街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ウクライナのムィコラーイウ動物園に移動したナヌクのその後 ~ 複雑なスラヴ圏のホッキョクグマ事情

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ムィコラーイウ動物園でのナヌク Photo(C)Николаевский зоопарк

2012年11月生まれのチェコ・ブルノ動物園のナヌクが移動によって先日1月20日にウクライナのムィコラーイウ動物園に入園したニュースはすでにご紹介していました。 このナヌクのその後の様子を報じる地元TV局の映像が入ってきましたのでご紹介しておきましょう。



上の番組では途中で極めて興味深い映像が挿入されていました。 それは以前に 「ホッキョクグマ・アイカ と レディン一家の物語 ~ 愛情の日々、そして悲劇的な終末へ」 という投稿でご紹介していましたアイカです。 アイカはこのムィコラーイウ動物園で生まれたホッキョクグマですが、当時の東ベルリンのベルリン動物公園で悲劇的な最期を遂げてしまったわけです。 そこでご紹介した ” БЕЛЫЙ МЕДВЕДЬ Айка, Документальный фильм” (「ホッキョクグマ・アイカ」 ~ ドキュメンタリフィルム)をまだご覧になっていない方がいましたら是非とお奨めしたいと思います。

さて、このムィコラーイウ動物園はこれでモスクワ動物園生まれのジフィルカとブルノ動物園生まれのナヌクという二頭のホッキョクグマを飼育することになったのですが、このケースなどは過去にホッキョクグマを飼育していたにもかかわらず死亡してしまいホッキョクグマ不在となってしまった動物園がホッキョクグマの飼育展示を再開する場合の典型的なケースだろうと思います。 ホッキョクグマがいなくなったから購入するという時代ではなくなりつつあるわけで、特にスラヴ圏ではこうしたケースはこれからも出てくると思います。 これについては 「ウクライナ南部・ムィコラーイウ動物園のジフィルカの近況 ~ ロシアの狙う自国内、旧ソ連圏内の展示充実」 という投稿をご参照下さい。 

ロシアやウクライナの動物園の飼育環境は良好とは言えませんが、しかしそうしたなかでもなんとか協力し合ってホッキョクグマの展示を続けていこうというロシアやウクライナの動物園人の気概のようなものを感じることができます。 そしてそういったものの中にある種の謎めいた「不透明さ」、「いかがわしさ」のようなものが表裏一体として存在している...それがスラヴ圏におけるホッキョクグマ界なのだということです。 そういったことは今までさんざんと投稿してきました。 清濁が表裏一体の世界...これが文学の世界でしたら極めて魅力的な状況背景となるのですが、しかし問題はホッキョクグマたちの幸福がこういった文化背景を持つ地域で実現できるかということです。 このムィコラーイウ動物園は混乱の続くウクライナの、それも地方都市の動物園ですから財政事情は非常に厳しいわけでナヌクやジフィルカを良好な状態で飼育し続けられるのかについては不安を拭い去ることは決してできません。

(資料)
TCH.ua. (Jan.27 2015 - Єдина в Україні пара білих ведмедів тепер є у миколаївському зоопарку)

(過去関連投稿)
チェコ・ブルノ動物園のナヌクが同園を出発、ウクライナのムィコラーイウ動物園に向かう ~ 物語の終幕
チェコ・ブルノ動物園のナヌクが無事にウクライナのムィコラーイウ動物園に到着
ホッキョクグマ・アイカ と レディン一家の物語 ~ 愛情の日々、そして悲劇的な終末へ
ウクライナ、チェコ、ポーランド、スロヴァキアの四か国の動物園が「欧州スラヴ圏動物園共同体」を形成か?
(*以下、ジフィルカ関連)
モスクワ動物園のシモーナお母さんの三つ子の一頭の雌がウクライナ・ムィコラーイウ動物園に移動へ
ウクライナ、ムィコラーイウ動物園がホッキョクグマの輸入許可を取得するものの立ちはだかった難題
ウクライナのムィコラーイウ動物園にモスクワ動物園のシモーナの三つ子の一頭の雌のジフィルカが到着
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園にモスクワ動物園から到着したジフィルカを伝えるニュース映像が公開
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園にモスクワ動物園から到着したジフィルカが元気に展示場に登場
ウクライナ・ムィコラーイウ動物園に来園したジフィルカの近況 ~ 場当たり的なEARAZAの繁殖計画か?
ロシア南部・ロストフ動物園とウクライナ・キエフ動物園との間の紛争 ~ 「ホッキョクグマ詐欺」事件の概要
チェコ・ブルノ動物園のコメタがロシア・ロストフ動物園へ ~ ブルノ、モスクワ、ロストフの巧妙な三角関係
ウクライナ南部・ムィコラーイウ動物園に来園したモスクワ動物園生まれの雌のジフィルカの人気高まる
ウクライナ南部・ムィコラーイウ動物園のジフィルカの近況 ~ ロシアの狙う自国内、旧ソ連圏内の展示充実
by polarbearmaniac | 2015-01-31 01:00 | Polarbearology

釧路市動物園の「遊びの天才」ミルクを親子関係から考える ~ 「コロ/クルミ」 と 「クルミ/ミルク」の違い

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ミルク  (2013年5月1日撮影 於 男鹿水族館)

釧路市動物園で暮らす二歳の雌のホッキョクグマのミルクについて北海道新聞の本日1月30日付け電子版がその様子を報じています。 「遊びの天才」であるミルクの飼育展示場での様子を伝えています。 その映像を見てみましょう。



