれば、やはり脚をかばっているのかもしれない。
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ユキは日本中、いや世界中のホッキョクグマの何頭かの面影をそれぞれ断片的に備えているように見える。 ララ、ルル、ロッシー、イコロ、キロル、サツキ、オーロラ、バリーバ、ピリカ、アイラ、スネジンカ、ムルマ、フギース、マレイシュカ、ヴェラ、ラスプーチン、クヌート...これらのホッキョクグマの顔の特徴が断片的に混ぜ合わさっているようにさえ見えるのである。
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ユキの顔は童顔、いや娘顔だと思う。 年齢以下の若い顔に見えるのである。 「永遠の青春」がユキの顔に宿っているようにさえ思える。

水の中をゆっくりと動き回るユキ
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おやつタイムのためにやってきた飼育員さんを見つめている。

ユキの午後のおやつタイム
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閉園時間が近づいてリラックスしているユキ
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このユキは来園者の顔を真っ直ぐ見るのがおもしろい。 だからカメラ目線の写真が非常に多く撮れるホッキョクグマなのである。
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ユキさん、これから暑い夏になります。 健康には十分注意して下さい。 これからはしばしば、あなたに会いに来るつもりです。
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温度はそれほど高くはないのだが非常に湿度が高く感じられる。 閉園時間間際に雨が落ちてきた。

Nikon D5100
Tamron 18-270mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD
(Jun.30 2012 @周南市徳山動物園)
by polarbearmaniac | 2012-06-30 22:30 | しろくま紀行

ロシア極北・ヤクーツク動物園のコルィマーナのパートナーはレニングラード動物園のロモノーソフに決定か?

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コルィマーナ Photo(C)WWF Россия

4月14日にロシア極北の東シベリア海の孤島で孤児となっていたところをWWFロシアとヤクート自然保護省の調査官によって保護されヤクーツク動物園に送られた雌のコルィマーナという赤ちゃんについてはその状況をずっとフォローしてきました。 新しいニュースがマスコミから配信されています。 サハ共和国の自然保護省から発表がありロシアの連邦政府の天然資源・環境省より、この野生で捕獲されたコルィマーナをヤクーツク動物園で今後も永続的に飼育してよいという正式な許可が出たそうです。 これについてはサハ共和国のガリーナ・ダンチコーヴァ首相が連邦政府の天然資源・環境省に書簡を送り、ヤクーツク動物園の整備とコルィマーナのヤクーツク動物園での今後の飼育許可を求めていたそうですが、それが功を奏したということでしょう、連邦政府の許可が下りたわけです。
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コルィマーナ Photo(C) ИТАР-ТАСС

現在コルィマーナは大変元気でヤクーツク動物園のプールには冷水配給装置が昨日配備されたとのこと。 今秋には現在整備中の1200平方メートルある新しい飼育場に移る見込みだそうです。 それから注目すべき事実も報じられていました。 それはヤクーツク動物園とサンクトペテルブルクのレニングラード動物園との間ですでに合意が形成されており、それによってレニングラード動物園は同園より雄のホッキョクグマをコルィマーナのパートナーとしてヤクーツク動物園に移動させるとのことです。 まだ1歳にならない雌のコルィマーナの(将来の)パートナーと成り得るのは現時点では昨年11月25日にウスラーダから生まれた赤ちゃんのロモノーソフをおいて他にありえません。 このコルィマーナとロモノーソフは同じ年齢ですしコルィマーナは野生出身であるわけですから条件は十分です。 仮にこれがもし本当に実現するとしますと、ホッキョクグマの生息地を自国領土内に持つロシアならではの見事な組み合わせだと言えそうです。

(資料)
ИТАР-ТАСС (Jun.29 2012 – Спасенный экологами от голодной смерти белый медвежонок будет жить в якутском зоопарке "Орто-Дойду")
Дни.Ру (Jun.29 2012 - Якуты приютили одинокого медвежонка)
sakhalife.ru (Jun.29 2012 - Колымане разрешили остаться в Якутии!)
РИА Новости (Jun.29 2012 - Якутии белый медвежонок останется в республиканском зоопарке)
Российская Газета (Jun.29 2012 - Белая медведица останется в якутском зоопарке)

