街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・ロストフ動物園のテルペイとコメタの近況 ~ ノヴォシビルスク在住のファンの方の映像

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テルペイ (Белый медведь Терпей/Terpey the Polar bear)
(2015年9月27日撮影 於 ロシア・ロストフ動物園)

ロシア南部のアゾフ海近郊の街であるロストフ・ナ・ドヌ (Росто́в-на-Дону́) の動物園で暮らすホッキョクグマたちについては今まで何度か投稿してきました。このロストフ動物園はモスクワ動物園がホッキョクグマの配置転換、売却、多国間交換などを行う際にその中継基地のような役割を果たしてきたわけで、非常に情報の限られたロシアのホッキョクグマ界においては意図のよくわからないホッキョクグマの移動などについて情報の鍵を握っている動物園だと私は理解しています。ドイツのベルリン動物公園に暮らすトーニャがモスクワ動物園からドイツ側に売却された際にも複雑な権利関係をクリアするまでの期間このロストフ動物園で一時待機飼育されていたということがありました。またチェコのブルノ動物園で誕生したコメタとナヌクの双子をEARAZAの繁殖計画という理由によってモスクワ動物園がコメタの移動先としてロストフ動物園を指定したという、非常に複雑な図式が描かれた多園間のホッキョクグマ移動のスキームの中に組み込まれた動物園としても私は理解しています。また、私も昨年9月に二日間にわたってこのロストフ動物園を訪問したという思い出もまだ活き活きとしています。謎の多いロシアのホッキョクグマ界の内情を知る上では鍵を握っている動物園だろうと思っています。
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コメタ(Белая медведица Комета/Kometa the Polar bear)
Photo(C)Ростовский зоопарк

さて、前回はロシア最大の石油会社であるロスネフチ(Роснефть)社がロシア国内の動物園で飼育されているホッキョクグマたちへの支援活動を続けている過程のなかで、このロストフ動物園のホッキョクグマ飼育展示場の改良資金の負担を申し出てきたというところまでをご紹介していました。ロスネフチ社の真の意図は、北極圏地域での資源開発の影響で環境問題が生じる可能性のあるホッキョクグマについて飼育下のホッキョクグマを支援することによって開発の免罪符にしようという意図からなされていることは明らかですが、しかしそうはいっても何らかの具体的援助を動物園に申し出てきているわけですから援助それ自体は悪い話ではありません。(*追記 - 最新の報道によりますとこの改良工事は八百万ルーブル、つまり約1200万円を要するそうで、そのうち半分の額はすでにロスネフチ社からロストフ動物園に支払われているそうです。) このロスネフチ社の援助による改良工事が具体的に着手されることを報じている地元TV局のニュース映像を二つご紹介しておきます。改良計画は前回の投稿でご紹介したこのお多くが実行されるということになります。登場しているのは3歳の雌のコメタと推定13歳の雄のテルペイです。



実はノヴォシビルスクにお住まいのファンのお一人の方が先日このロストフ動物園に行かれたようで、ホッキョクグマたちの貴重な映像をネットにアップされています。ロストフ動物園に行って個体名を挙げてアップされている映像というのは実に貴重ですので是穂ここでいくつかご紹介いたしたいと思います。まず雄のテルペイです。





続いて雌のコメタです。





ノヴォシビルスクにお住まいのホッキョクグマファンの方々にも是非ノヴォシビルスク動物園以外のロシア国内の動物園を訪問していただきホッキョクグマたちの映像をネット上で紹介していただきたいとは思うのですが、いかんせんロシア国内は移動が大変ですし、日本のホッキョクグマファンのように頻繁にあちこちの動物園に出かけていくといったことを行うことは難しいだろうと思います。しかしこういったことを機会にして少しでもロシアの動物園のホッキョクグマたちの姿を是非紹介していただけたらありがたいと思います。

(資料)
Дон-ТР (Jun.29 2016 - Белых медведей Ростовского зоопарка взяла под опеку компания ‘Роснефть’)
(*追記資料)
Аргументы и Факты (Aug.1 2016 - 8 млн руб. получит на реконструкцию вольеров белых медведей зоопарк Ростова)

(過去関連投稿)
(*ロスネフチ社の援助関連)
ロシア最大の石油会社 ロスネフチがロシアの動物園の全ホッキョクグマへの援助・保護活動開始を表明
ロシア・ヴォルガ河流域、ペンザ動物園の野生孤児ベルィの新飼育展示場建設にロスネフチ社の援助決定
ロシア・西シベリア、ボリシェリェーチェ動物園のグーリャにロスネフチ社より飼育場整備の資金援助
ロシア・ウラル地方のエカテリンブルク動物園のホッキョクグマ展示場の改修完了 ~ 新園長さんの手腕を期待
モスクワ動物園のホッキョクグマ飼育展示場から、遂に待望のライブ映像配信が開始!
ペルミ動物園での待望のアンデルマ、ユムカ、セリクとの再会 ~ 整備された飼育展示場
ロシア南部 ロストフ動物園のテルペイとコメタの飼育展示場改良工事にロスネフチ社が資金援助
(*テルペイ関連)
ロシア・ペルミ動物園におけるセリクとユムカの近況 ~ テルペイがロストフ動物園に移動か?
ロシア・ウラル地方 ペルミ動物園のテルペイがロシア南部 ドン河下流のロストフ動物園に無事到着
ロシア南部 ・ ドン河下流のロストフ動物園に移動したテルペイの近況 ~ 飼育員さんに惚れ込まれる
ロシア・ロストフ動物園、テルペイ(Терпей) の「国際ホッキョクグマの日」
(*コメタ関連)
ロシア南部・ロストフ動物園とウクライナ・キエフ動物園との間の紛争 ~ 「ホッキョクグマ詐欺」事件の概要
チェコ・ブルノ動物園のコメタがロシア・ロストフ動物園へ ~ ブルノ、モスクワ、ロストフの巧妙な三角関係
チェコ・ブルノ動物園の双子の雄のナヌクがウクライナ・ムィコラーイウ動物園へ移動か?
チェコ・ブルノ動物園のコメタのロシア・ロストフ動物園への移動が大幅に延期 ~ 複雑な背景を読み解く
チェコ・ブルノ動物園のコメタとナヌクの将来への不安 ~ 忍び寄るロシアとウクライナの紛争の暗い影
チェコ・ブルノ動物園のコメタが4月にロシア・ロストフ動物園へ ~ 表向きのニュースの裏側を探る
チェコ・ブルノ動物園のコメタがロシア・ロストフ動物園に向けて出発 ~ 双子に遂に別れの日来る
チェコ・ブルノ動物園のコメタがロシアのロストフ・ナ・ドヌに無事到着 ~ 早速ロストフ動物園へ

(*2015年9月 ロストフ動物園訪問記)
ロストフ動物園へ ~ サーカス出身のホッキョクグマ、イョシ(Ёши)との5年ぶりの再会
イョシ(Белый медведь Ёши) 、素顔とその性格
ロストフ動物園二日目 ~ 好男子テルペイ(Терпей)との二年ぶりの再会
テルペイ(Белый медведь Терпей)、その素顔と性格
by polarbearmaniac | 2016-07-31 23:55 | Polarbearology

セルビア・ベオグラード動物園と中国・広州市の正佳極地海洋世界を結んだ「暗黒の闇」の連鎖の世界

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秋田県が購入を予定し釧路市動物園に寄贈する予定だったベオグラード動物園の幼年バイブリッド個体、すなわち「幻の東欧の個体」のバベ
Image:Belgrad Zoo
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セルビア・ベオグラード動物園の「ハイブリッド」であるセーザ
Photo(C)Вечерње Новости