私は以前に 「ミルクの遊びの本質を探る ~ 一つ一つの小さな喜びを積み上げて日々の生き甲斐へと見事に昇華」 という投稿でこのミルクの遊びの本質を考えてみたことがあり、私としてはその投稿でこのミルクの遊びが何を意味するかについては自分なりの方法でだいたい説明できたと思っています。 このミルクの遊びは彼女自身が遊び好きであるというよりも、彼女自身の考え方や生き方がこうした特異な遊びにつながっているというのが私の考え方です。 「小さなことでも、何かを達成・実現するために自ら緊張を高め、そしてその緊張を満足感によって解放する」、その手段が彼女の遊びの本質の部分だろうと思っています。 そしてその彼女の遊びは他のホッキョクグマでは全くといって良いほど見ることのできない「人間的」な動きを伴うわけで、見ている者にとっては予想外のおもしろさを感じさせてくれるわけです。 そういったミルクの遊びを三つの映像で再度ご覧いただきたく思います。

ミルクの遊び(1)
ミルクの遊び(2)
ミルクの遊び(3)

以前、コロ(ミルクの祖母)がどのように幼年時代のクルミ(ミルクの母)に接していたかを実際にご覧になった方のお話を聞いたことがありますが、クルミはコロが年齢を重ねた後(22歳だったかな?)に産んだ子供なのでコロはクルミと一緒に遊んでやることはほとんどなかったためにクルミは自分で遊ぶことを習得したというお話でしたが、それは多分その通りだろうと思います。 クルミにとってコロという自分の母親は自分が超えることのできない壁のようなものであっただろうと私は想像します。 一方このミルクに関しても私はコロ/クルミの親子の関係が投影されているだろうと考えていますし、それはクルミがミルクと本当に楽しそうに遊んでいたわけではないのでミルクは自分なりの遊びを開拓したのだということで、さほど大きな間違いではないだろうと思っています。 つまり母親の子供への「非関与性」が大きく関係しているということです。 ここで釧路市動物園でのコロ(当時30歳)とクルミ(当時8歳)の貴重な映像を再度ご紹介しておきます。



さて、しかしコロ/クルミの関係とクルミ/ミルクとの関係の違う点は、ミルクは自分の母親であるクルミをすでに意識の中で「超えている」、つまり母親を上から見つめていたということです。 この点においてクルミ/ミルクの関係はノヴォシビルスク動物園のゲルダ/シルカの親子関係に似ていると考えています。 ウスラーダやフギースといった母親たちはその「絶対的権威」によって子供たちのはるか上に存在しているわけですが、私はこの関係が逆転している例はこのミルクとシルカくらいしか思いつきません。

ホッキョクグマの母親から子供たちが旅立つ時、それまでの親子の一年を振り返るといつも私は、「実は子供たちが主役だったのではなく、本当の主役は母親だったのだ。」 と気が付くのです。 ところがミルクやシルカの場合は、やはりミルクやシルカが主役であり続けたということです。 ホッキョクグマの親子にはやはり多種多様な関係があるということを興味深く感じています。 これこそがホッキョクグマ観察の醍醐味なのです。

(*追記 - ホッキョクグマの母親は出産・育児を繰り返すごとにだんだんと自分の子供に対して「非関与的」になっていくという考え方があります。 釧路市動物園コロ/クルミの関係にそれを見る人がいらっしゃるかもしれません。 私も一時期そのような考え方を持ったこともありましたが、しかし昨年レニングラード動物園で見たウスラーダと彼女の16番目の子供であるザバーヴァとの関係を観察しますと、この出産・育児回数と「関与的」「非関与的」な親子関係とは無関係であるということがわかりました。 ですので、「出産・育児を繰り返すごとに母親はだんだんと自分の子供に対して『非関与的』になっていく」 という考え方は間違いであると現在は考えています。)

(資料)
北海道新聞 (Jan.30 2015 - 2歳のホッキョクグマ、ネットで話題「人間みたい」 釧路市動物園

(過去関連投稿)
*男鹿水族館、釧路市動物園訪問記
男鹿水族館の赤ちゃん、はじめまして!!
クルミの赤ちゃん(クーシャ - 仮称) の素顔と性格 ~ 一般公開日初日の印象
クルミお母さんの性格と母親像 ~ その 「対象非関与型母性」への評価について
梅雨期の出羽の国、男鹿水族館でクルミ母娘との再会
美しく成長を遂げつつあるミルク ~ その素顔と性格
クルミお母さんの母親像を再度考える ~ 「求心性」、「非求心性」の第三の座標軸から見えてくること
クルミ母娘の夏の日 ~ 大きな展示場へ移動した親子との再会
"La tristesse allante de Milk" ~ クルミとミルクの母娘関係と行動の基本的構図を探る
悪天候、そして夏の終わりの男鹿水族館 ~ 転換点を迎えたクルミとミルクとの母娘関係
驚くべき進化を遂げつつあるミルク ~ "Efforcez-vous d'entrer par la porte étroite..."
過ぎ去らない夏の残る男鹿水族館 ~ クルミとミルクの母娘模様
ミルクの楽しいおもちゃ遊び ~ 超一流の遊びの能力
独立自尊のミルク、その涙無しの旅立ち ~ また釧路でお会いしましょう、お元気で!
ミルクの遊びの本質を探る ~ 一つ一つの小さな喜びを積み上げて日々の生き甲斐へと見事に昇華
*ホッキョクグマの母親像
「情愛型」 と 「理性型」、「対象関与型」 と 「対象非関与型」 のそれぞれの母親像の違いを探る
クルミお母さんの母親像を再度考える ~ 「求心性」、「非求心性」の第三の座標軸から見えてくること
クルミ、その特異なる母性へのオマージュ ~ 「母親」 たることを拒絶した、その逆説的母親像への敬意
by polarbearmaniac | 2015-01-30 11:00 | Polarbearology

ロシア・イジェフスク動物園の一歳のニッサンがモスクワ動物園へ ~ 最終的にはスコットランドに移動か?

