街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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梅雨期の高湿度の火曜日の上野動物園、イコロとデアの午後の光景 ~ デアに生じた活動範囲の拡大

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イコロ(手前)とデア(奥)の様子が気になる6月最後の日の火曜日。
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温度はそう高いとは感じないものの湿度が非常に高い日である。上野動物園に正午頃到着。
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重要文化財である旧寛永寺五重塔を見ると、いつも奇異に感じる。動物園内に歴史的建築物というのはおもしろい。
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もちろんイコロ(手前)とデア(奥)の同居の実現などというのは、まだまだ先の話しであるから、こちらも見ていて気楽といえば気楽である。
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このデアも向こう側のイコロには非常に関心があるようだが、まだまだ単なる扉の向こう側の対象としてイコロを見ているようだ。

向こう側のイコロの様子を窺うデア

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このイコロは午後は土のある展示場に移動している。
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このイコロに会いに札幌から来られた方に声をかけられた。午前中のイコロのプール遊びやらおやつタイムなどをご覧になって非常に楽しまれ、元気一杯のイコロの姿が確認できて安心されたそうである。
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実になによりのことである。せっかく北海道からいらしてイコロに元気がなかったならば心配されるだろうと思うが、このイコロは着実に上野の水に馴染んできている。安心されたのは本当によかったと思う。
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さすがのイコロも午後はいささか活動量が減っているように見える。
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さて、このデアだが、つい二日ほど前に見た大阪のシルカとは何から何まで全くタイプの違うホッキョクグマである。
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いや、それだけではない、札幌から来られたその方は、いつもララの娘たちばかり見慣れていたためか、スリムな顔立ちのデアには面喰ってしまったそうである。そしてデアに会うことができたのは非常に新鮮な体験だと感じられたようである。
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確かにこのデアは顔立ちだけでなく他の多くの面でもララファミリーの個体とは全く異なるタイプなのである。
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このデアについて今日は珍しい体験をした。
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彼女は飼育展示場の左端には今まではあまり姿を見せなかった。イコロの来園前の私の以前のこの動物園訪問ではデアはそれぞれ、せいぜい一回位しか姿を見せなかったのである。
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しかし今日は何回も繰り返してここに姿を見せたのである。実は前回の訪問でイコロがここに何度も姿を見せることを述べたのだが、私は多分イコロの臭いがこのルートに残っていたのでデアもここに頻繁に来るようになったのではないかと思っている。せっかくちゃんとしたスペースがあるのだから、ここに何度も来てもらえることは大歓迎である。

展示場左端に何度も姿を見せるデア

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それから、以前のデアは高い段の場所にいる時間はそう長くはなくて下の段にいる時間が比較的多かったのだが、今日の感じでは以前以上に高い段のスペースにいる時間が長くなった。
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つまりデアは以前以上にこの展示場のスペース全体を活動の場にする傾向が強くなったように思うのである。これも前回書いたが、イコロの活動範囲の広さに近づいているように思うのである。
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さあ、おやつの時間である。
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敏感な反応である。

デアのおやつタイム

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デアはいつも、おやつタイムには真剣な眼差しをしている。
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このイコロの東京生活はまだ始まったばかりである。
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イコロには夏の暑さという懸念材料はあるが、素晴らしい適応能力を発揮してくれるだろうと思う。
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今日は本当に蒸し暑い。
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Nikon D5300
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR
(Jun.30 2015 @恩賜上野動物園)

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by polarbearmaniac | 2015-06-30 21:30 | しろくま紀行

ドイツ・ロストック動物園のフィーテがヴィルマお母さんと共に広い展示場(Bärenburg)へ移動

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ヴィルマお母さんとフィーテ
Photo(C)Zoo Rostock/Joachim Kloock

