街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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驚くべき進化を遂げつつあるミルク ~ "Efforcez-vous d'entrer par la porte étroite..."

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さて、前投稿で述べたようにクルミお母さんから速やかなる「母親離れ」を行いつつあるミルクである。
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しかしそれはミルク自身が好んで選択した道ではない。 そうせざるを得ないように追い詰められたからというほうがむしろ正確だろう。
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だが、なんとなく可哀想な気もするのである。

独りでブイと遊ぶミルク

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このミルクはここにきて、いろいろなおもちゃを巧みに操って遊ぶようになった。 同じおもちゃを用いても以前とは比較にならないほどその扱いは巧みなのである。

黄色いチューブで遊ぶミルク

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このミルクは札幌のマルルやポロロとは違って日中ほどんどお昼寝をしないのである。 少なくとも私はそうしたシーンに出会ったことがない。 そしてクルミお母さんもほとんど休まないのである。
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こういった比較はしたくないのだが、このミルクは現時点ではいくつもの点で札幌のマルルとポロロよりも先んじていると思われる。 そしてさらにこのミルクは、もうこの時点で母親と別の道を歩むことを実践に移行させているのである。 実に大変な逸材である。末恐ろしいと感じさえもするのである。
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ただしマルルとポロロには、それこそ、とんでもないほど優れた母親がいて、たっぶりと睡眠をとり、そして "Slow and Steady" で育っている。 そうしたことを考えると、このミルクはたった1頭で孤軍奮闘しているような印象さえ持ってしまうのだ。 見ていて何か同情してしまうのだ。

ブイ遊びに夢中なミルク

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このミルクが将来どこの動物園で飼育されることになるかはわからない。 通常で考えれば釧路市動物園に向かうということになるはずである。
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ただし、飼育スペースの点で不足しているのである。 実に頭の痛いところである。
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人間の世界で「大物」と言えば、何かつかみどころのない茫洋とした雰囲気を漂わせているのが一般的である。 ところがこのミルクは、何か鋭敏にして、かつ「大物」とでも言うべきか、そういった感じがする。
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このミルクに声援を送り続けたい。
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Nikon D7100
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-5.6G ED VR
(Aug.31 2013 @秋田県、男鹿水族館)
by polarbearmaniac | 2013-08-31 23:40 | しろくま紀行

悪天候、そして夏の終わりの男鹿水族館 ~ 転換点を迎えたクルミとミルクとの母娘関係

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これでミルク公開後は4回目となる男鹿水族館である。 今日は天候が悪い。 前線が接近しているためだろう。
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雨が強くなったり弱くなったりと、天候回復の兆しは見えない。
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夏休みの終わりと悪天候が重なったためか、人も車も全く見えない。 休館日かと思ったくらいだった。
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やあ豪太君、なかなか精悍ですね!
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クルミお母さん、ミルクちゃん、今日もよろしくお願いいたします!
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さて、このクルミお母さんとミルクとの母娘関係はその後どうなっているのだろうか?
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前回7月27日の訪問記にも書いたが、クルミお母さんは展示場内においては自分の自由な時間と空間を確保し、そしてその領域には絶対に娘を入れないのである。 そういった時空間においてはクルミお母さんは自分が母親であることを自ら否定するほど徹底的に一頭の雌のホッキョクグマとしての存在を確立させている。
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これがクルミお母さんというものの母親像なのである。 いや、正確には、母親たることを拒否するタイプの母親像という、極めて逆説的な在り方なのだ。 だから、こういった母親像は容易に変化することはないということだろう。 だから今日も全く同じである。 以下は本日の映像であるが、クルミお母さんは自らの遊びの時間には断固として娘を拒否している姿は変わらないのだ。 この下の映像を見て、これは母と娘の楽しい水遊びのシーンだと思ったら大間違いである。 こういった映像に、このクルミ母娘の基本的関係の大部分が凝縮されている。 私は今まで、こうした母親のホッキョクグマには欧州でもロシアでも見たことがない。 もちろん、札幌でなどでは絶対に見ることができない光景である。 私はこのクルミほど個性的なホッキョクグマの母親を今まで見たことがないのである。

