街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の新施設建設に対し州議会が州予算よりの援助を承認

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ルナとカリー Photo(C)WKBW

アメリカ・ニューヨーク州のバッファロー動物園で昨年11月27日に生まれ人工哺育で育てられた雌のルナと野生孤児でアラスカ動物園からバッファロー動物園に移送されてきたカリーがバッファロー動物園で大きな人気を博している件については以前から投稿していますが、このバッファロー動物園におけるホッキョクグマ飼育に突き付けられている問題はAZAの飼育基準に適合した新飼育展示場の建設資金の寄付額が予定額を満たしていないためそれをどうやって調達するかという点が大きな問題であったわけでした。。

7月の投稿である「アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の新施設建設の不足資金を州政府が一部負担の意向示す」でご紹介していました通りニューヨーク州政府はこの新施設建設資金の不足分のうち40万ドルをクオモ州知事の協力を得て、自治体の整備費として州政府がとり置いていた予算から支出する意向であることをすでに表明していましたが、このたびニューヨーク州議会下院はバッファロー動物園に対して州予算からの支出額を40万ドルとすることを承認したそうです。 バッファロー動物園は最近この新施設建設計画を微修正しているもののまだ資金不足額(約140万ドル)はあるそうですが、おおむねこの今回の州政府よりの援助、そしてバッファロー市からの追加援助により少なくとも新施設の着工に踏み切ることが可能となったと述べています。 この件についてのABC、その他のニュースをご紹介しておきます。 冒頭はCMです。 最近のルナとカリーの様子も紹介されています。 ABCのニュースは冒頭の写真をワンクリックしていただいて開いたページでご覧ください。


ああだこうだと大騒ぎしてきた建設資金寄付の呼びかけですが、いよいよ最終章に入ったわけで、少なくともこれで新施設の "Arctic Edge" の着工にこぎ着けることが可能となったということになります。 11月から旧展示場の解体作業が開始され、その旧展示場に使用されていた石のうち25%は新展示場での使用されるということです。 これはコスト面で資材の再活用という点で有利になるということもありますが、それ以上にバッファロー動物園のホッキョクグマ展示場の歴史を継承していくという意味があるということなのでしょう。 フェルナンデス園長は、2015年の9月に新展示場をオープンしたい意向だそうです。

さて、残る問題はカリーの去就です。 魚類野生動物保護局 (U.S. Fish and Wildlife Service - FWS)が内定している通り果たしてすんなりとカリーがセントルイス動物園に移動することになるでしょうか?

(資料)
Buffalo News (Oct.28 2013 - State funds put Buffalo Zoo’s polar bear
exhibit back on track
)
WKBW (Oct.28 2013 - Buffalo Zoo to Begin Construction Work for New "Arctic Edge" Exhibit)
Buffalo Business First (Oct.28 2013 - Zoo closes funding gap on polar bear exhibit)
WGRZ (Oct.28 2013 - State Gives Zoo $400K for Polar Bear Exhibit)

(過去関連投稿)
動物園による情報公開 ~ アメリカ・バッファロー動物園でのホッキョクグマ連続死亡事件
繁殖のために住み慣れた動物園を旅立ったホッキョクグマ ~ ヘンリー・ヴィラス動物園のナヌークへの期待
アメリカ・バッファロー動物園のホッキョクグマ新展示施設建設へ篤志家の多額な資金寄付
アメリカ・ニューヨーク州、バッファロー動物園の苦悩 ~ ホッキョクグマ新施設建設の資金不足
アラスカで保護された野生孤児カリーをめぐるバッファロー動物園とセントルイス動物園との微妙な関係
アメリカ ・ ニューヨーク州、バッファロー動物園で遂にルナとカリーが初顔合わせ
アメリカ ・ バッファロー動物園でルナとカリーの正式な同居展示が開始 ~ カリーの今後について
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園でのルナとカリーの同居は順調に推移
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の新施設建設の不足資金を州政府が一部負担の意向示す
アメリカ・バッファロー動物園がルナの移動可能性に言及 ~ 報道されている状況は本当に事実なのか?
アメリカ・バッファロー動物園の新施設建設資金の露骨な寄付募集活動に眉をひそめる地元の財団・基金
アメリカ・ニューヨーク州のバッファロー動物園に凝縮した新施設建設の問題 ~ 主役は来園者か動物たちか?
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園のルナとカリーの近況 ~ 展示需要と個体数のアンバランス

(*以下、ルナ関連)
アメリカ・ニューヨーク州、バッファロー動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ その姿が突然公開
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の赤ちゃんの追加映像 ~ ララの子供たちの従妹であるルナ
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の人工哺育の赤ちゃんのルナが初めて戸外へ
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の赤ちゃん、ルナの近況を伝えるTVニュース映像
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の赤ちゃん、ルナが雪の舞う戸外へ
アメリカ・ニューヨーク州 バッファロー動物園の赤ちゃん、ルナが遂に一般公開へ
アメリカ・ニューヨーク州、バッファロー動物園の赤ちゃんの「ルナ」が仮称から正式の名前となることが決定
アメリカ・ニューヨーク州、バッファロー動物園のルナの近況 ~ 人間の視線への意識と興味
(*以下、カリー関連)
アメリカ・アラスカ州の北西岸でホッキョクグマの孤児の赤ちゃんが保護!
アメリカ・アラスカ動物園で保護された野生孤児のカリーが今春に期限付きでバッファロー動物園へ
アメリカ・アラスカ動物園で保護されている野生孤児のカリーの一般公開が始まる
アメリカ・アラスカ動物園で保護されている野生孤児のカリーを間近で撮り続けている専属カメラマンの視点
アメリカ ・ アラスカ動物園で保護されている野生孤児の赤ちゃん、カリーの近況と今後について
アメリカ・アラスカ動物園の野生孤児カリー、来週後半に ニューヨーク州のバッファロー動物園へ
アメリカ・アラスカ動物園の野生孤児カリーがニューヨーク州のバッファロー動物園に無事到着
by polarbearmaniac | 2013-10-31 15:00 | Polarbearology