セルビアのベオグラード動物園で飼育されているハイブリッドのホッキョクグマたち(正確には “Polar Bear/Kodiak Bear Hybrid”)については以前に相当に詳しく投稿したつもりです。これは世界のホッキョクグマでも闇の部分に属しており、このベオグラード動物園で誕生したハイブリッドのホッキョクグマがセルビアから中国に売却された流通の過程にも、まさに闇から闇へと不気味な黒い線が伸びていったという話なのです。そして以前に秋田県が購入してツヨシのパートナーとすることを視野に入れて釧路市に譲渡しようとした「幻の東欧の個体」こそ、この闇の黒い線の延長にあった話だったのです。これらについては過去関連投稿を全てご参照頂かなくてはならないわけですが、とりあえず「秋田県が購入断念の「幻の東欧の個体」、突然中国にその姿を現す!」、「中国に突然現れた「幻の東欧の個体」はヒグマとの混血か? ~ 深まる謎」、という投稿を御参照頂き、次に「セルビア・ベオグラード動物園のハイブリッドの正体 ~ “Polar Bear/Kodiak Bear Hybrid”」という投稿において結論的なことが述べられていますので、それをご参照下さい。それから、このベオグラード動物園が2011年に製作した同園の動物たちを世話する飼育員さんをシリーズで紹介した映像があります。長いですのでこのハイブリッドのホッキョクグマペア、その他が登場する部分のみ下に御紹介しておきます。その中にこの秋田県が購入を予定していた「幻の東欧の個体」の姿が登場するのです。この「幻の東欧の個体」の映像は挟み込まれた映像であることと時期から考えてこの「幻の東欧の個体」そのものであることは疑いようもありません。



このセルビアのベオグラード動物園で飼育されてるハイブリッドのホッキョクグマのペアのうち、雌のエリザベトは2014年に亡くなっており彼女のパートナーだった雄のセーザは現在32歳になっているものの存命しています。このセーザの姿が来園者によって最近ネット上にアップされ世界的にも非常に反響を呼んでいます。 それを見ていだたきましょう。



セーザも32歳になっているそうですから足腰が弱っていて、こうしてやっと立ち上がるという状態であっても全くおかしくはないのですが、「虐待」されてこういう飼育状態になっているのだと誤って解釈する人は一般人の中には非常に多いでしょう。

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広州市正佳極地海洋世界の皮扎 (Pizza)  Photo(C)getty

さて、先日「中国・広東省、広州市の世界からの批判を浴びる「広州市正佳極地海洋世界のホッキョクグマ」の謎」という投稿を行っていますが、中国・広州市の正佳極地海洋世界のバイブリッドのホッキョクグマである「皮扎 (Pizza)」もこうしてネットに映像がアップされ、「世界で一番悲惨なホッキョクグマ」などという言われ方をされて署名活動も行われ続けています。この「皮扎 (Pizza)」はまさしくセルビア・ベオグラード動物園のセーザの孫であろうと思います。曾孫かもしれませんが、しかしいずれにせよベオグラード動物園のセーザの血を直系で引き継いでいることは間違いありません。
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Photo(C)getty

ベオグラード動物園のセーザもさきに御紹介した映像から、もう先はそう長くはないかもしれません。ベオグラード動物園で誕生したハイブリッド個体は闇から闇へと流れて中国に行きつき、そして現在中国でそういったバイブリッドが何頭存在しているのかを確認することは容易ではありません。公営の動物園、たとえば北京動物園などでこういったハイブリッド個体を導入することはありえず、民営のレジャー施設のような動物園だけがこういったハイブリッドを導入しているとみて間違いないわけで、そういった施設に暮らすハイブリッド飼育の全容を把握することは困難です。

彼等の姿が大きくネット上に現れるときというのは、こういった「最近流行」の動物権利保護活動家が声を上げる時だけだというのは皮肉な話です。

(資料)
Вечерње Новости (Jul.18 2016 - Istina iza grozne slike "umirućeg" medveda iz BG zoo vrta koju svi šeruju)
Сеница.ру (Jul.30 2016 - Любители животных выступили против строительства пингвинария в Белграде)
Сайт газеты Metro (Jul.29 2016 - "Плачущий" белый медведь по кличке Пицца заперт в торговом центре в Гуанчжоу)
The Sun (Jul.29 2016 - POLAR DESPAIR Distressing moment exhausted beast struggles to stand while covered in his own faeces in Serbian zoo)

(過去関連投稿)
(*ハイブリッド関連)
秋田県が購入断念の「幻の東欧の個体」、突然中国にその姿を現す!
中国に突然現れた「幻の東欧の個体」はヒグマとの混血か? ~ 深まる謎
中国・大連で人工哺育の淘淘、乐乐、静静の出生の謎を追う ~ 「異形」 は先天的なのか?
男鹿水族館がホッキョクグマ売買をめぐり動物商を提訴 ~ その報道内容の裏側に隠された重大な意味
男鹿水族館がホッキョクグマ購入契約の着手金返還訴訟で動物商に勝訴 ~ 動物商の真の意図を探る
ホッキョクグマの雑種(Ursid hybrid)を考える(1) ~ ドイツ・オスナブリュック動物園のティプスとタプス
ホッキョクグマの雑種(Ursid hybrid)を考える(2) ~ セルビア ・ ベオグラード動物園を覆う深い謎
ホッキョクグマの雑種(Ursid hybrid)を考える(3) ~ 自然界におけるホッキョクグマのハイブリッド
大連の「異形」の赤ちゃんは 「ホッキョクグマの毛皮をまとったヒグマの赤ちゃん」 だった!
中国・烟台市の蓬莱海洋極地世界の赤ちゃん元元が公開へ ~ 中国で増加するハイブリッド展示上の問題点
中国・浙江省杭州市の極地海洋公園のハイブリッド ~ 奇々怪々とした中国民間施設でのハイブリッドの存在
中国・天津市の天津海昌極地海洋世界でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ そしてカナダでの映画撮影
映画 “Il mio amico Nanuk” で共演したエイギー(Agee) とハイブリッドの皮祖 (Pezoo)
セルビア・ベオグラード動物園のホッキョクグマのハイブリッド個体(Ursid hybrid)は何故出現したのか?
某国営放送局の某番組について ~ 決して姿を見せぬ "暗黒の闇" と "深い霧" に潜む "謎の顔"
セルビア・ベオグラード動物園のハイブリッドの正体 ~ “Polar Bear/Kodiak Bear Hybrid”
中国・広東省、広州市の世界からの批判を浴びる「広州市正佳極地海洋世界のホッキョクグマ」の謎
by polarbearmaniac | 2016-07-30 23:55 | Polarbearology

ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの成長 ~ 「シルカの物語」を乗り越えられるか?