自らの時間から徹底的に娘を排除しようとするクルミお母さん
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こうしたクルミお母さんの姿勢を、「凛としている」と見るか、それとも「単なるエゴイズム」 と見るかについては意見が別れそうである。 私は後者であるように感じるのだが、そう言い切る自信は全くない。
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しかし今日じっくりと観察してみて大きく変化してきたこをを感じるのはミルクの態度のほうである。 それは驚くべき変化であった。
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ミルクは母親の態度に納得できないのである。
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ならばミルクは、自分は他の道を行かねばならないとことハッキリ気が付いたのである。
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それは母親が指示してくれた道ではない。 ミルクは明らかに母親に反発する気分が熟成されてきた気がするのだ。
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そもそもクルミお母さんはそういった道を何らも示してくれなかったのである。
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ミルクの、意識における「母親離れ」は一気に加速し始めたような形跡を感じる。 それはミルクにあっては、母親を踏み台にでもすろかのように母親を超えようとする道だろう。
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ララのような「対象関与型」 の母親に育てられる子供はこういった形で「母親離れ」をすることはないように思う。 さらにララには、たとえ娘たちに友達のような態度で臨んでいたとしても、その最終的なところには多かれ少なかれ「母親の絶対権威」というものは存在している。 だからララの娘たちが母親から精神的に独立していくスピードは非常にゆっくりとしたものである。
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一方でこのクルミお母さんにはララの持つ「母親の絶対権威」は存在していないように見える。 そしてさらに、クルミお母さんはララと異なり「対象非関与型」の母親である。 だから、子供たちがある時期を境にして一気に「母親離れ」を起こすことは「対象非関与型」の母親の宿命であるとも言えるかもしれない。 そもそもクルミお母さんは初産でこのミルクを産んで母乳で育てたのである。 彼女としては精一杯やるべき最低限のことは行ったのである。 それ以上を彼女に求めるのは酷だろう。 彼女は早く自分だけの自由な時間を持ちたいのである。そしてそうした時間には育児などは忘れて、ひたすら自分だけの世界を楽しみたいのである。 こういったことを考えるとクルミはララやウスラーダやシモーナなように出産を何度も繰り返すといったような母親ではないかもしれない。 「皆さんのご期待通りに私は繁殖に成功したのだから、それ以上のことは求めないでほしい。」と言っているようにも感じられる。
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さて、こういったことでミルクの自我がハッキリとした形で目覚め始めたように思われる。
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それは、母親から多くのことを教わって成長し、そして母親を超えていくというような道ではない。 ミルクは母親との関係を自ら稀薄にすることによって母親を踏み越えていこうとする道を選択したように見える。

それぞれの道を歩み始める母娘

Nikon D7100
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-5.6G ED VR
(Aug.31 2013 @秋田県、男鹿水族館)
by polarbearmaniac | 2013-08-31 23:30 | しろくま紀行

カナダ・ウィニペグのアシニボイン公園動物園で暮らすハドソンの夏 ~ 払拭した「人工哺育」への特殊感情

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ハドソン Photo(C)Assiniboine Park Zoo

2011年10月11日にカナダのトロント動物園で誕生し人工哺育で育てられた雄のハドソンについてはその誕生から、彼が今年の2月にマニトバ州・ウィニペグのアシニボイン公園動物園に移動したことも含め、その成長を追いかけ続けています。 ホッキョクグマの人工哺育というものを何か特別なものとして見るというという傾向は、どうもドイツと日本に非常に強いようで、それはクヌートとピースという例を挙げてみれば理由はわかるような気がします。 クヌートにあっては育ての親であった飼育員のトーマス・デルフラインさんの死と、そしてクヌート自身の悲劇的な死によって「クヌートの物語」は永遠化されたと言えるでしょう。 一方ピースの場合は、その初期の成長過程と彼女にふりかかった「癲癇」という病によって、彼女の生きざまは独特の色合いを帯びたものになっています。

一方で、このハドソンにしてもスカンジナヴィア野生動物公園のシークーにしても、人工哺育というものに付きまといがちな一種のそうした情緒的な思い入れからは無縁な存在となっていることに安堵感を覚えるわけです。 今年の年末、札幌や大阪やその他の都市の動物園で仮に万が一にでも人工哺育を行うという事態に直面すれば、試されるのはその動物園と飼育員さんではなく我々のような外野の人間の側でしょう。 こうした人工哺育にまつわる情緒的な思い入れをキッパリと立ち切ることが求められるわけです。 TVのドキュメンタリー番組や映画などによって描かれる「物語」を拒否し、マルルやポロロやミルクのような普通のホッキョクグマとして見てやることが必要でしょう。

こうして生まれ故郷のトロント動物園からウィニペグのアシニボイン公園動物園に約半年前に移動してきたハドソンはもう間もなく2歳になろうとしています。 この下の映像は今までご紹介していなかったカナダ放送協会の映像で、この4月上旬頃の映像でしょう。 新しい場所にかなり慣れ親しんだようですが近づいてくる来園者には興味深々のようです。 冒頭にCMが入ります。



前回の「カナダ・マニトバ州のアシニボイン公園動物園のハドソンの近況」という投稿で触れていますので是非それをまたご参照いただきたいのですが、飼育員さんは非常に考えながらハドソンの飼育を行っています。前回ご紹介した訓練のほかにも、このハドソンをいかに退屈させないかに注意を払っています。 この夏の彼の様子をカナダのTV番組が伝えている映像がありますので、それを見てみましょう。 この中で飼育員さんはハドソンに30種類ものおもちゃを代わる代わる与えて彼が退屈しないようにしていると語っています。 おもちゃに飽きないように毎日異なったものを与えているということです。 この日はポリバケツにボールを突っ込んでなかなか取り出せないような状態にして彼に与えています。



次の映像は真夏にハドソンに雪のプレゼントです。



このアシニボイン公園動物園 (Assiniboine Park Zoo) というのは今更言うまでもなく2008年11月に当時世界最高齢の42歳で亡くなったデビーが暮らしていた動物園であり、そして仙台の八木山動物公園のナナが生まれた動物園でもあります。 ナナはこの偉大だったデビーの娘だったわけですが、そういったことに関しては「カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園の新展示場施設の建設  ~  偉大なるデビーの遺したもの」をご参照下さい。