(過去関連投稿)
ロシア極北・サハ共和国(ヤクーチア)のコルィマ湾でホッキョクグマの赤ちゃんが保護される
ロシア極北・サハ共和国(ヤクーチア)で保護された孤児の赤ちゃんがヤクーツク動物園へ
ロシア極北・サハ共和国(ヤクーチア)で保護された孤児の赤ちゃんが無事にヤクーツク動物園に到着
ロシア極北・サハ共和国で保護された孤児の赤ちゃん、「コルィマーナ」と命名される
ロシア極北・サハ共和国のヤクーツク動物園で保護されているコルィマーナが一般公開となる

*以下、ロモノーソフ関係
ロシア・サンクトペテルブルクのレニングラード動物園でウスラーダの15番目の赤ちゃんが遂に一般初公開!
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの15番目の赤ちゃんの近況
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの赤ちゃんの名前がロモノーソフに決まる
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園の赤ちゃんの最近の様子 ~ 新動物園建設計画が発表
by polarbearmaniac | 2012-06-30 01:00 | Polarbearology

蒸し暑さを感じさせる宇部へ

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週末は山口県に行くことにした。羽田からB787機に搭乗する。何を隠そう実は今回がB787初体験である。羽田/新千歳のようなメジャーの幹線に運航しているのならばもう少し早く体験できたはずだ。この次に北京やフランクフルトに行くときはANAのB787で行こうと思っていたから急く気にはならなかったのだが。
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B787は真新しい以上に別にとりたてて書くようなものはない。今までと機内の様子が違うことと言えば、機内アナウンスが非常に聞き取りやすいということぐらいか。 それからちょっと驚いたのだが窓に日除けのシェードがないのだ。 なんと窓の下にあるボタンで透過光量を調整するのである。 これはなかなかよい。
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定刻に山口宇部空港に到着。東京に比べて非常に蒸し暑く感じる。 ANA クラウンプラザ宇部にチェックイン。

(Jun.29 2012 @宇部)
by polarbearmaniac | 2012-06-29 23:30 | しろくま紀行

ベルリン動物園のクヌートの記念像が完成間近となる ~ 8月に除幕式の予定

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完成目前のクヌート記念像と製作者のヨーゼフ・タバフニク氏
Photo(C)BZ

昨年3月に悲劇的な死を遂げたベルリン動物園のクヌートですが、彫刻家のヨーゼフ・タバフニク氏の担当しているベルリン動物園内に設置される予定の等身大の記念像の制作が最終段階を迎えベルリンの地元のマスコミに公開されました。 この記念像「夢想するクヌート (Knut - Der Träumer)」ですが今のところ8月下旬にベルリン動物園内のホッキョクグマ展示場で除幕式が行われる予定だそうです。 動物園協会の会長であるトーマス・ツィオルコ氏も現在までの出来栄えに非常に満足しているようです。

この下の映像は、このクヌート記念像のデザインについて公募が行われ応募されたデザインのうちからヨーゼフ・タバフニク氏のものが選ばれ、それが発表されたときの映像です。 このデザインによって今回の記念像が制作されているわけですね。



(資料)
Berliner Kurier (Jun.28 2012 - Hier wird Eisbär Knut unsterblich)
BZ (Jun.28 2012 - Der erste Blick auf den ewigen Knut)

(過去関連投稿)
ベルリン動物園の故クヌートの記念像のデザインが決定
by polarbearmaniac | 2012-06-29 12:00 | Polarbearology

ロシア南部 ロストフ・ナ・ドヌのロストフ動物園のイョシ ~ 安住の地での近況

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イョシ Photo(C) Комсомольская правда

一昨年の暮れにサンクトペテルブルクのレニングラード動物園で飼育されていたサーカス出身のホッキョクグマであるイョシがロストフ動物園に引き取られたことを投稿しています(過去関連投稿参照)。 サーカス団から「不適格」の評価を受けたためレニングラード動物園に送られ、約6年間というものの狭い檻の中で飼育されていましたがレニングラード動物園の財政が厳しく、同園では引き取り先の動物園を探していたところ、ロシア南部ドン川下流にある都市であるロストフ・ナ・ドヌにあるロストフ動物園が名乗りを上げたということでした。 一昨年の夏に私がレニングラード動物園を初めて初訪問した時にもこのイョシの姿を実際に見ていますが、本当に可哀想に感じたものでした。 そういったレニングラード動物園時代のイョシの映像を一つ御紹介しておきます。

