街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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チェコ・ブルノ動物園から遂に待望の産室内ライブ映像の24時間配信が開始!

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コーラお母さん Photo(C)Zoo Brno

チェコのブルノ動物園でコーラお母さんが11月24日に産んだ一頭の赤ちゃんですが、ブルノ動物園はとうとう今回も待望の産室内のライブ映像(そして音声)の24時間配信を本日より開始しました。こちらをクリックしていただくか、それとも下のロゴをクリックして下さい。
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開いたページで” Přímé přenosy”と書いてあるところの一番上の” Porodní box ledních medvědů” の映像、それがこれにあたります。音声はonにして下さい。 全画面表示をお勧めします。

ブルノ動物園の獣医さんと飼育員さんが見ている映像を遠い日本で我々も共有するということは、まさにインターネットの力を見せつけられる気がします。

(資料)
Zoo Brno (Přímé přenosy - Porodní box ledních medvědů)
Zoo Brno (Nov.25 2015 - Cora po třech letech opět porodila)

(過去関連投稿)
女帝ウスラーダとシモーナ、コーラ、リアの三頭の娘たち ~ 偉大な母親たちの三代の系譜
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園の女帝ウスラーダの15頭の子供たちの姿
チェコ・ブルノ動物園のコーラ、今年も出産なるか? ~ 産室の準備万端整えたブルノ動物園
チェコ・ブルノ動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ コーラお母さんが待望の出産
チェコ・ブルノ動物園で誕生の赤ちゃん、最初の関門を突破 ~ 屋外で出産していたコーラお母さん
by polarbearmaniac | 2015-11-30 21:30 | Polarbearology

師走間近の上野動物園、イコロとデアの日曜日 ~ 同居開始前の意義ある「マンネリ化」

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このイコロも間もなく7歳になる。
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ノヴォシビルスク動物園のクラーシン(カイ)は、現在のイコロの年齢でもうシルカの父親になっていた。 だからこのイコロもいよいよ繁殖のの舞台に乗ってよい年齢なのである。
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いよいよララの子供たちのうちで先頭を切ってこのイコロが繁殖について現実味を帯びた状況に突入していくのである。
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ララの子供たちの真価が試される時が近づいている。
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あと二日で7歳の誕生日を迎えるデアである。
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このデアは、すぐ上の姉であるミュンヘンのヘラブルン動物園のジョヴァンナがすでに母親になっているため、このデアにも期待が集まるのである。
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今まで自由を謳歌して育ってきたこのデアであるが、いよいよ人生(Bear's life)の次のステージに入っていくことになる。
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現在の日本のホッキョクグマ界の若年個体で年齢が同じであるというペアは珍しい。これからはこうした年齢差のないペアを形成させるのは難しいだろう。そういった意味ではこのデア、そしてイコロのペアはそういった同年齢の組み合わせとしては日本で最後のペアとなる可能性があるだろう。
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現在この上野では、ホッキョクグマに関してある種の「マンネリ化路線」となっていると私の眼には映る。つまり、いつ行っても同じようなデアとイコロの姿があり、見ている者にとっては変化が無くてつまらないという印象を抱くことは不思議ではない状況なのである。
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ところが実はこれは意味のある「マンネリ化」であるように私は考えるのだ。
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デアとイコロの生活をモノトーンで単調にしておき、そのことによって相対的にこの二頭の同居がより多くの特別の意味を持つようになることが想像できる。 つまりこのことは、この一見マンネリ化した状態は「二頭同居」の前準備のように思うのである。今日のデアとイコロとの仕切りを隔てた「遭遇」は下の映像のようなものである。手前がデア、向こう側がイコロである。イコロが上野に来園した当初とはかなり雰囲気が違っている。

仕切越しのデア(手前)とイコロ(奥)

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ロシア・サンクトペテルブルクの世界で最も偉大な雄のホッキョクグマであるメンシコフは、相手の雌を非常に選り好みするホッキョクグマである。彼が気に入ったのはウスラーダだけだったそうだ、しかしこのイコロは相手の雌の選り好みが激しいホッキョクグマという感じはしない。
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ただし、このデアの側からについては何とも言えないような気がする。
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ただしこのデアは、故ユキオとよりもイコロとのほうが相性が良いだろうことは間違いないと思う。

デアの表情の変化

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イコロとデアの新ペアの成否のカギは、このデアにかかっていると私は考える。
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しかしあまり心配してもしょうがない話である。イコロとデアのペアは デナリとサツキ、イワンとピリカのような、もうとてもではないが見ていられないような相性の悪さになるとは考えにくい。なにしろこのデアは、ホッキョクグマ界では「禁じ手」である父親との同居に成功しているのである。行動や感じ方に幅があることは間違いないだろう。