札幌・円山動物園のキャンディ、いよいよ出産準備の最終態勢へ ~ ララ親子の観覧制限が実施

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キャンディ (2013年4月7日撮影 於 札幌・円山動物園)

札幌・円山動物園より10月30日付けで「ホッキョクグマ『キャンディ』の出産準備に伴う世界の熊館の観覧制限について」という発表がありました。 11月5日(火)より以下の内容で世界の熊館の観覧制限をするとのことです。 観覧制限は最長で来春までとのこと。要点のみ列記します。

① キャンディ、デナリ、アメリカクロクマの風子は観覧制限解除まで観覧不可。
② ララ親子は観覧場所を制限して観覧時間は13時30分~15時30分の2時間のみ。


とのことです。 また、当面の間はキャンディの屋内外の出入りを自由にしておき、寝室・産室への完全収容については状態を見ながら実施とのことです。

11月5日(火)よりなどとは言わずに明日からでもそうしてほしいところです。 「最長で来年春」というのはキャンディが仮に出産に成功して無事に育児を続け、そして春になって戸外に親子で登場するまでということを意味するのは当然でしょう。 ララ親子はあの格子のある場所から出て転落事故のあった正門方向側の展示場に戻るということでしょうか。

さて、こういう札幌からのニュースを聞くとやはりホッキョクグマの出産シーズンに入ったことを実感させられます。 報道によれば世界のいくつかの動物園ではキャンディのような兆候を示しているホッキョクグマは私の知る限り複数頭おり、報道されていないもののその兆候を示しているホッキョクグマもまだ何頭かいることは間違いありません。 キャンディもこうしたホッキョクグマの何頭かの中の一頭であるということです。 飼育員さんの公式ブログでは今後のキャンディの様子の報告があるかもしれませんが、今後円山動物園の公式発表の中でキャンディの名前が次に登場するのは、

(A)出産の事実の発表
(B)出産はなく産室を出た事実と観覧制限の解除日の発表

この二つのいずれかということになるでしょう。 どちらになるかは全くわからないということです。 私がこのブログで次にキャンディについて単独に触れるのは(A)があった場合ということになるはずです。

(追記)
北海道新聞の取材に対して同園は「キャンディの出産を成功させ、遺伝的な多様性を残したい」 と話しているそうですが、まあこれは一応はそう言えるでしょう。 デナリの血が入った個体がさらに増えることにはなりますが、キャンディはドイツ出身とはいえ「ロストック系」ではないわけで、実質的にはロシアの野生の血が濃いわけです。 この点については「喜怒哀楽を常に隠したポーカーフェイスのキャンディ ~ モスクワ動物園との深いつながり」をご参照下さい。


(資料)
札幌市 円山動物園HP (Oct.30 2013 - 「ホッキョクグマ『キャンディ』の出産準備に伴う世界の熊館の観覧制限について」
北海道新聞 (Oct.30 2013 - 円山動物園・ホッキョクグマ、おめでたかも!? 妊娠の兆候、展示場一時閉鎖へ)

(過去関連投稿)
札幌・円山動物園のキャンディの「妊娠の可能性の兆候」をどう見るか?
by polarbearmaniac | 2013-10-31 01:00 | Polarbearology

カナダ・マニトバ州チャーチル付近で保護された雌の野生孤児がアシニボイン公園動物園に無事到着

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Photo(C)Assiniboine Park Zoo

昨日の「カナダ・マニトバ州チャーチル付近で野生孤児が保護され、ウィニペグのアシニボイン公園動物園で飼育が決定」という投稿でご紹介していましたが、カナダ・マニトバ州のチャーチルの飛行場近くで自然保護官のよって保護されたが生後11ヶ月と推定される一頭の雌の野生孤児個体が無事に月曜日夜にアシニボイン公園動物園に到着し、同園内のホッキョクグマ保護・厚生センター (IPBCC - The International Polar Bear Conservation Centre) に入ったという報道が流れてきました。 おしてその姿が写真と映像によって昨日同園より公開されましたのでご紹介しておきます。 二番目の映像はアシニボイン公園動物園の担当者の記者会見の音声を同時に聴くことができます。 三番目、四番目の映像はTVのニュースです。









体重は38キロだそうで、これから約1ヵ月間の検疫期間を経て、その後に展示場に登場する予定だそうです。 アシニボイン公園動物園のピーターキン飼育主任は、「このような形で野生個体をここへ連れてこなければならなかったことは恥ずべきことではありますが、彼女は単独で野生で生きていくことはできないわけで、まさにこに点において彼女をここに連れてきた意味があるのです。」 と語っています。
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Photo(C)Assiniboine Park Zoo

ともかくこの一頭の雌の幼年個体の命が救われたということになります。 こうやって一頭一頭救っていくという積み重ねが重要であるということです。

(資料)
CBC (Oct.29 2013 - Winnipeg zoo reveals new, adorable polar bear cub)
Winnipeg Free Press (Oct.29 2013 - Orphaned female cub arrives at zoo's polar bear centre)
CTV News (Oct.29 2013 - Polar bear centre at Winnipeg zoo takes in orphaned cub)