Белый медведь (Ленинградский зоопарк)

このイョシがロストフ動物園に移動した後の様子がマスコミによって断片的に報じられています。 レニングラード動物園ではプールと言えるような場所があたえられていなかったイョシでしたが、今度のロストフ動物園では狭いながらもプールがあるそうです。昨冬はイョシは何日か戸外のプールから檻の中になかなか戻らなかったそうで、その原因はプールから上がる階段が凍りついてしまい、イョシはその凍結した階段を上がるのを恐ろしがっていたからのようです。 動物園のスタッフがその氷を取り除いてやったそうです。

最近のロシアはもう夏ですが、イョシは一日の多くの時間をコンクリートの上で寝そべって過ごし、そこに陽が当り始めると4メートルの深さのあるプールに入って暑さをしのいでいるそうです。 さすがに夏場は食欲が少し落ち気味のようです。
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イョシ Photo(C) Комсомольская правда/Чепурная Ольга

このイョシがロストフ動物園に移ったあとの映像を一つ御紹介しておきましょう。このロストフ動物園も飼育環境がさほど良い場所だとはいえないように思います。



この下はごく最近の映像で、プールのわきにいるイョシです。



このイョシもまだ10歳です。 なんとかパートナーを...とも思うのですが、いかんせん雌不足が深刻なため見つけるのは容易ではないでしょう。残念なことです。 ともかくイョシが元気でいるらしいことを知って安心しました。

(資料)
Комсомольская правда (Jun.27 2012 - В Ростовском зоопарке животные объявили бойкот)
Комсомольская правда (Feb.8 2012 - В ростовском зоопарке белого медведя из-за лютых морозов посадили в закрытый вольер)

(過去関連投稿)
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のイョシ、ロストフ動物園に引き取られる
サンクトペテルブルクに別れを告げるイョシ ~ サーカス出身のホッキョクグマの境遇
ロシア・サンクトペテルブルクのイョシ、新天地ロストフへ出発
by polarbearmaniac | 2012-06-28 18:00 | Polarbearology

ホッキョクグマの起源について(2) ~ ホッキョクグマ版 「イヴ仮説」 の登場

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イコロ (2012年6月3日撮影  於 おびひろ動物園)

前投稿よりの続き)
前回の投稿で、異説が乱立していた「ホッキョクグマの起源」に関して、ホッキョクグマの化石の発見・分析とミトコンドリアDNAの抽出・分析によるホッキョクグマの起源に関する系統図上の位置付けが初めて行われたところまでを整理しました。 今回はこの「通説」と呼べるようになった(2) 11~13万年前説で採用されたミトコンドリアDNAの分析を基礎にして現れた一つのセンセーショナルな研究結果を述べてみます。それはホッキョクグマ版の「イヴ仮説」です。 実はこれは「ホッキョクグマの起源」に関する(1)と(2)のような新説ではない点をご注意下さい。

(3) ホッキョクグマ版 「イヴ仮説」 (2011年登場)
この研究結果についてAFP通信(日本語版)が報じた内容をコピーします。

ホッキョクグマの故郷、実はアイルランド 異種交配も10万年前から
【7月8日 AFP】 北極圏のホッキョクグマのDNA調査で、全てのホッキョクグマのルーツが、2~5万年前に現在のアイルランドに生息していた1頭のメスのヒグマにたどり着くことが明らかになった。 米ペンシルベニア州立大(Pennsylvania State University)などの国際研究チームが7日、米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に発表した。 研究チームはロシア、カナダ、グリーンランド、ノルウェー、米アラスカ(Alaska)州にまたがる北極圏全体から、現存する個体と過去の個体のDNAサンプル242頭分を集めた。 母性遺伝する遺伝物質ミトコンドリアを分析したところ、全てのルーツが2~5万年前に現在のアイルランド大西洋岸に生息していた共通の祖先に行き着いた。 また、近年問題視されているホッキョクグマとヒグマの交配が、過去10万年にわたって定期的に行われていたことも示された。 気候変動によって既に絶滅の危機に瀕しているホッキョクグマにとって、こうした異種交配は純粋な遺伝子配列の保存という意味で脅威と考える科学者もいる。 しかし、今回の研究によって、ホッキョクグマの進化の過程で異種交配が良い影響をもたらしてきた可能性が出てきた。 研究チームでは、さまざまな生物種が生き残る上で交配種が果たしてきた役割が正しく評価されていない可能性があるとして、ホッキョクグマの保護の取り組みを見直し、純粋種だけでなく交配種も保護対象に含めるべきだと指摘している。(C)AFP/Marlowe Hood
(Jul.8 2011)

