街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ムルマ(Белая медведица Мурма)の置かれた苦境 ~ ウランゲリとの微妙な関係

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このムルマはなんといっても男鹿水族館の豪太の母親として日本との繋がりをもっている。彼女はバレンツ海出身の野生個体であり、現在推定24歳、または25歳である。彼女はロシアの血統情報の混乱はあるにせよ、現在まで8頭の子供の出産・育児に成功していることになっている。札幌のララと同数である。
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このムルマは雌としてはかなりの巨体であり、シモーナよりも一回り以上大きく見える。
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彼女はいわゆるロシアの飼育下の雌のホッキョクグマ特有の体型をしており、この上の写真のような状態だからといって出産に備えて給餌量が増やされているとは言えないのである。そもそも以前にもご紹介しているが、モスクワ動物園は繁殖を担う雌は通常の時期でも給餌量が多く、秋口から大きく増やすということはやらない方針だそうである。ムルマは育児中であってもこのような体型をしていたのを私は見ている。

今日のムルマの様子

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しかしそのムルマがピンチである。 彼女のパートナーだったウムカ(ウンタイ)が亡くなってしまったために彼女にはパートナーがいなくなってしまい、モスクワ動物園は急遽ウランゲリを彼女のパートナーに当てがったのである。今年はシモーナが育児の年回りなのでウランゲリを暇にさせておかずにムルマとのペアリングを狙ったのだが、ウランゲリとムルマの相性は私が見たところあまり良好ではない。
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ムルマの現在の年齢から言えば、このウランゲリとの間での繁殖に成功しないと、これからの彼女が繁殖に貢献することが極めて難しい年齢になっていくのである。
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しかしウランゲリはもうあまりムルマのことを考えていないようにも見える。
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モスクワ動物園の担当者がマスコミに語ったところによれば最初はウランゲリは攻勢をとっていたがムルマに嫌われたらしい。私の見たところウランゲリはムルマの存在を避けているようになってきたのである。ある意味ではウランゲリは開き直ってしまったのである。

ムルマの存在を気に留めず寝ているウランゲリ

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いささか困った状況である。ムルマには後がないといった状態である。 来年春の繁殖シーズンにはウランゲリは再びシモーナと同居するだろう。 そうなるとムルマのパートナーは他園から連れてくるということなのだろうか?
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事態の進行を注意深く見守りたい。 モスクワ動物園のお手並み拝見といったところである。

Nikon D5500
AF-S DX NIKKOR 55-300mm f/4.5-5.6G ED VR
Panasonic HC-W870M
(Sep.29 2015 @モスクワ動物園)

(過去関連投稿)
モスクワ動物園の飼育主任エゴロフ氏の語るシモーナとムルマ ~ 幼年個体の単純売却は行わない方針へ
by polarbearmaniac | 2015-09-30 05:50 | 異国旅日記

ウランゲリ(Белый медведь Врангель)の憂鬱 ~ ムルマとの微妙な関係

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シモーナと長年パートナーを組んでいるこのウランゲリは野生出身で現在推定24歳である。モスクワ動物園の飼育担当者からは彼のまさに「人間的」な性格について非常に高く評価されているそうである。彼は全く粗暴な姿勢は見せない温和な紳士で、飼育員さんが格子から手を中に入れても全く安全なホッキョクグマだそうである。
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シモーナとの相性も抜群で、シモーナが年末に出産を控えていてもモスクワ動物園はシモーナの産室入りの比較的直前までウランゲリと同居させているほどである。私の昨年9月下旬のモスクワ動物園訪問記のなかで「モスクワ動物園が世界に誇るシモーナとウランゲリの名ペアの成功の理由の一端を垣間見る」、及び「ウランゲリ、その優しさ、親しみやすさ、紳士的性格に見る繁殖への道」という二つの投稿をご参照頂きたいのだが、シモーナは出産に向けていわゆる「筋に入った」といった状態であってもウランゲリと同居させているのであり。通常の場合だともう雌は単独で展示しているはずの時期であるが、シモーナのおおらかさやウランゲリの柔和な性格によってなんともいえない素晴らしい雰囲気を醸し出していた。
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ところが今年のウランゲリは今までペアを組んだことのなかったムルマとの間での繁殖を担わされており、今年の春に両者の間で繁殖行為があたかどうかは不明であるが、多分なかったのではないかと考えられる。それは、このウランゲリとムルマとの相性にいささか問題があるように私は見える。ウランゲリは上の写真のようにあまり機嫌がよくなさそうな顔をしている。シモーナとの同居では決して見せなかった顔である。以下の映像でもウランゲリが何かに不満を抱いていて鼻を曲げたりしている様子がわかるはずである。この鼻を曲げるというのはホッキョクグマがあまり機嫌がよくない時に行う仕草だからである。