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ロスチク (Белый медвежонок Ростик)
Photo(C)Новосибирский зоопарк
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シルカ (Белый медвежонок Шилка)
(2014年9月12日撮影 於 ノヴォシビルスク動物園)

ロシアのノヴォシビルスク動物園で昨年12月7日に8歳のゲルダお母さんから誕生した雄のロスチク (Ростик) の成長を地元のファンの方々が大変に丹念に映像で記録し続けています。世界の動物園で誕生したホッキョクグマについてこれだけ頻繁に映像で成長が記録されてきたのは札幌でのララの子供達、そして大阪でのモモくらいでしょう。ロスチクは我々にとっては大阪のシルカの弟であるという点において彼の成長を追っていくのは非常に大きな楽しみです。Photogenicity という点においては今までの札幌でのララ親子には及ばないものの、ゲルダとロスチクの親子の姿を見るときに遠い日本に旅立ったロスチクの姉のシルカ、特にノヴォシビルスクで市民に愛されたシルカの劇的なまでのゲルダお母さんとの別れ、そして孤独と諦念のシルカの異国への旅立ちをようやく見送ることのできたファンの方々といった一つの「物語」の存在を忘れるわけにはいきません。
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シルカ (Белый медвежонок Шилка)
(2014年9月13日撮影 於 ノヴォシビルスク動物園)

ノヴォシビルスクにおける「シルカの物語」がいかに鮮烈な印象を残したかは、たとえば現在公募されている故ラスティスラフ・シロ (Ростислав Шило) 前園長の記念像のデザイン応募案にすら及んでいるのです。
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シルカ (Белый медвежонок Шилка)
(2014年9月12日撮影 於 ノヴォシビルスク動物園)

それは「故シロ園長とシルカ」という、要するにノヴォシビルスク動物園に暮らす多くの動物たちを代表しているのは依然としてシルカの姿であるという想いをノヴォシビルスク市民の方々は持っているわけです。そういった「シルカの物語」そして「シルカの影」を背後に背負っているのがロスチクであるようにすら私には思えてきます。

ここでまた最新のロスチクとゲルダお母さんの映像を見てみましょう。最初の映像ですが、母親との距離と間合いを測りながらロスチクは巧みに行動しています。



この下の映像でもそうですが、母親との距離が近くなれば適時母親を刺激し、そして母親が離れればタイヤ遊びえお試みるといったように、ロスチクは決してゲルダお母さんの機嫌を損ねることなくバランスのとれた親子関係を見せてくれます。



この下の映像も同様です。来園者からエサを与えてもらいたいゲルダお母さんですが、ロスチクはその邪魔もせず、かといって孤立することもなく動き回っています。こういった行動はシルカには非常に少なかったわけです。



ロスチクには屈託がありません。そしてそれと同時に彼には賢さといったものが備わっていて、あのノヴォシビルスク時代のシルカが持っていた、どこか「切なさの漂う甘さ」といった雰囲気は感じさせません。このロスチクにシルカの場合のような物語を描くことは現時点では難しいわけです。ここには「シルカの物語」の影を引き摺らない清澄さがあるといってよいでしょう。

さて、ノヴォシビルスク動物園でシロ園長の死後から今まで園長代行の職にあった息子さんのアンドレイ・シロ氏はとうとう昨日、正式に新園長という地位が承認され、ノヴォシビルスク市長であるアナトリー・ローコチ (Анатолий Локоть) 氏が任命書に正式に署名しました。アンドレイ・シロ(Андрей Шило)氏は若干26歳の若さです。ノヴォシビルスク動物園では園長であった父の下で働いていました。アンドレイ・シロ新園長の横顔を紹介する地元TVニュースをご紹介しておきます。



さて、ノヴォシビルスク市長であるアナトリー・ローコチ氏は昨日の記者会見で興味深いことを話しています。それは、ノヴォシビルスク動物園が参加する形でノヴォシビルスク市と姉妹都市である街との交流を図りたいという内容です。ということは、こういったことを機会としてノヴォシビルスク市の姉妹都市である札幌市の円山動物園はノヴォシビルスク動物園と交流するチャンスであるということです。このロスチクというのは日本のホッキョクグマ界における血統から考えれば非常に多い「アンデルマ/ウスラーダ系」ですので彼の札幌への導入(つまりリラのパートナーとして円山動物園の新ホッキョクグマ飼育展示場の主役となること)は本当は好ましくはないでしょう。ましてやロスチクの姉であるシルカが昨年日本に来ているからです。ただし正式に話をローコチ市長経由で持って行けばロスチクを札幌に導入することはいとも簡単だろうと思います。ララファミリーとロスチクには何の血統上の関係もありませんから、ゴーゴ/シルカよりもロスチク/リラ(or マルル、ポロロ)のほうが組み合わせとしては圧倒的に優っているわけです。現在の若年世代だけを考えれば、「ゴーゴ/デア」「ロッシー/アイラ」「キロル/ヴァニラ」「イコロ/シルカ」「ロスチク/リラ」.....こういった感じならばこの世代に関するならば何ら問題はないわけです。血統上の問題は彼らの次の世代に持ち越してしまうという考え方です。

大分話がそれました。このロスチクについて果たして物語を描く来る日がやってくるかどうかはわかりません。仮に描く日がやってきたとしてもシルカの場合のような物語ではなく、まったく別の何か明るい物語となるでしょう。そしてそこに登場するのは今度は若い新園長さんといったことになるでしょう。

(*追記)ノヴォシビルスク動物園は以前にご紹介していましたように正式名称に故シロ園長の名前が付冠されることととなり、だいたいの予想通り "Новосибирский зоопарк имени Р.А. Шило" 、つまり「R.A.シロ記念 ノヴォシビルスク動物園」となり、正門の表示もすでにそうなっているそうです。日本語の表記としては今まで通り「ノヴォシビルスク動物園」でよいと思いますし、そうしておきます。

(資料)
НГС.НОВОСТИ (Jul.27 2016 - Форменное зверство)
Новосибирские новости (Jul.28 2016 - Директором новосибирского зоопарка официально назначен 26-летний Андрей Шило)
ГТРК «Новосибирск» (Jul.29 2016 - Андрей Шило: Новосибирский зоопарк войдет в десятку лучших в мире за пять лет)
НГС.НОВОСТИ (Jul.27 2016 - Новосибирский зоопарк сменил вывеску над главным входом)

(過去関連投稿)
ロシア・ノヴォシビルスク動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ やはり出産していたゲルダ!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの登場を待つ人々 ~ その時を親子の意思に委ねる度量
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃん、一瞬姿を見せる ~ 'authenticity' への視座
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんがゲルダお母さんと本日、初めて5分間だけ戸外に登場!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園、ゲルダ親子の「国際ホッキョクグマの日」
ロシア・ノヴォシビルスク動物園で誕生の赤ちゃんの「国際ホッキョクグマの日」の映像を追加
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの声を札幌のリラ、大阪のモモと比較する
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの性別予想に盛り上がる地元 ~ 雄(オス)の予想に高い支持
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子の近況 ~ 親子関係を破壊しかねない来園者のエサやり行為
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ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃん、生後100日を超える
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ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子の近況 ~ ララ/アイラの多層的な親子関係と比較する
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ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダお母さんと赤ちゃんの近況
ロシア・ノヴォシビルスク動物園、ゲルダお母さんとオイゼビウス(Ойзебиус - 仮称)のプール開き
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃん、オイゼビウス(Ойзебиус - 仮称)が泳ぎ始める
ロシア・ノヴォシビルスク動物園生まれの二頭 ~ シルカ vs オイゼビウス (Ойзебиус - 仮称)
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダをシモーナと比較する ~ 母親と息子の実力は反比例?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のホッキョクグマ飼育展示場のライブカメラ映像配信、遂に復活!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のオイゼビウス(Ойзебиус - 仮称)が間もなく生後半年が経過へ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のオイゼビウス(仮称)の正式命名が後日行われる予定となる
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の雄の赤ちゃんの名前が「ロスチク (Ростик)」に決まる
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの成長 ~ シルカ/ゲルダとは非常に異なる親子関係
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子のライブ映像配信が二年前と同様に大人気となる
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチク、その日常の姿 ~ 経験を積んだゲルダお母さん
ロシア・ノヴォシビルスク動物園、ゲルダお母さんの機嫌を損ねないように巧妙に立ち回るロスチク
by polarbearmaniac | 2016-07-29 17:30 | Polarbearology