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ニッサン (2014年9月18日撮影 於 ロシア、イジェフスク動物園)

ロシアのイジェフスク動物園 (ウドムルト動物園) の園長さんが本日付のコムソモリスカヤ・プラウダ紙のイジェフスク地方版のインタビューに答えていくつかの興味深いことを語っています。 その中でホッキョクグマに関連したものでは、同園で一昨年の12月12日に野生出身のドゥムカお母さんから誕生した1歳の雄のニッサンがすでにモスクワ動物園に移動しているという事実と、その後にイギリスの北部スコットランドにある動物園に移動する予定であることを語っています。 ニッサンがイジェフスク動物園からモスクワ動物園に移送されたのは昨年12月12日のニッサンの一歳の誕生会以降のことだと考えられます。 さて、最終的な行先がスコットランドの動物園ということになりますとハイランド野生公園 (Highland Wildlife Park) ということになるはずですが、しかしあそこには7歳のアルクトスと6歳のウォーカーという二頭の雄の若年個体が飼育されているわけで、それに加えて1歳のニッサンが移動するというのもかなりおかしな気がしますので、アルクトスとウォーカーのうちどちらか(あるいは両方)が他園に移動するということになるのではないでしょうか? これはまた実に興味深いことになりそうです。
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ニッサン (2014年9月18日撮影 於 ロシア、イジェフスク動物園)

以前から書いていますが、ニッサンの父親であるノルド(彼の母親はシモーナ)の権利がモスクワ動物園にあるため、このニッサンの権利もモスクワ動物園にあることになるわけでニッサンが移動するとすれば一度はモスクワ動物園に移るというのは当然だと思われますし、さらにその後の移動先の決定については全てモスクワ動物園の意向次第でしょう。 ニッサンがロシアから欧州に移動ということは、モスクワ動物園がこのニッサンを欧州に「売却」 したことを意味するとみて間違いないと思います。 ニッサンは私が現地で観察したところでは、なかなか筋の良い育ち方をしていますので、これからどう成長していくかが興味のあるところです。 内心はもう一年ドゥムカお母さんと過ごさせてやりたかったと思いますが、ロシアではそうはいかないということです。 実は私は昨年のイジェフスク動物園訪問記の2日目の最終投稿が終わっておらず、このニッサンの未公開動画もいくつかあるのですが、そのうちの一つを下に御紹介しておきます。 ドゥムカお母さんの背中にいるニッサン君の姿です。

ニッサンの表情の変化 (A variation in Nissan, the polar bear's
facial appearance, at Izhevsk Zoo, Russia, on Sep.19 2014)

昨年暮れにサンクトペテルブルクのレニングラード動物園から来園した1歳の雌のザバーヴァとやはり1歳の野生孤児の雄のバルーとはすでに非常に仲の良い遊び友達になっているということも園長さんは語っています。 ニッサンもバルーもザバーヴァも私が昨年秋にロシアで実際に会ってきた幼年個体ですので彼らについては引き続きその様子を追いかけていきたいと思っています。

さて、同園から忽然と姿を消した「さすらいのホッキョクグマ」のピリグリムと野生孤児の双子のうちの一頭である雌のオーロラについて園長さんは何も語っていません。 語ることのできない事情があるのでしょう。

(資料)
Комсомольская правда (Jan.29 2015 - Изменения в зоопарке Удмуртии: белого медвежонка забрали в Шотландию, а пингвинов привезут в Ижевск)

(過去関連投稿)
ロシア連邦 ・ ウドムルト共和国 イジェフスク動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
ロシア連邦 ・ ウドムルト共和国 イジェフスク動物園で誕生の赤ちゃんの産室内映像が初めて公開
ロシア連邦 ・ ウドムルト共和国 イジェフスク動物園で誕生の赤ちゃんは順調に成育中
ロシア連邦ウドムルト共和国、イジェフスク動物園の赤ちゃんの近況 ~ ロシア国内の個体の権利関係
ロシア連邦ウドムルト共和国、イジェフスク動物園の赤ちゃん、遂に戸外に登場し公開される
ロシア連邦ウドムルト共和国、イジェフスク動物園の赤ちゃんの追加映像
ロシア連邦・ウドムルト共和国、イジェフスク動物園の赤ちゃんの性別は雄と判明 ~ 名前公募が開始
ロシア連邦・ウドムルト共和国、イジェフスク動物園の雄の赤ちゃんの近況 ~ 泳ぎ始めた赤ちゃん
ロシア・イジェフスク動物園のドゥムカお母さんは母親としての力量不足か? ~ 母親の力量を考える
ロシア・イジェフスク動物園の雄の赤ちゃんの名前が 「ニッサン (Ниссан)」 に決まる
ロシア連邦・ウドムルト共和国、イジェフスク動物園のニッサン君の行動にみる雄らしさ
ロシア連邦・ウドムルト共和国、イジェフスク動物園のニッサン君の近況 ~ 地元の愛称は 「サニョーク」
ロシア連邦・ウドムルト共和国、イジェフスク動物園のニッサンが満一歳となる ~ その真直ぐな成長

(*2014年9月 イジェフスク動物園訪問記)
イジェフスク動物園へ ~ ドゥムカ親子と野生孤児バルーとの対面
ニッサン君の素顔とその性格 ~ 開園5年でホッキョクグマの繁殖に成功したイジェフスク動物園
ドゥムカお母さんの素顔とその性格 ~ 「母親の権威」を無用と考える極めて豪放かつ鷹揚な母親像
野生孤児バルーの素顔 ~ 野生個体の不幸の上に成り立つ動物園という悲しき真実
イジェフスク動物園二日目 ~ ドゥムカお母さん、ニッサン君、バルー君、お元気で! (投稿準備中)
by polarbearmaniac | 2015-01-29 19:00 | Polarbearology