ドイツのロストック動物園でヴィルマお母さんから昨年12月3日に誕生した一頭の雄の赤ちゃんのフィーテ(Fiete)ですが、今月の19日から今までの「親子用」の狭い展示場から今度は同園内にある以前から歴所のある広い展示場 (Bärenburg) へとヴィルマお母さんと一緒に移動したそうです。同園によれば、フィーテの成長によってもっと広い場所をこの親子に与えてやることが必要であるという認識のもとでの移動となったようです。この広い展示場(Bärenburg)でのフィーテとヴィルマお母さんとの様子を見てみましょう。まず最初の映像ですが必ず音声をonにして下さい。そして開始後4分あたりから以降に御注目下さい。実に驚くべきシーンです。



次の映像です。フィーテの動作は実に生意気です。可愛げがありませんね。



こういった映像だけでの判断は危険ですが、しかしフィーテへの評価を大きく落としかねないシーンです。ヴィルマお母さん、このフィーテを少し甘えかし過ぎたのではないでしょうか。これでは先が思いやられる感じがします。こういうことというのは母親がウスラーダやララだったら考えにくい話です。

なるほど、この展示場は土の部分もあって今までの展示場より広いですが段があるために生後半年以下の個体では危険な部分もあるようです。そういうことからようやくフィーテがこの展示場への登場を許されたという事情が良くわかる感じがします。 フィーテに体重は推定で40キロだそうで、食べ物については母乳の他にヴィルマお母さんとほぼ同じ種類のものを摂食しているそうです。

(資料)
Zoo Rostock (Eisbär-Tagebuch/Jun.19 2015 - Fiete erobert sein neues Revier)
Rostock-Heute (Jun.19 2015 - Eisbärenjunge Fiete kann jetzt tief abtauchen)

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by polarbearmaniac | 2015-06-29 23:55 | Polarbearology

梅雨期らしからぬ爽やかな日の大阪、バフィン、モモ、シルカ(Шилка)の気ままな日曜日

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バフィンお母さん、モモちゃん、こんにちは!   日差しの割にはそう温度の高くない今日の大阪である。なんだかあまり当たらない週末の大阪の天気予報である。
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バフィンお母さんの背中にのぼりたいらしいモモ。
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一緒に遊んでほしいという意味に理解するのが正しいのかどうかはわからない。
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そういったモモの要求には応えないバフィンお母さんである。
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モモも本当に立派になったものである。
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このバフィンお母さんの薫陶があったらばこそのおかげてある。
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それにしてもこのバフィンは実に偉大なホッキョクグマである。 23歳にもなってこうして初体験の育児を無難にこなしている。 こういった例は世界の過去の飼育下のホッキョクグマの記録を紐解いても容易には見出しにくい例である。
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私は以前には、このバフィンの性格と「母性」は結びつきにくいと思っていたが、そういった予想は良い意味で見事に覆られたのである。
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こうした世界でも稀な例を実現できたことの理由に、このバフィンの持つ本能の鋭敏さと直観力の冴えがあると私は考えている。今回のモモを出産した直後のバフィンは「これなら育てられる」と直感的に判断して育児に全力を投入したのだろう。 20歳を数年超えた雌のホッキョクグマが初めての出産と育児に向き合った時には実はこの本能の鋭敏さと直観力の冴えが母親にあるのか否かが大きな問題のような気がしている。バフィンにはそれがあったのである。 一方、私は札幌のキャンディにはそれが欠けていると思っている。(こう言ってキャンディの批判をしておけば私の「予想に反して」意外にもキャンディの年末に幸運があるだろうという期待も込めているのだが。)
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モモの遊びは続く。

モモの水遊び

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シルカ登場である。
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今日はどんなおもちゃがあるのかな
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おやつがある時はそれを探し、そしてまずはおもちゃを確保しての水遊びである。

シルカのおもちゃ遊び

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このシルカはおもちゃを選り好みしないホッキョクグマのようである。
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シルカの背中掻き