(過去関連投稿)
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園内に建設中のホッキョクグマ保護・厚生センターについて
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園内にホッキョクグマの保護・厚生施設が完成
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園の新展示場施設の建設  ~  偉大なるデビーの遺したもの
カナダ・マニトバ州 ウィニペグのアシニボイン公園動物園の人工哺育で育ったハドソンが2歳になる
カナダ・マニトバ州チャーチルで人を襲った3歳のホッキョクグマがアシニボイン公園動物園で飼育へ
カナダ・チャーチルで人を襲ったホッキョクグマが無事にアシニボイン公園動物園に到着
カナダ・マニトバ州チャーチル付近で野生孤児が保護され、ウィニペグのアシニボイン公園動物園で飼育が決定
by polarbearmaniac | 2013-10-30 07:00 | Polarbearology

イギリスのヨークシャー野生動物公園がメキシコのベニート・フアレス動物園のユピの移動受け入れを表明

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ユピ(ユピク) Photo(C)South Yorkshire Times

いささか首をかしげたくなるような話についての報道がなされています。 それをご紹介する前にまず以前の投稿である「メキシコ・モレリア市、ベニート・フアレス動物園のユピクの移動を求めた動物保護活動家の署名活動」をどうしても先にご参照いただきたく思います。

メキシコ・ミチョアカン州のモレリア市にあるベニート・フアレス動物園 (Zoológico Benito Juárez de Morelia) で飼育されている現在は22歳になっている雌のホッキョクグマであるユピ (Yupi) (*注 – 彼女の名前は以前は「ユピク(Yupik)」と報道されていましたが、Yupik というのは子音字で終わるため多くは雄を想起させる名前である点、及び彼女を愛称で呼ぶことにしているらしいと思われる点、などによって最近の報道ではYupi とされていることを考慮して、今後は「ユピ (Yupi)」 と表記することにします。) について以前から動物保護活動家が彼女を環境の良い別の場所に移動させようと署名活動を行っていることをご紹介しています。

ところがこのたびイギリス中部サウス・ヨークシャー (South Yorkshire) 州のドンカスター(Doncaster)市近くにあるヨークシャー野生動物公園 (Yorkshire Wildlife Park) が、現在同園で建設中の来年2014年に完成予定であるホッキョクグマの新飼育展示施設でユピを飼育したいとベニート・フアレス動物園に公式に申しいれたとのことです。 このヨークシャー野生動物公園では現在はホッキョクグマを飼育していませんので、この新しい施設を建設するための追加資金の一部として15万ポンドを募り、すでに現在この施設は建設中となっていますが、そこで飼育するホッキョクグマとしてユピに白羽の矢を立てたわけです。
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ヨークシャー野生動物公園のホッキョクグマ飼育展示場完成予定図

このヨークシャー野生動物公園の広報担当者はユピがメキシコの動物園において劣悪な環境で飼育されていることを述べ、そして園長さんもユピの余生は環境の良いヨークシャー野生動物公園で過ごさせてやるべきだと語っています。 さらに同園のSNSサイトのページにも現在のユピの暮らしぶりを写した写真を何枚もアップしています。 さて...このヨークシャー野生動物公園の主張は動物保護活動家の主張と全く同じであるのが実に奇妙です。 そもそもユピの受け入れについてベニート・フアレス動物園に依頼している側であるはずのヨークシャー野生動物公園が、相手方を非難するようなトーンで語るというのも不可思議です。そしてさらにイギリスのミラー (Mirror) 紙もこれについて動物保護活動家の言うことそのままを主張する報道を行っているというのも何とも奇妙に感じます。

どこでどうやって背後で連帯しているのかはよくわかりませんがズーチェック (Zoocheck) というお馴染みの動物保護活動家もこのユピのヨークシャー野生動物公園への移動を後押ししているような意味の発言を行っていますから、単に両者の阿吽の呼吸というわけではないでしょう。 そもそもズーチェックというのはその本質的なところで動物園というものを否定しているわけですから、ユピをどこかに移動させろという主張において移動先がやはり飼育下の動物園であることを認めれば自己矛盾に陥るために表だって移動先にヨークシャー野生動物公園の名前を挙げていないというだけでしょう。
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Photo(C)Clasos.com.mx / Splash News

メキシコのベニート・フアレス動物園でのユピが暮らしている環境が良くないというのは多分事実でしょう。 そしてユピをもっと環境の良い施設に移した方が良いという考え方も正しいように思います。 しかしこういったやり方でベニート・フアレス動物園に対して圧力を加え、そしてヨークシャー野生動物公園が 「待ってました」 と言わんばかりに待ち構えていて名乗りを上げるというのは感心できませんね。 いくら主張が正しくても物事の持って行き方が間違っていればダメなのです。 環境の良くない(と思われる)動物園に対して慈悲深い救いの手を差し伸べた動物園という顔を見せつつ、こういった形でホッキョクグマを入手しようとしているやり方は、考えようによっては非常に戦略的で巧妙なやり方であるようにも思います。 しかし、こういったシナリオに今回の話を持っていくのは物事を歪めてしまうことになるだろうと思うわけです。
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(C)BBC