オランダ・ロッテルダム動物園の双子の赤ちゃんのライブ映像が人気 ~ オリンカお母さんの手堅い育児

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Photo(C)Diergaarde Blijdorp

昨年12月2日にオランダのロッテルダム動物園で22歳のオリンカが双子の赤ちゃんを出産したことはすでにご紹介しており、産室内の映像が24時間ライブ配信されていることにも触れています。 この24時間産室内ライブ映像配信ですが報道によりますと、すでに10万アクセスがあったそうでやはり一般からの関心も高いようです。 国別では日本からのアクセス数は第四位のようです。 昨日のライブ映像を早送りしてまとめた方がいますのでその映像もご紹介しておきます。



さて、オリンカお母さんの産室内での育児ですが、ライブ映像で見る限り非常に手堅くて危なげがなく安定感があるように見えます。 やはり育児経験十分といったベテランの母親の様子が見てとれます。 安心して見ていられる母親だと言ってよいでしょう。

ロッテルダム動物園はオリンカお母さんの出産以前の段階から「出産があれば産室内ライブ映像配信開始」 を考えて準備していたことは間違いなく、赤ちゃん誕生の事実の発表と同時にこの映像の配信を開始しています。 私の知る限りこういったホッキョクグマの産室内ライブを初めて行ったのはデンマークのオールボー動物園で2008年12月に誕生したミラク(現 カナダ・サンフェリシアン原生動物園)の時だったと思います。その後に印象に残るのはやはりチェコ・ブルノ動物園で、2011年暮れにはなんとコーラお母さんの出産前から産室内部の様子のライブ映像配信を行うという画期的な内容でした。

こういうライブ映像配信は実は動物園の担当者にとっては、いちいち写真や部分的映像を用いて赤ちゃんの成長を動物園のHPにアップする手間がなくなるという点で非常に楽なやり方だと思います。 しかし欲を言えば短いダイジェスト版の動画の公開もあったほうが赤ちゃんの成長をもっと楽に確認できるような気もしますし後から振り返ってみることもできて意義があるように思います。 ロッテルダム動物園はオリンカ親子が産室から展示場に登場した後も何らかのライブ映像配信を行うのでしょうか? それを昨年行ったのがロシアのノヴォシビルスク動物園でした。あのライブ映像を一日中見ていたという方がロシアには何人もいたそうです。

(資料)
Diergaarde Blijdorp (Volg de ijsbeertjes live via webcams)
AD.nl (Jan.28 2015 - Zelfs Moskou geniet mee van jonge ijsbeertjes in Blijdorp)

(過去関連投稿)
オランダ・ロッテルダム動物園でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生! ~ オリンカが貫録の出産
オランダ・ロッテルダム動物園の双子の赤ちゃんは順調に推移 ~ 産室内映像配信と研究プロジェクト支援
by polarbearmaniac | 2015-01-29 14:00 | Polarbearology

ドイツ・ロストック動物園の赤ちゃん、産室内で運動量が増す ~ ヴィルマお母さんの丁寧な育児

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ヴィルマお母さんと赤ちゃん Photo(C)Zoo Rostock

昨年12月3日にドイツのロストック動物園でヴィルマお母さんから誕生した一頭の赤ちゃんですが1月23日の産室内の映像が公開されていますのでご紹介しておきましょう。 生後58日が経過した映像ということになります。



赤ちゃんは自分でかなり動き回りたいようですがヴィルマお母さんはその動きに非常に慎重です。 前回の投稿は19日の映像をご紹介していますが、それから四日間後の今回の映像では赤ちゃんの動きがより活発になっていることがわかります。 このあたりの時期は日に日に赤ちゃんの活動量が増してくることが非常に顕著な時期であるいうことがわかります。 昨年暮れに世界の動物園で赤ちゃんを産んだお母さんたちは大阪のバフィンを除いて全て出産・育児の体験があり、しかもベテランというお母さんが多いのですが育児初体験のバフィンも含めてどの母親も産室内で非常に丁寧な育児を行っているのが特徴のようです。 こうやって世界各地のホッキョクグマの産室内の育児を比較してみますと、その映像は不完全で少ないながらもやはり札幌のララお母さんが一番余裕をもって育児を行っているように私には感じられます。

(資料)
Zoo Rostock (Eisbär-Tagebuch - Neuigkeiten aus der Wurfhöhle)

(過去関連投稿)
ドイツ・ロストック動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ ヴィルマが自己の12歳の誕生日に出産
ドイツ・ロストック動物園で誕生の赤ちゃんは順調に生後五週間が経過 ~ 性別判定を急ぐ同園
ドイツ・ロストック動物園で誕生の赤ちゃんは順調に生後7週間目へ ~ ヴィルマお母さんの母性
by polarbearmaniac | 2015-01-29 02:00 | Polarbearology

オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園の二頭の赤ちゃん、互いに相手を意識し始める



昨年11月22日にオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園でフリーダムお母さんが産んだ二頭の赤ちゃんはすでに生後二か月が経過しているわけですが、また最新の映像が公開されています。 それが冒頭の映像ですが、二頭の赤ちゃんたちはもうお互いを意識し合って遊び始めているように見えます。 段々とホッキョクグマらしい姿になってきました、

(過去関連投稿)
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園でホッキョクグマの三つ子の赤ちゃん誕生! ~ フリーダムの快挙
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園で誕生の三つ子の赤ちゃんのうち一頭が死亡!
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園で誕生の二頭の赤ちゃんが生後24日目を迎える ~ 眼も開く
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園で誕生の二頭の赤ちゃんの近況 ~ twins と twin cubs の違い
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園の二頭の赤ちゃんは生後二か月経過 ~ フリーダムお母さんの技量
by polarbearmaniac | 2015-01-28 18:00 | Polarbearology