チェコ・ブルノ動物園のコーラ親子の近況 ~ 「偉大なる母」の領域に入りつつあるコーラお母さん

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コーラ (Cora the Polar bear/Белая медведица Кора)
Photo(C)Zoo Brno

チェコのブルノ動物園で昨年の11月24日に誕生した雌(メス)のノリア(Noria)とコーラお母さんについて投稿するのは一ヶ月振りとなります。昨年の11~12月に世界の動物園で誕生したホッキョクグマ、そしてその母親については、やはりこのブルノ動物園の母娘が最も充実した親子関係を築いているように私には見えます。そういったことはこれまでも映像を御紹介しつつ私見を述べてきた通りです。その理由は、母親である現在17歳のコーラの優れた育児能力に際立った熟練さが加わってきたためだろうと考えます。過去の二回の双子に対する接し方と比較すると今回は細心さに余裕が加わった、まさに「偉大なる母」の領域に入ってきたように思うわけです。1998年11月27日にロシア・サンクトペテルブルクのレニングラード動物園であの女帝ウスラーダから生まれたコーラは、やはり母親であるウスラーダの後を継ぐ形で姉であるモスクワ動物園のシモーナと共にロシア出身のホッキョクグマのプライドを見せてくれているわけです。日本との関係でいえば、仙台のラダゴル(カイ)、静岡のピョートル(ロッシー)の姉にあたります。こんなことは今更もう申し上げる必要などないでしょう。「女帝ウスラーダとシモーナ、コーラ、リアの三頭の娘たち ~ 偉大な母親たちの三代の系譜」という投稿を御参照下さい。

さて、最新の映像をまた見てみましょう。まず下はスローモーションの映像であり、ノリアがコーラお母さんを背後から不意打ちするといっただけのものですが、これまで述べてきたことを踏まえて見てみると、娘との間の刺激への反応といった観点から言えばそこに無関心さといったものは見えないわけです。



次の映像ではコーラお母さんは前半の部分で単に背泳を繰り返しているように見せてノリアを水に誘い込みたいといった気分でもあり、そして同時に余裕のようなものを感じさせます。



それから下の二つの映像は今までご紹介していなかった映像で4月中旬のものです。こういった映像を見ると、この時期に全力を集中していてあまり余裕の感じられなかった大阪のバフィンお母さんとはかなり違う母親コーラの落ち着きを感じさせます。





ブルノ動物園は現在もライブ映像が配信されていますのでそちらを見た方がこの親子の姿を長時間にわたって観察できるように思います。

(過去関連投稿)
チェコ・ブルノ動物園のコーラ、今年も出産なるか? ~ 産室の準備万端整えたブルノ動物園
チェコ・ブルノ動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ コーラお母さんが待望の出産
チェコ・ブルノ動物園で誕生の赤ちゃん、最初の関門を突破 ~ 屋外で出産していたコーラお母さん
チェコ・ブルノ動物園から遂に待望の産室内ライブ映像の24時間配信が開始!
チェコ・ブルノ動物園で誕生の赤ちゃんの産室内映像ハイライト ~ コーラお母さんの手堅い育児
チェコ・ブルノ動物園の赤ちゃん、元気に間もなく生後二カ月へ ~ ライブ映像のみに託した情報発信
チェコ・ブルノ動物園で誕生の赤ちゃんの近況 ~ コーラお母さんに少量の給餌が再開
チェコ・ブルノ動物園で誕生の赤ちゃんが生後80日を無事経過
チェコ・ブルノ動物園で誕生の赤ちゃんが突然短時間、戸外に姿を現す ~ 想定外の早さに驚く同園
チェコ・ブルノ動物園で誕生の赤ちゃん、明日3月18日より一般へのお披露目が同園より告知
チェコ・ブルノ動物園の赤ちゃん一般公開開始の様子がネットでライブ生中継
チェコ・ブルノ動物園のコーラ親子の一般への公開が開始となる ~ 深夜でも動き回る親子
チェコ・ブルノ動物園のコーラお母さんの育児スタイルに変化 ~ 経験よりも頭数が重要な要素か?
チェコ・ブルノ動物園のコーラ親子の映像を解釈する ~ 育児方法の転換が不十分なコーラお母さん
チェコ・ブルノ動物園の赤ちゃんの性別は雌(メス)と判明 ~ 名前の公募始まる
チェコ・ブルノ動物園のコーラお母さん、プールに転落した赤ちゃんを救出 ~ 落ち着いた対応
チェコ・ブルノ動物園の雌(メス)の赤ちゃんの名前が「ノリア(Noria)」に決まる
チェコ・ブルノ動物園、幾分どっしり構えるコーラお母さんと遊び好きで活動的な赤ちゃんのノリア
チェコ・ブルノ動物園、コーラお母さんの「水泳教室」 ~ 娘のノリアへの関与性を高める
チェコ・ブルノ動物園の赤ちゃんノリアが泳ぎ始める ~ 母親の役割を見事に発揮するコーラお母さん
チェコ・ブルノ動物園のノリアの水遊び ~ 雌(メス)のほうが雄(オス)よりも遊び好きが多いのは何故か?
チェコ・ブルノ動物園の飼育展示場に落下した帽子をノリアが引き裂いて「首飾り」にしてしまう
チェコ・ブルノ動物園のコーラ親子を的確に捉えた視点 ~ “Nature imitates Art.”
チェコ・ブルノ動物園のノリアが無事に生後半年が経過
チェコ・ブルノ動物園のノリアの近況 ~ コーラお母さんの余裕と熟練の育児
チェコ・ブルノ動物園のコーラお母さんと娘のノリアの充実した時間
by polarbearmaniac | 2016-07-28 23:00 | Polarbearology

カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園の深慮遠謀 ~ エサクバクとミラクのダブル出産への挑戦

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雌のエサクバクとミラク、雄のエディ
Photo(C)Le Journal de Québec

カナダ・ケベック州のサンフェリシアン原生動物園 (Zoo sauvage de Saint-Félicien) といえば、あの2009年11月にエサクバク (Aisaqvak/Aisaqvaq) から誕生したタイガとガヌークの双子の成長の記録を大変鮮やかにネット上で公開した動物園として私の記憶に残っているわけですが、このエサクバクにはその後に2012年、2013年、2014年と三回にわたって繁殖に挑戦したものの期待された出産がなく、その責任は二番目に彼女のパートナーとなった雄のイレ (Yellé) にあったと考えられることはほぼ間違いなく、とうとう同園はエサクバクの三番目のパートナーとして当時15歳のケベック水族館のエディを二繁殖シーズンの出張ということで2015年3月にサンフェリシアン原生動物園に連れてきたというわけでした。

こうした一連のエサクバクの繁殖を目指す経緯の中で、同園にはデンマークのオールボー動物園から当時6歳になったばかりの雌のミラクが2014年12月に来園したということがあったわけです。ですから現在このサンフェリシアン原生動物園では13歳のエサクバクと7歳のミラクという、雌の二頭が繁殖を狙う体制になっています。 このエサクバクとミラクは現時点では雌二頭で同居しているようで、同園ではエンリッチメント(アンリシスマン - l'enrichissement)として下の映像のようなことが行われたそうです。箱の中に食べ物が隠されているといったわけです。