何かに不満なウランゲリ

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それから、ストレスなのか何なのかはわからないがウランゲリは体のいたるところがかゆいらしく、頻繁に背中やお尻を岩や地面に擦り付けて掻いている。この下の映像の冒頭部分などまさにそういったウランゲリの姿を見ることができる。

体を掻くウランゲリと、ムルマ

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いささか不本意な状況におかれているウランゲリである。

Nikon D5500
AF-S DX NIKKOR 55-300mm f/4.5-5.6G ED VR
Panasonic HC-W870M
(Sep.29 2015 @モスクワ動物園)
by polarbearmaniac | 2015-09-30 05:40 | 異国旅日記

シモーナ(Белая медведица Симона)、偉大なる母親としてのその素顔

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このシモーナは1994年11月27日にサンクトペテルブルクのレニングラード動物園であの女帝ウスラーダの最初の子供として誕生している。 父親はもちろんあのメンシコフである。札幌のララ、旭川のルルが誕生して一週間後のことであった。
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血統登録情報の混乱もあって100%正確ではないが、ウランゲリとの間で今回の双子を含めて現在まで13頭の子供たちの出産・育児に成功していることになっている。
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母親がウスラーダ、祖母がアンデルマという、まさに折り紙つきのホッキョクグマのエリートの血統なのである。 このシモーナの長男が旭川のイワンである。だからイワンもエリート中のエリートなのであるが、何故かその優秀な血統がまだ生かされていないようである。

シモーナの表情の変化

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このシモーナの母親としての在り方は札幌のララと同じ「情愛型」である。私が考えるに旭川のイワンは、育児初体験だった当時のシモーナによってかなり甘やかされたのではないかと思っている。イワンの「押しの弱さ」はこの血統ではあまり考えられない性格だからである。
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シモーナは美貌の母親である。
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かつ、それに加えて彼女は性格的におおらかであり神経質なところがないホッキョクグマである。その育児能力たるやまさに世界屈指のものであり、この点でもララのよいライバルである。

シモーナ近影

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こういった彼女が実は欧州などではその真価が理解されていないようなのが残念である。欧州のオリンカやフギースやフリーダムは確かに優れた母親たちであることを私は自分の眼で見ているが、それでもこのシモーナにはとても及ばないのである。

休息をとるシモーナ

Nikon D5500
AF-S DX NIKKOR 55-300mm f/4.5-5.6G ED VR
Panasonic HC-W870M
(Sep.29 2015 @モスクワ動物園)