この研究結果を提示した国際研究グループの一人、アメリカ・ペンシルヴァニア大学のベス・シャピロ女史の説明をご紹介しておきます。



実はこの説はマスコミの非常に誤った認識によって一般に紹介されているケースが比較的多いように思います。 それは欧米のマスコミであることや日本のマスコミであることを問いません。 この「イヴ仮説」を、あたかも「アイルランドに生息していた1頭の雌のヒグマから現在の全ホッキョクグマが生まれた」と理解するとすれば実はこれは大変な誤解なわけです。 上の映像でシャピーロ女史が語っている説明も厳密に言えば正確さに欠けていますね。 こういった専門家も一般が理解しやすいようにという意図からか、必要以上に簡単な内容に言い換えて発言するということも誤解のタネを振りまく原因になっているように思われます。

より正確な言い方をすれば、この説は「全てのホッキョクグマはアイルランドに生息していた1頭の雌のホッキョクグマに何らかの形で関連(関係)付けられる。」というのが正確な理解でしょう。 やや詳しく言えば、「現在のホッキョクグマの母親を次々にたどっていくと、ある一頭の雌のヒグマにたどりつく。 しかし、その同じ時期には他にもたくさんの雌がいて、家系図の母系だけをたどるのではなく、母系をたどりつつ時には父系をもたどるというような遡り方をすれば彼女達にたどりつくこともできる。」 ということにすぎません。 考えてみればこれは当たり前の話です。 仮に本当に現在の全てのホッキョクグマが一頭の雌のヒグマからはじまったとすれば、ではその一頭のヒグマの母親は誰だったかということになってしまうわけです。 このことだけとっても「全てのホッキョクグマはアイルランドに生息していた1頭の雌のヒグマからはじまったのだ」という理解の仕方は形式論理上も成り立たないわけです。

なぜこの研究が「アイルランドに住んでいた1頭のヒグマ」という帰結をわざわざ持ち出したかも問題でしょう。 そもそもこの「イヴ仮説」は人類の起源をめぐる議論において「アフリカ単一起源説」を補強するものとして登場したという経緯がありますが、「現代人のミトコンドリアDNAを分析すると、すべてが20万年前頃のアフリカに住んでいた一人の女性(イヴ) にたどりつく」という非常にセンセーショナルな形で世界的に紹介されたわけで、ホッキョクグマに関しても「二匹目のどじょう」として「アフリカの一人の女性」に代えて「アイルランドのヒグマ」をクローズアップさせた感がしないでもありません。

続く

(資料)
AFP 日本語版(Jul.8 2011 - ホッキョクグマの故郷、実はアイルランド 異種交配も10万年前から)
AFP (Jul.7 2011 - Mother of all polar bears from Ireland)
Current Biology (Volume 21, Issue 15 - Ancient Hybridization and an Irish Origin for the Modern Polar Bear Matriline)
U.S.News & World Report (Jul.7 2011 - Female Ancestor of All Living Polar Bears Was Brown)
The Pennsylvania State University (Jul.7 2011 - Ancestry of Polar Bears Traced to Ireland)
NPR (Jul.23 2011 - Today's Polar Bears Trace Ancestry To ... Ireland ? )
BBC News (Apr.2 2003 - Tanzania, Ethiopia origin for humans)

(過去関連投稿)
ホッキョクグマの起源について(1) ~ 諸説の成立過程を整理する
by polarbearmaniac | 2012-06-27 20:30 | Polarbearology