休息するデア

おやつタイムを期待して待つデアと、おやつタイム

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ともかく、多分来年からこの二頭の同居が試みられると思われる。
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このイコロの来園以来、上野動物園は決して急がない方針を貫いてきた。だからもう一年このままにしておくという考え方もあるかもしれない。しかし私の予想では、多分来年の2月頃から動きが出てくると思っている。そのための現在の「マンネリ化」した状態なのだと考える。
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ララファミリーのプライドを見せたいイコロである。
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デアにも「その時」が近づいている。
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Nikon D5500
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR
SONY HDR CX720V
(Nov.29 2015 @東京、恩賜上野動物園)
by polarbearmaniac | 2015-11-29 22:00 | しろくま紀行

アメリカ・ワシントン州タコマのポイント・ディファイアンス動物園のグレイシャーが亡くなる

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グレイシャー  Photo(C)Point Defiance Zoo & Aquarium

アメリカ・ワシントン州タコマのポイント・ディファイアンス動物園 (Point Defiance Zoo & Aquarium)が発表したところによりますと同園で飼育されていた19歳の雄のホッキョクグマであるグレイシャー(Glacier) が水曜日の夜に肝臓がんのため亡くなったとのことです。彼は他にも心臓疾患も患っていたそうです。

グレイシャーは今年の2月の検診で肝臓がんの診断を受け、すでに肺や腹部のリンパ節など広範囲に腫瘍が拡がっている状態だったそうです。報道によりますと同園の獣医さんたちのチームはこういったグレイシャーの病状に対しても怯まずに彼に対して懸命の治療を施そうとし、各部門の専門家の協力を求めて治療のために8か月間にわたって今まで獣医学の世界で試みられていなかった経口及び静脈からの化学療法をグレイシャーに施したそうです。その治療の甲斐もあって一時期に彼は食欲を回復して歩き回ったりプールで泳いだりできる状態に回復したそうですが、結局はその甲斐もなく亡くなってしまったということになります。
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グレイシャー  Photo(C)Point Defiance Zoo & Aquarium

グレイシャーは1996年にカナダのマントバ州で野生孤児の双子の一頭として保護され、翌年の1997年からこのポイント・ディファイアンス動物園で飼育されてきました。双子のもう一頭のブリザードも現在も同園で飼育されています。

飼育下で19歳で亡くなるというのは、現在の水準ではやはり少し早いような気がしますし残念な話です。このポイント・ディファイアンス動物園では今回亡くなったグレイシャーの他に彼の双子兄弟であるブリザード、そして東ドイツとメキシコでサーカス団に属していた経歴のある現在29歳の雄のボリスが飼育されています。 

謹んでグレイシャーの冥福を祈ります。

(資料)
Point Defiance Zoo & Aquarium (facebook/Nov.27 2015)
The News Tribune (Nov.27 2015 - Glacier the polar bear dies of cancer at Point Defiance Zoo)
KIRO Seattle (Nov. 27 2015 - Polar bear dies from complications at Point Defiance Zoo and Aquarium)
The Seattle Times (Nov.27 2015 - Tacoma zoo polar bear dies of liver cancer despite chemo)

(資料)
アメリカ・ワシントン州タコマ、ポイント・ディファイアンス動物園のケネス逝く
アメリカ・ワシントン州 タコマのポイント・ディファイアンス動物園の29歳のボリスに抜歯治療が行われる
by polarbearmaniac | 2015-11-28 11:00 | Polarbearology

ホッキョクグマの出産の瞬間を見事に捉えたモニターカメラの映像集

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2009年11月30日に二頭目を出産したカナダ・サンフェリシアン原生動物園のエサクバク  (C)Zoo sauvage de St-Félicien

世界各地の動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生のニュースが聞こえてくる昨今です。以前にも投稿したことがあるのですが、その時からかなり時が経過してさらにそうした映像が追加になっていますので、それらを含めてホッキョクグマの出産の瞬間を捉えた映像をまた振り返ってみましょう。必ず音声をonにして下さい。 出産の瞬間はあっさりとしたものですが、その前後の母親の行動は非常に興味深いと思います。

まず2004年12月9日、ドイツのロストック動物園でのヴィエナの出産シーンです。この時に誕生したのがヴィーナス(現 ラヌア動物園)とヴァレスカ(現 ブレーマーハーフェン臨海動物園)です。映像はすでに一頭を出産していて映像にも映っており、次の二頭目の出産の瞬間を実に見事にとらえています。




続いてはカナダのサンフェリシアン原生動物園での2009年11月30日の映像でエサクバクがタイガとガヌークを産んだ際の映像です。この映像も二頭目の出産の瞬間だそうです。赤ちゃんの元気な泣き声が凄まじいです。




次はオランダ・ヌエネンの「動物帝国」で2012年11月16日にフリーマスがピセルとノルチェの双子を産んだ際の映像です。これも二頭の両方の出産のシーンを捉えています。1時33分に一頭目、3時3分に二頭目を出産しています。