(過去関連投稿)
モスクワ動物園のシモーナ(1) ~ 偉大なる母の娘、やはり偉大なる母となる!
モスクワ動物園のシモーナ(2) ~ その初産への道のり
モスクワ動物園のシモーナ(3) ~ 豊かなる母性の輝き
モスクワ動物園のシモーナ(4) ~ 消息不明の息子は何処に? (上)
モスクワ動物園のシモーナ(5) ~ 消息不明の息子は何処に? (中)
モスクワ動物園のシモーナ(6) ~ 消息不明の息子は何処に? (下)
ホッキョクグマ親子達の昼寝姿 (3) ~ シモーナ親子
シモーナの夏の日の午後 ~ くつろいだ日常の姿
シモーナ、その姿の変わらぬ端麗さ
モスクワ動物園の「良妻賢母」シモーナ ~ 母親のウスラーダに似た顔立ち
秋の日のモスクワ動物園のシモーナとウランゲリ ~ 再び期待されるこのペアの繁殖
モスクワ動物園のシモーナの夏
モスクワ動物園のシモーナとウランゲリ、冬の日の同居映像
モスクワ動物園のシモーナ、その日常の姿(1) ~ 遠征での映像より
モスクワ動物園のシモーナ、その日常の姿(2) ~ 遠征での映像より「情愛型」 と 「理性型」、「対象関与型」 と 「対象非関与型」 のそれぞれの母親像の違いを探る
クルミお母さんの母親像を再度考える ~ 「求心性」、「非求心性」の第三の座標軸から見えてくること
理性のウスラーダと情愛のシモーナ ~ 偉大なるホッキョクグマ母娘の性格の違い
女帝ウスラーダとシモーナ、コーラ、リアの三頭の娘たち ~ 偉大な母親たちの三代の系譜
モスクワ動物園のシモーナ、過去の映像に見るその母親像の 「絶対的」 かつ 「不動」 の存在の安定感
by polarbearmaniac | 2015-09-30 05:30 | 異国旅日記

モスクワ動物園六日目 ~ 一か月後のシモーナ親子の変化を探る

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8月の「前半戦」から数えて今日が六日目のモスクワ動物園訪問となる。 前回から約一か月ぶりにこのシモーナ親子を見たが、双子の関係にやや変化が見られた。
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まず、人工雪の山で親子が過ごす時間が極めて長くなったことである。
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気温の高かった八月にはそれほど多くなかった雪遊びが、気温が非常に低くなった現在になって雪遊びを多く行うようになったとは面白い。
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やはり飼育下のホッキョクグマというのは寒くならないと雪には興味が出てこないということあのだろうか。 以下に私の個人記録用に撮影したシモーナ親子の雪遊びの映像を五つほどご紹介しておきたい。それぞれが淡々とした普通のシーンの映像であり、劇的な面白さはないが、この親子が純粋に人工雪と戯れる姿を感じ取っていただけるだろうと思う。 雪を両側から掘ってトンネルを作ろうというシーンはかつての札幌でのララとアイラとのシーンを思い出させる。


人工雪山での親子関係(1)


人工雪山での親子関係(2)


人工雪山での親子関係(3)


人工雪山での親子関係(4)


人工雪山での親子関係(5)

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上で特に(3)の映像ではシモーナお母さんがプラスチックのおもちゃを雪山に導入しようとしているが、これは実にシモーナらしい。 雪遊びにも変化を持たせようということなのだろう。

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二つ目の変化は、この双子のうちの一頭(仮称 雪ちゃん)が、シモーナお母さんに密着していくシーンが増えたことである。一か月前までは比較的この双子はシモーナお母さんと等距離を保っていたのだが、雪ちゃん(仮称)が母親に接近するシーンが増えたのは奇妙と言えば奇妙でもある。
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普通は成長するにつれて母親から距離をとろうとするはずだが、雪ちゃん(仮称)はその反対らしい。
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シモーナお母さんの子供たちに対する姿勢は透徹している。 非常に眼が行き届いているのである。


子供たちに眼が行き届くシモーナお母さん


子供たちに刺激を与えようとするシモーナお母さん


シモーナお母さんにもらったもので遊ぶ赤ちゃん

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また、シモーナお母さんの授乳への誘導は、まるで親子の間での以心伝心、阿吽の呼吸のように自然になされる
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シモーナお母さんの授乳

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やはりホッキョクグマの親子の関係はなかなか複雑なものがあるようだ。 一か月経過するとやはり状況は若干変化しているのである。