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シルカはこのお立ち台のような場所が好きなようだ。 それはノヴォシビルスク動物園時代からのようである。
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シルカが室内から出てきておやつを食べ、そしておもちゃで遊び、そしてこうして休憩を取るという一連の生活のテンポは私自身にはピッタリくるのである。 だから彼女を見ていると私は全く疲れない。 シルカと私は波長がピッタリ合うのである。
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このシルカ、なにしろまだ一歳である。 どうか是非これからもたくさんのおもちゃを与え続けてやってほしいものである。シルカはまだまだ幼年個体である。
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比較的涼しく感じられた日だった。6月の大阪とは思えないほどの快適さだった。
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Nikon D5300
AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR
(Jun. 28 2015 @大阪・天王寺動物園)
by polarbearmaniac | 2015-06-28 23:55 | しろくま紀行

シルカ (Шилка)、その印象の厚みと深さ ~ ララファミリーの個体の対極にある、ロシア的存在感

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シルカさん、こんにちは!

シルカの登場、そしておもちゃ遊び

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シルカはなかなかおもちゃ好きなホッキョクグマである。飽きるということはあまりないようだ。
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シルカはなかなか嫋やかな感じのするホッキョクグマである。前回も書いたが、何か深々としたものが感じられる。

少々吼えてその後は休憩

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このシルカはララ・ファミリーの個体とは全く異なる雰囲気のホッキョクグマの幼年個体である。特に、あのアイラとは何から何まで正反対という感じなのがシルカなのである。
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シルカの表情の変化

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昨年ノヴォシビルスクで会った時もシルカは素晴らしい逸材だと思ったが、その時からさらに彼女の独特の黒光りするような、密やかですらある魅力は一層増している。
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シルカはまさに典型的な「ロシアのホッキョクグマ」である。
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眠くなってきたシルカ

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Nikon D5300
AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR
(Jun. 27 2015 @大阪・天王寺動物園)
by polarbearmaniac | 2015-06-27 23:55 | しろくま紀行

バフィンとモモ、梅雨の中休みの日の姿 ~ 娘のモモに一定の距離を置くことに成功したバフィン

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バフィンお母さん、モモちゃん、またよろしくお願いいたします!
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出産後から懸命の育児を続けてきたバフィンお母さんであるが、最近はやや余裕が生じてきた兆候が見え隠れしているようだ。
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まずバフィンお母さんは娘のモモとの間の関係に、ある一定の距離間を置くことに成功したようだ。 
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これはバフィンお母さんがようやく育児というもの全体を、自分の世界の一部の中に整理して位置づけることがようやくできるようになったからだろう。 つまり育児に慣れてきたために、どこを省略できるかがわかるようになったということだろう。
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だからバフィンお母さんにとって娘のモモとのやりとりも自分の遊びのなかに組み込むことが可能になったのだ。
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バフィンお母さんの育児も大きな進化を遂げている。

水の中でのバフィンお母さんとモモ

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バフィンお母さんは育児の他にもようやく本当の意味での自分の楽しみを行うことができるようになったのだ。
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水の中でそれぞれが楽しむバフィン親子

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バフィンお母さんとって、さらにまた大きな関門をくぐり抜けたように思われる。
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このバフィンお母さんの本性はまさに「ファウスト的ホッキョクグマ」である。「都合の悪いことは逃げる」といったことをしない。たいしたものである。
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バフィンお母さんの授乳

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さあ、モモの遊びである。
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モモも現在では母親べったりではないようである。

モモの水遊び

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だんだんと逞しくなってきたモモである。
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バフィンお母さんも遊び始める。
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このバフィンの本来のスタイルである「理性派」に属する育児が、ようやく発揮されてきた感じである。
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やはりこのモモは母親バフィンよりもゴーゴに似ているということになるだろうか。
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今後が楽しみのモモである。
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Nikon D5300
AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR
(Jun. 27 2015 @大阪・天王寺動物園)
by polarbearmaniac | 2015-06-27 23:50 | しろくま紀行