ロシア・イジェフスク動物園のピリグリムとオーロラ、同園から忽然と姿を消す ~ ブラジル行きの真相と深層

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ピリグリムとオーロラ Photo(C)Зоопарк Удмуртии

今回の投稿の内容は 「超マニア向け」 であり多くの方には興味のない話でしょうから無視していただいて結構です。 実に不可解なホッキョクグマの移動がすでに行われていたことをロシアのイジェフスク動物園(正式にはウドムルト動物園 - Зоопарк Удмуртии)がSNSのサイトで発表しました。 このイジェフスク動物園というのはホッキョクグマに関しては過去のいくつかの例からも、何事もコソコソと行うことが大好きなようです。 おそらく何か後ろめたいことがあるのでしょう。 同園で飼育されていた5歳の雄のピリグリムと、そして野性出身の5歳の雌のオーロラが「最近」そろってブラジルへ移動したのだと同園は言っています。 いつ移動したかも明らかにせず、そして行先がブラジルのどの動物園なのかも明らかにされていません。 未確認情報によれば移動は昨年12月中旬のことだったようです。 ちなみに、私が昨年9月にイジェフスク動物園を訪問した時にもこの二頭の姿を見ることはできませんでした。 なにしろニッサン君とドゥムカお母さんの親子、そして野生孤児のバルーが二つの展示場のそれぞれにいたわけで、ピリグリムやオーロラに会えないことはしょうがないなと思っていました。
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ピリグリムとオーロラ Photo(C)Зоопарк Удмуртии

さて、実はブラジルの某動物園は最近、ホッキョクグマを入手するためにいろいろな動きを行っていたことは私も知っていました。 その一つの動きは昨年ロシアのサーカス団と交渉してホッキョクグマを入手しようとしたものの断られたという事実、そしてノヴォシビルスク動物園の現在は1歳になった雌のシルカの入手を希望していたという事実です。 この後者については昨年の夏頃から動きを見せていました。 結局のところブラジルの某動物園はノヴォシビルスク動物園のシルカの入手は断念したのだと考えてよいと思われます。 そして今回、ブラジルの某動物園はイジェフスク動物園のピリグリムとオーロラの若年ペアをブラジルに移動させることに成功したらしいのですが、これはこの二頭を購入したのではないと考えるのが妥当でしょう。 何故なら、雌のオーロラは野生孤児の出身ですからロシアの連邦政府の自然管理局 (RPN) が個体の権利を持ち、そしてこのオーロラについては自然管理局 (RPN) の持つ管理権の代行としての飼育を行うのは本来はカザン市動物園なのです。 カザン市動物園はご存じの通り飼育施設が貧弱ですのでオーロラを飼育する余裕がないためイジェフスク動物園がさらにその飼育の代行を行っているのだろうということにすぎません。 そうした野生個体はロシアの国外に売却などによって移動させるということはできないはずなのです。 雄のピリグリムは以前にもご紹介していますが 「さすらいのホッキョクグマ」 です。 彼の所有権はカザン市動物園にあるわけです。 つまり、オーロラとピリグリムは本来カザン市動物園で飼育されるべき個体であるにもかかわらず同園の施設の貧弱さのためこの二頭はイジェフスク動物園に預けられて飼育されていたというのが事実なのです。 ですからこの二頭を移動させるということは最低限カザン市動物園の指示、もしくは了解があってのことでしょうが、それにしても二頭がそろってロシア国外に出るという自然管理局 (RPN) が承認するはずもない移動が事実上生じたことになります。 極めて不自然な状況です。 しかしこれがロシアという国なのだと考えればいいだけの話かもしれませんが。
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ピリグリムとオーロラ Photo(C)Зоопарк Удмуртии

最近ロシアの動物園では水面下で何かおかしな動きが感じられます。 というのは、昨年になって野生孤児が三頭も保護されてロシア国内の動物園に送られています。 それはイジェフスク動物園の雄のバルーゲレンジーク・サファリパークの雌のスネジンカと性別が公表されていないセレジュカです。 一昨年はペルミ動物園で雄のセリクが保護されましたが、ここのところあいついで出現する野生孤児を保護・飼育するためにロシアの動物園は相当に無理を重ねており、そういったことが理由でモスクワ動物園が構築した他種他園間移動のスキームの実行の遅れにもつながっていると私は考えています。 イジェフスク動物園は10歳の雌のドゥムカと9歳の雄のノルドという年長ペア、そして5歳のオーロラとピリグリムという若年ペアの二組ならば飼育して同時に繁殖を狙うこともできるわけですが、ドゥムカとノルドとの間に一昨年遅れにニッサンが誕生し、そして昨年になって野生孤児のバルーが来園したためにスペースに余裕が無くなったのでしょう。 そしてさらにこのバルーの将来のパートナーとしてレニングラード動物園からザバーヴァが来園することになり、こういった状況の下でカザン市動物園の指示か了解の下でオーロラとピリグリムの若年ペアをブラジルに移動させることになったのだろうということが考えられますが、何故南米ブラジルの動物園に移動させるのかは全く理解不能です。 このイジェフスク動物園は以前にもプロメテイ (Прометей) という雄の若年個体をこっそりと中国に売り飛ばし、そのことを後から知ったファンが騒ぎ出すと言った事件があったわけです。 今回も実はこの二頭をこっそりと移動させたかったものの、噂を聞いた一部の方がネット上で同園に問いあわせるなどしたために今回の二頭の移動の事実だけはしぶしぶと認めたということだろうと思います。 この二頭の移動は売却ではなく有償の賃借だとしても、その期間満了後にロシアに戻るとは到底考えにくいと思います。 つまり、ある種の「脱法行為」 が行われ、この二頭はずっとブラジルに留まるであろうことはほぼ間違いないのではないかと思います。 そもそも飼育展示場の新設工事などでホッキョクグマの仮の飼育スペースがないために他園に預けるとはいっても、わざわざロシアから非常に遠方の気候環境の異なる南米のブラジルの動物園に移動させるという話自体が胡散臭く、しかもそのブラジルの某動物園がもともとホッキョクグマを入手したいと活動していたのであれば尚更のこと、これは事実上はロシアからブラジルへのホッキョクグマの譲渡であることは明らかです。 ここで一昨年の7月と9月のイジェフスク動物園でのピリグリムとオーロラの映像を二つご紹介しておきましょう。