私もユピをあんな暑い国から是非解放してやりたいと思います。 しかし今回のやり方には賛成できません。 第一、ベニート・フアレス動物園はこういうやり方に大反発するでしょう。 中南米のスペイン語圏の国々の人たちは「プライド」を傷付けられるのを極度に嫌います。 「名より実」 という考え方は彼らはあまりしないのです。 こういった今回のやり方では、ユピをますます苦しい立場に追い込むようなものです。 「動物保護活動家の主張に屈してしまう動物園」 という姿はベニート・フアレス動物園にとっては屈辱でしょう。 こういう図式に今回の件を持って行ってしまっては、できることもできなくなってしまうわけです。

ここで前回ご紹介したものとは別のメキシコのTV局の映像でユピの環境を見てみることにしましょう。



園長さんは前回の投稿でご紹介したような従前の主張を繰り返す形での反論を行っています。

(資料)
Save Yupi (A Polar Bear in Mexico)
Yorkshire Wildlife Park Foundation (Project Polar)
Daily Mirror (Oct.26 2013 - Polar bear Yupi stranded 4,000 miles from home in a sweltering Mexican zoo)
BBC (Oct.29 2013 - South Yorkshire zoo bid to save 'Mexican' polar bear)
South Yorkshire Times (Oct.29 2013 - A happy new life for polar bear Yupi at Doncaster’s wildlife park)
Diario Libertad (Jan.16 2013 - Director de zoológico de Morelia se niega a informar sobre estado de salud de la osa polar Yupi)

(過去関連投稿)
メキシコ・モレリア市、ベニート・フアレス動物園のユピクの移動を求めた動物保護活動家の署名活動
by polarbearmaniac | 2013-10-30 06:00 | Polarbearology

カナダ・マニトバ州チャーチル付近で野生孤児が保護され、ウィニペグのアシニボイン公園動物園で飼育が決定

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アシニボイン公園動物園 Photo(C)Global News Canada

カナダ・マニトバ州・ウィニペグのアシニボイン公園動物園が昨日28日に公式に明らかにしたところによりますと、同州のチャーチルの飛行場近くで先週末、自然保護官が一頭のホッキョクグマの幼年個体がとぼとぼと歩きまわっているのを発見したとのことで、母親の姿は周囲にはまったく見えなかったため「孤児」として保護したとのことです。 生後11ヶ月と推定されるこの雌の幼年個体はチャーチルの街に連れられていき自然保護官の保護下におかれたそうですが、このたびウィニペグのアシニボイン公園動物園はこの雌の幼年個体を同園内のホッキョクグマ保護・厚生センター (IPBCC - The International Polar Bear Conservation Centre) で保護・飼育することとなったと発表しました。 アシニボイン公園動物園のスタッフ2名がチャーチルに出向きこの幼年個体をウィニペグに連れてくるそうで、間もなく同園に到着する予定だとのことです。
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ホッキョクグマ保護・厚生センター(IPBCC) Photo(C)CTV

アシニボイン公園動物園では来年オープンする新施設である ”Journey to Churchill” で現在飼育している雄の個体2頭、つまりトロント動物園生まれの2歳になったばかりのハドソンと先日保護された3歳の雄の野生個体と同様にこの”Journey to Churchill”で展示する予定だそうです。 今回保護された個体は雌だそうですので、将来的にはハドソンのパートナーとなる可能性がありますね。 ともあれ、30日間の検疫期間はあるものの間もなくこの今回の雌の野生孤児の姿が写真や映像で公開されるでしょう。

(資料)
Assiniboine Park Conservamcy (Oct.28 2013 - Orphaned Polar Bear Cub Coming to International Polar Bear Conservation Centre at Assiniboine Park Zoo)
CBC (Oct.28 2013 - Assiniboine Park Zoo adopts 11-month-old polar bear cub)
Winnipeg Free Press (Oct.28 2013 - It's a girl! Joining the boys in the new polar bear enclosure)
CTV News (Oct.28 2013 - Polar bear centre at Winnipeg zoo set to house orphaned cub)

(過去関連投稿)
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園内に建設中のホッキョクグマ保護・厚生センターについて
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園内にホッキョクグマの保護・厚生施設が完成
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園の新展示場施設の建設  ~  偉大なるデビーの遺したもの
カナダ・マニトバ州 ウィニペグのアシニボイン公園動物園の人工哺育で育ったハドソンが2歳になる
カナダ・マニトバ州チャーチルで人を襲った3歳のホッキョクグマがアシニボイン公園動物園で飼育へ
カナダ・チャーチルで人を襲ったホッキョクグマが無事にアシニボイン公園動物園に到着
by polarbearmaniac | 2013-10-29 11:00 | Polarbearology

ドイツ・ヴッパータール動物園のヴィルマが娘アノーリに別れを告げ、生まれ故郷のロストック動物園へ帰還

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ヴィルマお母さんと生後3ヶ月のアノーリ Photo(C)Windsor Star

この一つ前の投稿で触れましたロストック動物園でのチャーチルの死のわずか2日前の10月24日に、彼の娘であるヴィルマがヴッパータール動物園から生まれ故郷のロストック動物園に戻ってきました。 このヴィルマはあのクヌートの父であるラルスをパートナーとしてヴッパータール動物園で昨年1月にアノーリを産んでいたわけで、ヴィルマは娘のアノーリに別れを告げて生まれ故郷のロストック動物園に再び戻ってきたわけです。 ロストック動物園にはヴッパータール動物園で彼女のパートナーであったラルスも飼育されていますので再びラルスとの間での繁殖を狙うということなのでしょう。