オランダ・ロッテルダム動物園の双子の名前が雌がシゼル (Sizzel)、雄がトーズ (Todz)に決まる

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シゼル(左)とトーズ(右)
(2015年5月4日撮影 於 オランダ、ロッテルダム動物園)

昨年の12月2日にオランダのロッテルダム動物園でオリンカお母さんから誕生した双子については先日同園がその性別を雄と雌と発表しましたが今度は名前について公募が行われ8300もの応募があったそうです。 同園の園長さん以下が審査員となって選ばれた名前は、雌が "Sizzel" (シゼル)、雄が "Todz" (トーズ)という名前であり、これに決定した旨をロッテルダム動物園は公式発表しました。 この名前になった理由は、非常に独特の名前で他のホッキョクグマには付けられていない名前だからということだそうです。 また、この双子が世界のどの動物園で暮らすことになっても受け入れられる名前だということも選考された大きな理由でもあったようです。

このようにホッキョクグマの赤ちゃんの名前が決まった時にはその最初の日本語の表記に私は非常に気を使います。まず “Sizzel” ですが、冒頭の ”S” はドイツ語と異なりオランダ語では濁音にならず、一方”zz” は濁音で表記して間違いないはずですので「シゼル」で間違いないと思います。 それから”Todz”ですが、”o”は開音節で「オー」ですので、それに引きずられて”dz” は有声音の”ズ”でよいはずなのですがひょっとして無声化する可能性があるかもしれません。 だとしたら発音上は「トス」となるわけですが、しかしどちらにしても日本語表記としてはやはり「トーズ」としておいてよいように思います。 オランダのTV局のアナウンサーの発音がこれとはかなり異なるようでしたら再考しようと思っています。

(資料)
AD.nl (Jun.26 2015 - Namen voor ijsberentweeling in Blijdorp: Sizzel en Todz)
RTV Rijnmond (Jun.26 2015 - IJsbeertjes Blijdorp heten Sizzel en Todz)

(過去関連投稿)
オランダ・ロッテルダム動物園でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生! ~ オリンカが貫録の出産
オランダ・ロッテルダム動物園の双子の赤ちゃんは順調に推移 ~ 産室内映像配信と研究プロジェクト支援
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オランダ・ロッテルダム動物園の双子の赤ちゃん、週末にはオリンカお母さんと共に戸外に登場の予定
オランダ・ロッテルダム動物園で誕生の双子の赤ちゃん、オリンカお母さんと共に戸外に初登場
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オランダ・ロッテルダム動物園の双子の赤ちゃんの近況 ~ 広々とした環境と偉大なる母の存在
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オランダ・ロッテルダム動物園のオリンカお母さん、絶好調で揺るぎない今回の育児
オランダ・ロッテルダム動物園の双子の赤ちゃんが無事に生後半年が経過
オランダ・ロッテルダム動物園が排尿方向のみを根拠に双子の性別を雄と雌と判定し正式発表を行う
(2011年春 ロッテルダム動物園訪問記)
ロッテルダム動物園へ!
親子3頭の同居? ~ 常識に挑戦したロッテルダム動物園の方法
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お母さんの庇護の下で自由を謳歌するヴィックス
(2015年春 ロッテルダム動物園訪問記)
オリンカお母さんお久しぶりです、双子の赤ちゃん、初めまして! ~ ロッテルダム動物園での出会いと再会
ロッテルダム動物園二日目 ~ オリンカお母さんと双子の赤ちゃん、性別差と性格差との境界線
オリンカ、偉大なる母のその素顔 ~ 「母親」となるべく生まれてきた母性の自然な発露
ロッテルダム動物園三日目 ~ 優れた母親の存在が寄与するホッキョクグマ体験の充実さ
by polarbearmaniac | 2015-06-26 20:00 | Polarbearology

アメリカ・カンザスシティ動物園のニキータがノースカロライナ動物園へ ~ 超人気者に移動を迫った繁殖計画

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ニキータ Photo(C)Kansas City Zoo