さて、移動後一か月が経過しているもののブラジル国内の動物園からは依然としてホッキョクグマ二頭の来園の発表もマスコミの報道もありません。 この二頭が本当にブラジルに行ったのでしたら検疫期間も当然終了しているはずですから、これは実に奇妙ですね。 ひょっとしてブラジルに行くと見せてまた中国でしょうか? 少なくとも今回のこの二頭の移動については何かの不正がからんでいるとみて間違いないでしょう。 そういった話は現場の善良な飼育員さんなどは知らないはずで、園のもっと上の地位の人間しか真相を知らないだろうと思います。 ピリグリムは本当に可哀想なホッキョクグマです。 幼年個体のうちから移動に移動が繰り返され、そして安住の地と思えたイジェフスク動物園も実はそうではなかったというわけです。 ともかく現時点では公式的にはオーロラとピリグリムは「行方不明」 という状態です。 実に馬鹿げた話だと思います。

このオーロラとピリグリムの件については、その現在の元気な姿が確認できましたらまた必ず投稿するつもりです。

(資料)
Зоопарк Удмуртии | ВКонтакте (Jan.26 2015 - "Белые медведи Пилигрим и Аврора")

(過去関連投稿)
(*以下、ピリグリム関連)
ロシア・カザン市動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!!
ロシア・カザン市動物園で生まれた赤ちゃん(続報)動画公開!
モスクワ動物園、ロシア国内の幼少ホッキョクグマの売却一元管理を開始か?
ロシア・ウドムルト共和国のイジェフスク動物園 ~ 「さすらいのホッキョクグマ」ピムの安住の地となるか
モスクワ動物園がカザン市動物園に1頭のホッキョクグマを贈与 ~ 帰属意識と権利関係の狭間で

(*以下、オーロラ関連)
ロシア極北・タイミール半島でホッキョクグマの2頭の赤ちゃんを保護!
ロシア・タイミール半島で保護された赤ちゃん孤児の続報
ロシア・クラスノヤルスク動物園の2頭の赤ちゃん孤児、同市に留まり同居の継続が決定!
ロシア・クラスノヤルスク動物園で暮らすタイミール半島で保護された双子の孤児の名前が決まる
ロシア・クラスノヤルスク動物園で保護の双子の孤児に別れの時来る ~ オーロラがイジェフスク動物園へ

ロシア・ウドムルト共和国イジェフスク動物園でピリグリムとオーロラが「結婚式」 ~ 新しい繁殖基地へ
by polarbearmaniac | 2015-01-28 01:30 | Polarbearology

ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のザバーヴァがイジェフスク動物園に移動となる

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ザバーヴァ (2014年9月14日撮影 於 ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園)

突然とも言えるニュースがイジェフスク動物園 (正式にはウドムルト動物園 - Зоопарк Удмуртии) より発表されています。 ロシア・サンクトペテルブルクのレニングラード動物園で一昨年の12月6日にウスラーダお母さんの16頭目の子供として誕生した雌のザバーヴァがすでに昨年末にイジェフスク動物園に移動しており、野生孤児として同園で保護されている雄のバルーと同居していることがイジェフスク動物園のHPと報道によって明らかになりました。 最初の日こそバルーはザバーヴァを恐ろしがっていたそうですが、日数が経過するにつれて仲が良くなってきたそうです。
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イジェフスク動物園でのザバーヴァとバルー Photo(C)архив КП

ザバーヴァは昨年12月中に移動になるという話はレニングラード動物園より事前に発表されていましたし、その移動先がイジェフスク動物園になるだろうということは非公式的には伝えられていたわけですが、レニングラード動物園からホッキョクグマの個体移動があるときは常にいつも大きく報道されていましたし、レニングラード動物園も具体的移動日などのスケジュールを大きく発表していましたので、今回のザバーヴァのイジェフスク動物園への移動がそういった事前の告知なしに行われたことは意外に思います。 最近ロシアの動物園では何か不可解な動きがあるようで、そういったことはおいおい投稿していきたいと思うのですが今回の移動もまるでこっそりと秘密裡に行われたような感じすら持ちます。
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バルー (2014年9月18日撮影 於 ロシア、イジェフスク動物園)

ともかくザバーヴァのパートナーはやはり私の予想したように野生出身のバルーでした。 やはり「アンデルマ/ウスラーダ系」の血を野生個体とのペアを形成することによって「薄める」ということが必要だという方針がよくわかります。 こうなるとレニングラード動物園ではウスラーダは今年メンシコフとの間で さらなる繁殖へ挑戦ということになるのでしょう。 「偉大なる母」は歩みを止めることは無いようです。