続いてはドイツ・ミュンヘンのヘラブルン動物園での2013年12月8日の映像でジョヴァンナがネラとノビの双子を産んだ際の映像です。これは一頭目と二頭目の出産の両方の瞬間を捉えています。




さて、次ですが実は厳密に言えばこれは出産の瞬間は見えないのですが敢えてご紹介しておきます。とはいっても多くの方がご存知でしょう。2012年12月8日、札幌の円山動物園でララがマルルとポロロを出産した際の映像なのですが、ララはそのうちの一頭を産室内ではなくその外で出産しています。開始後42秒あたりでララが瞬間的に非常に不自然な動きをするのですが、これが出産の瞬間のようです。ただし死角になっていますので今一つ判然としませんが鳴き声が瞬間的に聞こえます。しかしララはその赤ちゃんを咥えて産室に戻っていますね。



ともかく、ララの落ち着きというものが際立っているように思います。

(過去関連投稿)
2004年ドイツ・ロストック動物園でのホッキョクグマの出産の瞬間の映像
ホッキョクグマ出産の瞬間の映像 (於 サンフェリシアン原生動物園)
オランダ・ヌエネンの「動物帝国」でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生! ~ 成功した大陸間の個体交換
ドイツ・ミュンヘンのヘラブルン動物園でジョヴァンナお母さんの出産の瞬間の画期的なカラー映像が公開
札幌・円山動物園のララ出産に関する映像
by polarbearmaniac | 2015-11-28 00:30 | Polarbearology

チェコ・ブルノ動物園で誕生の赤ちゃん、最初の関門を突破 ~ 屋外で出産していたコーラお母さん

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(C)Zoo Brno

チェコのブルノ動物園で先週末にコーラお母さんから誕生した一頭の赤ちゃんですが、同園よりその誕生は21日土曜日の午前3時40分であったことが明らかにされ、そして授乳音もきちんと確認できていることが同園より発表がありました。出産直後のコーラお母さんの様子が公開されましたのでご紹介しておきます。実に興味深いことに出産したのは産室ではなく産室に繋がっている広い場所です。プールが見えますから屋外ですね。 そこで出産したコーラお母さんは赤ちゃんを咥えて藁の敷いてある産室に入っています。実にこれは驚きです。しかしブルノ動物園がマスコミに明らかにしたところによりますと同園ではこうやってコーラお母さんの行動を制限せずに自由にしてやっていたそうです。もちろんホッキョクグマの飼育展示場は出産予想期間の前から完全に一般来園者をシャットアウトしているそうです。こうした「開放型」の産室システムを採用している動物園は欧州にいくつかあるわけですが、要するにホッキョクグマを「閉じ込める」のではなく自由に屋外と室内の寝室、産室に出入りできるようにしてやるということです。ですから屋外での出産もありえるということですね。



さて、次は産室内の映像でこれは誕生後二日が経過した23日のものです。赤ちゃんの元気な声が聞こえます。その後に授乳音(Humming vocalization)が聞こえています。



生後72時間の最初にして最大の関門を越えたコーラお母さんと赤ちゃんです。

(資料)
EuroZpravy.CZ (Nov.26 2015 - Dobrá zpráva ze ZOO Brno: Medvědice Cora mládě kojí, ozývá se zvuk podobný traktoru)
České noviny (Nov.26 2015 - První měsíc života bude pro lední medvídě ze Zoo Brno kritický)

(過去関連投稿)
チェコ・ブルノ動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ コーラお母さんが待望の出産
by polarbearmaniac | 2015-11-27 00:30 | Polarbearology

オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園のアキアクとスラに一歳の誕生祝いのプレゼント

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Photo(C)Ouwehands Dierenpark Rhenen

欧州におけるホッキョクグマ繁殖の重要な基地であるオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園でフリーダムお母さんから昨年の11月22日に誕生した雄のアキアク(Akiak)と雌のスラ(Sura)について同園ではその誕生日である日曜日にエンリッチメントの目的を兼ねた一歳のお誕生祝の氷のケーキのプレゼントがありました。それを報じるTVニュース、そして同園の公式の映像を御紹介しておきます。



De 1-jarige ijsbeertweeling in actie!