なかなか考えさせられるニュースが入ってきています。古くて新しいテーマとでもいいましょうか、しかし最近は下火となっていた話です。 アメリカ・ミズーリ州のカンザスシティ動物園で飼育されている8歳の雄のニキータがこのたびAZAの繁殖計画 (SSP - Species Survival Plan) によってノースカロライナ州アッシュボロのノースカロライナ動物園に移動することが決まったというニュースです。 一見何の変哲もないホッキョクグマの移動の話ですが、やはり我々に突き付けられた課題として捉えると実に考えさせられる話です。

(*追記 - 地元のニュースをご紹介しておきます。)




この8歳の雄のニキータは地元で非常に人気のあるホッキョクグマでカンザスシティ動物園のスターでもあるわけですがここのところ二年ほどは繁殖可能年齢の上限にある雌のバーリンとの間で、結果は出せなかったものの繁殖に挑戦していたわけです。 このカンザスシティというのは何か独特の風土がある街のようでニキータをめぐるニュースについては非常に大袈裟な報道がなされていたわけですが、それはやはり地元のファンのニキータへの格別の愛着といったものが背景の一つにあることには間違いありません。 私の見たところ全米の動物園のホッキョクグマでこのニキータほど地元に密着している個体は無いような気がしています。 ニキータに会うために動物園に行くと語る人もいるほどです。 ところが今回アメリカのAZA (Association of Zoos and Aquariums - アメリカ動物園・水族館協会) でホッキョクグマの繁殖計画 (SSP - Species Survival Plan) を主導するコーディネーターであるトレド動物園のランディ・メイヤーソン博士はこのニキータをノースカロライナ動物園に移動させて、シカゴのリンカーンパーク動物園から移動してきた15歳の雌のアナーナとの間で繁殖を担わせようという計画を決定したわけです。 さて、この計画を知ったカンザスシティ動物園は非常に驚いたに違いありません。 しかし同園の最高責任者(CEO)であるランディ・ウィトホフ園長は結局はこのSSPのコーディネーターによる勧告を受け入れニキータをノースカロライナ動物園に移動させる旨を公式発表したというわけです。 しかしどうも内心は完全には納得していない印象を受けます。 それも当然かもしれません。 ニキータが他園に移動することをカンザスシティの地元ファンが快く納得してくれるかどうかも大きな問題だからです。
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ニキータ Photo(C)Kansas City Zoo

ウィトホフ園長がこの勧告を受け入れた大きな理由は「希少種の保存」という動物園本来の使命を果たすためというのは勿論ですが、別な背景を考えますとこのニキータはトレド動物園の生まれでSSP のコーディネーターであるメイヤーソン博士も同じトレド動物園に属しているわけで、カンザスシティ動物園はこのニキータの権利(所有権)をトレド動物園から得ていないためにニキータの移動勧告に強く抵抗できないといった事情があるからのようにも思います。 しかし実際にはカンザスシティ動物園でここ2年ほどニキータとの間で繁殖を担ってきたバーリンはもう25歳であり過去に出産の経験もないことから繁殖の舞台からは引退が確実であることからニキータのパートナーをどうするかと言えばやはりノースカロライナ動物園の15歳のアナーナというのは妥当な話でしょう。
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ニキータ Photo(C)Kansas City Zoo

しかし案の定、カンザスシティ動物園のSNSのサイトには今回のニキータの移動について地元のファンからは失望と不満の声があがっています。 それらはこの繁殖計画(SSP) への理解が不十分な意見が大半であるものの、ニキータという特定の個体への愛着と彼が去ることへの悲しさといった率直な気持ちからでしょう。しかし、「ニキータではなくバーリンを他園に移動してしまえ」といった主張には、ニキータという特定の個体を過度にスターにしてしまった憂うべき状況を感じざるを得ません。 アメリカの動物園でのホッキョクグマの繁殖は意外にうまくいっておらず、このブログを開設してからではバッファロー動物園でのルナの人工哺育は別にしてトレド動物園での例だけです。今回メイヤーソン博士が思い切って打ち出したこのニキータというスターホッキョクグマの移動はそういった停滞しているように見えるアメリカのホッキョクグマ界の活性化には大きな効果となる可能性があるでしょう。 雌の個体のスターというのはさほど問題にならないものの、雄の個体のスターというのはどこでも扱いが難しくなりがちであるということのようです。