(資料)
ChrisD.ca (Aug.18 2013 - ‘Polar Party’ to Keep It Cool at Assiniboine Park Zoo)
CBC (Apr.12 2013 - Hudson the polar bear getting settled at Winnipeg zoo)

(過去関連投稿)
カナダ・トロント動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ 今シーズン最初の出産ニュース
カナダ・トロント動物園で誕生の赤ちゃん、生き残った2頭のうち1頭が死亡
カナダ・トロント動物園にて人工哺育で育てられた赤ちゃんが遂に一般公開
カナダ・トロント動物園で人工哺育されている赤ちゃんの名前が決まる
カナダ・トロント動物園で人工哺育されたハドソンの近況
カナダ・トロント動物園で人工哺育されたハドソンの満一歳のお誕生会が開催される
カナダ・トロント動物園のハドソンがマニトバ州のアシニボイン公園動物園へ移動 ~ 新天地への船出
カナダ・トロント動物園のハドソンがウィニペグのアシニボイン公園動物園に無事到着
カナダ・マニトバ州のアシニボイン公園動物園で遂にハドソンが一般に公開される
「ホッキョクグマ飼育マニュアル(Care Manual)」よりの考察(2) ~ ホッキョクグマの訓練をどう考えるか
カナダ・マニトバ州のアシニボイン公園動物園のハドソンの近況

(*以下、アシニボイン公園動物園関連)
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園内に建設中のホッキョクグマ保護・厚生センターについて
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園内にホッキョクグマの保護・厚生施設が完成
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園の新展示場施設の建設  ~  偉大なるデビーの遺したもの
by polarbearmaniac | 2013-08-31 01:00 | Polarbearology

アメリカ ・アラスカ州北部の寒村カクトヴィクに住む人々とホッキョクグマたち ~ 奇妙な共存関係

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カクトヴィク村付近のホッキョクグマ Photo(C)Glenn BurnSilver
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アメリカ極北のボーフォート海に面したアラスカ州北部の寒村であるカクトヴィク (Kaktovik) は人口が240人の寒村とも言ってよい小さな村ですが、この村のある場所には住民だけでなく、季節には80頭の野生のホッキョクグマも居ついているというユニークな村だそうです。 この村で生まれ育ち、そしてもう40年以上も住んでいる人に言わせるとなかなか居心地の良い村のようです。そうは言ってもこの40年間もの間で村は少しずつ変わり始めており、かつては生計を支えていたほど行われていた狩猟はだんだんと行われなくなりつつあるそうです。別の住民に言わせると、かつてはもっと住民が共に生活していくという共同体としてのまとまりがあったと語っています。 しかしそういった感覚だけでも子供たちに伝えていきたいとこの村を愛する住民は願っているようです。
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カクトヴィク Photo(C)WODU Media/Will Rose and Kajsa Sjölander

このカクトヴィクの村でここ10年ほど前から行われるようになったのは観光業としてのホッキョクグマツアーであり、行政からの免許を取得してガイドとなり世界中から野生のホッキョクグマを見たいという環境客を相手に短時間のツアーを行って生計をたてる住民が4人いるそうです。 特に観光シーズンである9月には2~3時間のツアーで約400ドルから550ドルほどのツアーが予約で一杯になるそうで、この時期にあげた収入で1年間の生計を支える収入が得られるそうです。こういったホッキョクグマツアーについて最初のうちはこの村の住民たちのなかには、外からのこういった観光客たちが村にやってくることを好まない人々もいたようですが、やがてそういった人々もこういった観光客の存在が村にとっての利益につながることを理解してきたそうです。そういったカクトヴィクの村の周辺でのホッキョクグマツアーの様子を伝えるTVのニュース映像をご紹介しておきます。 こちらをクリックしてご覧になってみて下さい。
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カクトヴィク村付近のホッキョクグマの親子 
Photo(C)Alaska Dispatch/Loren Holmes

こういったホッキョクグマツアーのガイドの免許を持つ公認ガイドはツアー客を案内してボートで可能な限りホッキョクグマに接近する技術に長けているようです。 そういったガイドの一人に言わせると、「ホッキョクグマは落ち着いた (mellow) 動物なのだ。」と語っています。 アラスカ州の魚類野生動物保護局 (U.S. Fish and Wildlife Service) の担当者は、野生のホッキョクグマにも個体間の性格の違いなどもあってこういった接近可能な距離がどれだけのものであるかを判断できるのがこうしたガイドの技能であると語っています。 こういったことを伝えるニュース映像を、こちらをクリックしていただいて開いたページで是非ご覧いただきたく思います(冒頭にCMが入ります)。
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カクトヴィク村付近で村民に放置された鯨の一部を食べるホッキョクグマたち 
Photo(C)Alaska Dispatch/Loren Holmes

このカクトヴィクの村での夏から秋にかけては、以前と比較すると陸上で過ごすホッキョクグマの頭数が増えてきたそうで、彼らは陸上で食料を求める傾向が強くなっているそうです。カクトヴィクの村の秋の捕鯨解禁期間である9月には、村民は利用しなかった北極鯨の体の一部分をホッキョクグマたちの食料として放置しておくことなども以前から行われているようで、そういったこともあってかホッキョクグマたちがカクトヴィクの村の周辺に季節的に居ついている理由となっているようです。 そういったこの村周辺のホッキョクグマたちの映像をご紹介しておきます。 開始後2分20秒あたりからホッキョクグマたちが登場しています。