このヴィルマは2002年12月にチャーチルとヴィエナとの間に生まれ、その後に一度はニュルンベルク動物園に移動し、そしてフェリックスとの間で繁殖が試みられ2007年11月に彼女が5歳の誕生日を迎えないうちに出産し、そして一か月以上も順調に育児を行っていたにもかかわらず突如として食害という出来事で赤ちゃんを失ってしまったわけでした。 この詳しいことについては以前の投稿である「ドイツ・ニュルンベルク動物園の2つの選択(1) ~ ヴィルマとヴェラの出産」、及び「ドイツ・ニュルンベルク動物園の2つの選択(2) ~ 消えた赤ちゃん」 をご参照下さい。 さて、ヴィルマはその後、2008年2月に一度ロストック動物園に戻ります。 しかしヴィエナお母さんは彼女に冷たかったわけでした。 この件については「ドイツ・ロストック動物園の『母娘再会同居』 ~ ララ/ピリカが最初ではなかった『親子再会同居』」、及び「ホッキョクグマの母娘の再会で何か起きるのか? ~ セシ、ヴィルマ、ピリカに冷水を浴びせた母親たち」 をご参照下さい。

ヴィルマはその後、2010年12月にロストック動物園からヴッパータール動物園に移動してクヌートの父であるラルスとペアを組みます。 この件については「年齢差18歳に挑戦した衝撃のEAZAの繁殖計画 ~ ドイツの壮年個体に新しいパートナー決定」で一部触れています。 さらに「ドイツ・ヴッパータール動物園のヴィルマとラルス ~ 繁殖が期待される新ペア」 を御参照下さい。 ここでヴィルマがヴッパータール動物園に移動してかた間もない時期の彼女の姿を見てみましょう。



さて、そして2012年1月に待望のアノーリが誕生します。 その後ラルスは2012年5月に単独でロストック動物園に移動し、同園のヴィエナとの間での繁殖が試みられることになったわけです。 その件については「ドイツ・ヴッパータール動物園のラルス、ロストック動物園へ! ~ 繁殖のための 『蜜月旅行』」 をご参照下さい。 こうした欧州内でのホッキョクグマの移動についても漏れなく今までフォローしてご紹介してきたつもりです。 そして今度はヴィルマが2度目の故郷への帰還を果たすことになったわけです。 ラルスとヴィエナとの繁殖を断念して再びラルスはヴィルマをパートナーとすることになるというわけです。 欧州のホッキョクグマ界は非常にダイナミックです。 繁殖のためならば度重なる移動も厭わないという方針であるため、こうしたダイナミズムが生まれてくるということです。
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ヴィルマお母さんとアノーリ Photo(C)Windsor Star

1年10か月ほどの娘アノーリに対する育児を終えて、これで2度目の故郷帰還となったヴィルマですがラルスとの再びの繁殖に成功するをどうかを見守りたいと思います。 ロストック動物園ではヴィエナと故チャーチルの時代から、次の時代への世代交代ということを意味するわけです。

(資料)
Rostock-Heute (Oct.28 2013 - Schwerer Abschied von Eisbär „Old Churchill“ im Zoo Rostock)

(過去関連投稿)
ドイツ・ニュルンベルク動物園の2つの選択(1) ~ ヴィルマとヴェラの出産
ドイツ・ニュルンベルク動物園の2つの選択(2) ~ 消えた赤ちゃん 
ドイツ・ロストック動物園の「母娘再会同居」 ~ ララ/ピリカが最初ではなかった「親子再会同居」
ホッキョクグマの母娘の再会で何か起きるのか? ~ セシ、ヴィルマ、ピリカに冷水を浴びせた母親たち
年齢差18歳に挑戦した衝撃のEAZAの繁殖計画 ~ ドイツの壮年個体に新しいパートナー決定
ドイツ・ヴッパータール動物園のヴィルマとラルス ~ 繁殖が期待される新ペア
ドイツ・ヴッパータール動物園のラルス、ロストック動物園へ! ~ 繁殖のための 「蜜月旅行」
(*以下、アノーリ関連)
ドイツ・ヴッパータール動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
ドイツ・ヴッパータール動物園で誕生の赤ちゃんの性別を過去のデータで予想する
ドイツ・ヴッパータール動物園で誕生の赤ちゃん、アノーリの近況 ~ 産室内映像の初公開
ドイツ・ヴッパータール動物園の赤ちゃんのアノーリ、生後5週間が経過し両目が開く
ドイツ・ヴっパータール動物園の赤ちゃん・アノーリがいよいよ一般公開へ ~ 性別は雌と同動物園が発表
ドイツ・ヴッパータール動物園の赤ちゃん・アノーリ、ついに一般公開
ドイツ・ヴッパータール動物園の赤ちゃん、アノーリが大きな人気
ドイツ・ヴッパータール動物園でのアノーリ誕生の瞬間を捉えた映像
ドイツ・ヴッパータール動物園の赤ちゃん、アノーリが水に親しみ始める
ドイツ・ヴッパータール動物園の赤ちゃん、アノーリの近況
ドイツ・ヴッパータール動物園のアノーリの一歳のお誕生会
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園のルカがドイツ・ヴッパータール動物園へ ~ EEPは足踏み状態?
by polarbearmaniac | 2013-10-29 02:30 | Polarbearology

ドイツ ・ ロストック動物園のチャーチル逝く ~ 一時代を築いた偉大なるホッキョクグマの死

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チャーチル (1979 ~ 2013)
Photo(C)dpa / Bernd Wüstneck/Archiv