Posted by Ouwehands Dierenpark Rhenen on 2015年11月23日


このフリーダムという間もなく14歳になるホッキョクグマは実に素晴らしい母親です。私は2011年5月と2012年3月に彼女のシークーとセシの双子の育児、及び今年の5月に今回のアキアクとスラの二頭の育児と、二度にわたって彼女が子供たちにどう接するかを注意深く見る機会があったのですが、子供たちへの確かな目配りというものにはすっかり感心してしまいました。このフリーダムは本質的には非常に神経質な性格のホッキョクグマだと思いましたが、そういう性格であるが故に子供たちに対する注意力が維持されているわけで、そのバランスも絶妙なものがあると思いました。2011年よりも今年のほうが非常に練れた育児の姿勢が感じられ、子供たちを自分の監視下においてはいるものの、その自主性を尊重する態度も随所に感じられ、フリーダムは一段とスケールの大きさが増した母親となったように感じたものです。欧州のホッキョクグマファンの方々にとっては、このフリーダムよりもやはりこの動物園で飼育されているフギースのほうが母親としての評価が高いようです。このフギースというのはフリーダムの母親でもあり、その育児も私は実際に見ていますが私の見たところフリーダム同様に非常に神経質なホッキョクグマだと思いました。まあ評価は人それぞれですが、私にはフリーダムの方がフギースよりも母親としての包容力があるように見えます。
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フリーダム (Freedom the Polar Bear)
(2012年3月23日撮影 於 オランダ、アウヴェハンス動物園)
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フギース (Huggies the Polar Bear)
(2012年3月23日撮影 於 オランダ、アウヴェハンス動物園)

今回のアキアクとスラへの誕生祝いのプレゼントの様子を見ていると、アウヴェハンス動物園の担当者のフリーダムに対するねぎらいの意味が込められているように感じてしまいます。 このレネンのアウヴェハンス動物園は私も大好きな動物園の一つです。非常にゆったりとした雰囲気があり、来園者ものびのびとした姿勢で動物たちと向かい合っています。ただしホッキョクグマの飼育展示場での写真撮影はガラスボードなどの影響で非常に難しいわけですし、ホッキョクグマたちの姿を追ってこちらも移動量が大きくなり体力も必要だというわけです。

(資料)
De Gelderlander (Nov.20 2015 - Jarige ijsbeertweeling Ouwehands krijgt ijsblok cadeau)
RTV Utrecht (Nov.21 2015 - IJsbeertweeling Rhenen viert eerste verjaardag)

(過去関連投稿)
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園でホッキョクグマの三つ子の赤ちゃん誕生! ~ フリーダムの快挙
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園で誕生の三つ子の赤ちゃんのうち一頭が死亡!
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園で誕生の二頭の赤ちゃんが生後24日目を迎える ~ 眼も開く
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園で誕生の二頭の赤ちゃんの近況 ~ twins と twin cubs の違い
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園の二頭の赤ちゃんは生後二か月経過 ~ フリーダムお母さんの技量
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園の二頭の赤ちゃん、互いに相手を意識し始める
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園の二頭の赤ちゃんは19日(木曜日)のお披露目を同園が告知
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園の二頭の赤ちゃんが戸外へ ~ フリーダムお母さんの厳しい監視
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園のフリーダムお母さんと二頭の赤ちゃんのライブ映像配信が開始
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園のライブ映像配信が増強される ~ 赤ちゃんは戸外で大活躍
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園のフリーダムお母さんと二頭の赤ちゃんたちの近況
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園でのフリーダム親子とフギースの同居開始を振り返る
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園の二頭の赤ちゃんが順調に生後半年となる
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園の赤ちゃんの性別は雄と雌、名前はアキアクとスラに決定
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園がyoutubeを用いたライブ映像を配信
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園のアキアクとスラが間もなく一歳に ~ 欧州の繁殖計画の今後

(*アウヴェハンス動物園訪問記)
(2011年5月)
遂にレネン、アウヴェハンス動物園に到着!
シークーとセシ、その伸びやかさと無邪気さの大きな魅力
フリーダムを称える
(2012年3月)
レネン、アウヴェハンス動物園でホッキョクグマたちに御挨拶
アウヴェハンス動物園のフギースお母さんの双子の性格
フギースお母さんの性格と子育て
フリーダムお母さんと1歳になったシークーとセシの双子
(2015年5月)
フリーダムお母さんお久しぶりです、二頭の赤ちゃん、初めまして! ~ レネン、アウヴェハンス動物園へ
欧州屈指の偉大なる母フギースは今何を考える?
アウヴェハンス動物園二日目 ~ 三世代同居の問題点
アウヴェハンス動物園の双子の赤ちゃんの性格と素顔 ~ 「冒険家ちゃん」 と 「甘えっ子ちゃん」
フリーダム、偉大なる母のその素顔 ~ 「細心さ」から「鷹揚さ」を取り込み、咲かせた大輪の花
by polarbearmaniac | 2015-11-26 22:00 | Polarbearology

ドイツ・ヴィルヘルマ動物園のフェリックスがオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園へ

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フェリックス Photo(C)Bayerischer Rundfunk

大変興味深いニュースが発表されました。ドイツ・シュトゥットガルトのヴィルヘルマ動物園が発表したところによりますと、同園で飼育されている雌のコリンナの繁殖のためにドイツのニュルンベルク動物園から出張してきていた雄のフェリックス(14歳になったばかりです)が昨日25日の朝にオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園に向け出発したとのことです。レネンにおいては23歳となる雌のフギースとの間で繁殖を狙うとのことですが、これはEAZAのコーディネーターによる調整の結果のようで出発後に移動の事実を発表するのが欧州では実に多いパターンです。