エサクバクは食べ物を独り占めしてしまい、ミラクはなかなか接近できないようです。次の映像ですが、ミラクは体を水の中に半分入れて涼んでいるようです。歩いているのはエサクバクです。



さてこのサンフェリシアン原生動物園ですがSNSでの最新の情報によりますと、エサクバクの三番目のパートナーとして同園にやってきた雄のエディはなんとケベック水族館に戻ってしまったそうで、再びイレが戻ってきてこのサンフェリシアン原生動物園の戸外のバックヤードで飼育されているようです。いったいこれはどうしたことかと思うわけですが、エサクバクとミラクの二頭が春にエディとの間で繁殖行為があったようで、この雌の二頭は年末に出産が期待されるという状況になったためにとりあえずエディの存在(気配や匂い)を無くしてしまおうということなのではないかと思われます。しかしそうはいっても今度は雄のイレが戻ってきているようですから、さほどの効果は期待できないでしょう。以下は今年の一月のミラクとエディの姿です。その時点ではまだ繁殖行為にまでは至っていなかったようです。



最近戻ってきたイレというのは実は欧州の「ロストック系」であり、そして欧州からやってきたミラクも「ロストック系」です。いずれも祖母と祖父はロストック動物園のヴィエナと故チャーチルであるわけで、仮に今年の年末にエサクバクもミラクも出産に成功しなかった場合、来年はいったいどうするつもりなのでしょうか? イレはミラクとはパートナーを組めず、エサクバクとイレとの間での繁殖挑戦はもうやってみてもほとんど意味がないように思うからです。となれば、また来年の春にケベック水族館からエディを連れてくるということなのでしょうか? 

しかし振り返って考えてみれば2015年3月にエサクバクの三番目のパートナーとしてケベック水族館のエディをサンフェリシアン原生動物園に出張させたのは、前年の12月に欧州から「ロストック系」のミラクが来園したのに合わせて同じ「ロストック系」のイレではなくケベック水族館のエディを連れてきたほうがエサクバクとイレの二頭を同時に一頭の雄とのペアリングを狙うことができるという利点を考えた戦略だったという考え方も可能かもしれません。

深慮遠謀のサンフェリシアン原生動物園ですが、果たして今年の年末にエサクバクとミラクのダブル出産はあるでしょうか? 見守っていきたいと考えます。

(*後記)昨年時点での報道ではエディは血統的に孤立している(つまり他の個体と血統的なつながりがない)ためにサンフェリシアン原生動物園に出張することになったと報じられています。やはりイレとミラクの「ロストック系」の血統の繋がりを回避することが第一の目的だったということです。)

(追記資料)
LE JOURNAL DE MONTRÉAL (Mar.12 2015 - Un échange de couples peu commun d'ours blancs pour favoriser la reproduction de l'espèce)

(過去関連投稿)
(*エサクバク関連)
カナダでの飼育下期待の星、イヌクシュクの物語
カナダ・ケベック水族館のタイガ、次世代の繁殖への期待を担う
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園のエサクバク、展示場に復帰 ~ 本命の意外な失望結果
カナダ・ケベック州 サンフェリシアン原生動物園のエサクバクとイレのペアへの大きな期待
カナダ・ケペック州、サンフェリシアン原生動物園のエサクバク、早々と出産準備のための別区画に移る
「ホッキョクグマ飼育マニュアル(Care Manual)」よりの考察(10) ~ 出産に備えた雌の「隔離」とは?
カナダ・ケペック州、サンフェリシアン原生動物園のエサクバクの産室内の姿が公開 ~ スタッフの余裕
カナダ・サンフェリシアン原生動物園の産室内のエサクバク ~ ” Bonne nuit belle Aisaqvak !”
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園のエサクバク、「本命」の2年続きの失望結果
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園のエサクバクとイレのペアの繁殖への挑戦
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園でのイレの健康チェックトレーニング
今シーズンに出産の有無が注目される雌(2) ~ カナダ・サンフェリシアン原生動物園のエサクバク
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園のエサクバクの新しいパートナーとしてエディが来園
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園のエサクバク、新パートナーとの間で繁殖に再挑戦
(*ミラク関連)
デンマーク・オールボー動物園のミラクがカナダ・ケベック州のサンフェリシアン原生動物園に旅立つ
デンマーク・オールボー動物園のミラクがカナダ・ケベック州のサンフェリシアン原生動物園に無事到着
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園でのミラクの血液サンプル採取 ~ 輸入検疫の一環
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園でイレと検疫期間の終了したミラクの初顔合わせ
カナダ・ケベック州サンフェリシアン原生動物園のミラクが遂に飼育展示場に初登場 ~ 雪の感触
by polarbearmaniac | 2016-07-27 22:00 | Polarbearology

ロシアのサーカス団の4頭のホッキョクグマたちのペルミ公演が始まる

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ペルミ公演 Photo(C)Т7-Информ

サーカスのホッキョクグマ調教師であるユリア・デニセンコ女史とその夫であるユーリ・ホフロフ氏がその都市のサーカス団に参加する形で四頭のホッキョクグマであるモーチャ (Мотя)、ウムカ (Умка)、クノーパ (Кнопа)、ドーラ (Дора) を引き連れて巡業を続けています。彼らは現在世界で唯一残っている実際にサーカスで演技を行っているホッキョクグマたちなのです。前回は6月にウラル地方の都市であるキーロフでの公演を行う彼らの姿を追ったのですが、その公演に引き続いて今度はウラル地方の中心都市であるペルミでの公演がペルミ・サーカスを会場として7月23日から始まっています。まず予告の映像を御紹介しておきます。



続いてリハーサルの様子を報じる地元TV局の映像です。



7月23日に公演は幕を開けました。それを報じる地元TVニュースです。



四頭のホッキョクグマたちはケガや病気もなく元気でいるのは幸いなことです。サーカスを引退させられてしまえば今度は巡回動物園での劣悪な環境に置かれる可能性が高く、それならばサーカスで演技しているほうがまだマシでしょう。ホッキョクグマなどをサーカスで演技させることには勿論反対ですが、しかし彼らをサーカスから解放してやったあとの受け皿が問題なのです。

ペルミといえばあのアンデルマが余生を暮らしている街ですし、姫路のホクト(ルトヴィク)と白浜のゴーゴ(クライ)の生まれた街です。ペルミでの今回の公演は8月7日まで行われるそうですので、昼間はペルミ動物園に行ってアンデルマに会い、夜はサーカスでこの四頭のホッキョクグマたちに会っておくのは実に都合が良いと思ってスケジュールを考慮しましたが、このホッキョクグマたちの登場するサーカスの公演はすでにチケットが全て売り切れだそうです。ホテルに依頼すれば比較的簡単にチケットは入手できるとは思いますが、やはりアンデルマに失礼かと思いスケジュールをサーカスの公演に合わせるのは止めにしました。

(資料)
Пермский Цирк («Шоу белых медведей»)
Т7-Информ (Jul.21 2016 - Уникальное цирковое шоу ждет пермяков)  (Jul.26 2016 - На арене цирка белые медведи)
ВЕТТА (Пермь) (Jul.26 2016 - Белые медведи в пермском цирке)

