街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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(*投稿準備中) ズーパラダイス八木山のホッキョクグマたち ~ 個性的な三頭の魅力

(*投稿準備中です)

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ポーラ(左)とラダゴル(カイ)(右)
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ラダゴル(カイ)(左)、ナナ(中央)、ポーラ(右)


ラダゴル(カイ)とポーラのの一日 (Ladogor/Kai and Paula the Polar Bears live together, giving an inch to each other, at Zoo Paradise Yagiyama, Sendai, Japan, on May.25 2017.)


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(May.25 2017 @仙台・ズーパラダイス八木山)
by polarbearmaniac | 2017-05-25 23:35 | しろくま紀行

(*投稿準備中)ポーラに迫りつつある正念場

(*投稿準備中です)

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ポーラ (Белая медведица Паула / Eisbärin Paula)


ポーラのプロフィール (Paula the Polar Bear has got it all right, at Zoo Paradise Yagiyama, Sendai, Japan, on May.25 2017.)



ポーラのおもちゃ遊び (Paula the Polar Bear enjoys herself with a plastic toy at Zoo Paradise Yagiyama, Sendai, Japan, on May.25 2017.)


(May.25 2017 @仙台・ズーパラダイス八木山)
by polarbearmaniac | 2017-05-25 23:20 | しろくま紀行

(*投稿準備中)ラダゴル(カイ)に備わってきた威厳

(*投稿準備中です)

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ラダゴル(カイ) (Белый медведь Ладогор / Eisbär Ladogor)


ラダゴル(カイ)とポーラ (Ladogor/Kai and Paula the Polar Bears have a time of their own, at Zoo Paradise Yagiyama, Sendai, Japan, on May.25 2017.)

(May.25 2017 @仙台・ズーパラダイス八木山)
by polarbearmaniac | 2017-05-25 23:15 | しろくま紀行

国内最高齢の32歳になったナナ、その優雅さと上品さの底に流れている精神の若々しさと瑞々しさ

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ナナさん、お元気そうで何よりでございます!
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このナナは1984年12月15日にカナダのアシニボイン公園動物園で今は亡き伝説の名ホッキョクグマであったデビーから誕生している。デビーは飼育下におけるホッキョクグマの長寿として史上第三位(あるいは第二位)の記録を持っていたホッキョクグマである。非常に短いがそのデビーと幼年期のナナの姿を捉えた映像が現存している。それについては以前に「カナダ・アシニボイン公園動物園での偉大なる故デビー、そして彼女の末娘ナナ(仙台)の貴重な映像」という投稿でご紹介している。
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このナナも長寿が期待できるのだ。


32歳のナナは健在 (Nana the Polar Bear is getting along well, at Zoo Paradise Yagiyama, Sendai, Japan, on May.25 2017.)

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このナナは本当に上品な顔立ちである。彼女と比較すればロシア出身のホッキョクグマは総じて泥臭く感じるほどである。
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この年齢にしてその顔立ちの優しさと優雅さは他に類を見出すことができない。
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まず、彼女は心が若々しいのである。いや、そして同時に瑞々しいのである。
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そういった精神における若々しさが非常に美しい形で彼女の行動に反映している。


水を楽しむナナ (Nana the Polar Bear enjoys herself in the water, at Zoo Paradise Yagiyama, Sendai, Japan, on May.25 2017.)

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私はこのナナに匹敵するような優雅さと上品さを備えたホッキョクグマに欧州でもロシアでも出会ったことがない。ホッキョクグマという種は世界で同一であり、生まれた国によって異なるということはあり得ない。しかしこのナナを見ていて彼女がロシア出身のホッキョクグマたちとは全く異質な雰囲気を持っていることを否定する人は誰もいないだろう。このナナのような雰囲気を漂わせるホッキョクグマはロシアにはいないのである。
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一度も会ったことが無くても、このナナの母親であったデビーがいかに素晴らしいホッキョクグマであったかが分かろうというものである。
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このナナには「毒」とか「魔力」とかいった、人々を否が応でも引き込んでいく中毒的な要素はなく、ただひたすらに香気とでもいったようなものを漂わせている。ナナは熱狂的なファンというものを作らない。ある特定の個体に対して熱狂的なファンになるということは、人間がその個体に対して精神の領域の一部を売り渡している場合が多いのだが、このナナに対して私たちは何も売り渡さずに魅了されてしまうのが不思議なのである。
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このナナは比類のない素晴らしいホッキョクグマである。それはまさに奇跡としての存在に他ならない。
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Nikon D5500
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR
Panasonic HC-W870M
(May.25 2017 @仙台・ズーパラダイス八木山)

(過去関連投稿)
(*故デビーとナナ関連)
高齢のデビーを愛し、慈しみ、送った人々 (上)
高齢のデビーを愛し、慈しみ、送った人々 (下)
偉大であったホッキョクグマのデビー、その娘であるナナと再会した猛暑の仙台
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園内に建設中のホッキョクグマ保護・厚生センターについて
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園内にホッキョクグマの保護・厚生施設が完成
カナダ・マニトバ州、アシニボイン公園動物園の新展示場施設の建設  ~  偉大なるデビーの遺したもの
ナナからポーラへ ~ 世代を超えて引き渡された繁殖を担う主役のバトン
寒風と冬晴れの空の下での仙台・八木山動物公園のホッキョクグマたちの姿
29歳となったナナ、その決して色褪せぬ優雅さ ~ 伝説化された偉大なホッキョクグマの娘ここにあり!
カナダ・アシニボイン公園動物園での偉大なる故デビー、そして彼女の末娘ナナ(仙台)の貴重な映像
by polarbearmaniac | 2017-05-25 23:00 | しろくま紀行

ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園のクインターナが生後半年が経過 ~ 親子で岩場のある区画に登場

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クインターナ Photo(C)TIERPARK HELLABRUNN

昨年2016年の11月21日にミュンヘンのヘラブルン動物園でジョヴァンナお母さんから誕生した雌(メス)のクインターナは生後半年が経過しました。彼女は非常に活発に遊んでいるようですが、まだこの動物園の2800㎡ある飼育展示場の全てを活動範囲にしているわけではなかったそうです。岩場と水深の深いプールのある部分には出してもらえなかったそうですが同園の担当者はクインターナが十分に成長してきたことから、この「未知」の場所でも彼女が遊べるようにとジョヴァンナお母さんとクインターナにその場所を開放したそうです。
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クインターナ Photo(C)TIERPARK HELLABRUNN

クインターナにとっては、わくわくするような新しい空間が開けてきた様子で、新しい冒険への道を踏み出したようです。このように飼育展示場がいくつかのブロックで構成されている場合には成長の程度を見ながら難易度の高い場所を開放してやるというのは実に素晴らしいことだと思います。

さて、では最近のクインターナの姿を映像で見てみましょう。まだこの岩場のある区画に入っていない時点での映像です。







このジョヴァンナお母さんというのは上野動物園のデアのすぐ上の姉なのですがデアとはかなり性格の異なるホッキョクグマではないかという気もします。デアというのは理知的な性格がありますが姉のジョヴァンナはもっと感情の起伏が大きいのではないでしょうか。その点でデアに性格的に近いのは一番上の姉であるコペンハーゲン動物園のノエルのような気がします。私はノエルに会ったことがありますがジョヴァンナには会ったことがありません。ジョヴァンナが以前にベルリン動物園に預けられてクヌートの遊び友達になっていたわけですが、私が2009年9月の上旬にベルリン動物園でクヌートに会った時にはジョヴァンナのベルリン到着の寸前だったはずでクヌートはまだ一頭で暮らしていました。ベルリン動物園でのジョヴァンナはかなり活動的だったようですが今ではもう母親になっていますので、かつての「お転婆ぶり」は影が薄くなっているようです。

(資料)
TIERPARK HELLABRUNN (May.24 2017 - Eisbären-Mädchen Quintana: Auf zu neuen Abenteuern!)
Abendzeitung (May.24 2017 - Eisbärbaby Quintana wagt sich in die Tiefe)
muenchen.de (May.24 2017 - Eisbärchen auf großer Abenteuer-Tour)

(過去関連投稿)
ドイツ・ミュンヘンのヘラブルン動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ ジョヴァンナが二度目の出産
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園で誕生の赤ちゃん、生後三週間が過ぎる ~ 際立つ母親の安定感
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園で誕生の赤ちゃん、生後一ヶ月を経過して両目が開く
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園で誕生の赤ちゃんが生後40日を超える ~ 「表象」と「核心」
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園の赤ちゃん、生後50日が経過 ~ 一般公開開始は2月24日と早々と告知
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園で誕生の赤ちゃん、生後二ヶ月が経過
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園で誕生の赤ちゃんの性別は雌(メス)と判明
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園の赤ちゃんの活発さ ~ 管理を緩めぬジョヴァンナお母さん
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園の雌(メス)の赤ちゃん、あと二週間ほどで屋外登場へ
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園の雌(メス)の赤ちゃん、産室からの一歩を踏み出す
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園で誕生の赤ちゃん、週末より母親と共に屋外登場の予定
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園の赤ちゃんの本日2月24日の屋外初登場がドイツよりライブ中継の予定
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園の赤ちゃんがジョヴァンナお母さんと共にお披露目となる
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園のジョヴァンナ親子の飼育展示場からライブ映像配信が開始
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園の赤ちゃんの名前が "クインターナ (Quintana)" に決まる
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園のジョヴァンナお母さんと娘のクインターナの近況
by polarbearmaniac | 2017-05-25 01:00 | Polarbearology

アメリカ・トレド動物園のホープ、及びオレゴン動物園のノーラが共にソルトレイクシティのホーグル動物園へ

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ホープ Photo(C)The Blade

大変重要なニュースがオハイオ州のトレドの地元紙によって報じられました。同紙の記事の情報元はトレド動物園のランディ・メイヤーソンさんですので間違いないでしょう。この方はAZAで繁殖計画を推進する委員会を主導しで飼育下のホッキョクグマの繁殖計画 (SSP) を作成している方です。日本流に言えば「種別調整者」ということになるでしょう。

メイヤーソンさんの語るところによりますと、トレド動物園で2015年12月3日に誕生した雌(メス)のホープ (Hope)が秋にユタ州ソルトレイクシティのホーグル動物園に移動することになったとのことです。そしてホープは同じ2015年11月6日にコロンバス動物園で誕生し人工哺育で育てられた後に現在はオレゴン動物園で単独で飼育されている雌(メス)のノーラ (Nora)の遊び友達(ここでは "companion" と表現されています)になるとのことです。つまりノーラはオレゴン動物園からホーグル動物園に移動することになるわけです。つい二日ほど前に「アメリカ・オレゴン動物園のノーラの近況 ~ 「遊び友達」の導入に苦戦するオレゴン動物園とAZA」という投稿を行ったのですが、メイヤーソンさんはまさに決断を下したということですね。その投稿でも述べましたが人工哺育されたノーラには「適応化(socialization)」のために他の若年個体との同居がどうしても必要なのです。メイヤーソンさんは自分が属しているトレド動物園に一歳半のホープにそれを託したというわけです。ここでメイヤーソンさん自身が今回の件について語っているのを聞いてみましょう。映像に登場しているのはホープです。音声はonにして下さい。