何かを探しているシモーナ

Nikon D5500
AF-S DX NIKKOR 55-300mm f/4.5-5.6G ED VR
Panasonic HC-W870M
(Sep.29 2015 @モスクワ動物園)
by polarbearmaniac | 2015-09-30 05:20 | 異国旅日記

スモレンスカヤ駅からアルバート通りを歩く

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ホテル・メルキュール・アルバートから至近距離の地下鉄スモレンスカヤ駅。
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そのそばにあるのがスターリン建築のロシア外務省である。
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このあたりからがモスクワでも有名な歩行者天国のアルバート通りである。久し振りにここを歩いてみよう。
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左側の建物が「プーシキンの家博物館」である。
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ロシアの国民的詩人であるアレクサンドル・プーシキン(1799~1837)が妻のナターリア・ゴンチャロワとここに1831年に暮らしていた。
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その家の向かい側にプーシキン夫妻の像がある。
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プーシキンの家博物館と背後のロシア外務省のスターリン様式の高層建築の対比はおもしろい。
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この建物には作家のアナトリー・ルイバコフ(Анатолий Рыбаков 1911~1998)が住んでいた。
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彼の書いた小説「アルバート街の子供たち(ДЕТИ АРБАТА)」は非常におもしろい。
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これは詩人であり歌手だったブラート・オクジャワ(Булат Окуджава 1924~1997)の記念像である。
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これはワフタンゴフ劇場。
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この写真の左に緑が見えるが、このアルバート通りでは唯一建物が建っていない場所である。
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過去にここに建てた建物には幽霊が出るという話があったからなのだろう。
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これはアルバート通りのそばにあるシメオナ・スタルプニカ教会である。17世紀中頃に建てられたそうである。
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再びアルバート通りに戻り、歩いてきたほうに戻ることにする。 このアルバート通りは本当に観光客が多い。
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ホテルに戻る。

Nikon D5500
シグマ 17-50mm F2.8 EX DC HSM
(Sep.28 2015 @モスクワ)
by polarbearmaniac | 2015-09-29 05:45 | 異国旅日記

ロストフ・ナ・ドヌからモスクワへ ~ ホテル・メルキュール・アルバートにチェックイン

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ロストフ・ナ・ドヌの空港にやってきた。
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これからアエロフロート便でモスクワのシェレメーチェヴォ空港に向かうことにする。
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A320のビジネスクラスは同じ仕様である。
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ロストフ・ナ・ドヌには名残惜しい。今回会えなかったコメタには次回会ってみたいが今回イョシとテルペイに会えたのは収穫だった。
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アエロフロートの機内食はなかながよい。 S7航空とは大違いである。
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モスクワのシェレメーチェヴォ空港から向かった先のホテルは地下鉄のスモレンスカヤ駅近くのメルキュール・アルバートである。
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実はこのホテルはいつも宿泊しているホテルよりもランクが二つほど下なのだが、TripAdvisorなどで非常に評価が高く、モスクワでも評判のホテルらしいので今回の宿泊先に選んでみた。私自身の眼で実際はどうなのかを確かめてみたい。
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部屋はなかなか感じが良いが、いかんせん狭いのが難点である。ネットはWifiが使用できるが速度は2Mbpsには届かない。
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窓からの風景は交通量の多いスモレンスキー通りの通りが見渡せるが部屋では騒音は聞こえない。

(Sep.28 2015 @モスクワ)
by polarbearmaniac | 2015-09-29 05:30 | 異国旅日記

ロストフ・ナ・ドヌ、ブーシキンスカヤ通りを歩く ~ ザビーナ・シュピールラインの住居を訪ねて

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ロストフ・ナ・ドヌの中心部を東西に結ぶプーシキンスカヤ通りに立つのはロシアの国民的詩人アレクサンドル・プーシキンの像である。
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ここからプーシキンスカヤ通りの中央にある遊歩道を西に向かって歩く。
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その83番地に精神分析家でこの街に生まれ育ったザビーナ・シュピールライン(Sabina Spielrein, 1885~1942)が育った住居がある。
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それを示す銘板には、「精神分析医のユングとフロイトの有名な弟子であったザビーナ・シュピールラインが居住していた」と書かれている。
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私がこのザビーナ・シュピールラインに興味を持つようになったのは「ザビーナ・シュピールラインの悲劇 ―― フロイトとユング,スターリンとヒトラーのはざまで ――」という本を読んだからである。この本の簡単な紹介文には以下のように書かれている。