(過去関連投稿)
(*サーカスのホッキョクグマ関連)
トスカ(クヌートの母)とサーカス団の悲しきホッキョクグマたち
サーカス団のホッキョクグマ今昔物語
サーカスを「引退」し余生を送るホッキョクグマ ~ ウクライナ・ハリコフ動物園のティムの夏
サーカス団(ロシア)のホッキョクグマの訓練風景
ロシアの氷上サーカスでスケート演技をするホッキョクグマのラパ ~ その引退の日は遠し
ロシアの氷上サーカスのホッキョクグマ ~ 現役で活躍するラパ、そして引退したホッキョクグマたちの余生
ロシアの氷上サーカスのホッキョクグマのラパ、ベラルーシ公演でも大好評となる
ロシアの氷上サーカスに出演のホッキョクグマたち、元気に公演を続ける
ロシアの氷上サーカスに出演のラパたち5頭のホッキョクグマの最近の様子
ロシアの氷上サーカス団のホッキョクグマたち、モスクワのボリショイサーカスに出演し大好評
ロシアの氷上サーカス団でスケート演技をするラパに遂に引退の日来る ~ スタロースコルィスク動物園へ
ロシア・クラスノヤルスク動物園のセードフ司令官が陸路5日間で無事にスタロースコルィスク動物園に到着
ロシア西部、スタロースコルィスク動物園でのラパとセードフ司令官の近況 ~ ラパの健康状態への危惧
ロシア西部、スタールイ・オスコル市のスタロースコルィスク動物園で、ラパとセードフ司令官の同居が始まる
ロシア・スタロースコルィスク動物園のラパとセードフ司令官が黒海沿岸のゲレンジーク・サファリパークへ
ロシアの氷上サーカス団の四頭のホッキョクグマたち、元気にヴォルゴグラード公演を行う
ロシアのサーカス団の四頭のホッキョクグマたち、元気にロストフ・ナ・ドヌ公演に登場
ロシアのサーカス団の四頭のホッキョクグマたち、元気にサンクトペテルブルク公演へ
極地で死ぬかサーカスで生きるか? - "Смерть на полюсе или жизнь в цирке?"
ロシアのサーカス団の四頭のホッキョクグマたち、元気に今度はイジェフスク公演へ ~ 尊厳とは何か?
ロシアのサーカス団の4頭のホッキョクグマたちがアストラハン、ヴォルゴグラードと元気に公演を続ける
ロシアのサーカス団の4頭のホッキョクグマたちがヴォルガ河下流のサラトフで新演出の公演へ
ロシアのサーカス団の四頭のホッキョクグマたちのサラトフ公演が始まる ~ "Жизнь в цирке"
ロシアのサーカス団の4頭のホッキョクグマたちが元気にウラル地方のキーロフ公演へ
ロシアのサーカス団の4頭のホッキョクグマたちがキーロフ公演の準備のリハーサルを行う
(*巡回動物園関連)
ロシア・モスクワ郊外の私設動物園の悲惨な現実
サーカス団のホッキョクグマ、ダーニャは何処に消えた? ~ サーカス団と巡回動物園とを結ぶ暗黒
ロシアの巡回動物園「モスクワ・サファリ園」に暮らすウムカとスネジョーク ~ ロシアの闇の部分
by polarbearmaniac | 2016-07-26 21:30 | Polarbearology

カナダで相次ぐ安易なホッキョクグマ射殺 ~ 自然保護官の対応にカナダ国内の地域差存在の可能性

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射殺された幼年個体 Photo(C)Brandon Spence/CBC

カナダ・オンタリオ州北部のカシュチェワン (Kashechewan) 地区で先週の月曜日の夜に双子を伴ったホッキョクグマの姿が街から数キロ先の地点に見せたのを住民の一人が目撃し、早速警察に連絡するとともに自らも警官と共にホッキョクグマ親子の姿のあった地点にトラックで向かったそうです。その場所にいたのは一頭のホッキョクグマの幼年個体であり、この個体は現場に急行した警官と住民のほうに向かってきたため警官はサイレンを鳴らしたり光線を照射したりしてその個体を追い払おうとしたものの、その個体は方向を変えてフェンスのある場所に立ち入り吼えだしたそうです。そしてフェンスを破って逃げて行ったそうで、その夜はそれだけのことでした。しかし翌日にまたこの幼年個体が同じ場所に姿を見せたので、警官はその幼年個体を射殺したそうです。警察はカナダの天然資源省(Department of Natural Resources) との協力においてやむを得ない状況でホッキョクグマの幼年個体を射殺したのだと述べています。しかし射殺時点には目撃者がいません。本件を取材したカナダ放送協会(CBC)の記者にも全く情報を与えてくれないそうです。
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こういった場合は本来は自然保護官 (Wildlife officer) が対応すべき案件ですが、このカシュチェワン地区は本来のホッキョクグマの生息地域のやや南側に位置しているそうで通常はこの季節にはホッキョクグマはほとんど姿を見せない場所であることから自然保護官がホッキョクグマの出没を想定していなかったために現場に迅速に急行できず、したがって地元の警察が対応したということなのかもしれません。カナダの天然資源省(つまり自然保護官を管轄する官庁)も地元の警察も今回の件については多くを語ろうとはしていないようです。これはどうも過剰な対応であるような気がします。ホッキョクグマの幼年個体は射殺された時の状況は一切公に明らかにされていないわけで、要するに面倒くさいから射殺したのだと勘繰りたくなるわけです。

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次に、先週の土曜日のことですがカナダ北部のバフィン島のシルヴィア・グリンネル公園(Sylvia Grinnell Territorial Park)でホッキョクグマが人間の設営したいくつかのテントのうち6つのテントを引きちぎってしまったそうで、自然保護官によってそのホッキョクグマは射殺されてしまったそうです。ケガ人はいなかったそうですが、この時の状況についても自然保護官はカナダ放送協会(CBC)の取材に具体的な状況の説明を行っていません。
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Photo(C)CBC

具体的な状況は明らかにされていないものの、これだけのことで射殺されてしまうというのは実におかしな話です。カナダという国は例えばハドソン湾西岸地区(つまりチャーチルのある地域)においては自然保護官はホッキョクグマへの対応にはかなり配慮がなされているものの、それ以外の地域ではかなり安易な判断で射殺を行っているのではないでしょうか? この今回の二つの地区はホッキョクグマと人間との遭遇が頻繁なものではない場所であるという点で共通しています。つまり目撃者が多かったり関係者の数が多かったりするハドソン湾西岸地区ではホッキョクグマの射殺については一定レベルの要件がないと射殺は行われないものの、それ以外の地域ではかなりルーズに射殺の判断が下されているのではないかという疑念を強く持ちます。つまり自然保護官に与えられる裁量の大きさには黙示的に地域差が存在しているのではないかということです。ハドソン湾岸では裁量が大きく与えられていないためにホッキョクグマの射殺には一定の厳格な要件が求められるものの、その他の地域では大きく裁量が認められているために比較的安易にホッキョクグマを射殺しているのではないかということです。

私はそもそもこのホッキョクグマが人間に危険を与えるという状況そのものが人間の「自招行為」であると考えています。ホッキョクグマの生息地のような場所に入り込んで、その結果として人間がホッキョクグマに襲われるという状況そのものは人間が自ら招いたことなのです。今回の件は自然保護官(及び自然保護官を管轄している天然資源省の了解を得ていたらしい警察)が対応したわけですから「正当防衛」の事案ではありませんが、一般的には人間の「正当防衛」というものは野生のホッキョクグマに対しては基本的には成立しないというのが私の考え方です。札幌市の円山公園付近に出没するクマなどは人間の生息地にクマが現れた場合であり、これに対しては「正当防衛」は成立しますがホッキョクグマの場合は全く条件が逆なのです。