アメリカ・クリーヴランド、メトロパークス動物園のスノウボール (旭山動物園 サツキの母) の遺したもの

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スノウボール (サツキの母) Photo(C) Yahoo/shadowdancer

二年半ほど前の投稿で、アメリカ・オハイオ州クリーヴランドのメトロパークス動物園で37歳の高齢の雌のホッキョクグマ、スノウボールが2009年10月24日に亡くなったことをお知らせしています(「【訃報】 円山動物園のサツキのお母さんが亡くなりました..」。 亡くなってから2カ月以上経過してからの投稿でしたが、それはこのブログ開設直前の訃報であったために投稿が結果的に遅れてしまったわけでした。 このスノウボールは現在旭山動物園で飼育されているサツキの母親です。 亡くなったときの状況その他は以前の投稿で御紹介しています。彼女は亡くなった時点では北米では2番目に高齢のホッキョクグマでした。 ちなみに当時の最高齢は42歳のカナダのデビーでした。
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スノウボール Photo(C)Gisela Towner

このスノウボールは1971年にカナダのマニトバ州で、まだ一歳になっていないと思われる時期に孤児となっていたのを保護されたそうで、その以降はアメリカ・クリーヴランドのメトロパークス動物園で飼育されてきました。 彼女はこのメトロパークス動物園では「女王」として堂々と振舞っていたそうで、この施設の他のホッキョクグマも彼女には敬意を払っていたそうで、その一例として彼女が日向ぼっこをしようとした場所に他のホッキョクグマがいたときには、そのホッキョクグマは彼女に場所を譲ったそうです。 スノウボールはボール遊びが大好きで、彼女がボールで遊ぶ姿は来園者を大いに楽しませてくれたそうです。
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スノウボール Photo(C) World News Inc.

スノウボールはこのクリーヴランドのメトロパークス動物園で8頭の子供たちを育て上げたそうですが、パートナーの雄は複数(多分2頭でしょう)だったようです。 いろいろ調べてみたのですが彼女の子供で現在所在が明確にわかったのはシンシナティ動物園のリトルワンと旭山動物園のサツキだけでした。 以下がリトルワンです。 彼は1989年生まれでサツキのすぐ上の兄にあたります。
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リトルワン (シンシナティ動物園)
Photo: Zoochat/Hampel Group Pty Ltd

それから、旭山動物園のサツキの姉に当たるオーロラという29歳の雌のホッキョクグマがサツキの生まれ故郷であるクリーヴランドのメトロパークス動物園で飼育されていますが、このオーロラは母親がスノウボールではありません。 しかし父親(ナウヤ)がサツキと同じです。 以下がこのオーロラの姿ですが彼女もサツキによく似ています。 むしろ母親のスノウボール以上にサツキに似ているかもしれません。 ということは、サツキは母親のスノウボール以上に父親のナウヤに似ているのだということを意味するようにも思います。
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オーロラ (クリーヴランド、メトロパークス動物園)
Photo(C)World zoo Today
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サツキ (2011年5月20日撮影 於 旭山動物園)
Nikon D7000 TAMRON 18-270mm F3.5-6.3 Di II VC PZD

それからこのスノウボールの息子で一昨年の6月にデンバー動物園で亡くなったフロスティについては以前投稿していますのでご参照下さい(「アメリカ・デンバー動物園のフロスティ逝く」)。

以下に最晩年、彼女の亡くなる3カ月ほど前のスノウボールの映像をご紹介しておきます。 彼女はこのときすでに37歳になっており、やはり足腰の状態はかなり衰えているように見えますし体の状態も良くないように見えます。 私は昨年の9月にロシアのカリーニングラード動物園で38歳を間近にしたスネジンカに合っていますが、スネジンカのほうが足腰はしっかりしていたように思います。


ともかく、このスノウボールはクリーヴランドのメトロパークス動物園を高齢になっても支えた名ホッキョクグマであったと同ことは間違いありません。 私たちがなにげなく見ている日本の動物園のホッキョクグマたちの両親、特に母親をこうして振り返ってみることは実に興味深いことです。
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スノウボール (サツキの母) Photo(C)Yahoo/shadowdancer