なるほど、こういった海が氷結していない季節に人為的に放置されたこれだけの食料が得られるとすればホッキョクグマたちにとっては好都合だと思われます。 そして一方で、こうして食料を求めてカクトヴィクの村の周囲にたむろしているホッキョクグマたちの存在は、今度は観光資源として村の住民たちの役に立っているということなのでしょう。 カクトヴィクの村の住民たちとホッキョクグマの利害関係はこうして見事に一致しており、奇妙な共存関係が成り立っているようです。

(資料)
KTUU.com (Aug.27 2013 - Polar Bear Viewing Tours Take off in Kaktovik)
KTUU.com (Aug.26 2013 - Kaktovik's Historic Traditions at Odds with its Future)
Alaska Dispatch (Sep.23 2012 - Rotting whale meat lures record 80 polar bears to Kaktovik)
Liner Notes (Oct.4 2009 - Polar Bears on Parade)
by polarbearmaniac | 2013-08-30 01:00 | Polarbearology

ニューヨーク ・ セントラルパーク動物園のガス逝く

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ガス Photo(C)Julie Larsen Maher/Wildlife Conservation Society

ここのところホッキョクグマの訃報が続いています。 アメリカ・ニューヨークのセントラルパーク動物園の発表、及びマスコミの報道によりますと、同園で飼育されていた27歳の雄のホッキョクグマであるガス (Gus) が火曜日の27日に安楽死という処置で亡くなったとのことです。 ガスは以前から食欲の減退と食事の咀嚼及び飲み込みに苦労する状態になっており、獣医さんの診断で甲状腺に手術での摘出が困難である腫瘍があることが判明していたとのことです。 ガスの病理学的な状態についてはこれから検死によって詳しく調査される予定だそうです。
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2002年6月のガス Photo(C)AP/Diane Bondareff

このガスについては以前彼のパートナーであったイダの死についての「ニューヨーク、セントラルパーク動物園のイダ逝く」、及びその後のガスの様子について「ニューヨーク・セントラルパーク動物園のガス ~ ホッキョクグマにも『離(死)別の悲しみ』はあるのか?」 という投稿でご紹介したことがありました。 このガスもパートナーであったイダの死後は落ち込んでいた様子が観察されたそうですが、その彼もパートナーの死の2年後にこうして亡くなってしまいました。 私は2007年の6月にニューヨークを訪れた際にセントラルパーク動物園でこのガスと彼のパートナーであったイダと会っていますので今回の彼の訃報を知って非常に悲しい気持ちになっています。 ここで生前のガスの映像をご紹介しておきます。 ここをクリックしていただくとニューヨークタイムズ紙のサイトで彼の最晩年の姿を見ることができます。 これはWCS (Wildlife Conservation Society - 野生生物保護協会)の制作した "Goodbye, Gus" という素晴らしい映像です。 念のためにこの下にもその映像を貼り付けておくことにします。


それから、この下の映像はそれほど大した映像ではありませんが一昨年の映像のようです。



この下の映像は昨年のもののようです。



このガスは1985年にオハイオ州のトレド動物園の生まれで、1988年以来ずっとこのセントラルパーク動物園で飼育されてきました。 彼のパートナーだったのはリリーとイダの2頭の雌でしたが、リリーは2004年に、そしてイダは2011年に亡くなったわけで最晩年の彼は一頭だけで飼育されてきたわけでした。 このガスは写真で見る印象よりも実際はやや神経質なホッキョクグマであるように思いました。 かなり繊細な面があったようです。
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Photo(C)Reuters

彼は1994年頃からプールでの常同行動としての泳ぎを行い始めた時には非常に懸念が示され、おもちゃなどを与えてそれを抑制することなどが行われて一定の成果も挙げていたようですが、多かれ少なかれガスのこの行動は長く続いたわけでした。 大都市ニューヨークにあってこのガスは本当に人気者のホッキョクグマでした。 本当に惜しいことをしました。 こうしてセントラルパーク動物園からホッキョクグマの姿が消えてしまったわけです。

謹んでガスの冥福を祈ります。
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2002年6月のガス(左)と彼のパートナーだったイダ(右)
Photo(C)AP/Diane Bondareff

(資料)
Central Park Zoo (Aug.28 2013 - Our Polar Bear, Gus, Dies at 27)
The New York Times (Aug.28 2013 - Gus, New York’s Most Famous Polar Bear, Dies at 27)
The Wall Street Journal (Aug.28 2013 - Gus, the Central Park Zoo’s Beloved Polar Bear, Dies)
ABC News (Aug.28 2013 - Central Park Zoo's Popular Polar Bear, Gus, Dies)
Huffington Post (Aug.28 2013 - Gus, Central Park Zoo's Polar Bear, Has Died)
NY Daily News (Aug.28 2013 - Central Park Zoo’s beloved polar bear Gus dies after being euthanized Tuesday)
The New York Times (Jul.2 2011 - The Lonely Polar Bear)

(過去関連投稿)
ニューヨーク、セントラルパーク動物園のイダ逝く
ニューヨーク・セントラルパーク動物園のガス ~ ホッキョクグマにも「離(死)別の悲しみ」はあるのか?
by polarbearmaniac | 2013-08-29 06:00 | Polarbearology