(資料)
CBC (Jul.21 2016 - Polar bear shot after wandering through Kashechewan)
Timmins Press (Jul.21 2016 - Police forced to shoot polar bear in Kash)
CBC (Jul.23 2016 - Polar bear rips 6 tents pitched in Iqaluit park)

(過去関連投稿)
カナダ・チャーチルで狂暴化したホッキョクグマが射殺される
カナダ・ニューファンドランド島で民家に押し入ったホッキョクグマが射殺される
カナダ・ニューファンドランド島で再びホッキョクグマが射殺 ~ カナダ警察による 「緊急処置」 との説明
カナダ・ニューファンドランド島で目撃されたホッキョクグマがまた射殺される
カナダ・ニューファンドランド島で目撃されたホッキョクグマ、生け捕りにされ無事に無人地帯に移送される
カナダ、ニューファンドランド・ラブラドール州でまたホッキョクグマが射殺される
カナダ・ニューファンドランド島で無許可でホッキョクグマを射殺した男が訴追される
カナダで人里に現れたホッキョクグマに対する2つの事件への自然保護官の対応
カナダ・マニトバ州、チャーチルのホッキョクグマ保護収容施設 (俗称 “Polar Bear Jail”) について
by polarbearmaniac | 2016-07-26 01:30 | Polarbearology

ロシア・ノヴォシビルスク動物園、ゲルダお母さんの機嫌を損ねないように巧妙に立ち回るロスチク

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ゲルダお母さんとロスチク
Photo(C)Лена Галкина/Новосибирский зоопарк

昨年12月7日にロシアのノヴォシビルスク動物園でゲルダお母さんから誕生した雄のロスチク (Ростик)の成長を追っていますが、ここのところ特に母親であるゲルダとの関係に注目しながら現地のファンの方々の映像を振り返っています。さて、多くの映像のうち前回の投稿以降に撮影された多くの映像のうちいくつかを見ていきましょう。

まず7月16日の映像を二つです。ゲルダお母さんは相変わらず来園者から投げてもらえるエサを気にしています。ロスチクもゲルダお母さんに付かず離れずということで、うまくおこぼれを食べているようです。





ここで二年前のゲルダお母さんとシルカの映像を二つ見ていただきましょう。この下の映像ですとゲルダお母さんとシルカとの距離感には何か一定していないものが感じられ、親子はそれぞれ別の意志を持っているように感じるわけです。ある種の「よそよそしさ」といったものが感じられなくもありません。


来園者からのエサを待つゲルダとシルカ - Gerda and Shilka the polar bears get into a pose for the visitors, at Novosibirsk Zoo, Russia

次は再びゲルダお母さんとロスチクの7月16日の映像です。前半は親子のからみもあるわけですが、ロスチクはなかなかうまく立ち回っています。



次の映像ですが、ロスチクは母親に甘えるべきところは甘えるということです。こういったシーンはシルカには非常に少なかったと記憶しています。



次は7月22日の映像ですが、何を思ったかゲルダお母さんは枝を咥えていてそれで遊ぼうとしたようですが、すぐに諦めてしまったようです。ロスチクはその枝に向かいますが母親は枝には関心がなくなって別のものを求めているようです。ロスチクはそれにうまく追随していくわけです。



次も7月22日の映像です。ロスチクはあまり近くに母親を追うと面倒くさがられると感じてか、邪魔にならないように母親を追っていくわけです。



こういった映像から感じ取れるのは、ロスチクというのはゲルダお母さんの機嫌を損ねないようにうまく立ち回りながら母親の愛情を得ていくということがうまい息子であるということです。やや気分屋的なところがあるゲルダお母さんを醒めた眼で見ていたシルカの存在を脅威にすら感じる瞬間もあったゲルダお母さんですが、ロスチクは場面によっては離れたりはするものの適当に母親に接近したりするなど、ゲルダお母さんにとっては娘だったシルカを相手にするよりもロスチクと一緒のほうが楽に感じているという態度が透けて見えてくるのです。シルカというのは非常に優秀な娘であったが故に母親を外から眺める冷静さがあったわけですが、ロスチクは母親の空気を読むのがうまい息子のようです。シルカやロスチクといった子供たちは母親のゲルダよりも一枚上手のようです。

(過去関連投稿)
ロシア・ノヴォシビルスク動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ やはり出産していたゲルダ!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの登場を待つ人々 ~ その時を親子の意思に委ねる度量
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃん、一瞬姿を見せる ~ 'authenticity' への視座
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんがゲルダお母さんと本日、初めて5分間だけ戸外に登場!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園、ゲルダ親子の「国際ホッキョクグマの日」
ロシア・ノヴォシビルスク動物園で誕生の赤ちゃんの「国際ホッキョクグマの日」の映像を追加
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの声を札幌のリラ、大阪のモモと比較する
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの性別予想に盛り上がる地元 ~ 雄(オス)の予想に高い支持
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子の近況 ~ 親子関係を破壊しかねない来園者のエサやり行為
ロシア・ノヴォシビルスク動物園、日曜日に来園者が入場に長蛇の列 ~ 大人気のゲルダ親子
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃん、生後100日を超える
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんは雌(メス)と判明 ~ 赤ちゃんはシルカの妹だった!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの命名への同園の迷い ~ シルカ同様の過熱を恐れる同園
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子の近況 ~ ララ/アイラの多層的な親子関係と比較する
ロシア・ノヴォシビルスク動物園が赤ちゃん命名について沈黙状態 ~ 「シルカ事件」から学ばぬ同園
ロシア・ノヴォシビルスク動物園が赤ちゃんの性別を訂正発表! ~ 赤ちゃんは雄(オス)だった!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダお母さんと赤ちゃんの近況
ロシア・ノヴォシビルスク動物園、ゲルダお母さんとオイゼビウス(Ойзебиус - 仮称)のプール開き
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃん、オイゼビウス(Ойзебиус - 仮称)が泳ぎ始める
ロシア・ノヴォシビルスク動物園生まれの二頭 ~ シルカ vs オイゼビウス (Ойзебиус - 仮称)
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダをシモーナと比較する ~ 母親と息子の実力は反比例?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のホッキョクグマ飼育展示場のライブカメラ映像配信、遂に復活!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のオイゼビウス(Ойзебиус - 仮称)が間もなく生後半年が経過へ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のオイゼビウス(仮称)の正式命名が後日行われる予定となる
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の雄の赤ちゃんの名前が「ロスチク (Ростик)」に決まる
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの成長 ~ シルカ/ゲルダとは非常に異なる親子関係
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子のライブ映像配信が二年前と同様に大人気となる
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチク、その日常の姿 ~ 経験を積んだゲルダお母さん
by polarbearmaniac | 2016-07-25 01:30 | Polarbearology

オランダ・ヌエネン、「動物帝国」のフリーマス親子のエンリッチメントに遂にドローンが登場

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無人航空機(ドローン)を追うフリーマス親子
Photo(C)Dierenrijk

飼育下のホッキョクグマたちを退屈させないために、いろいろなおもちゃが与えられたりなどするわけですが、オランダ・ヌエネンの「動物帝国(Dierenrijk)」では遂に無人航空機(ドローン)が登場したようです。
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Photo(C)Dierenrijk