(資料)
Cleveland Metroparks Zoo (News Room Oct.24 2010 - Polar Bear Dies at Cleveland Metroparks Zoo)
Cleveland.com (Oct.24 2010 - Cleveland Zoo's Snowball the polar bear found dead)
The Cleveland Leader (Oct.25 2010 - 2nd Oldest North American Polar Bear in Captivity Dies at Cleveland Metroparks Zoo)

(過去関連投稿)
【訃報】 円山動物園のサツキのお母さんが亡くなりました..
アメリカ・デンバー動物園のフロスティ(旭山動物園サツキの兄)逝く
高齢のデビーを愛し、慈しみ、送った人々 (上)
高齢のデビーを愛し、慈しみ、送った人々 (下)
by polarbearmaniac | 2012-06-26 21:30 | Polarbearology

フィンランド・ラヌア動物園の赤ちゃん、生後7カ月が経過 ~ ヴィーナスお母さんの遊び方

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Photo(C)Lehtikuva / Martti Kainulainen

フィンランドのラヌア動物園で昨年11月18日に生まれた赤ちゃんは順調な成育で生後7カ月が経過しています。 この赤ちゃん、名前がまだないのですが8月まで一般公募での受付が行われているそうで、もうかなりの数の応募があったそうです。 ごく最近の映像をご紹介しておきます。2番目の映像はラヌア動物園が公開した映像ですが赤ちゃんはヴィーナスお母さんが大きなポリ容器を押しているのを恐る恐る眺めています。





このヴィーナスお母さんというのはドイツのヴっパータール動物園のアノーリの母であるヴィルマと同じく今回が初めての子育てです。 こういう若いお母さんたちは比較的こうやって自分でも自ら遊ぶ傾向があるように思われます。 そういった遊びは赤ちゃんと一緒のときもあれば自分だけでのときもあります。 昨年の円山動物園でのララがアイラの子育て中でも自分だけで遊んでいた時間帯がありましたが、あれはララが若返ったように印象をもったものです。 子育て経験が豊富になってきたお母さんたちは、子供たちと遊ぶことはあっても自分だけで遊ぶということはあまりないものですが、ララとモスクワ動物園のシモーナはその例外でしょう。

(資料)
KP24.fi (Jun.12 2012 - Uhmaikäinen jääkarhu nauttii vedestä ja varjosta)

(過去関連投稿)
フィンランド・ラヌア動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
フィンランド・ラヌア動物園で誕生の赤ちゃん、順調に生後1か月目へ
フィンランド・ラヌア動物園で誕生の赤ちゃん、生後4週間目の映像
フィンランド・ラヌア動物園で誕生の赤ちゃん、生後54日経過の産室内の映像が公開
フィンランド、ラヌア動物園の赤ちゃん、順調に生後70日間が経過
フィンランド、ラヌア動物園の赤ちゃんが元気に生後3か月へ
フィンランド、ラヌア動物園の赤ちゃん、遂に戸外に初登場!
フィンランド、ラヌア動物園の赤ちゃんの追加映像 ~ 何事にも慎重なヴィーナスお母さん
フィンランド・ラヌア動物園の赤ちゃん、戸外の時間が非常に増える ~ 室内/戸外の扉開放方式を考える
フィンランド・ラヌア動物園の親子、まだまだ雪の感触を楽しむ
フィンランド・ラヌア動物園の赤ちゃんが生後6か月目へ ~ 観光プロモーション映像の公開
フィンランド・ラヌア動物園の赤ちゃんの水遊び ~ 生後7か月目へ
by polarbearmaniac | 2012-06-25 20:00 | Polarbearology

アメリカ・アリゾナ州 レイドパーク動物園のスノウの慢性皮膚アレルギーが快方へ

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慢性皮膚アレルギーより回復したスノウ Photo(C)Reid Park Zoo