(*後記 - レネンのアウヴェハンス動物園に到着後のフェリックスの映像が公開されましたのでご紹介しておきます。)


レネンのアウヴェハンス動物園ではあの雄のヴィクトルが繁殖の舞台から引退させられてイギリスのヨークシャー野生動物公園に移動してしまい、先日の投稿でも述べましたが私はアウヴェハンス動物園で飼育されているフギースとフリーダムという二頭の偉大な雌のホッキョクグマたちの今後の繁殖がどうなるのかが疑問だったわけですがフェリックスのレネンへの移動などは考えてもいなかったわけです。何故ならフェリックスはまだ14歳という年齢ですでにニュルンベルク動物園からデンマークのオールボー動物園にも繁殖目的で移動し、それやこれやで6頭の子供たちの父親にもなっていたわけで、出張先からさらにまたレネンに行くということは私の頭の中にはなかったわけでした。欧州におけるホッキョクグマの繁殖に対する認識の厳しさといったものを再度認識する結果となりました。繁殖のためなら大胆な決断を行い有望な個体を仮借なく移動させるということです。「移動させるのは可哀そうだ」という感情を我々が抱くことは逆に実は飼育下における彼らという種のためにならないということですね。「現状維持 = 後退」という考え方が背後にあることも感じ取れます。

さて、フェリックスが出張して来ていたシュトゥットガルトのヴィルヘルマ動物園でのコリンナとの間での今年の繁殖ですが、報道によりますと現時点で希望は少ないとヴィルヘルマ動物園では考えているそうです。来月26歳となる雌のコリンナはやはり年齢的なもので出産は難しいということのようです。欧州の雄のエース格であるフェリックスでさえもコリンナに出産させることができないとすれば、コリンナの繁殖の舞台からの引退も必至の情勢ではないでしょうか。このコリンナはあのヴィルベアの母親ですが、フェリックスが出張してきた当初は彼とうまくやっていたそうですが、そういった期間は長く続かなかったそうです。やはり百戦錬磨と思われていたフェリックスにも相性の問題が立ちはだかったということなのでしょうか。

我々日本のホッキョクグマ界にとっては、いろいろと考えさせられることの多い今回のフェリックスのオランダへの移動です。

(資料)
Wilhelma (Pressemitteilungen/Nov.25 2015 - Gast-Eisbär Felix in die Niederlande abgereist)
Die Welt (Nov.25 2015 - Wenig Hoffnung auf Eisbärbaby in Stuttgart)
BILD (Nov.25 2015 - Eisbär Felix verlässt seine Corinna und die Wilhelma)

(過去関連投稿)
ドイツ・ニュルンベルク動物園、フェリックスの大活躍 ~ 欧州における偉大な雄の素顔
フェリックスさん、はじめまして!
スウェーデン、オルサ・グレンクリット、ベアパークのヴィルベア、静かに 「偉大なる父」 となる日を待つ
ドイツ・シュトゥットガルト、ヴィルヘルマ動物園のアントン、飲み込んだ異物が原因で急死
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園のヨギがシュトゥットガルトのヴィルヘルマ動物園へ繁殖目的で移動
ドイツ・シュトゥットガルト、ヴィルヘルマ動物園のヨギがミュンヘンのヘラブルン動物園に帰還へ
ドイツ・ニュルンベルク動物園のフェリックスがシュトゥットガルトのヴィルヘルマ動物園へ ~ 仕事師登場
ドイツ・シュトゥットガルト、ヴィルヘルマ動物のフェリックス、その「天才的」な雌攻略能力の発揮を開始
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園のヴィクトルが15歳の若さで繁殖の舞台から「強制引退」か?
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園のヴィクトルがイギリスのヨークシャー野生動物公園に無事到着
イギリス・ヨークシャー野生動物公園のヴィクトルは繁殖の舞台から「強制引退」 ~ 欧州の重大な転機
イギリス・ヨークシャー野生動物公園のヴィクトルの姿 ~ 「飼育下の集団の維持」について
by polarbearmaniac | 2015-11-26 00:30 | Polarbearology

オランダ・ヌエネンの「動物帝国」でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生! ~ フリーマスお母さん健闘

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産室内のフリーマスお母さんと双子の赤ちゃん Photo(C)Dierenrijk

オランダ・ヌエネン(ニューネン)の「動物帝国(Dierenrijk)」より発表がありました。21日の土曜日の夜から22日の日曜日の早朝にかけて同施設で飼育されている推定13歳のフリーマスが二度目の出産に成功したそうです。誕生したのは双子で、フリーマスお母さんはしっかりと赤ちゃんたちの面倒を見ているとのことです。産室内の様子が公開されましたので下にご紹介しておきます。