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ノーラ Photo(C)Oregon Zoo

ノーラはオレゴン動物園で人気を博していますが、そのノーラの遊び友達はホープとするものの、二頭の飼育場所はつい先日リッツォが亡くなってホッキョクグマが不在となったソルトレイクシティのホーグル動物園にしたというわけです。これでオレゴン動物園はホッキョクグマが不在にあってしまいますが、もともと同園では飼育展示場の改装工事を行う予定だったわけですから文句は言えないでしょう。メイヤーソンさんはホープもノーラもアメリカのホッキョクグマ界にとっては非常に重要な雌(メス)の幼年個体であると考えているそうで、人工哺育されたノーラはホープという遊び友達の存在によってホッキョクグマの種としての特性を身に付けさせていくことが極めで重要であると考え、またホープについては同性の同年齢のノーラの存在によってさらなる成長を遂げてもらうことが彼女の数年先の繁殖可能年齢到達後に繁殖に成功するための重要な要素であると考えていることも間違いないわけです。

やはり雌(メス)の幼年・若年個体は同じ年齢層の同性の個体と同居させたほうがよい....そういうことになるのでしょう。先日、「ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの欧州への移動は2018年以降の可能性が高い?」という投稿でご紹介したオランダ・レネンのアウヴェハンス動物園のヨゼ・コック(José Kok)さんが話していたことを思いだしてみて下さい。「飼育下のホッキョクグマに関する過去からの調査によって、血統的に繋がりのある雌(メス)の二頭を同居させることは非常にうまくいく....」という発言です。ホープはノーラの叔母にあたるわけですがホッキョクグマの世界ではこういったことは意識されません。しかしノーラは人工哺育されているために身体を接する個体としてはホープが初めてとなるわけですから飼育下で血統的に強い繋がりのある個体(たとえば親子、あるいは双子兄妹、双子姉妹)との関係と実質上は似たような関係をホープと築くことになるわけです。「双子姉妹の神話」が何故成立するのかを解くカギがここにあります。つまり「雌(メス)の幼年・若年個体は同性の個体と同居させておいたほうが将来に繁殖にプラスに働くという飼育における経験的な結論が出てくるということではないでしょうか?

だから....だから.....マルルとポロロを引き離すなと私が主張したことはやはり正しかったと思うわけです。欧米では明示的ではない形での「実践」がなされているように思います。そういったものは本などには容易に記述されない内容であり、そして経験にも立脚した認識であると思います。こうして考えれば、大阪のシルカはやはりマルルと同居すべきなのです。

(*追記)- オレゴン動物園からもノーラの移動について告知がありました。同園としては本心ではホープをノーラのいるオレゴン動物園に迎え入れたかったものの、飼育展示場の新装改築工事に重なってしまってそれが果たせないと語っています。またノーラに遊び友達が必要な理由について、
"For a young bear that was hand-raised, the companionship of another bear will be so important for developing social skills." と語っています。この "developing social skills" こそ、「適応化(socialization)」であるということです。ここでノーラのコロンバス動物園、そして移動後のオレゴン動物園での姿を振り返っておきましょう。






(資料)
The Blade (May.24 2017 - Toledo Zoo’s playful bear being transferred)
13abc Action News (May.24 2017 - Toledo Zoo's polar bear, Hope, moving to Utah)
(*追加資料)
Oregon Zoo (May.24 2017 - Polar bear Nora to get new home, new companion this fall)
kgw.com (May.24 2017 - Nora the polar bear leaving the Oregon Zoo)
OregonLive.com (May.24 2017 - Nora, the Oregon Zoo's polar bear cub, will leave Portland this fall)

(過去関連投稿)
(*ホープ関連)
アメリカ・オハイオ州 トレド動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ クリスタルの安定感
アメリカ・オハイオ州 トレド動物園の赤ちゃんの近況 ~ 一般公開に向け準備中
アメリカ・トレド動物園の赤ちゃんの性別は雌(メス)と判明 ~ 報道陣にのみ公開される
アメリカ、トレド動物園の雌の赤ちゃんの名前が「ホープ(Hope)」に決まる ~ 本日より一般公開開始
アメリカ、トレド動物園の赤ちゃん、ホープの一般公開開始のネット・ライブ中継が行われる
アメリカ・トレド動物園のクリスタル親子の近況 ~ 北米で最高との評価を持つクリスタルの育児を探る
アメリカ・オハイオ州のトレド動物園、活動的なホープと手慣れした育児のクリスタルお母さん
アメリカ・トレド動物園で満一歳となったホープ ~ 飼育下の繁殖を野生個体保護の延長線上に位置付ける同園
(*オレゴン動物園のノーラ関連)
アメリカ・コロンバス動物園のノーラがポートランドのオレゴン動物園へ ~ その背景を読み解く
アメリカ・コロンバス動物園のノーラの同園での展示最終日に多くの来園者がノーラとの別れを惜しむ
アメリカ・コロンバス動物園のノーラが西海岸・ポートランドのオレゴン動物園に無事到着
アメリカ・オレゴン州ポートランドのオレゴン動物園に到着して検疫期間中のノーラの近況
アメリカ・ポートランド、オレゴン動物園のノーラとコロンバス動物園の担当飼育員さんの別れ
アメリカ・オレゴン動物園のノーラの来園を歓迎しない地元ポートランド市民の意見 ~ So what ?
アメリカ・オレゴン動物園で検疫期間中のノーラの最近の様子
アメリカ・ポートランド、オレゴン動物園で検疫期間中のノーラの近況
アメリカ・オレゴン動物園でノーラとタサルの同居開始準備のため二頭の初対面が行われる
アメリカ・オレゴン動物園のノーラが満一歳となる
アメリカ・ポートランド、オレゴン動物園のノーラの近況 ~ 今週末にも一般公開開始の予定
アメリカ・ポートランド、オレゴン動物園のノーラが初雪を楽しむ ~ 相手役を求めAZAと交渉の同園
アメリカ・ポートランド、オレゴン動物園のノーラ ~ 野放図な遊び好きの性格に潜む危うさ
アメリカ・オレゴン州ポートランド、オレゴン動物園が降雪の影響で閉園となった日のノーラの姿
アメリカ・オレゴン動物園のノーラの自由奔放さ ~ 彼女の遊び友達を探す同園とAZA
アメリカ・オレゴン動物園のノーラの近況 ~ 「適応化(socialization)」とエンリッチメントとの関係
アメリカ・オレゴン動物園のノーラの近況 ~ 「遊び友達」の導入に苦戦するオレゴン動物園とAZA
by polarbearmaniac | 2017-05-24 18:30 | Polarbearology