ニキータの移動は今年の年末が予定されているそうです。

(資料)
Kansas City Zoo (Press Room/Jun.24 2015 - Furthering the Zoo’s Conservation Mission)
Kansas City Star (Jun. 24 2015 - Kansas City Zoo is losing its male polar bear, Nikita)
KSHB (Jun.24 2015 - Kansas City Zoo to say goodbye to polar bear Nikita; Zoo announces koalas as 2016 feature animal)
KCTV (Jun.25 2015 - Zoo says polar bear Nikita will be leaving, koalas will be 2016 feature animal)

(過去関連投稿)
アメリカ・ミネソタ州ダルース、スペリオル湖動物園のバーリンのお誕生会 ~ 個体の死因追及について
アメリカ・ミネソタ州ダルース、スペリオル湖動物園のバーリンが同地域を襲った洪水で飼育場から一時逃亡!
アメリカ・ミネソタ州スペリオル湖動物園のバーリンが洪水からの一時避難のためコモ動物園に収容
アメリカ、スペリオル湖動物園のバーリン、避難先のコモ動物園の展示場 ("Polar Bear Odyssey") に登場
アメリカ・ミネソタ州、コモ動物園のバーリンが腹部の検査手術を受ける
アメリカ・ミネソタ州コモ動物園のバーリンの手術後の回復は順調 ~ 再び展示場へ
アメリカ ・ ミネソタ州 コモ動物園のバーリン、手術後の経過は良好 ~ 待望される完全回復
アメリカ ・ コモ動物園のバーリンがカンザスシティ動物園へ ~ 「ニキータとバーリンの物語」は可能か?
アメリカ・ミネソタ州のスペリオル湖動物園で不在のバーリンのお誕生会 ~ “Berlin is our family."
アメリカ・コモ動物園のバーリンがカンザスシティ動物園に無事到着 ~ 繁殖に大きな期待を寄せる地元
アメリカ・ミズーリ州カンザスシティ動物園の展示場にバーリンが遂に初登場 ~ 期待に加熱する地元報道
アメリカ・カンザスシティ動物園の年齢差ペア、バーリンとニキータの初手合い ~ 圧倒的年齢差克服のカギ
アメリカ ・ カンザスシティ動物園のニキータの病状検査続く ~ 雌のバーリンへも投薬治療が再開
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by polarbearmaniac | 2015-06-25 15:30 | Polarbearology

大阪・天王寺動物園のシルカ(Шилка)がマザーケア(Mothercare)社の子供衣料品で再び世界へ

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ゲルダお母さんとシルカ
(2014年9月13日撮影 於 ノヴォシビルスク動物園)

イギリスなどの欧州を中心として世界的に乳幼児向けの衣類を販売している大手小売りブランドであるマザーケア(Mothercare)社がこのほど、ロシアのノヴォシビルスク動物園で一昨年の12月に誕生したシルカ(現 大阪・天王寺動物園)と、その母親であるゲルダが登場する幼児向けラインの衣料商品の製造と販売を行うことになったそうで、その商品に用いるゲルダとシルカの母娘の写真にロシアの英語紙であるシベリア・タイムズ(The Siberian Times)紙のカメラマンでありヴェラ・サリニツカヤ(Вера Сальницкая)さんの撮影した有名な写真が用いられることになったそうです。 これらの商品はクリスマス商戦から投入され世界的に販売されるそうで日本でも通信販売などで購入が可能となるはずです。
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Photo(C)Вера Сальницкая
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(C)The Siberian Times