フリーマスの前回の出産は2012年11月のピセルとノルチェの双子でした。今回の出産も前回の時と同じで父親は間もなく10歳になるヘンクだそうです。このフリーマスお母さんはカナダのサンフェリシアン原生動物園のエサクバクと双子姉妹であり野生孤児として保護された個体でした。サンフェリシアン原生動物園でエサクバクと共にイヌクシュクをパートナーとして繁殖に挑戦したのですが、エサクバクだけが繁殖に成功し、その後フリーマスはオランダとの個体交換によってオランダに移動してきたというわけです。

(資料)
Dierenrijk (Nov.25 2015 - Dierenrijk is (ijs)beretrots!)
Eindhovens Dagblad (Nov.25 2015 - Opnieuw ijsberentweeling geboren in Dierenrijk in Nuenen)
AD.nl (Nov.25 2015 - IJsbeertjes geboren in dierentuin Nuenen)
Studio040 (Nov.25 2015 - Twee ijsbeertjes geboren Dierenrijk, namen nog onbekend)

(過去関連投稿)
*フリーマスの前回2012年の出産関連
オランダ・ヌエネンの「動物帝国」でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生! ~ 成功した大陸間の個体交換
オランダ・ヌエネンの「動物帝国」で誕生したホッキョクグマの双子の赤ちゃんの名前が早々と公募で決定
オランダ・ヌエネンの「動物帝国」で誕生の双子の赤ちゃんの最新の近影が公開
オランダ・ヌエネンの「動物帝国」で誕生の双子の赤ちゃん、ピセルとノルチェの産室内の新映像
オランダ・ヌエネンの「動物帝国」で誕生の双子の赤ちゃんのピセルとノルチェ、早々と戸外に初登場!
オランダ・ヌエネンの「動物帝国」のフリーマスお母さん、初産で堂々たる母親ぶり
オランダ・ヌエネンの「動物帝国」の双子の赤ちゃんとフリーマスお母さんの映像 ~ 性別の異なる双子の行動
オランダ・ヌエネンの「動物帝国」でフリーマスお母さんへの「育児感謝祭」のイベントが開催される
オランダ・ヌエネンの「動物帝国」の双子の赤ちゃん、雄のピセルと雌のノルチェの近況
オランダ・ヌエネンの「動物帝国」の双子、ピセルとノルチェの最近の映像
オランダ・ヌエネン、「動物帝国」の双子のピセルとノルチェ、競い合う雄と雌の双子の緊張感
オランダ・ヌエネン、「動物帝国」 のピセルとノルチェの満一歳のお誕生会 ~ フリーマスお母さんの母性
オランダ・ヌエネン、「動物帝国」でのフリーマス親子を含む6頭同居の壮観さ ~ 柔軟な飼育方針の成果
オランダ・ヌエネン、「動物帝国」での父親同居の試みのその後 ~ 無視され孤立してしまった父親ヘンク
オランダ・ヌエネン、「動物帝国」のピセルがイギリスへ ~ 欧州の若年個体「集中基地システム」が発動
オランダ・エメン動物園でのノルチェとラーレの近況 ~ オクタヴィアン(仮称)の移動先となるか?
by polarbearmaniac | 2015-11-25 22:00 | Polarbearology

札幌・円山動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生するも死亡が確認 ~ 残念な“déjà vu”の結果

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キャンディ (2015年11月3日撮影)

札幌市の円山動物園から本日25日付けで発表がありました。同園で飼育されている23歳のホッキョクグマであるキャンディが一昨日の11月23日に一頭の赤ちゃんを出産しましたが、その後に死亡が確認されたとのことです。同園の発表の一部をそのままコピーします。

>...しかし残念ながら出産後数時間にわたり、キャンディが仔を抱きかかえる等の行動が見られず、また鳴き声や動きなどが認められないことから死亡しているものと判断いたしました。その後、仔を咥えて運んだり、仔の体を覆っている胎膜を舐め取るといった行動も見られましたが、仔の反応はなく、キャンディが落ち着くのを待って、翌24日(火)に仔を回収し、改めて死亡を確認したところです。

残念至極ではありますが情緒的な気持ちを排除して冷徹に考えてみれば、これがキャンディの出産、そしてその後の彼女の行動の典型的なパターンだということです。彼女は出産から直後の時点における育児への転換を促す本能の働きに疑問があるということは今までも述べてきたわけですが、今回の円山動物園の発表は純粋な「死産」なのか「育児中止」なのかについて細部にやや不明な点が残るものの、結果的に辿った道筋は今までとそう大きな違いはないということです。