フランス・ミュルーズ動物園のセシとナニュクの親子の近況 ~ 優れた映像に恵まれない親子

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セシお母さんとナニュク 
Photo(C)Parc zoologique et botanique de Mulhouse

フランス東部アルザス地方のミュルーズの動物園で昨年2016年の11月7日に当時は5歳であったセシ (Sesi) から誕生した雌(メス)の赤ちゃんのナニュク (Nanuq)については久しぶりの投稿になります。この親子で注目すべきなのは母親であるセシの母親としての大物ぶりです。しかしそういった観点から撮影された映像というものは非常に少ないのが残念です。そのような映像が少ないというのは、そういった観点でホッキョクグマの親子を見つめているファンが欧州、特にフランスにはほとんどいないからだと考えます。

さて、そう言ってみてもしょうがありません。ここでミュルーズ動物園が時行うライブ中継の映像を二つほど見ておくことにしましょう。最初のものですが、これを見ると母親のセシはすでにナニュクに対しては自由放任の状態にしてあるという印象を受けます。ネット環境が良くありませんと映像が止まってしまう場合があると思いますのでご注意下さい。



次はプールに入っている親子の姿なのですが撮影の条件が良くないのが惜しいと思います。いちいち娘の行動に付きあうということはしないセシお母さんです。



この親子の姿はもっとちゃんとした映像で記録してやる必要があると思います。そしてこの親子がどんな親子なのかをしっかりと認識したうえで撮影された映像がありませんといけないように思います。ホッキョクグマ親子の写真や映像はかなり特定のものに集中して偏っているように感じます。このミュルーズ動物園の親子は残念ながらそういったものから外れてしまっているように思います。ちょっと残念な気がします。

(過去関連投稿)
フランス・ミュルーズ動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ 5歳のセシが二度目にして出産に成功
フランス・ミュルーズ動物園で誕生した赤ちゃんの近況 ~ 大きな喜びに包まれる同園
フランス・ミュルーズ動物園で誕生した赤ちゃんが生後三か月となる ~ ネットによる命名投票受付中
フランス・ミュルーズ動物園の赤ちゃんがセシお母さんと共に屋外に登場
フランス・ミュルーズ動物園の赤ちゃんが遂に一般公開 ~ 性別は雌(メス)で「ナニュク (Nanuq)」と命名
フランス・ミュルーズ動物園で大人気となったセシとナニュクの親子を担当するスタッフの充実した毎日
フランス・ミュルーズ動物園のセシとナニュクの母娘の近況 ~ 「超大物」の母親であるセシ
by polarbearmaniac | 2017-05-24 01:00 | Polarbearology

オランダ・エメン動物園に移動したドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園のリリー

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ブレーマーハーフェン臨海動物園を出発するリリー
Photo(C)Zoo am Meer Bremerhaven

一昨年の2015年の12月11日にドイツのブレーマーハーフェン臨海動物園でヴァレスカお母さんから誕生した雌(メス)のリリー(Lili)が生後一年半ほどでオランダのエメン動物園 (WILDLANDS Adventure Zoo Emmen)に移動することを余儀なくされた件については過去関連投稿を御参照下さい。リリーが5月9日にブレーマーハーフェン動物園を出発したわけですが移動用ケージに自発的に入るようにあらかじめ訓練が行われていましたので、その日も食べ物につられてケージに入ったそうて無麻酔での移動作業がききたそうです。ブレーマーハーフェンからエメンまでの移動には二名の飼育員さんも同行したそうです。ブレーマーハーフェン動物園のスタッフにとってリリーとの別れはつらい気持であったようで、リリーが誕生して以来現在まで、この動物園にとっては特別の出来事の終結を意味するものだという意味付けさえなされているようです。