「若きユングの最初の患者にして恋人,後に独創的な精神分析家としてフロイトからも高く評価される先駆的な業績を残したシュピールライン.しかし母国ロシアに戻った彼女を待っていたのは,スターリンによって弟三人を粛清され,自らもドイツ軍によって娘二人とともに虐殺されるという残酷な運命だった...」
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彼女はこの街を離れてスイスやドイツで研鑽を積んだ後に1923年にすでに成立していたソ連の、そして生まれ故郷であるこのロストフ・ナ・ドヌに帰還した。
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しかし1942年にこの街がドイツ軍に占領された際にユダヤ人だった彼女は娘たちと共に殺害されたのである。狭い空間に入れられ排気ガスを用いての殺害だったらしい。
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実は今回の旅行でこのロストフ・ナ・ドヌで彼女ゆかりの場所を訪ねようと思っていたのだが時間が十分に取れず今回は彼女の育った家だけでも見たいと考えてここだけにやってきた。 彼女が殺害されたと言われている場所であるズミヨフスカヤ・バルカにも行こうと思ったが、なにしろ時間がなかった。次回以降のこの街への訪問時に行ってみたいと思っている。
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Nikon D5500
AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR
(Sep.27 2015 @ロシア南部、ロストフ・ナ・ドヌ)
by polarbearmaniac | 2015-09-28 05:50 | 異国旅日記

テルペイ(Белый медведь Терпей)、その素顔と性格

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このテルペイは現在推定13歳の野生出身の雄で、孤児として保護されてから二年前の11月までペルミ動物園で飼育されておりアンデルマと同居していた。
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アンデルマと同居していた時代の彼を何回か見ていたが、このテルペイはいつもアンデルマから一歩下がった紳士的な姿勢で非常に謙虚に振舞っていたことを思い出す。 アンデルマが昼寝をしているような時だけ自分はプールで遊んで来園者を楽しませるといった態度だった。そしてその行動はユーモアに満ちており来園者は大いに彼の行動を楽しんだのであった。彼はペルミでは非常な人気者であった。しかし過去関連投稿でもご覧いただけるように彼はペルミ動物園を去らざるを得なかった。アンデルマを自分の母親だと考えて慕っていた彼は移動のときに非常に悲しそうな声を上げ続けていたそうである。実に気の毒なことであった。
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このテルペイはロストフ動物園の飼育員さんたち大変に好かれているそうである。それは彼の温和な性格と来園者を楽しませることにも長けた能力が素晴らしいからだろう。 ただしこのロストフ動物園ではガラスに仕切られており、来園者を驚かせて楽しむような彼のやり方がうまくいかないというのも可哀そうなことである。つまり、「人間との交流」が難しい構造の施設なのである。

テルペイのポートレート

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このテルペイはペルミ動物園が移転して新しいホッキョクグマ飼育展示場が完成した後にペルミ動物園に戻ることになっている。彼は野生孤児個体なのでロシア政府の自然管理局(RPN)がペルミ動物園に飼育を委託した個体であるので、ペルミ動物園は必ずこのテルペイをペルミに帰還させるだろう。
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私はこのテルペイは大好きなホッキョクグマである。先にも書いた内容の通り彼は本当に謙虚な性格であり、そしてその彼の別の面である「遊び心」に大いに親しみが持てるからである。
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彼には現在パートナーがいない状態である。一応コメタが将来のパートナー候補にはなっているがコメタが繁殖可能な年齢となるまであと3年は必要だろう。その頃にはテルペイはペルミ帰還が現実のものとなっているだろう。ペルミ動物園が将来このテルペイにパートナーを与え、そしてユムカ(ミルカ)とセリクのペアとの二本立ての繁殖を狙うことができるかどうかが問題である。
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今回こうしてテルペイと再会できたのは本当に嬉しかった。 彼の健康と幸運を祈りたい。
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Nikon D5500
Tamron 16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO
Panasonic HC-W870M
(Sep.27 2015 @ロシア南部、ロストフ動物園)