(資料)
Зоопарк Удмуртии (Новости/Jan.22 2015 - Ищу друга)
Udm-Info (Jan.27 2015 - Белая медведица Забава появилась в ижевском зоопарке)
Известия (Jan.27 2015 - Белый медвежонок Балу из Ижевского зоопарка обрел друга)
Комсомольская правда (Jan.27 2015- У белого медвежонка Балу в Ижевском зоопарке появилась подружка)
Аргументы и Факты (Jan.27 2015 - У белого медведя Балу из ижевского зоопарка появилась подруга)

(過去関連投稿)
(*ザバーヴァ関連)
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(2014年9月レニングラード動物園訪問記)
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「歴史上のホッキョクグマ」となったウスラーダ、その娘ザバーヴァへの接し方 ~ 「女帝王学」の伝授へ
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レニングラード動物園三日目 ~ ウスラーダさん、メンシコフさん、ザバーヴァちゃん、お元気で! (*投稿準備中)

(*バルー関連)
ロシア極北ノーヴァヤ・ゼムリャー島でホッキョクグマの双子の孤児が保護 ~ 一頭がイジェフスク動物園へ
ロシア極北ノーヴァヤ・ゼムリャー島で保護された野生孤児バルー、そのイジェフスク動物園での映像
ロシア連邦・ウドムルト共和国のイジェフスク動物園で野生孤児バルーの一般への公開が行われる
(2014年9月イジェフスク動物園訪問記)
イジェフスク動物園へ ~ ドゥムカ親子と野生孤児バルーとの対面
野生孤児バルーの素顔 ~ 野生個体の不幸の上に成り立つ動物園という悲しき真実
by polarbearmaniac | 2015-01-27 19:00 | Polarbearology

モスクワ動物園・ヴォロコラムスク付属保護施設の野生孤児アイオンの5歳の誕生会が行われる

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5歳になったアイオン Photo(C)Карена Мовсисяна/WWF России

2010年の3月にロシア極北のチェクチ半島で孤児としてWWF・ロシア支部のベア・パトロールのスタッフによって保護された雄のホッキョクグマであるアイオンについては保護された直後からニュースのあるたびにその様子を追ってきたつもりですので過去関連投稿をご参照下さい。 このアイオンはその後モスクワ動物園に送られて保護され、現在も同園のヴォロコラムスク付属保護施設で飼育されています。 とりあえず「復習」も兼ねてWWF・ロシア支部のまとめた映像を二つほど再度ご紹介しておきます。





このアイオンですが現在もWWF・ロシア支部のベア・パトロールのスタッフが時々このヴォロコラムスク付属保護施設を訪問してアイオンに会っているそうですが、アイオンは自分を保護してくれ、そしてその後もたびたび会いに来てくれるスタッフのことを全く忘れておらず、体を伸ばして挨拶するそうです。 1月19日にアイオンの5歳の誕生祝いのためにWWF・ロシア支部のスタッフやファンら数人の有志がおもちゃ、魚、そしてケーキを持ってヴォロコラムスク付属保護施設を訪問して5歳となったアイオンのお祝いをしたそうです。
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Photo(C)Карена Мовсисяна/WWF России

もちろんアイオンは野生孤児ですので本当の誕生日はわからないのですが、こういった場合にロシアではよく一月の任意の日に誕生会をやる傾向があるわけです。 その様子を大変個性的に、そして美しくまとめられた映像でご覧いただきましょう。 なかなか凝った映像です。 音声はonにして下さい。



このモスクワ動物園のヴォロコラムスク付属保護施設というのはモスクワから北西に130キロのところにあるそうですが私は行ったことがありません。 でも映像で見るとなかなか立派な施設のようですね。 この雄のアイオンはすでにミラーナ (Милана) という雌の遊び友達がいて、この二頭が将来はモスクワ動物園で繁殖を担うペアとなるそうです。 上の映像で見るとアイオンはこの日はミラーナと別飼育になっているようですが、アイオンも5歳になったわけでそろそろ繁殖可能な微妙な年齢に成りつつありますので二頭は別飼育されているのかもしれません。 アイオンのパートナーとなる雌のミラーナはシモーナが2009年11月に産んだ雌の双子の一頭ですのでアイオンとは同じ年齢ということになります。 私は2010年の5月と7月にモスクワ動物園で幼年個体だったミラーナに会ったことがあります。 私の想像するに、おそらく来年初頭にモスクワ動物園のムルマは繁殖の舞台からは退いてこのヴォロコラムスク付属保護施設に引退し、それに代わってこのアイオンとミラーナがモスクワ動物園の飼育展示場にペアとして姿を現すのではないかと思っています。 この二頭はモスクワ動物園のホッキョウグマ繁殖の次の世代を担っていくペアになるだろうと思います。 現在のシモーナとウランゲリのペアですがシモーナはサンクトペテルブルクのレニングラード動物園生まれですがウランゲリは野生出身です。 モスクワ動物園では原則としてペアの最低一頭は野生出身の個体によって繁殖を狙うわけであり、それが同園の強みであるということです。

それから、私は以前のこのアイオンとミラーナについて行った過去のこの投稿を読み直してみましたら、すっかり忘れていた興味深い指摘を思い出しました。 それはモスクワ動物園の方の以下のような発言です。 「雌のミラーナはシモーナお母さんが母乳で育て上げたためにアイオンのように人間に保護されたホッキョクグマよりも行動がよりホッキョクグマらしい。」 つまり非常に幼い時に野生孤児として保護された個体よりも飼育下で母親に育てられた個体の方が行動がよりホッキョクグマに近いということです。 以前にも書いたのですが(この投稿の「追記3」を是非再度ご参照下さい)、雌(メス)に関しては野生孤児出身個体よりも飼育下出身の個体のほうが繁殖率が優るのではないかという1960年代あたりからの過去の事例から考えた私の感覚の裏付けになることかもしれません。