メキシコ、メキシコシティ (Ciudad de México) のチャプルテペック動物園のナヌカが亡くなる

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ナヌカ Photo(C)Zoológico de Chapultepec

メキシコの動物園を管轄しているメキシコの環境天然資源省 (Secretaría de Medio Ambiente y Recursos Naturales) の発表、及び同国の報道によりますと、メキシコの首都メキシコシティ (Ciudad de México) にあるチャプルテペック動物園 (Zoológico de Chapultepec) で飼育されていた、まもなく30歳(推定)になろうかという雌であるナヌカ (Nanuka) が26日の月曜日に死亡したのことです。 ナヌカは以前から良性の腫瘍があることは診断されていたものの高齢であるため手術は見送られていたそうですが、最近は心臓や腎臓の不全に加えて大腿骨などに骨関節炎の症状がみられ体の動きが不自由になっていたそうです。 痛みは鎮痛剤の投与でなんとか抑えていたそうですが、こうした老齢からくるいくつもの症状が重なり、とうとう亡くなったとのことです。 明言されてはいませんが安楽死の処置がとられたと思います。 さすがにアングロサクソンの国々のようの例えば euthanize とか put down のような直接的な表現は用いずに文脈でそれとわかる言い方をしています。 このあたりのスペイン語自体の持つ表現力は実に繊細です。

ここで生前のナヌカの映像をご紹介しておきます。





このナヌカは彼女が1歳の1984年10月に母親と一緒にチャプルテペック動物園に入園したようで、彼女はカナダの野生出身の個体だったようです。 ホッキョクグマにはよくあるイヌイット語のナヌク/ナヌーク (Nanuk/Nanook) という雄の名前を _a で終止させて女性形にしてナヌカ (Nanuka) にしたという命名だったものと思われます。

またこうして高齢のホッキョクグマが亡くなってしまいました。 謹んでナヌカの冥福を祈ります。 長い間本当にご苦労様でした。
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Photo(C)Zoológico de Chapultepec

(資料)
Secretaría del Medio Ambiente (Aug.26 2013 - Nanuka, una de las osas polares más longevas en el mundo, murió en su albergue del Zoológico de Chapultepec.)
Milenio.com (Aug.26 2013 - Fallece oso polar más longevo en zoológico de Chapultepec)
Diario Digital Juárez (Aug.26 2013 - Fallece oso polar más longevo en zoológico de Chapultepec)
CNN México (Aug.27 2013 - 'Nanuka', la osa polar más longeva del mundo muere en Chapultepec)
by polarbearmaniac | 2013-08-28 12:00 | Polarbearology

ロシア極北で負傷、ペルミ動物園で保護されたセリクについて ~ ロシアでの野生孤児の個体保護の問題点

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ペルミ動物園でのセリク  Photo(C)"Вести" интернет-газета"

昨日まで何回かにわたってロシア極北ヤマロ・ネネツ自治管区のベルイ島で密漁者に銃撃され負傷していたところを現地で活動していたボランティアチームによって保護された後にペルミ動物園に移送された雄のセリクについて投稿してきました。 こういった野生の幼年孤児個体が保護されそして動物園で飼育されるようになったケースは私がこのブログを開設してからも数例あり、それらについては全て漏らさずここでご紹介してきたつもりです。ロシアではモスクワ動物園のアイオンクラスノヤルスク動物園のヴィクトリアとオーロラペンザ動物園のベルィヤクーツク動物園のコルィマーナなどでありアメリカ (アラスカ) ではルイビル動物園のカニックバッファロー動物園のカリーなどがそういった個体にあたります。 ロシアにおいてこうした野生孤児の個体を動物園で保護する際に問題となることをペルミ動物園・統括のエレーナ・ブルディナさんがマスコミに語っていますので簡単にご紹介しておきます。 ほとんどの内容はが既知のことではありますが、ここで改めて原点に立ち返って現場の担当者の語ることに耳を傾けてみたいと思います。 その前に、また2つほど今回ペルミ動物園で保護されることになったセリクについての地元TV局の番組をご紹介しておきます。 二番目の映像の開始後2分5秒あたりから映っているはアンデルマです。 冒頭にCMが入ることがあります。





ブルディナさんが語るには、こういった野生孤児個体を発見・保護した場合にまず大事なことは、その地区の行政担当者の素早い対応だそうです。 まずその地区の行政の責任者が迅速に連邦政府の自然管理局 (RPN - Федеральная служба по надзору в сфере природопользования) に連絡を取り、そして実際にどの動物園で飼育するかの決定を下してもらうと同時に移動の許可申請を地区の行政責任者名で自然管理局 (RPN)に提出してもらうことが重要だそうです。 今回のセリクの場合はヤマロ・ネネツ自治管区の知事という行政のトップの方が自ら積極的に動いてくれてそういった書類面での手続きは全てはスムーズに進行できたようです。 こういったことは数日間で処理されることが望ましいわけですが、問題になるのは自然管理局 (RPN) が決定した飼育先の動物園への移送手段の確保だそうです。 乏しい予算の動物園にはその輸送費用を支払うだけの予算は到底ないわけで、野生孤児が保護された地区の行政がこの輸送費用を負担することになるわけです。 今回のセリクのベルイ島からの輸送には、まずベルイ島からヤマロ・ネネツ自治管区の行政の中心都市であるサレハルド (Салехард) までの輸送のためのヘリコプターを調達し、そこからチュメニの街まで空輸され、そこからはトラックでペルミまで輸送したということですが、最初のヘリコプターの調達だけでも費用は50万ルーブル(約150万円)ほどの費用がかかり、動物園にはそういった費用を負担できませんから、どうしても行政側の好意ある対応が重要になるということのようです。
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セリク  Photo(C)Сайт города Пермь 59