多くのファンが彼女が母性を発揮する本能があると考え彼女の出産に極めて大きく期待する理由の根拠は多分、以前の出産で彼女が赤ちゃんの体を舐めていたために赤ちゃんの遺体はきれいな状態だったという事実が明らかにされ、そのことによって彼女は赤ちゃんを育てようとした意思があったという解釈を導いているからだと思われます。しかし私は過去何年間も欧米の動物園におけるホッキョクグマの繁殖に関する情報を見てきた限りでは、実はこれは逆が真実だろうと思うわけです。

今回育児に成功しなかった母親でも次回以降に成功する母親というのは、赤ちゃんが生きていようが亡くなっていようが、赤ちゃんの体を自らの体内に入れてしまい出産の痕跡を消してしまうわけです。要するに「食害」という行為です。「食害」を行う母親は将来の見込みのある母親なのです。「育てられない」、あるいは「失敗した」という場合に出産という自らが行った行為をliquidate してしまうということは、すなわち「育てなければならない」という無意識の本能があったが故に失敗の結果を「消去」せずにはいられない、これまた無意識の本能に宿る母親としてのプライドなのです。ですから「食害」を行う雌は優秀な母親となる可能性が大きいのです。「食害」を行う母親は、自分が育てようとしなかった赤ちゃんや、亡くなってしまった赤ちゃんの体を愛おしんで舐めたりなどしないものなのです。キャンディは過去の出産において多分一度も「食害」を行っていないはずです。一方で例えばララの例を見て下さい。彼女は最初から三回の出産、つまり2000年、2001年、2002年において出産した合計5頭の赤ちゃんを全て自ら「食害」で処理してしまったわけです。この事実は、いかにララには母親としての将来性があったかを如実に示しているというわけです。

最後になりましたが、今回のキャンディの繁殖挑戦に関わられた円山動物園のホッキョクグマ担当のスタッフの方々の健闘を称えたいと思います。

(資料)
札幌市・円山動物園 (Nov.25 2015 - ホッキョクグマの「キャンディ」が出産をしましたが、残念がら赤ちゃんは死亡しました
ホッキョクグマの繁殖に関する一考察

(過去関連投稿)
正念場のキャンディが 「晴れ舞台」 に立つ日は来るか?
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by polarbearmaniac | 2015-11-25 16:00 | Polarbearology

釧路市動物園のツヨシが、よこはま動物園ズーラシアへ ~ ツヨシの新しい出発

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ツヨシ (2014年6月14日撮影 於 釧路市動物園)

釧路市動物園が本日11月24日付けで発表したところによりますと、同園で飼育されている間もなく12歳となる雌のホッキョクグマであるツヨシが繁殖目的で、よこはま動物園ズーラシア(以下、「ズーラシア」と略記します)に移動することが決まったとのことです。(*追記 - その後の25日付けの北海道新聞の報道によれば貸与期間は二年間、繁殖に成功した場合の第一子は釧路、第二子はズーラシアとなるそうです。典型的なBL契約ということになります。)

今回に移動についてはそれほど不思議な話ではありません。ツヨシのパートナーとしては旭川のイワンと横浜のジャンブイぐらいしか見当たらないということで本ブログでもツヨシとジャンブイの組み合わせについて過去にも複数回提案してきたというわけです。9月に東京で行われた「ホッキョクグマ計画推進会議」で、この「ツヨシ問題」が議題に上がったことは間違いないと思われ、これについては「『ホッキョクグマ計画推進会議(於 恩賜上野動物園)』」について ~ 『ツヨシ問題』の行方や如何」という投稿で述べた通りです。
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ジャンブイ (2014年8月24日撮影 於 よこはま動物園ズーラシア)

日本のホッキョクグマ界に革命をもたらせた2011年2月の「共同声明2011」の発表から現在に至るまでこのツヨシ/ジャンブイの新ペアの形成の決定に至るまで、これに関係した三つの大きな出来事があったわけです。一つ目は2011年5月のズーラシアでの雌のチロの急死、二つ目は2011年11月の愛媛のとべ動物園のバリーバのズーラシアへの移動、三つ目は2012年4月の上野動物園のユキオの釧路市動物園への移動、この三つです。実は私は2011年5月のズーラシアのチロの急死に先立つ2011年4月に「ツヨシをどうするか? ~ 繁殖の展望への不安」という投稿を行っているのですが、その中で当時のホッキョクグマ繁殖検討委員会が描いていた「壮年の雄個体再配置案」について触れています。該当したであろう個体はジャンブイ(横浜)、サスカッチ(名古屋)、故アイス(神戸)の三頭であっただろうことは間違いないわけですが、この「壮年雄個体再配置」計画が時間の関係で実現できないまま「共同声明2011」が発表されたという事情から、ツヨシとサスカッチ(名古屋)あるいはジャンブイ(横浜)という野生出身個体の二頭との組み合わせの可能性について考えたことがあったわけでした。実は2011年5月のズーラシアのチロ急死の後の段階でツヨシをズーラシアに移動させていたとすれば、バリーバの横浜移動やユキオの釧路移動はなかったわけです。ただしそうなると、2011年4月にクルミが男鹿水族館へ移動となっていますのでツヨシを横浜に移動させてしまえば釧路市動物園にはホッキョクグマが不在となってしまうわけで、さすがにこれはできなかったのだろうと思います。