(資料)
За городом (Feb.9 2014 - Белый медвежонок Айон, история спасения)
ПРОГРАММА «БЕЛЫЙ МЕДВЕДЬ» (Jan.20 2015 - Спасённый медвежонок не забывает добра)

(過去関連投稿)
ロシア・極北の街でホッキョクグマの赤ちゃん孤児を保護!
モスクワ動物園に送られた赤ちゃん孤児のその後の映像
モスクワ動物園で保護されている孤児のホッキョクグマ、アイオンの近況
モスクワ動物園が期待を持つ将来の新ペア ~ ヴォロコラムスク付属保護施設のホッキョクグマたち
モスクワ動物園・ヴォロコラムスク付属保護施設で暮らすアイオンとミラーナの夏の日
モスクワ動物園・ヴォロコラムスク付属保護施設のアイオンの3歳の誕生祝い ~ WWFが保護した野生孤児の成長
by polarbearmaniac | 2015-01-27 02:00 | Polarbearology

オバマ米大統領がアラスカ北部に原生地域 (“Wilderness”) 指定の意向を表明 ~ ホッキョクグマ保護へ

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カナ (2012年9月1日撮影 於 鹿児島・平川動物公園)

事実上ほとんどレームダック状態になっていると言われているアメリカのオバマ大統領ですが、ここにきて昨日の日曜日に大変な決意を表明しています。 まずホワイトハウスのHPのこのページ、及びオバマ大統領自身が語ることを御本人の声で聞いてみましょう。



オバマ大統領はアラスカの自然の豊かさと、そこに暮らす生き物を称え、この素晴らしい自然が後の世代に引き継ぐためにも、「極地野生生物保護区 (ANWR - Arctic National Wildlife Refuge)」 のなかに 「原生地域 (“Wilderness” Area)」 という特別自然保護区域を設定して、そこでは掘削などの資源開発を禁じるべく指定を行うよう議会に勧告するという内容を述べています。 つまりアラスカ州の資源開発に極めて大きな規制がかけられる(実質的には禁止)ということを意味しているわけです。
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Photo(C)The Huffington Post

実はアラスカ北部地域の地域については以前に 「アラスカにホッキョクグマ生息重要指定地区を設定へ」、及び「アメリカ・アラスカの連邦地方裁判所がホッキョクグマ保護の『重要指定地区』の設定を無効と判断」という二つの投稿をご参照いただきたいのですが「指定地域」を設定して、その中で油田や天然ガスの開発に規制をかけようというアメリカ内務省の魚類野生動物保護局 (U.S. Fish and Wildlife Service - FWS) が打ち出した方向性に対してアラスカ州の知事や同州選出の上院議員や資源開発業界が強く反発してきたという経緯があるわけです。今回のオバマ大統領の決意表明に対して案の定、アラスカ州のウォーカー州知事が怒りの記者会見を行っていますのでそれもご覧いただきましょう。



さて、今回のオバマ大統領のアラスカにおける約八百万ヘクタールの「極地野生生物保護区」の中に約五百万ヘクタールの「特別自然保護区域」の設定への決意表明ですが、以前の内務省のFWSの設定した「ホッキョクグマ生息重要指定地区」 においての開発、その他の活動には内務省への事前教示申請とFWSの承認を必要とさせるという内容であったのと比較すると、今回の「原生地域 (“Wilderness” Area)」 という特別自然保護区域が設定されますと石油や天然ガスの開発が「禁止」されてしまうわけで、この差は非常に大きいと言わざるを得ません。 これらの「極地野生生物保護区 (ANWR - Arctic National Wildlife Refuge)」 はエリア全体として見ればホッキョクグマだけでなく野鳥などの多くの野生生物が生息しているわけですが、特にアラスカ北部の沿岸地域が「原生地域 (“Wilderness” Area)」 に指定されるということは、この地域で非常に期待されている油田掘削などの資源開発は全く不可能になり、この地域に生息しているホッキョクグマの保護への強い力となっていくことは間違いありません。
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(C)Alaska Department of Natural Resources

現在アメリカの上下両院は共和党が多数を握っていますしアラスカ州の地元や石油開発会社が猛反発しており、すんなりと今回のオバマ大統領の原生地域 (“Wilderness” Area)」 設定案が現実のものとなるかどうかは予断を許さない状況だと言えましょう。 しかしこの設定が現実のものとなりますとアラスカにおけるホッキョクグマの重要な生息地が含まれることとなりまずで、ホッキョクグマの保護にとっては非常に有効なものとなるでしょう。 油田開発のための掘削作業というのは彼らの暮らす環境に悪影響を与えていることは明白だからです。

(資料)
The White House (Blog / Jan.25 2015 - President Obama Calls on Congress to Protect Arctic Refuge as Wilderness)
The Washington Post (Jan.25 2015 - Obama administration to propose new wilderness protections in Arctic refuge — Alaska Republicans declare war)
The Wall Street Journal (Jan.25 2015 - Obama Administration Moves to Block Drilling in Parts of Alaska)
The New York Times (Jan.25 2015 - Obama Will Move to Protect Vast Arctic Habitat in Alaska)
National Geographic (Jan.25 2015 - New Proposal to Protect Alaskan Wilderness Most Sweeping in Decades)
Reuters (Jan.25 2015 - Obama to propose protecting U.S. Arctic wildlife refuge from drilling)
Alaska Dispatch News (Jan.25 2015 - Obama plans to block development in Arctic refuge; Alaska leaders irate)

(過去関連投稿)
アラスカにホッキョクグマ生息重要指定地区を設定へ
アメリカ・アラスカの連邦地方裁判所がホッキョクグマ保護の「重要指定地区」の設定を無効と判断
by polarbearmaniac | 2015-01-26 18:00 | Polarbearology

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