皮膚炎を患っていて「転地療養」のために今年の2月からアメリカ・アリゾナ州のツーソン(Tucson)にあるレイドパーク動物園(Reid Park Zoo)で暮らしているデンバー動物園生まれで人工哺育で育てられたスノウについては以前2回ほど投稿していますので過去関連投稿をご参照下さい。 報道によりますと彼女の皮膚の状態はみるみるうち好転してきたそうです。 アリゾナ州の日光と乾燥した空気が、やはり当初予想した通りスノウの皮膚炎(今回の報道では「慢性皮膚アレルギー(chronic skin allergies)」だと言っています)の治癒に大きな効果があったと思われます。 この下の映像は今年の2月にスノウがレイドパーク動物園にやってきて間もない頃の写真と映像です。やはり皮膚の状態は良くないですね。
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2月のスノウ Photo(C)Southern Arizona Veterinary Specialty and Emergency Center



しかし現在では冒頭の写真のようにきれいな状態になっています。 このスノウがアリゾナへ来る前に暮らしていたフロリダ州オーランドのシーワールドの飼育展示場は完全に屋内だったそうで多分湿度が高かったことがこのスノウの慢性皮膚アレルギーを増長させたものと推測できるようです。 空気の乾いたアリゾナでスノウが回復して本当によかったと思います。 以下がスノウの回復を伝えるニュースの映像です。 冒頭はCMです。


ふと思ったのですが、あの男鹿水族館の豪太ですが彼がこの皮膚アレルギーとは無縁だとは言い切れないような気もします。 ちなみに、この下の分布図は気象庁が発表している日本の都道府県別の年間相対湿度を偏差値にしたものです。
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データ : 気象庁

これを注意深く見ると日本全国でホッキョクグマを飼育している都道府県のうちで年間相対湿度が最も高いのは秋田県です。 豪太をして現在の豪太たらしめているのは秋田県の高湿度なのかもしれません。

(資料)
KVOA Tucson News (Jun.22 2012 - Tucson climate 'working wonders' for Snow the polar bear)
Blog at WordPress.com (Southern Arizona Veterinary Specialty and Emergency Center - Feb.27 2012)

(過去関連投稿)
アメリカ・フロリダ州シーワールドのスノウ、脱毛治療のためにアリゾナ州のレイドパーク動物園へ移動決定
アメリカ・デンバー動物園で人工哺育された有名な双子のクロンダイクとスノウに遂に別離の時来る
by polarbearmaniac | 2012-06-24 19:00 | Polarbearology

若々しさを保つバーレー ~ 偉大なる母の娘、ここにあり

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やあバーレー、久しぶりだね! 元気そうですね!
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このバーレーは現在26歳である。 ロシア・サンクトペテルブルク (当時はまだソ連のレニングラード) のレニングラード動物園で1985年12月3日に生まれている。 そして彼女は先日他界した上野動物園のレイコの腹違いの妹にあたる。 私の持っているレニングラード動物園の記録によれば、当時レニングラード動物園で雄のバレンツと共に繁殖を担っていた雌は2頭いたがバーレーの母親はエジャであり、一方レイコの母親はリトカである。 どちらも偉大な母であった。 エジャは10頭、リトカは12頭の子供を立派に育て上げている。 上野のレイコは亡くなってしまったが、私たちはこうして、現在の女帝ウスラーダが君臨している以前の時代のロシアの往年の2頭の偉大なる母親たち(エジャ、リトカ)の娘であるレイコとバーレーの姿を日本で見られる機会を持ったのである。
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バーレーが後ろ向きに座るとハートのマークが出るのがおもしろい。
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午後2時半からは氷のプレゼントがある。飼育員さんが車で到着したのに気がついたバーレー。

恒例の「氷のプレゼント」でも決して急がないバーレー
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バーレーはすぐに氷をプールから上げて、上で中身のおやつを食べるのである、
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今までの経験で言えば、バーレーはそれほど水に入ることのないホッキョクグマだと思う。
プールを泳いだあと背中を擦るバーレー
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バーレーはあのルルとララの父親であったシローのパートナーとしてここで暮らしていた時よりも現在のほうが運動量は多いようだ。動きも若々しさを感じる。
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バーレー、これからは暑い季節になります。体に気をつけて下さいね!
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今日の徳島は曇天で温度も比較的高くなく過ごしやすい日だった。

Nikon D5100
Tamron 18-270mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD
(Jun.23 2012 @とくしま動物園)
by polarbearmaniac | 2012-06-23 21:30 | しろくま紀行

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