(過去関連投稿)
ロシア・ペルミ動物園におけるセリクとユムカの近況 ~ テルペイがロストフ動物園に移動か?
ロシア・ペルミ動物園でのセリクとユムカの初顔合わせは不調に終わる
ロシア・ウラル地方 ペルミ動物園でアンデルマが気の強いユムカに手を焼く ~ 大物に挑みかかる小娘
ロシア・ウラル地方 ペルミ動物園のテルペイがロシア南部 ドン河下流のロストフ動物園に無事到着
ロシア南部 ・ ドン河下流のロストフ動物園に移動したテルペイの近況 ~ 飼育員さんに惚れ込まれる

*2011年ペルミ動物園訪問記
ペルミ動物園へ ~ アンデルマとの待望の再会!
アンデルマ、至高の存在である名ホッキョクグマの素顔
好男子テルペイの素顔 ~ ペルミ動物園2日目
アンデルマ、その年齢を超えた丸顔の美形
アンデルマに午後3時のおやつは肉のプレゼント
ホッキョクグマに魚のプレゼント ~ ペルミ動物園3日目
ペルミ動物園、ホッキョクグマに一日2度のおやつのプレゼント
ペルミ動物園前のオルジョニキーゼ通りを西に歩く
アンデルマさん、お元気で! ~ ペルミ動物園最終4日目
*2013年ペルミ動物園訪問記
小雨のペルミ動物園へ ~ 偉大なるアンデルマとの再会、そして野生孤児のセリクとの出会い
ペルミ動物園で保護されている野生孤児セリクの素顔 ~ まだ順応できない環境の激変
アンデルマ、その至高のホッキョクグマの色褪せることなき永遠の伝説
ペルミ動物園訪問2日目 ~ ペルミに初雪の舞った日のホッキョクグマたち
アンデルマさん、お元気で! ~  「日本に暮らす我が息子たち、孫たち、曾孫のホッキョクグマへ...」
by polarbearmaniac | 2015-09-28 05:40 | 異国旅日記

ロストフ動物園二日目 ~ 好男子テルペイ(Терпей)との二年ぶりの再会

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今日もロストフ動物園(Ростовский-на-Дону зоопарк)にやってきた。天気は昨日同様に晴れていて気温は25℃くらいだろうか。
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この動物園、なかなか広いのであるが、どこか雑然としている。
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正面口からホッキョクグマ飼育展示場までが近いのがありがたい。
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昨日イョシが登場した扉は今日は閉まっている。
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そのかわりに昨日は閉まっていた奥の扉のうち左側が開いている。 いったいどのホッキョクグマが出てくるのだろう?
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あれれ、テルペイさんじゃありませんか! お久しぶりです! 二年前にペルミ動物園でお会いして以来ですね!
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この現在推定13歳のテルペイ(Терпей)が何故二年前にペルミ動物園からこのロストフ動物園に移動したかは過去関連投稿をご参照頂きたい。 ペルミ動物園で野生孤児個体のセリクを飼育することになり、そしてカザン市動物園から幼年個体のユムカ(ミルカ)がペルミ動物園にやってくることになったためスペースが足りなくなって、このテルペイがロストフ動物園に預けられたからである。彼としては不本意だったはずである。 このテルペイはペルミ動物園で同居していたアンデルマを自分の母親とみなして慕っていたからである。
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中央の格子のある場所に飼育員さんが現れて、これから給餌となるようだ。
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給餌が始まったようだ。