砂場でのツヨシ

24日付けの釧路市動物園の発表ですが、これはズーラシアに先行発表の了解を得た上での発表だと考えてよいでしょう。現在ズーラシアではバリーバが繁殖に関連して非展示状態であり、現時点においてツヨシのズーラシア移動決定の発表は早すぎるのではないかという考え方は当然あり得るでしょう。しかし以下の二つを考慮してみる必要があります。まず、ズーラシアというのはホッキョクグマの繁殖とホルモン値の関係について以前より岐阜大学との共同研究でデータ収集を進めているわけで、現時点においてバリーバに妊娠の可能性を示唆させるホルモン値の変化が見られないためにすでにバリーバの出産の可能性に見切りをつけてしまっているというケースです。もう一つは、仮にバリーバが出産(そしてその後の育児)に成功したとしてもバリーバ親子の来春からの展示とジャンブイとツヨシのペアリングは同時進行か可能であると考えているといったケースです。私は後者が正しいだろうと考えます。何故なら「ツヨシ問題」が論議されたであろう「ホッキョクグマ計画推進会議」はすでに9月に開催されており、その段階でバリーバのホルモン値の変化云々がツヨシ移動の前提条件として提示されたことなど考えにくいからです。つまり本件はバリーバの出産の可能性の有無とは無関係に進行した話であることは、ほぼ間違いないと思われます。

しかしただ一つわからない点が残ります。それは「バリーバ愛媛帰還」という話が出ていたのはすでに今年の夏頃であり、私はそれを二つの異なるソースで耳にしてはいました。にもかかわらずズーラシアは10月からバリーバを繁殖に関係した目的で非展示になったということです。私は「何故バリーバに出産があるかどうかがわからない状態なのにツヨシのズーラシア移動の話が決定事項として表面化したか?」よりも「何故、帰還計画が語られていたバリーバが出産準備と思われる非展示状態に移行したか? (つまりバリーバとジャンブイの間に繁殖行為があったにもかかわらず何故バリーバの愛媛帰還の話が夏頃に出てきたか?)」のほうがよほど理解が難しいわけです。ましてやズーラシアはバリーバの血統問題について情報を得たことが確実だと思われる形跡があるからです。敢えてここに意味を見出すとすれば、将棋でいうところの最終盤での「形作り」とでもいったものではないでしょうか。繁殖に挑戦したという姿勢を見せたという意味においてです。

私は横浜市民として偉大なる母であるララの長女であるツヨシの地元横浜への移動を大いに歓迎します。彼女に関して性別取り違え事件やユキオとのことでいろいろと問題のあった過去を断ち切った形での新しい出発となれば、それを大いに歓迎します。

(資料)
釧路市動物園 (動物園ニュース/Nov.24 2015 - ホッキョクグマの「ツヨシ」がお嫁に行きます!
北海道新聞 (Nov.25 2015 - 「赤ちゃんを」市民ら期待 釧路市動物園のツヨシ、横浜に嫁入り
ホッキョクグマ繁殖プロジェクト共同声明
旭山動物園HP 
「ホッキョクグマの将来を創る!」 
「『「ホッキョクグマ繁殖プロジェクト2011」の完成まで」

(過去関連投稿)
ツヨシをどうするか? ~ 繁殖の展望への不安
憂愁のホッキョクグマ ・ ツヨシの憂鬱
釧路市動物園のユキオとツヨシ ~ 残された繁殖の時間の限られたペアの姿
憂愁のホッキョクグマ、ツヨシに忍び寄る(?)不安の影 ~ 過去の意識を払拭して雌の名前に改名すべき
ピース、その生と死の地平線の彼方に ~ 彼女の癲癇(てんかん)は母親の血統の「負の遺産」が原因?
バリーバ、そのすでに完結した神話 ~ "The Myth recorded and remembered"
ジャンブイの素顔 ~ 彼の出自の謎を追う
夏の日曜日の昼下がりのジャンブイ、再び彼の出自の謎を考える ~ 彼は果たして豪太の伯父なのか?
「ロシア血統の謎」に迫る(4) ~ 横浜・ズーラシアのジャンブイの誕生・血統の真相を探る
バリーバ、クルミ、ポーラの「戦い」の休戦 ~ Female Bears of the Past, Present and Future
「ホッキョクグマ計画推進会議(於 恩賜上野動物園)」について ~ 「ツヨシ問題」の行方や如何
by polarbearmaniac | 2015-11-24 23:55 | Polarbearology

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