こうした野生孤児個体を再び野生に戻してやることはできないのかという一般の人からの意見については、それは全く不可能であるとブルディナさんは語っています。 野生では幼年個体は通常2年間は母親が狩りの仕方や危険から身の守る方法を子供たちに教えるわけで、ホッキョクグマの野生個体が単独で生活できるようになるのは3歳からであるとブルディナさんは語り、今回のセリクのような一歳にならない個体を野生に戻せば生き延びることは全く不可能であるとも語っています。

ロシアの場合、こういった野生孤児個体をどのような動物園で保護したらよいかについては難しい問題があるようです。 ブルディナさんの語るには、ペルミ動物園はそういった個体を保護・飼育していく施設としては最高のものでは到底ありえないものの最低というわけでもないという評価を行っています。 欧州の飼育基準では必ずプールがあって一頭当たり400㎡の面積が必要と定められているもののロシアにはそれを満たす動物園はないとブルディナさんは語ります。 これは以前の投稿でワルシャワ動物園の園長さんが語っていた「地表面積は300㎡ 、プールは70㎡」という基準と近いものですので、数字的にはまあ間違いはないものと思われます。 それからホッキョクグマはヒグマよりもはるかに飼育には変化に富んだ飼育場が必要であり、こういったことも含めて頭の痛い問題であるようです。

貧弱な施設に四苦八苦しながらもロシアの動物園としてもなんとかこういった野生孤児の個体を保護・飼育していこうという意欲が感じられるブルディナさんの発言内容です。 今回保護されたセリクは近いうちにこのペルミ動物園に来園するカザン市動物園で昨年12月に誕生した雌のユムカとパートナーを組むことになるそうですが、狭くて貧弱なペルミ動物園にあっても彼らは逞しく生きていくことになるでしょう。

さあ、またペルミに行くことにしましょう。

(資料)
Сайт города Пермь 59 (Aug.27 2013 - Как спасли белого медвежонка Серику)
vesti-yamal (Aug.27 2013 - Медвежонок с острова Белый осваивается в Пермском зоопарке. Новый дом и новое меню для Сэр-Ири)
РИА ФедералПресс (Aug.27 2013 - Белого медвежонка с Белого острова поселили в Пермском зоопарке)

(過去関連投稿)
ロシア極北、カラ海のベルイ島で前脚をケガをして動けなくなっていたホッキョクグマの赤ちゃんが保護される
ロシア極北、カラ海のベルイ島で保護された赤ちゃんはセリクと命名され、ペルミ動物園での飼育が決定
ロシア極北のベルイ島で保護されたセリクがペルミ動物園に到着 ~ 10月にカザンからユムカも来園予定
ロシア極北のベルイ島で密漁者の銃撃により負傷し保護されたセリク、ペルミ動物園で報道陣に公開される
by polarbearmaniac | 2013-08-28 06:00 | Polarbearology

とくしま動物園のバーレーが亡くなる ~ アンデルマのカザン市動物園における同僚だった彼女の死

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バーレー (2012年6月23日撮影 於 とくしま動物園)
Nikon D5100  Tamron 18-270mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD

報道によりますと、とくしま動物園は26日、同園で飼育されていた雌のホッキョクグマのバーレーが25日に亡くなったことを発表したとのことです (本日27日早朝現在ではまだ同園からのHPでの正式な告知はなされていないようです)。  報道によればバーレーは今年5月から動きが鈍くなり、7月からほとんど寝たきり状態だったとのことです。 今年の夏の猛暑もかなり影響していたのでしょうか。 具体的な死因については同園の語る「老衰」 としか報じられていません。 享年27歳。
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バーレー (2012年6月23日撮影 於 とくしま動物園)

バーレーの出自に関しては「若々しさを保つバーレー ~ 偉大なる母の娘、ここにあり」にも書きました通り彼女はロシア・サンクトペテルブルク (当時はまだソ連のレニングラード) のレニングラード動物園で1985年12月3日に生まれ、彼女の母は現在同園に君臨している女帝ウスラーダの前の世代におけるレニングラード動物園の雌の2枚看板であった名ホッキョクグマのエジャでした。 このバーレーは、すでに亡くなっている上野動物園のレイコの腹違いの妹にあたります。  バーレーはかつてロシアのカザン市動物園で約11年間飼育されていたことがありますが、その時に一時期この カザン市動物園で彼女の同僚であったのが現在ペルミ動物園で暮らすあの偉大なるアンデルマです。 しかし、カザン市動物園はアンデルマもこのバーレーも繁殖させることには成功せず、結局アンデルマは1997年にカザン市動物園を去りペルミ動物園へ、そして翌年1998年に当時12歳だったこのバーレーはカザン市動物園を旅立って来日し、そしてそれ以来とくしま動物園で飼育されていたというわけです。 そして後年、このバーレーはルルとララの父親であったシローの最後のパートナーでもあったわけでした。

ここでバーレーの生前の姿を2つの映像でご紹介しておきます。

Bare does not need to rush to the refreshment ice,
at Tokushima Zoo, Japan on Jun.23 2012.