確かにこれはホッキョクグマ親子の写真としては傑作だと思いますね。 またこうしてシルカの姿は世界中に紹介されるということになります。「世界のシルカ」とでもいったところでしょうか。 現在、ホッキョクグマの個体としてのシルカは大阪市が全ての権利を有しているわけですが、今回マザーケアがシルカの写真を用いた商品を販売することについて、大阪市は何らの法的な権利を主張することができないことは言うまでもありませんが。

(資料)
The Siberian Times (Jun.23 2015 - Vera's stunning images of polar bears set to feature on children's clothes)

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大阪・天王寺動物園のシルカの近況とノヴォシビルスク動物園のシロ園長の発言を報じるロシアのTV映像
by polarbearmaniac | 2015-06-24 23:00 | Polarbearology

ベルリン動物園のトスカ(故クヌートの母)逝く ~ 物語と伝説を身にまとったホッキョクグマの死

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トスカ (故クヌートの母)
(2013年12月31日撮影 於 ベルリン動物園)

昨日より投稿していましたが、ベルリン動物園に暮らしていた推定28歳の雌のホッキョクグマであるトスカが本日朝、同園にて安楽死という処置で亡くなったそうです。このトスカがあの有名なクヌートの母親であったことは今更言うまでもありません。このトスカの安楽死の決定は昨日同園内で召集されていた倫理委員会で出されていたものでした。実はこのベルリン動物園での倫理委員会で飼育動物の安楽死の決定を下したのは今回が初めてとのことで非常に意外な気がします。 ベルリン動物園は安楽死に関して他園とは異なる方針というものが以前にはあったのでしょうか? トスカの遺体はすでにベルリンのライプニッツ研究所に運ばれ、解剖が行われるそうです。

欧米の動物園でホッキョクグマの安楽死というのはよく行われるのですが、いずれも執行されてから死亡が発表になっていたわけです。私はそういった訃報を聞くたびに「何故突然?」という疑問を持つわけですが、今回は昨日ベルリン動物園がトスカへの安楽死の執行に先立って公式に倫理委員会の決定を発表していたわけで、ある意味では「覚悟」といった心の準備ができるはずでしたが私は今日の朝から一層気分が重くなり、そして日本時間の夕方(つまりベルリンの朝)になると「今頃トスカは...」という考えが頭にこびり付いて精神的な苦痛を味わったわけでした。 「これだったら事前の告知無しの方が気分的には楽だ」ということがよくわかりました。今回私は真綿で首を締めあげられるような苦痛を体験してしまったわけです。
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トスカ (2013年12月31日撮影 於 ベルリン動物園)

さて、このトスカについては私は思い入れもあり本当はいろいろ書きたいことが多く、それを彼女の訃報と同時に語るのは非常に気の重い話です。私はトスカには2009年9月、2012年12月、2013年12月と三度ベルリン動物園で会うことができました。非常に神経質そうな顔をし、そして飼育展示場を往復運動している姿をよく覚えています。以下は私が2012年の大晦日にベルリン動物園で撮影したトスカの姿ですが、来園者を見つめているトスカの姿です。



このトスカは実は同じ飼育展示場の雌のナンシーと非常に長が良く、一緒にいる姿は良く見られました。以下はやはり2012年の大晦日の映像ですが、向かって左側がナンシー、右側がトスカです。



実はトスカと仲が良かったナンシーは昨年の11月に亡くなり、そしてトスカの心身の状態が悪くなり始めた時期もその頃であったわけで、そこに何かの関係を考えるのはあながち無理とは言えないようにも思います。