一頭の偉大なホッキョクグマがまた我々のもとを去りました。 ドイツ・ロストック動物園で飼育されていた間もなく34歳になろうとしていた雄のホッキョクグマのチャーチルが先週26日の土曜日に亡くなったそうです。 チャーチルは加齢が原因とみられる骨格筋異常 (Störungen des Bewegungsapparates) でここ数週間は歩けない状態が続いており体全体の状態も非常に悪化していたとのことです。 ロストック動物園では彼の死を大いに悼んでいます。

このチャーチルは6歳から25歳という雄の繁殖期において10頭もの子供たちの父親となったわけです。 最近では2004年に誕生hしたヴィーナスとヴェラスカの雌の双子の父親であって、その双子の誕生についてはつい先日、ヴィエナお母さんが産室で出産するシーンを再度ご紹介したばかりでした。 そしてヴッパータール動物園で昨年の1月にアノーリを産んだヴィルマもこのチャーチルの娘であるわけです。
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         Photo(C)Zoo Rostock

このチャーチルを含めていわゆる「ロストック系」についてはそのうち詳しく投稿しようと考えていたわけでしたが、いつもこうしてそういったことがなされる前にホッキョクグマが亡くなってしまうことを非常に悔しく思っています。 このチャーチルはもともとロストック動物園の生まれで、途中2年間ほどスウェーデンのコルモルデン動物園 (Kolmårdens Djurpark – コルモルデン野生動物公園) などに移動していた時期もありましたが、それ以外はずっとこのロストック動物園で飼育されていたわけで、ロストックの地元の報道によれば「多くのロストックの子供たちは彼を見て育った」と表現できるような偉大な存在だったわけでした。 ドイツホッキョクグマ界の重鎮であったチャーチルの2年ほど前の姿をご紹介しておきます。開始から1分37秒ほどまでが彼の映像です。 その次に登場しているのがヴィエナで、彼女はチャーチルの2番目のパートナーだったわけです。



偉大なホッキョクグマ、チャーチルの死に謹んで哀悼の意を表します。

(資料)
Rostock-Heute (Oct.28 2013 - Schwerer Abschied von Eisbär „Old Churchill“ im Zoo Rostock)
FOCUS Online (Oct.28 2013 - Rostocker Eisbär „Churchill“ gestorben: Schwerer Abschied)
by polarbearmaniac | 2013-10-29 02:00 | Polarbearology

カナダ・マニトバ州、チャーチルのホッキョクグマ保護収容施設 (俗称 “Polar Bear Jail”) について

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「解放」のため収容施設から運ばれるホッキョクグマ
Photo(C)Jacques Nadeau/Le Devoir

先日、「カナダで人里に現れたホッキョクグマに対する2つの事件への自然保護官の対応」という投稿で人里近くに現れたホッキョクグマに対してカナダの自然保護官がどう対応したかについて具体的事件を挙げながらその推移を追ってみました。 後半に挙げたケースではホッキョクグマは捕獲され、そしてチャーチルの保護収容施設 (Polar Bear Holding Compound) に収容されたわけでした。 この後者のケースについて、もう少し一般的な形でその処置を探ってみましょう。
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収容施設から「解放」されるホッキョクグマの親子
Ohoto(C)Le Devoir/Jacques Nadeau

そもそもホッキョクグマがチャーチルの街中に出現する一つの理由として、秋になってまだハドソン湾の氷結が起きない時期に腹を空かせたホッキョクグマが食料を求めて街に接近するケースがほとんどのようです。 まず、街にホッキョクグマが出現したとの情報で自然保護官が出動し街からやや離れた場所でそのホッキョクグマを捕獲し、そして保護収容施設 (俗に “Polar Bear Jail”) に収容するシーンです。 1980年に完成したこの施設は28頭のホッキョクグマを収容する「独房」があるそうで、ここに収容したホッキョクグマに対して人間は一切接触せず、そして水は与えるものの食料を与えずに30日間留置しておくそうです。



30日間の拘留期間が過ぎるとホッキョクグマたちは再び麻酔をかけられ街から約50キロほど離れた場所で「解放」されるということです。 こういった不快な体験をさせることによってそのホッキョクグマたちが再び街に現れないような気持にさせるというのが目的です。 ただし、こういった体験をしたホッキョクグマの70% はやはり再び街に現れるという統計もあるそうです。 ここでそのホッキョクグマの「解放」のシーンを見ておくことにします。 まずこの収容施設から麻酔をかけられて運び出され、そしてヘリコプターで運ばれるシーンです。 2つのシーンを見てみましょう。





この下は母親と2頭の子供たちが収容施設から「解放」されるシーンです。



ただしこうしたホッキョクグマ親子の場合はあえて収容施設に入れずに発見された場所で麻酔銃で眠らせ、そして相当に離れた場所で解放してやるといった処置もあるそうで、親子の場合はむしろこちらのほうが基本的なやり方のようです。 以下はそのシーンです。



最近はこうした「解放」シーンを見たがる観光客が増えているそうです。今年は先月だけで11頭のホッキョクグマたちがこの施設に収容されたそうで、こうした形でチャーチルでは人 間とホッキョクグマの共存が何とか保たれているということですね。

(資料)
Le Devoir (Oct.28 2013 - Le Devoir dans la toundra du Manitoba - La prison… pour les ours polaires délinquants)