さて、エメン動物園に同日に到着したリリーですが、まず最初にノルチェ(2012年11月、オランダ「動物帝国」生まれ)との同居、そして次にはラーレ(2013年12月 ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園生まれ)、そして次にはネラ(2013年12月ヘラブルン動物園生まれ)とそれぞれ雌(メス)同士の二頭での同居が行われたそうです。これが行われる前には準備としてもちろん室内での顔合わせがり、互いに攻撃的な態度をとらないことが確認されてからの同居の実施がなされたとのことです。リリーは他の三頭にちっとも怖気づくことがなかったため同居は全て大成功だったそうです。以前からまるで仲間ででもあったようにスムーズに同居がなされたようです。これらのうちリリーのラーレとの同居のシーンを御紹介しておきます。ラーレはやはりブレーマーハーフェン臨海動物園生まれでリリーの姉にあたります。ですから姉妹の同居ということになります。



そしてとうとう、ノルチェ、ラーレ、ネラ、リリーの四頭同居が行われて、これまた順調に成功したようです。その様子が映像として公開されましたので見てみましょう。撮影の画面の都合で三頭しか見ることができないようです。



ブレーマーハーフェン臨海動物園はリリーが二歳に近づかないうちに早々とエメン動物園に移動させて他の三頭と同居させたことは正しい判断だったと胸をなでおろしています。このエメン動物園は欧州における雌(メス)のホッキョクグマの若年個体の集中プール基地としての役割を担っているわけですし、仮に円山動物園からララファミリーの雌の個体が欧州に移動するという場合があたとすればこのエメン動物園が移動先となる可能性は非常に大きいでしょう。エメン動物園はこうして雌(メス)の個体ばかりを集め、そして繁殖可能な年齢となって次の移動先となる動物園に配置するまで飼育するという役割を担っているわけですが、エンリッチメントのためにおもちゃを与えるというよりも、こうして他の個体と同居させることによって成長を促そうという飼育姿勢に徹しているようです。「ホッキョクグマは単独生活を指向する種である。」といったZoological correctness に沿った飼育をしようといった考え方はないようです。日本に当てはめれば、マルル、ポロロ、シルカ、モモの四頭同居がなされていることとほぼ同じということではないでしょうか。現在の私がおぼろげに気が付いてきたことですが、このエメン動物園をはじめとした欧州のいくつかの動物園では、現在世界中のホッキョクグマを飼育している動物園が行っているホッキョクグマへのエンリッチメントというものを多頭同居によって置き換え、そして現在行われているエンリッチメントというものを乗り越えていこうという試みなのではないかと思っています。言い換えれば、天王寺動物園の前任の担当飼育員さんが大変に苦心して行ってきたやり方というものを乗り越える方法があるとすれば、やはり同性の若年個体の複数同居だようと考えるわけです。そういったことで先日の大阪訪問記でシルカとマルルの同居の有望性を述べたということでもあるわけです。欧州のホッキョクグマ飼育の考え方の進化と深化に私たちは注目しておかねばなりません。
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Photo(C)WILDLANDS Adventure Zoo Emmen

これからも興味を持ってこのエメン動物園のやり方を問題意識を持って追っていきたいと思っています。欧州の先進的なホッキョクグマ飼育を研究するにはこのエメン動物園は注目すべきいくつかの動物園の一つであることは間違いないと思います。

(資料)
Zoo am Meer Bremerhaven (May.9 2017 - Abschied von Eisbärin Lili! Heute ist sie auf auf dem Weg in den Zoo Emmen) (May.18 2017 - Eisbärin Lili ist im Zoo Emmen glücklich)
Nordwest-Zeitung (May.9 2017 - Jetzt beginnen die wilden WG-Zeiten)
Nord24 (May.9 2017 - Heute heißt es Abschied nehmen: Tschüß Lili!)
Die Welt (May.9 2017 - Eisbärin Lili nimmt Abschied aus Bremerhaven)
RTV Drenthe (May.3 2017 - Wildlands in Emmen krijgt een nieuwe bewoner)

(過去関連投稿)
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園で誕生の赤ちゃんと母親の大晦日はピアノ音楽で暮れる
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園で誕生の赤ちゃんが間もなく生後一ヶ月へ
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園で誕生の赤ちゃんが生後40日を無事経過
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の赤ちゃんが生後50日を無事経過
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の赤ちゃんの性別への憶測 ~ 性別差と性格差による行動差
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の赤ちゃんの性別は雌(メス)と判明
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の雌の赤ちゃんが初めて母親と共に産室外に登場
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の雌の赤ちゃんの名前が「リリー (Lili)」に決まる
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の雌の赤ちゃんのリリーが初めて戸外に登場、一般公開へ
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の赤ちゃんのリリーの水遊び ~ その「自由意思」への評価の意義
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の雌の赤ちゃん、リリー(Lili) の公式命名式が行われる
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園のリリーの近況 ~ ヴァレスカお母さんの育児能力の進歩
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園のヴァレスカとリリーの母娘にハロウィーンのプレゼント
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園のリリーが満一歳となる ~ 荒々しさすら感じさせる活動的な母娘
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園でヴァレスカお母さんとリリーに氷のプレゼント
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の一歳のリリーが母親から攻撃的態度を受け別居となる
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の一歳半のリリーがオランダ・エメン動物園へ ~ 母娘の再会はなし
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園の一歳半のリリーのお別れ会が開催される ~ 残る後味の悪さ
(*エメン動物園関連)
欧州がホッキョクグマの幼年・若年個体をプールする 「集中基地」 を計画 ~ 雌はオランダ、雄はイギリスへ
ドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園のララ(ラーレ)のお別れ会が開催 ~ エメン動物園へ
オランダ・エメン動物園でのノルチェとラーレの近況 ~ オクタヴィアン(仮称)の移動先となるか?
移動先でのホッキョクグマの近況をどう知り、そしてどう伝えるか? ~ エメン、大阪、徳島...
オランダ・エメン動物園でのノルチェとラーレの近況 ~ 後退を余儀なくされた円山動物園の個体交換構想
オランダ・エメン動物園、来春に新施設が完成 ~ 幼年・若年個体集中基地システムの機能拡充へ
オランダ・エメン動物園のホッキョクグマへの偶然が与えた奇妙な「エンリッチメント」
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園のネラとノビの双子が同園を出発、オランダとイギリスに到着
オランダ・エメン動物園の新園(WILDLANDS Adventure Zoo Emmen)開園後のノルチェ、ラーレ、ネラ
by polarbearmaniac | 2017-05-23 01:00 | Polarbearology