カナダで野生孤児として保護されたものの東ドイツのサーカス団で演技をさせられ、そしてその後にベルリン動物園で暮らして出産したものの育児放棄をしたトスカですが、この育児放棄された赤ちゃんがクヌートだったことは今更申しあげる必要がありません。しかしトスカのサーカス団における前半生、特にそのホッキョクグマの調教師であったウルズラ・ベトヒャー(Ursula Böttcher)女史との関係、ひいてはサーカス団におけるホッキョクグマ、これらはいずれも大きなテーマであり、それは稿を改めたいと思います。トスカの一生、これはやはり語っておかなくてはいけないでしょう。トスカ、まさにいろいろな物語と伝説を身にまとっていたホッキョクグマでした。
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トスカ (2013年12月31日撮影 於 ベルリン動物園)

トスカさん、長い間本当にご苦労様でした。安らかに眠って下さい。謹んで哀悼の意を表します。

(資料)
Berliner Morgenpost (Jun 23 2015 - Die Mutter von Eisbär Knut ist tot)
Tagesspiegel (Jun 23 2015 - Knuts Mutter im Berliner Zoo eingeschläfert)
B.Z. Berlin (Jun.23 2015 - Eingeschläfert: Eisbärin Tosca ist tot)

(過去関連投稿)
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by polarbearmaniac | 2015-06-23 20:00 | Polarbearology

ベルリン動物園のトスカ(故クヌートの母)、本日午前の同園での倫理委員会で安楽死執行が決定

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トスカ (故クヌートの母)
(2013年12月31日撮影 於 ベルリン動物園)

ドイツよりの最新の報道、及びベルリン動物園の発表によりますと、この一つ前に投稿した「ベルリン動物園のトスカ(故クヌートの母)、今週中に安楽死執行か? ~ 同園で倫理委員会が召集」でご紹介していたベルリン動物園で本日月曜日の朝に開催された倫理委員会は、同園で飼育されている推定28歳の雌のホッキョクグマであるトスカに対して彼女を苦しみから解放するために安楽死の処置をとることを決定したとのことです。この倫理委員会を構成するメンバーは同園の園長さん、園内外の複数の獣医さん、同園の複数の飼育員さん、ベルリン自由大学の動物福祉担当官などから成っていたそうです。基本的に園内で飼育している動物を安楽死させる際の、決定のプロセスの最終段階がこの倫理委員会による決定となるわけです。

現在のトスカの状態ですが実はここ数週間大きく悪化しており、視覚、嗅覚、味覚が失われているそうで、それでも彼女は摂食は維持しているそうですが体重が非常に減少しており、ここ二週間は獣舎の部屋で過ごしている状態だそうです。つまりもう飼育展示場を歩かないということなのでしょうか。トスカへの安楽死の執行は数日中に行われるとのことです。多分明日の火曜日、遅くともその次の水曜日なのではないでしょうか。

まあこれはしょうがないのでしょうね。「生きていてくれさえすればよい」といった日本人の感じ方ではやはり若干の違和感は残るのですが。 

以下は実は大変に貴重な映像です。クヌートが亡くなる二か月ほど前の2011年1月初旬の映像ですが、故クヌートと彼の母親である今回問題のトスカが一緒に水に入っている映像です。もちろん互いが互いを母親だとか息子だとかという認識は全くしていないわけです。



いよいよクヌート、そして彼の母親であったカナダの野生孤児から東ドイツのサーカス団を経てベルリン動物園で暮らすという数奇な運命を辿ったトスカ、この親子の「華やかで悲しい」ドラマは完全に幕が下りる時間が迫っているようです。

(資料)
Zoo Berlin (Zoo Tier-News/Jun.22 2015 - Greise Eisbärdame Tosca wird von ihrem Leiden erlöst)
Berlin Online (Jun.22 2015 - Mutter von Eisbär Knut wird im Zoo eingschläfert)

(過去関連投稿)
トスカ(クヌートの母)とサーカス団の悲しきホッキョクグマたち
ベルリン動物園のトスカ(故クヌートの母)、今週中に安楽死執行か? ~ 同園で倫理委員会が召集
by polarbearmaniac | 2015-06-22 22:30 | Polarbearology

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