(過去関連投稿)
カナダ・ニューファンドランド島で民家に押し入ったホッキョクグマが射殺される
カナダ・ニューファンドランド島で再びホッキョクグマが射殺 ~ カナダ警察による 「緊急処置」 との説明
カナダ・ニューファンドランド島で目撃されたホッキョクグマがまた射殺される
カナダ・ニューファンドランド島で目撃されたホッキョクグマ、生け捕りにされ無事に無人地帯に移送される
カナダ、ニューファンドランド・ラブラドール州でまたホッキョクグマが射殺される
カナダ・ニューファンドランド島で無許可でホッキョクグマを射殺した男が訴追される
カナダで人里に現れたホッキョクグマに対する2つの事件への自然保護官の対応
by polarbearmaniac | 2013-10-29 01:00 | Polarbearology

カナダ・ケベック水族館のタイガ、次世代の繁殖への期待を担う

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タイガ Photo(C)The Canadian Press/AP

2009年11月にカナダ・ケベック州のサンフェリシアン原生動物園でエサクバクお母さんから誕生した雌のタイガと雄のガヌークの双子については、かなり以前にその産室内での映像を含めかなりの映像をご紹介しています。 特に素晴らしかったのはエサクバクの出産の瞬間を鮮明に捉えた映像でした。 これは過去にもう何度もご紹介していましたが、今再び見てみることにしましょう。 ホッキョクグマの出産の瞬間についてはこれ以前にドイツのロストック動物園でも見事に映像にとらえることに成功していましたが、このサンフェリシアン原生動物園での映像は至近距離で捉えた映像である点に特色がありました。



さらに生後約14か月後のこの双子に対するエサクバクお母さんの授乳シーンをご紹介しておきます。



さて、この双子は2011年11月、ちょうど2歳になる時に一緒にケベック水族館 (L'Aquarium du Québec) に移動した件は、「カナダ・サンフェリシアン原生動物園の双子、旅立ちの時来る ~ 2頭共にケペック水族館へ」という投稿をご参照下さい。 2年間近くは母親のもとに幼年個体をおくという欧米の動物園での一般的なやり方はここでも当然のごとく踏襲されたわけでした。 この双子のうち雄のガヌークについては2012年6月にコクレーンのホッキョクグマ保護施設 (Polar Bear Habitat) に移動した件は「カナダ・コクレーンのホッキョクグマ保護教育生活文化村にホッキョクグマ戻る ~ ガヌークの近況」という投稿をしています。その後のガヌークの近況については何回かその後も投稿しています。 一方、ケベック水族館に残った雌のタイガ (Taïga) のその後については投稿していませんでしたので、ここで彼女のその後の様子をケベック水族館が公開している公式映像を交えて近況をご紹介しておきたいと思います
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ケベック水族館でのタイガとガヌーク 
Photo(C)Daniel Migneault/Journal L'Étoile du Lac

まず下の映像は2011年11月にタイガとガヌークがケベック水族館に到着してから約一週間後の映像です。 タイガが遊んでいたポリタンクにガヌークがちょっかいを出したため取り合いになり、結局ガヌークが自分のものにしてしまうという様子です。 競い合っている様子がよくわかります。



下はその年のタイガおガヌークの2歳のお誕生会の様子です。
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Photo(C)L'Aquarium du Québec

次は2012年10月のハロウィーンでのタイガです。 この頃にはもう双子のもう一方のガヌークはコクレーンに去っていました。



今年の9月になってタイガは雄のエディとの同居が始まりました。 このエディというのは間もなく14歳になる雄ですが、エディは以前は雌のティグアクとペアを組んでいたわけですがこのティグアクは歯科治療のために麻酔中に呼吸器障害を起こして2011年4月に死亡しています。 この件は「カナダ・ケベック水族館の11歳のティグアク、歯科治療の麻酔中に亡くなる」を是非今一度ご参照下さい。 麻酔の恐ろしさというものを見せつけられた事件でした。 このティグアクの死亡のために雄のエディはパートナーがいなくなってしまったわけです。 そしてこれからはタイガを新しいパートナーにして繁殖を狙うということになったわけです。 この2頭の同居の様子を見てみましょう。 まず同居開始後3日目の様子です。 上にいるのがエディで水に入っているのがタイガです。



なんだかエディが焦っている様子です。 別の映像を見てみましょう。 開始後1分8秒あたりからですが相性はまあまあといったようで、どうもまだ互いが互いに対して馴染んでいない感じがありますね。



ケベック水族館では数ケ月間この2頭の様子を詳しく観察して「適応化 (socialization)」 がうまくいくのを見極めたいという意向だそうです。 タイガはこの11月で4歳になりますが、繁殖には幾分早いという年齢ですので、おそらく来年初頭にはこの2頭はまた別居し。そして来年秋からの同居再開というスケジュールになるいのではないでしょうか。 再来年の春にはタイガも5歳になっていますので、いよいよ繁殖の舞台に立つということになると思います。
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タイガ(左)とエディ(右) Photo(C)L'Aquarium du Québec

カナダにおける飼育下のホッキョクグマの繁殖をいえば、まずこのタイガの母親であるサンフェリシアン原生動物園のエサクバク、そしてトロント動物園のオーロラとニキータといったところが雌の手駒であり層が薄い感じは否めません。 カナダには雄のホッキョクグマが多くてバランスがとれていないように思います。 そういった中でこのタイガの存在は今後重みを増していくと思われます。

(資料)
Journal L'Étoile du Lac (Nov.11 2011 - Zoo de Saint-Félicien : Toupie arrive, Ganuk et Taïga s’en vont)
L'Aquarium du Québec (Nov.22 2011 - Taïga et Ganuk s'amusent) (Nov.30 2011 - Fête de Taïga et Ganuk le 30 novembre 2011) (Oct.25 2012 - Même notre ours blanc, Taïga, profite de la thématique Halloween! Citrouille) (Sep.5 2013 - La rencontre !) (Sep.5 2013 - Enfin ensemble! )