Bare is scratching her back after swimming,
at Tokushima Zoo, Japan, on Jun.23 2012.


謹んでバーレーの冥福を祈ります。

(資料)
産経新聞 (Aug.27 2013 - 高齢のホッキョクグマと赤ちゃんピューマが死ぬ とくしま動物園)

(過去関連投稿)
シロー爺さんとバーレー
パーレー三態
シロー爺さん(ララ、ルルの父)健在!
シロー (ララ、ルルの父)  1979 - 2010
シローお別れ会 (とくしま動物園)
頑張れバーレー!
阿波の国に独居のホッキョクグマを訪ねて
バーレーの水遊び
若々しさを保つバーレー ~ 偉大なる母の娘、ここにあり
ロシア・ペルミ動物園のアンデルマ、その日常の姿(4) ~ 遠征での映像より
by polarbearmaniac | 2013-08-27 06:00 | Polarbearology

ロシア極北のベルイ島で密漁者の銃撃により負傷し保護されたセリク、ペルミ動物園で報道陣に公開される

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ペルミ動物園で報道陣に公開されたセリク
Photo(C)Комсомольская правда

ロシア極北ヤマロ・ネネツ自治管区のベルイ島で廃棄物回収作業を行っていたボランティアチームによって発見・保護された脚を負傷した赤ちゃんがペルミ動物園で保護・飼育されることになり、このセリクと命名された雄の赤ちゃんが先週金曜日の23日に無事ペルミ動物園に到着した件についてはすでにご紹介していました。 このセリクですが、26日月曜日にとうとうペルミ動物園で報道陣に公開されました。

ペルミ動物園の獣医であるエレーナ・ベソーノヴァさんの語るところによりますと、この赤ちゃんのセリクは現在体重が40キロで、食事には米とウズラの卵、そして魚を与えているそうですが、徐々に肉やチーズやその他のものを与えていくことにしたいそうで、このセリクの公開は検疫も兼ねてまだ一週間先を予定しているそうです。 いきなり多くを来園者を目にしたり物音を聞いたりするのは、余りに環境の変化が大きすぎることになってセリクの健康には良くないと考えているようです。 公開されたペルミ動物園でのセリクの様子を下の映像でご覧ください。 これは大阪のゴーゴも幼少の時に暮らしていた部屋ですね。 まず最初にベルイ島で保護された時の映像が入ります。 また、最後にはペルミ動物園のテルペイとアンデルマの姿も映っています。



この下の映像もテルペイとアンデルマが登場しています。



次の映像ですが、この下の欄の文字の部分をクリックしていただき、開いたページの下のほうで映像を見ることができます。


この下の映像は再生の時間帯によってはなかなか映像がスタートしない場合もあるかもしれませんが映像的には一番セリクの不安そうな表情を捉えているように思います。



脚のケガのほうは大分回復しているようで、それほど脚を引きずっているようには見えません。 表情はまだ怯えたような様子に見えます。 それからベソーノヴァさんはこのセリクがボランティアチームによって保護された時に様子を語っている中で今まで報道されていなかった内容も語っています。 それは、やはり母親は密漁者に撃たれたそうで、今年に入ってからベルイ島では6頭のホッキョクグマが密漁者の犠牲になっており、ボランティアチームと現地に行ったベソーノヴァさんは実はもう一頭の雄の成獣のホッキョクグマが撃たれてケガをしているのを見つけたものの接近することは危険だったために助けられなかったのが非常に残念だったと語っています。 そういった密漁者はヘリコプターからホッキョクグマを撃つという、単なる楽しみのためだけに行っているそうで、実に恥ずべきことだと思います。 セリクが助かったのはケガの治療に抗生物質が使用されたことに原因があるとベソーノヴァ考えているようです。 このセリクの移送のためにヤマロ・ネネツ自治管区の知事さんが移動用のケージとヘリコプターの手配を迅速に行ってくれたことにベソーノヴァさんは謝意を表しています。 
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セリク Photo(C)Комсомольская правда

それから、9月にカザン市動物園から移動してくる雌の幼年個体(つまりユムカのことでしょう)とこのセリクとの間での将来の繁殖を狙いたいということも語っています。 前回の投稿でご紹介した報道ではユムカのペルミ動物園への入園は10月ということでしたが、このあたりのスケジュールは流動的なのかもしれません。 ペルミ動物園に新しいペアが誕生することになりそうです。 それからこの「セリク」という名前ですが、ネネツ語では「白い父」という意味の「セリリ」という発音のようですが、発見したボランティアチームは「セリク」と命名したようで、その名前を変えないでほしいとペルミ動物園に依頼しており、ペルミ動物園も「セリク」という名前でこの赤ちゃんを呼んでいますので、今後も「セリク」という名前で表記します。