テルペイへの給餌

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このテルペイは昨日のイョシと比較すると体が一回り大きいホッキョクグマである。彼は野生出身の雄であり現在推定13歳である。
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テルペイはイョシの存在が気になるようで閉じられた扉のところによくやってくる。イョシとテルペイは同居させたこともあり仲も良かったはずだが、やはり雄の成年個体の同居は危険もあるということで現在は同居させていないようである。
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飼育展示場を歩き回るテルペイ

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このテルペイはイョシと比較すると飼育展示場での運動量が多い。
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ペルミ動物園よりかなり広い展示場だし、彼が歩き回るのも当然だろう。彼はペルミ動物園時代から常同行動はほとんど行わない珍しいホッキョクグマだったが、このロストフ動物園でも常同行動は行っていない。
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上にいる来園者を気にしているようだ。
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下にいる来園者も彼はよく見ている。
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なんだか少々眠くなってきた雰囲気のテルペイである。

展示場の角で一休みのテルペイ

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天下泰平と感じていてくれればありがたい。
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Nikon D5500
Tamron 16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO
Panasonic HC-W870M
(Sep.27 2015 @ロシア南部、ロストフ動物園)

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by polarbearmaniac | 2015-09-28 05:30 | 異国旅日記

イョシ(Белый медведь Ёши) 、素顔とその性格

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現在13歳である雄のホッキョクグマのイョシ(Белый медведь Ёши)は野生出身で一度サーカスに送られているのだが、不適正の烙印を押されてサーカス団からサンクトペテルブルクのレニングラード動物園に預けられた。レニングラード動物園でのイョシの待遇は決してよいものだとは言えなかった。 結局彼はレニングラード動物園を追い出されるような形でこのロストフ動物園(Ростовский-на-Дону зоопарк)に送られたのだった。しかし今度はそのことが彼に幸運をもたらせたのである。
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不幸な人生(Bear's life)を送ってきたこのイョシにとって、このロストフ動物園は彼の安住の地となっているのである。

イョシのポートレート

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このイョシはなかなか温厚な性格のようである。彼はその経歴から言っても人間不信となっていてもおかしくないわけだが、おそらく彼本来の性格的な柔らかさもあってか、今日見た限りではゆったりと自分の暮らしを彼なりに楽しんでいる様子がうかがえる。

展示場で動いているイョシ

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私は実はこのイョシは年齢的に言っても、そして野生出身であることから言っても、ピリカのパートナーに相応しいとすら考えている。このイョシの権利は依然としてまだサーカス団にあるのか、それともロストフ動物園がその権利を取得しているのかはわからない。いずれにせよ連邦政府の自然管理局(RPN)が無関係となっている個体であることは間違いない。何故ならそういった野生、又は野生出身の飼育下のホッキョクグマに対して自然管理局(RPN)が事実上持つ管理権はサーカスのホッキョクグマには及ばないからだ。 だからこのイョシをロシア国外に出すことは一応は可能なのである。
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しかし彼はロシア国内、とりわけこのロストフ動物園に留まって、ここを安住の地にし続けるほうが彼にとってはよいだろう。
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このイョシ、なかなか心魅かれるホッキョクグマである。ハバロフスク動物園の故ゴシもそうであったが、サーカス団での適応性について苦労してきたり、その後に巡回動物園に送られてしまったり、あるいはレニングラード動物園で辛い状態に置かれたりなど、故ゴシとこのイョシには生き方に共通点が多い。 こういうホッキョクグマはとりわけ大事にしてやらねばならないのである。
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今日はイョシ一頭に会えただけでも大満足である。

Nikon D5500
Tamron 16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO
Panasonic HC-W870M
(Sep.26 2015 @ロシア南部、ロストフ動物園)

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by polarbearmaniac | 2015-09-27 05:50 | 異国旅日記

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