昨年11月21日の夜から22日の早朝にかけてフリーマスお母さんから誕生した雌(メス)の双子であるニッキー(Nicky)とシモーネ(Simone)は芝や土のある素晴らしい環境で暮らしているわけですが、このたび同園ではそうしたホッキョクグマたちや象たちの暮らしを上空から撮影しようと無人航空機(ドローン)を使用し始めたところ、ホッキョクグマたちはこのドローンに非常に興味を持つようになり、同園ではこれがエンリッチメントとしての効果をもたらせたとSNSのページで報告しています。このドローンを部分的に用いた映像を下で見ていただきましょう。非常に短いですがこれは本当に素晴らしい映像です。



エンリッチメントのためにドローンを使用したのではなく、ドローンを他目的に使用したらホッキョクグマたちがそれを追うのを楽しんだわけで本投稿のタイトルは正確さに欠けるわけですが、しかしこれは今までどの園も行ったことのないものでしょう。たまたまこういうこともあるという話です。

(過去関連投稿)
オランダ・ヌエネンの「動物帝国」でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生! ~ フリーマスお母さん健闘
オランダ・ヌエネンの「動物帝国」で誕生の双子の赤ちゃんの産室内での近況
オランダ・ヌエネンの「動物帝国」の双子の赤ちゃんが生後82日が経過し健康チェックが行われる
オランダ・ヌエネンの「動物帝国」の双子の赤ちゃんの性別はどちらも「雄(オス)」と発表
オランダ・ヌエネンの「動物帝国」の双子の雄の赤ちゃんが遂に戸外へ
オランダ・ヌエネン、「動物帝国」の雄の双子の赤ちゃんが水に親しみ始める
オランダ・ヌエネン、「動物帝国」の雄の双子の赤ちゃんの名前がニク(Nick)とシモン(Simon)に決まる
オランダ・ヌエネン、「動物帝国」の双子の赤ちゃんの雄(オス)の性別判定に重大な疑惑生じる
オランダ・ヌエネン、「動物帝国」の双子に生じていた性別疑惑に結論 ~ DNA判定で共に雌(メス)
by polarbearmaniac | 2016-07-24 01:30 | Polarbearology

中国・吉林省、長春動植物公園のサムソン(吉极)の近況 ~ 室内飼育への批判が生じる

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サムソン(吉极)(2015年) Photo(C)sight/chang

ロシア・サンクトペテルブルクのレニングラード動物園で2009年11月10日にあの女帝ウスラーダから雄の双子の一頭として誕生したのがサムソンです。つまりこのサムソンはノヴォシビルスク動物園のクラーシン(カイ)と日本平動物園のピョートル(ロッシー)という双子兄弟の次に誕生したウスラーダの双子の息子たちのうちの一頭ということになります。もう一頭は北京動物園のサイモンです。冒頭の写真はサムソンの最近の写真ですがノヴォシビルスク動物園のクラーシン(カイ)に非常によく顔が似ていることがわかります。
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サムソン(2015年) Photo(C)今日头条

さて、このサムソンは2010年の10月に生まれ故郷のサンクトペテルブルクを旅立ち韓国(南朝鮮)のソウル動物園に移動したわけです。私は彼がまだサンクトペテルブルクで母親であるウスラーダと暮らしていた時代の2010年4月に現地で会っており、また彼がソウル動物園に移動した後の2011年3月にソウルで再会しています。それらについては過去関連投稿をご参照下さい。このサムソンですが、2011年の8月に今度は何と中国・吉林省の長春動植物公園に移動してしまったわけでした。いったい韓国(南朝鮮)と中国との間でどんな事情があったのかは知る由もありません。しかし所有権の移転があったことは明らかで、そうなるとソウル動物園が彼を中国に売却したのか、あるいは他の動物との交換だったのかのどちらかでしょう。このサムソンの長春動植物公園での2011年、2012年の映像をご紹介しておきます。





長春動植物公園でのサムソンの暮らしについて最近地元では、いくら気温の調整がなされているとはいえ室内で飼育されているホッキョクグマは不幸であるという声も出てきているようです。これは前日の投稿である「中国・広東省、広州市の世界からの批判を浴びる「広州市正佳極地海洋世界のホッキョクグマ」の謎」でもご紹介した通り、ホッキョクグマが陽光や外気を浴びない室内でだけ飼育され、しかもその飼育展示場が狭い場合に特に批判を受けるといた最近の傾向がそのままこの長春動植物公園のホッキョクグマ飼育展示場についても言われ始めているということなのです。
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サムソン(2015年) Photo(C)今日头条

このサムソン(吉极)というのは非常に愉快なホッキョクグマだったわけですが、現在もそういった性格と行動を見せているかについてはよくわかりません。個人的な印象ではこのサムソン(そして彼の双子の兄弟である北京動物園のサイモン)は、彼のすぐ上の兄弟であるクラーシン(カイ)とピョートル(ロッシー)以上に反応が鋭敏であり、全体的にも優れた個体なのではないかと思っています。

(資料)
新华网 (Sep.25 2011 - 长春动植物园新引进北极熊将于十一期间首次亮相)
东亚经贸新闻 (Aug.13 2011 - 长春动物园引入韩国北极熊 住空调房吃鸡牛鱼肉)
今日头条 (Nov.5 2015 - 实拍长春入冬后 动物园里萌萌哒的宝宝们!)
今日头条 (Jun.5 2016 - 长春动植物园里的北极熊太遭罪)
知乎 (Jul.6 2016 - 如何看待长春动植物公园虐待北极熊的传闻?)

(過去関連投稿)
ロッシーがお兄さんになった! ― ロシア・レニングラード動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
サンクトペテルブルクの動物園で昨年11月に生まれた赤ちゃんの近況
サンクトペテルブルクの動物園で昨年末に誕生した赤ちゃんが産室を出た!
サンクトペテルブルクの動物園の双子の赤ちゃん(ロッシーの弟たち!)の一般公開の動画映像
ロシア・サンクトペテルグルクの動物園で昨年暮れに生まれたツインズの最新の映像 (3月20日)
モスクワとサンクトペテルブルクの赤ちゃんの最新画像
ロシア・サンクトペテルブルクのツインズ別離の時来る ~ 1頭がモスクワ動物園へ!
ロッシーの弟が韓国・ソウル動物園へ! ~ レニングラード動物園に残るツインズの1頭の移動決定
サンクトペテルブルクからソウルに旅立つサムソンの映像
韓国・ソウル動物園のサムソン、元気な姿を来園者に披露
ソウル動物園のサムソンが中国の長春動植物公園へ移動!
中国・長春動植物公園のサムソン、遂に一般公開へ
中国・吉林省、長春動植物公園のサムソンの近況
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園の女帝ウスラーダの15頭の子供たちの姿
(*2010年4月 レニングラード動物園訪問記)
はじめまして、ペテルブルグのツインズちゃん!
サンクトペテルブルクのツインズ五態
ウスラーダお母さんの授乳シーン
(*2011年3月 ソウル動物園訪問記)
会いたかったぜサムソン君!
韓国・ソウル動物園のサムソンの素顔 ~ 人なつこさの限りない魅力
(*2012年11月 北京動物園訪問記)
秋晴れの北京動物園へ ~ 遂に待望のホッキョクグマたちとの再会!
北京動物園のサイモンの素顔 ~ 冷静さと遊び心の素晴らしいバランス感覚
北京動物園のムーシャ(美美)の素顔 ~ 青春を謳歌する活発な小娘
北京動物園の将来繁殖が期待される若年ペアの様子、そして新ホッキョクグマ展示場の概要
by polarbearmaniac | 2016-07-23 23:55 | Polarbearology

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