アメリカ・オレゴン動物園のノーラの近況 ~ 「遊び友達」の導入に苦戦するオレゴン動物園とAZA

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ノーラ Photo(C)Oregon Zoo

アメリカ・オハイオ州のコロンバス動物園で2015年11月6日にオーロラから誕生して人工哺育で育てられた雌のノーラ (Nora) は現在オレゴン州ポートランドのオレゴン動物園で一頭で暮らしています。オレゴン動物園とAZAは当初このノーラをタサルと同居させようと予定していたものの、タサルとの同居が実現して間もなくタサルは老齢のために亡くなってしまったという事情で、なんとかこのノーラの遊び友達となりうる個体を導入しようとしているものの、そう簡単にはいかないようです。こういった過去のことは今まで過去関連投稿で述べてきた通りです。

そういったオレゴン動物園とAZAの苦慮をよそに、ノーラは一頭で比較的伸び伸びと暮らしているようです。そういったノーラの最近の様子を同園は映像で公開していますので見ておきましょう。







アメリカの動物園というのはもともとホッキョクグマ(ホッキョクグマだけに限りませんが)などの人気動物と特定の動物園、そして地域のファンとの三つの結びつきが強いためホッキョクグマを移動させるということには特にファンの間で抵抗感が強いという事情がありますが、それを振り切って昨年の秋から今年にかけて大規模なホッキョクグマの再配置が行われたのは繁殖目的という「錦の御旗」があったためで、人工哺育された個体に必要な「適応化socialization)」を目的とした個体移動を行うというところまではなかなか踏み切れないというところなのでしょう。

この「遊び友達」という点ですが、人工哺育された個体の「適応化(socialization)」のために必要な「遊び友達」は人間によって育てられた個体にホッキョクグマの種としての特性を植え付けさせるために必要なことであり。これはかつてから認識されていたことです。しかし先日、天王寺動物園訪問記の中で述べた「遊び友達」はまた別の意味を述べたわけです。それは、個体にとって「他者」の存在が好ましいといった非常に最近の欧米の先進的な考え方を基礎にしたことです。いつどなたのページでだったか私は忘れてしまいましたが、天王寺動物園でバフィン親子が浜松に移動した後にシルカがバフィン親子の暮らしていた室内のスペースに誰もいないことを見ていたというシーンについて、その方は「シルカはモモ(そしてバフィン)がいなくなったのを寂しく感じている。」といった印象を述べられていたように記憶しています。それに対して別の方が、「そんなことはありえない。ホッキョクグマは単独生活を好む種である。」といったことを述べて反論していたように記憶してます。この「ホッキョクグマは単独生活を好む種である。」ということは確かに正しいです。そしてシルカはモモ(とバフィン)がいなくなったことを寂しくは思っていなかったというのも正しいわけです。この正しさは Zoological correctness といったものなのです。

さて、次の段階ですが「ホッキョクグマは単独生活を好む種である。」という Zoological correctness が直ちに「だからシルカは単独飼育にしておくべきだ。」というように直結していくかといえば、最近の欧米の先進的な飼育の考え方からはどうもそうではないようです。現在のようにシルカに多くのおもちゃを与えて単独飼育していくよりも同性であるモモと同居させたほうがシルカのためにはよい(バフィンの存在は完全に脇に置いてきます)という考え方が出てくるわけです。ここではモモがシルカの「遊び友達」にあたるわけです。種としての「単独生活への指向」と「同性の他者(遊び友達)の存在」は互いに矛盾していると考えられますが、しかしどうも欧米ではこの若年個体にとっての「他者(遊び友達)の存在」を飼育下の若年個体へのエンリッチメントの延長上に位置付けてきている.....それが最新の傾向のようです。「与えられる多くのおもちゃ」vs.「同性の遊び友達の存在」、いったいどちらがシルカにとって好ましいかという問題設定となるでしょう。

さて、話を少し前に戻します。カドリードミニオンでかつてトウチャンが亡くなった時に、長年パートナーだったカアチャンは本当に何も感じなかったのか....「何も感じなかった」というのは Zoological correctness です。そして実際「何も感じなかった」というのが正しいのでしょう。しかし私には「ホッキョクグマは単独生活を指向する種であるからカアチャンはトウチャンが亡くなっても全く何も感じなかった。」と誰かから言われれば、それはまるで「喫煙は健康に良くありません。」という Medical correctness を述べられただけのような気もするわけです。喫煙者は「喫煙が健康に悪い」ことを知っていてもなお、喫煙し続けているのは何故か.....。Zoological correctness や Medical correctness を踏まえてもなお、別の感じ方の存在は否定しえないようにも思います。「シルカはモモ(とバフィン)がいなくなったので寂しく感じている。」という正しいとは言えない印象を持った方に対して、「それは違う。ホッキョクグマは単独生活を好む種である。」という Zoological correctness を述べることは私はしてもあまり意味はないと思っていまし、そうするつもりもありません。それはまさに喫煙者に対して「喫煙は健康に悪い。」といった Medical correctness を述べることと同様に、あまり意味のあることではないと思っているからです。