ともかく一安心です。

(資料)
Пермский зоопарк (Новости/Apr.26 2013 - В зоопарке появился белый медвежонок)
Комсомольская правда (Aug.26 2013 - В Пермский зоопарк привезли белого медвежонка, раненного браконьерами)
Сайт города Пермь 59. (Aug.26 2013 - Раненого медвежонка доставили на вертолете в Пермь)
Российская Газета (Aug.26 2013 - В зоопарк Перми привезли раненого белого медвежонка)
Аргументы и Факты в Перми (Aug.26 2013 - В пермском зоопарке вольер с медвежонком Серику откроют 31 августа)

(過去関連投稿)
ロシア極北、カラ海のベルイ島で前脚をケガをして動けなくなっていたホッキョクグマの赤ちゃんが保護される
ロシア極北、カラ海のベルイ島で保護された赤ちゃんはセリクと命名され、ペルミ動物園での飼育が決定
ロシア極北のベルイ島で保護されたセリクがペルミ動物園に到着 ~ 10月にカザンからユムカも来園予定

(*以下、カザン市動物園のユムカ関連)
ロシア連邦 ・タタールスタン共和国、カザン市動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
ロシア連邦 ・タタールスタン共和国、カザン市動物園で誕生の赤ちゃんの命名について同動物園が告知
ロシア連邦 ・タタールスタン共和国、カザン市動物園の赤ちゃん命名のイベントは悪天候で延期となる
ロシア連邦 ・タタールスタン共和国、カザン市動物園の赤ちゃんの命名は最終的にネット投票へ
ロシア連邦 ・タタールスタン共和国、カザン市動物園の雌の赤ちゃんの名前が 「ユムカ 」 に決定!
ロシア連邦・タタールスタン共和国、カザン市動物園のユムカは順調に生後7か月が経過
by polarbearmaniac | 2013-08-27 01:00 | Polarbearology

カナダ・ケペック州、サンフェリシアン原生動物園のエサクバク、早々と出産準備のための別区画に移る

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出産準備用の別区画に移動したエサクバク
Photo(C)Zoo sauvage de Saint-Félicien

カナダ・ケペック州のサンフェリシアン原生動物園 (Zoo sauvage de Saint-Félicien) の現在10歳の雌のエサクバク (Aisaqvaq /Aisakvak) は世界の動物園における今年の年末のホッキョクグマ出産シーズンにおける「本命」の一頭として期待されていることは今までもご紹介してきた通りです (過去関連投稿参照)。 彼女が7歳のときの2009年の11月にタイガとガヌークの双子の出産、そしてその後の育児に成功しており、昨年暮れにも出産が期待されていた本命でしたが、結局その出産はなりませんでしたが今年の暮れも彼女は本命であることには間違いありません。 前回の2009年のパートナーはイヌクシュクであり、昨年からはパートナーをイレに変更しており、このことに一抹の不安がないわけではありませんが、イレとエサクバクの相性は非常に良いそうですから、そう心配することもないように思われます。

さて、サンフェリシアン原生動物園のスタッフは今回も万全の体制を組んでいるようで、エサクバクをいかにして静かな環境においておくかについて腐心している様子が報道で伝わってきます。 今年は今までよりも2週間も早く今月19日から出産準備のための別区画 に移動させたそうです(フランス語の “Nous avons transféré Aisaqvak deux semaines plus tôt à la maternité” をそう訳しておきます)。 この産室に直結している別区画にはプールや砂場、そして岩場もあって、この場所で彼女は一頭でゆったりと時を過ごせるような配慮がなされているそうです。 この区画には24時間体制で24台のカメラが彼女をモニターしており、その行動の変化をいち早く捕えようというわけです。 そいうったこの出産準備のための別区画で時を過ごすエサクバクの映像を同園の撮影した映像でご覧いただきましょう。



実はこの映像をさかのぼる8月2日の映像でエサクバクと雄のイレがまだ同居している様子を伝える映像も公開されていますので下にご紹介しておきあす。 岩の上のほうで藁に背中を擦り付けて気持ちよさそうにしているのが雄のイレで、エサクバクはそれには興味なさそうに下で一人で座っています。 こうした彼女の雰囲気からでも。やはりエサクバクを早く一頭にしておくことが好ましいような印象を持ちます。 そのあたりも同園の担当者は十分に配慮したためか、今年は2週間早く出産準備のための別区画に移動させたような気もします。



同園ではこれからも頻繁に出産に向けたこのエサクバクの様子を映像で順次公開していくそうですから楽しみなことです。 いよいよ今年暮れから来年初頭にかけてのホッキョクグマの出産に向けての動きがはじまったと理解してよいでしょう。

(資料)
L'Étoile du Lac (Aug.25 2013 - Observerons-nous des oursons blancs au Zoo Sauvage de Saint-Félicien en 2014? )

(過去関連投稿)
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園のエサクバク、展示場に復帰 ~ 本命の意外な失望結果
カナダ・サンフェリシアン原生動物園で次の繁殖シーズンへ向けての同居開始 ~ 各国での次の繁殖を占う
カナダ・ケベック州 サンフェリシアン原生動物園のエサクバクとイレのペアへの大きな期待
by polarbearmaniac | 2013-08-26 07:00 | Polarbearology

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