(過去関連投稿)
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園で生まれたホッキョクグマの赤ちゃん情報
カナダ・サンフェリシアン原生動物園の赤ちゃん、遂に一般公開!
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カナダ・サンフェリシアン原生動物園の情報発信力の質の高さ ~ 新しい時代の繁殖へ
カナダ・サンフェリシアン原生動物園の双子、旅立ちの時来る ~ 2頭共にケペック水族館へ
カナダ・ケベック水族館の11歳のティグアク、歯科治療の麻酔中に亡くなる
カナダ・オンタリオ州、コクレーンのホッキョクグマ保護教育生活文化村の苦闘 ~ 新しい個体を求めて
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カナダ・コクレーンのホッキョクグマ保護施設のガヌークが発揮した「画才」
カナダでの飼育下期待の星、イヌクシュクの物語
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カナダ・コクレーン、保護教育生活文化村へのイヌクシュクの帰還とEAZAの狙うミラクの欧州域外流出阻止
カナダ・コクレーン、保護教育生活文化村にイヌクシュクが無事帰還 ~ 息子のガヌークの近況
by polarbearmaniac | 2013-10-28 01:00 | Polarbearology

札幌・円山動物園のキャンディの「妊娠の可能性の兆候」をどう見るか?

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キャンディ(左)とデナリ(右)
(2013年4月13日撮影 於 札幌・円山動物園)

札幌・円山動物園の公式ブログの27日付けの記事によりますと、同園のキャンディに「妊娠の兆候」らしきもの見られているとのことです。 正確に言うと「妊娠の可能性の兆候」ということになるかと思います。 記事によりますと、「エサの食べ残しが増え、今月中頃に乳頭の張りも確認できた」 と書かれています。 私がロシアへ行く前の9月15日の同園訪問の投稿で、キャンディは「筋」に入った可能性があると書いたことがありますが、確かにあのキャンディの「静けさ」には何か独特のものを感じました。

Candy has a peace of mind, with some expectation, at
Sapporo Maruyama Zoo, Japan, on Sep.15 2013.


さて、今回指摘されている乳頭の張りについては以前、「『ホッキョクグマ飼育マニュアル(Care Manual) 』よりの考察(3) ~ 胸部の変化は妊娠の兆候と言えるのか?」 でも触れていますが、この胸部の変化はホッキョクグマの妊娠を外見上で判断する基準の一つの中には入っていないということです。 一方で、こういう兆候を見せる特定の雌のホッキョクグマは、偽妊娠 (pseudopregnancy) であってもこの兆候を見せるでしょう。 それから、初産は兆候がわかりにくいと言われているという指摘については感覚的にはそれは頷けるものがありますが、少なくともそういう趣旨の記述は欧米の研究文献には私の読んだ限りでは存在していないように思います。 ですから今年の方が兆候がはっきりしているという点についてもそれが妊娠の可能性がより高まっているのだというように理解してよいかどうかは判断が付きかねるように思います。

産室のある室内につながっていて来園者からは見えない屋外の飼育場(つまり Off-Exhibit )があればそこにキャンディ誘導して、産室に入るかどうかの時期の選択を全て彼女に委ねるのが理想的ですが、そういうスペースがないという現実では、早めにキャンディを室内に収容するほうがよいでしょう。 昨年のララは11月7日に収容されていますがキャンディはもっと早いほうが良いのではないでしょうか。

淡々と、そして冷静に過度の期待無しに待つのがよいと思います。 ここ何年か私はこうして海外のホッキョクグマの情報に接してきましたが、今回のキャンディのような「兆候」が指摘されたホッキョクグマは何頭もいたわけです。 しかしその大半は出産にも至らなかったという例を多く知っています。 個人的にはキャンディを大いに応援していますが、こちらも知識を蓄えたせいか大きな期待をせずに冷静でいたほうがよいという教訓を得ています。

仮にキャンディに出産があるとすれば私は11月中~下旬ではないかと予想しています。 マルルの転落事故を含め展示場の改装工事など、なにかと落ち着かない感じのするのが残念ではありますが、どうかキャンディが静かにその時を迎えられるようにしてやってほしいと思います。 彼女が無事に出産し、そして春に赤ちゃん(たち)と一緒に戸外に登場すれば、私はヴッパータール動物園の園長さんにその写真を添えて手紙を送りたいと思っています。

今年は国内外のこういった妊娠の可能性の情報については、いちいちここで反応しないつもりでしたが、キャンディはもうほとんど後のない年齢にまでなっていますので、彼女のことだけは一度触れておきたいと考えたのが本投稿の趣旨です。

(資料)
札幌市円山動物園 (オフィシャルブログ

(過去関連投稿)
札幌 ・ 円山動物園のキャンディへの期待と声援 ~ 彼女のドイツでの幼少期と今は亡き両親の姿
喜怒哀楽を常に隠したポーカーフェイスのキャンディ ~ モスクワ動物園との深いつながり
デナリとキャンディ、「成就」への出発のレールに乗る ~ 週末の札幌・連続4週間目
曇天の札幌・円山動物園 ~ ホッキョクグマの「再配置」と、「筋」 に入った可能性を感じるキャンディ
「ホッキョクグマ飼育マニュアル(Care Manual)」よりの考察(3) ~ 胸部の変化は妊娠の兆候と言えるのか?
by polarbearmaniac | 2013-10-27 23:00 | Polarbearology

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