(資料)
ABC6OnYourSide.com (May.19 2017 - Nora mastering the art of the belly flop)

(過去関連投稿)
アメリカ・コロンバス動物園のノーラがポートランドのオレゴン動物園へ ~ その背景を読み解く
アメリカ・コロンバス動物園のノーラの同園での展示最終日に多くの来園者がノーラとの別れを惜しむ
アメリカ・コロンバス動物園のノーラが西海岸・ポートランドのオレゴン動物園に無事到着
アメリカ・オレゴン州ポートランドのオレゴン動物園に到着して検疫期間中のノーラの近況
アメリカ・ポートランド、オレゴン動物園のノーラとコロンバス動物園の担当飼育員さんの別れ
アメリカ・オレゴン動物園のノーラの来園を歓迎しない地元ポートランド市民の意見 ~ So what ?
アメリカ・オレゴン動物園で検疫期間中のノーラの最近の様子
アメリカ・ポートランド、オレゴン動物園で検疫期間中のノーラの近況
アメリカ・オレゴン動物園でノーラとタサルの同居開始準備のため二頭の初対面が行われる
アメリカ・オレゴン動物園のノーラが満一歳となる
アメリカ・ポートランド、オレゴン動物園のノーラの近況 ~ 今週末にも一般公開開始の予定
アメリカ・ポートランド、オレゴン動物園のノーラが初雪を楽しむ ~ 相手役を求めAZAと交渉の同園
アメリカ・ポートランド、オレゴン動物園のノーラ ~ 野放図な遊び好きの性格に潜む危うさ
アメリカ・オレゴン州ポートランド、オレゴン動物園が降雪の影響で閉園となった日のノーラの姿
アメリカ・オレゴン動物園のノーラの自由奔放さ ~ 彼女の遊び友達を探す同園とAZA
アメリカ・オレゴン動物園のノーラの近況 ~ 「適応化(socialization)」とエンリッチメントとの関係
by polarbearmaniac | 2017-05-22 21:00 | Polarbearology

モスクワ動物園のホッキョクグマたちの近況 ~ 雌(メス)のスネジンカが間もなくハンガリーへ移動

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ハンガリーのソスト動物園に移動するスネジンカ (Белая медведица Снежинка)  (2015年10月3日撮影 於 モスクワ動物園)

ロシアの首都であるモスクワの動物園は私にとっては最も身近に感じられる動物園の一つです。日本の動物園で私にとってモスクワ動物園以上に身近に感じられるのは札幌・円山動物園と大阪・天王寺動物園くらいでしょう。これは誇張ではありません。モスクワ動物園の魅力といえば何と言ってもロシアホッキョクグマ界のスターである個体が何頭も存在しているということです。そして彼らは非常に個性的です。街の中心にあって交通の便がよく、そしてホッキョクグマたちの姿の観察を終えた後もモスクワという街は興味のあるものがたくさん存在しており、モスクワ動物園のすぐそばにある地下鉄の駅から地下鉄を利用してそういった場所に簡単に行くことができるというのも便利なのです。
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シモーナとハバル、スネジンカの双子 (Белая медведица Симона и медвежата Хабар, Снежинка)
(2015年10月1日撮影 於 モスクワ動物園)

さて、そのモスクワ動物園のホッキョクグマたちの近況を伝えるTVニュースが今日放送されましたので番組を御紹介しておくことにします。いかに(飼育下)のホッキョクグマの頭数を維持するかといったことがテーマとなっています。興味ある映像がいくつも挿入されています。全てモスクワ動物園の所有しているホッキョクグマたちです。音声はonのほうがよいと思います。



解説しておきますと、開始後24~28秒がシモーナ、28~37秒がシモーナと彼女が2014年11月に産んだ双子、37~55秒がロシアから移動したノルドとコペンハーゲン動物園の飼育員さん、55~59秒がシェールィとビェールィ、59秒~1分19秒がモスクワ動物園とヴォリコラムスク附属保護施設などの様子でニカ、ミラーナ、シェールィとビェールィなどの姿が登場しています。シェールィとビェールィはイジェフスク動物園時代の映像も用いられています。1分19秒~1分29秒で登場しているのはシェールィとビェールィが無事に到着したブダペスト動物園の獣医さんです。そしてそれ以降はモスクワ動物園の本園でのウランゲリとムルマの様子です。飼育員さんのバショーノヴァさんやアクーロヴァ園長も登場しています。
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ムルマ (Белая медведица Мурма)
(2015年10月1日撮影 於 モスクワ動物園)

語られている内容ですが、飼育下の欧州のホッキョクグマたちは頭数の減少と同じ血族関係のホッキョクグマたちが増加 ("больше родства")し、新しい血統を入れる必要があり、そういった血は野生孤児個体からしか得られないわけで、モスクワ動物園としてはそういった個体が孤児となっているのを保護する必要があるという内容が述べられています。そしてそういった野生孤児個体をペアにして誕生する「新しい血」を欧州に配給できるのがモスクワ動物園であるという意味で言っているのでしょう。

ウランゲリとムルマというペアの組み合わせは今までモスクワ動物園では繁殖実績がありません。ウランゲリのパートナーはシモーナ、そしてムルマのパートナーは故ウムカ(ウンタイ)なのですが、ウムカが亡くなったためにムルマにウランゲリをパートナーとしてあてがったわけですが、やはり相性はあまり良好とは言えないようです。私が2年前に会った時もウランゲリとムルマとは相性が悪いと感じました。
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ウランゲリ (Белый медведь Врангель)
(2015年10月1日撮影 於 モスクワ動物園)

そしてさらに注目すべきことは、二歳半のシモーナの娘(つまり2014年11月にシモーナから誕生した双子の一頭)は間もなくハンガリーに移動すると述べられています。もう一頭はすでにハバロフスク動物園に移動した雄(オス)のハバルであることは御承知の通りで、双子のもう一頭の雌(メス)は以前からすでの本ブログではこの移動計画について述べてきました。モスクワ動物園はシモーナが2014年11月に産んだ双子はいずれも雄(オス)であると血統登録を行っているわけですが、やはり雄(オス)と雌(メス)の双子であることがさらに今回明確になったわけです。(モスクワ動物園の血統登録の問題点については「モスクワ動物園のアクーロヴァ園長が語る同園のホッキョクグマへの方針 ~ 野生孤児保護の新施設をオープン」という投稿で簡単に触れてあります。モスクワ動物園が関与した個体については、血統登録情報にそう書いてあるからそうなのだという態度は正しくなく、今まで本ブログで行ってきたように報道の情報を細かくチェックして情報を積み上げていって真実を把握するのが最も正しい方法なのです。) そしてハンガリー、つまりソスト動物園に移動する二歳半の雌(メス)の名前が "スネジンカ (Снежинка)" であることを明らかにしています。私は彼女のことを仮称で「雪ちゃん」と呼んできたわけですが、それは彼女が人工雪の山で遊ぶことが大好きであることを2015年に何回もモスクワ動物園を訪問した際に見てきたからです。"スネジンカ (Снежинка)" は雪片を意味していますので、まさに私の仮称とピッタリ呼応する名前が付けられていたのは驚きと共に嬉しさも感じます。

(資料)
МИР 24 (May.21 2017 - Хозяева Арктики: как сохраняют популяцию белого медведя)

(過去関連投稿)
ロシア動物園水族館協会(RAZA)が設立 ~ ロシアでモスクワ動物園の主導的地位が一層強まる
モスクワ動物園で保護された野生孤児ニカに欧州の多くの動物園が重大な関心を抱く
モスクワ動物園 ヴォロコラムスク附属保護施設のアイオンがイジェフスク動物園へ ~ 「新血統」への挑戦
ロシア・イジェフスク動物園のノルドが欧州へ ~ 水面下で始まっている欧露の協力体制の兆候
モスクワ動物園が「国際ホッキョクグマの日」にヴォロコラムスク附属保護施設を希望者に限定公開へ
モスクワ動物園が、今後ロシア国内で誕生の個体はロシア国内と欧州だけで飼育の意向を表明
モスクワ動物園の「国際ホッキョクグマの日」~ ヴォロコラムスク附属保護施設を一般来園者に初公開
デンマーク・コペンハーゲン動物園がロシア・イジェフスク動物園のノルドの来園予定を正式発表
モスクワ動物園のアクーロヴァ園長が語る同園のホッキョクグマへの方針 ~ 野生孤児保護の新施設をオープン
(2015年8月 モスクワ動物園訪問記)
シモーナお母さん、今回も本当に御苦労様です、双子の赤ちゃん初めまして!
モスクワ動物園の双子の赤ちゃんの性別を予想する ~ 「雌(f)/雌(f)」か「雌(f)/雄(m)」か?
シモーナ、偉大なる母のその素顔 ~ より一層洗練され磨きがかかった世界最高の育児技量
モスクワ動物園二日目 ~ 連日の好天の下でのシモーナ親子の日常の姿
モスクワ動物園三日目 ~ 快晴の土曜日のモスクワ動物園に勢揃いした主役たち
ウランゲリ(旭山動物園イワンの父)、その省力化された生活が生み出す持久力のある活躍ぶり
ムルマ(男鹿水族館、豪太の母)、その最後の繁殖を狙おうとするモスクワ動物園
モスクワ動物園四日目 ~ ウランゲリとムルマの相互不干渉の同居
シモーナお母さんと双子の赤ちゃんとの関係
雪ちゃん(仮称)とポリちゃん(仮称)は果たして雌(メス)の双子か? ~ 瓜二つの外見と行動
モスクワ動物園五日目 ~ ムルマ(豪太の母)とウランゲリ(イワンの父)はやはり相性が悪い?
シモーナお母さんと雪ちゃん(仮称)とポリちゃん(仮称)の双子の様子 ~ 今日のアルバムより
(2015年9、10月 モスクワ動物園訪問記)
モスクワ動物園六日目 ~ 一か月後のシモーナ親子の変化を探る
シモーナ(Белая медведица Симона)、偉大なる母親としてのその素顔
ウランゲリ(Белый медведь Врангель)の憂鬱 ~ ムルマとの微妙な関係
ムルマ(Белая медведица Мурма)の置かれた苦境 ~ ウランゲリとの微妙な関係
モスクワ動物園七日目、今日のアルバムより ~ 子供たちの活動とテンポが合うシモーナの優秀さ
モスクワ動物園八日目、今日のアルバムより ~ 秋に見せるホッキョクグマたちの表情
モスクワ動物園九日目、今日のアルバムより ~ 寒風晴天下のホッキョクグマたち、そして驚きの解題
シモーナ(Белая медведица Симона)、その心に染み入るような美しさを放つ母性
by polarbearmaniac | 2017-05-21 22:00 | Polarbearology

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