街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・西シベリア、ボリシェリェーチェ動物園のグーリャの旺盛な食欲 ~ ロシアで上がる彼女の知名度

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グーリャ Image:12 Канал Омск

ロシア・西シベリアのオムスク近況にあるボリシェリェーチェ動物園で飼育されている推定28歳の雌(メス)のホッキョクグマであるグーリャ (Гуля) というのは何か心惹かれるホッキョクグマです。彼女はごく1年ほど前までは「幻のホッキョクグマ」とさえ言えるほど非常に情報の少ないホッキョクグマでした。彼女の人生 (Bear's life) というのもいささか謎に満ちたホッキョクグマなのですが、彼女について地元メディアが報じるときは全てこのブログでご紹介してきたつもりです。ここ一年ほどはロスネフチ社のグーリャへの援助もあってボリシェリェーチェ動物園はグーリャの姿を比較的よくSNSのページにアップするようになりました。非常にありがたい話だと思います。このボリシェリェーチェ動物園はロシアで唯一と言われる田園動物園でありホッキョクグマの飼育環境はロシアで最高であると評価されています。日本の動物園でもホッキョクグマの飼育環境においてはボリシェリェーチェ動物園に匹敵する動物園は全く存在しないでしょう。なにしろグーリャの暮らす場所は地面は全て土と芝生なのです。冬になれば一面は全て雪で覆われるという理想的な環境です。しかも自然の池で泳ぐことができるという幸運さです。

ロスネフチ社のグーリャへの支援は、彼女の食費(飼料)の全額、及びグーリャの健康状態を頻繁にチェックする獣医さんに支払われる費用、その他の雑費の全額という、つまりグーリャの飼育についてボリシェリェーチェ動物園は費用負担が全くないというほど恵まれた支援となっています。ロスネフチ社のような大企業からの十分な援助を受けられるグーリャについて、ボリシェリェーチェ動物園はその健康の維持に最大限の配慮を行っています。このグーリャの近況について地元のTV局がニュース映像を公開していますのでそれを御紹介しておきます。以下をワンクリックしていただくと映像スタート画面が開きます。
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グーリャへの給餌は毎日総量で12キロだそうで、新鮮な野菜、ニンジン、ビート、キャベツ、リンゴ、パン、魚、肉といったようなものだそうですが、彼女がそれらを食べる順番はいつも決まっているそうです。野菜から食べ始め、次にシチュー状にした牛肉、次にリンゴ、そして魚といった順番だそうです。そういったものには香辛料としての魚油がたっぷりと注がれており、その量は毎日2リットルにもなるそうです。グーリャはなかなか食欲が旺盛だそうで毎日こういった12キロの食糧は全てたいらげてしまうとのことです。
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グーリャ Image:12 Канал Омск

最近ではこのグーリャに興味を持つロシアのホッキョクグマファンの方々も少しづつ現れ始めているのですが、これは決して私の自慢ではありませんがそういった方々がグーリャの存在を知ったのは本ブログが紹介されているロシアのSNSのページによるものだということです。ロシアには素晴らしいホッキョクグマが何頭も存在しています。そういったホッキョクグマがロシアのファンの方々にさえあまり知られていないというのは残念な状況だったわけです。しかしノヴォシビルスク動物園からシルカが来日したことによりロシアと日本のファンにSNSを通じて交流ができ、今ではアンデルマ、ウスラーダ、シモーナ、ゲルダといったホッキョクグマもロシアのファンの方々にとっても有名となり、それが今度はグーリャにも及んできているのですから嬉しい話です。

(資料)
12 Канал Омск (Sep.28 2017 - В Большереченском зоопарке заботятся о пожилой медведице)
Om1.ru (Sep.29 2017 - Белая медведица из Омской области каждый день съедает 12 кг еды и выпивает 2 литра рыбьего жира)

(過去関連投稿)
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by polarbearmaniac | 2017-09-30 02:00 | Polarbearology

ロシア・ヤクーツク動物園のハールチャーナが11月にサンクトペテルブルクのレニングラード動物園へ

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ハールチャーナ Photo(C)Якутский зоопарк "Орто-Дойду"

ロシア北東部にあるサハ共和国のヤクーツク動物園で昨年2016年の11月30日にコルィマーナお母さんから誕生した雌(メス)のハールチャーナ (Хаарчаана) について、ヤクーツク動物園は11月にサンクトペテルブルクのレニングラード動物園に移動することを発表しました。このハールチャーナがレニングラード動物園に移動することはすでに今年の春に決定していたわけですが問題はその時期だったわけです。最初の頃は今年の3~4月などといった暴論さえあったわけですが、その後になって年内という比較的穏当な移動時期が予定されることとなったわけでした。

最近のハールチャーナの様子についてヤクーツク動物園は、いつも飼育展示場を走り回って遊んでおり、おもちゃをプールに投げ入れてはプールに飛び込むといったことに夢中だそうです。また、ハールチャーナは母親のコルィマーナの行動をよく見て真似して行動するということがハールチャーナの特徴のようです。給餌の際には母親であるコルィマーナはおいしいところをまず娘のハールチャーに与え、それから自分が食べ始めるといったことを行っているそうです。
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ハールチャーナ Photo(C)Якутский зоопарк "Орто-Дойду"

私は先日の7~8月の旅行ではこのヤクーツク動物園を訪問しようと事前にかなり計画を立てていたのですが場所が場所だけに移動距離が非常に長くなり私の健康状態なども考えて、とうとう訪問を断念してしまったという経緯がありました。その代りといってはなんですがデンマークのオールボー動物園を三日間にわたって訪問したのですが今となって考えてみればやはりヤクーツク動物園に行ってコルィマーナとハールチャーナの親子に会っておくべきだったと思っています。何故ならオールボー動物園については欧州の多くのファンの方々も訪問しており、一方でヤクーツク動物園についてはそういったファンはほとんどおらず、またコルィマーナとハールチャーナの親子の関係がどのようなものかを記述したレポートは全く見当たらないといった状況です。そういったものこそ私は自分の眼で見て記録しておきたかったと思っています。ハールチャーナがレニングラード動物園に移動した後に仮にウスラーダと同居するようになったとしても、そういったハールチャーナを見てもあまり大きな意味はないのではないかとも思うわけです。母親の行動をよく見て真似をするというハールチャーナはかなり優秀な幼年個体である可能性があります。そういったハールチャーナの母親コルィマーナと同居している姿を見ておくというのは大きな意味があっただろうと思っています。

(資料)
Якутский зоопарк (Sep.29 2017 - Хаарчаана готовится к отъезду)
YakutiaMedia (Sep.29 2017 - Белая медведица Харчаана покинет Якутию в ноябре)

(過去関連投稿)
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ロシア・ヤクーツク動物園の雌(メス)赤ちゃんの名前が "ハールチャーナ (Хаарчаана)" に決まる
ロシア・ヤクーツク動物園のハールチャーナの将来 ~ ロシア・ホッキョクグマ界の期待の星
ロシア北東部・サハ共和国、ヤクーツク動物園のコルィマーナとハールチャーナの親子関係考察の難しさ
by polarbearmaniac | 2017-09-29 21:30 | Polarbearology

ロシア・チェリャビンスク動物園がロスネフチ社の資金援助でホッキョクグマの室内飼育展示場をオープンへ

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Image:Первый областной канал

ロシア・南ウラル地方のチェリャビンスク動物園は私が先月訪問した動物園です。ここには野生出身の推定16歳の雄(オス)のアルツィン (Алтын) と姫路のホクトの妹であり白浜のゴーゴの姉である14歳の雌(メス)のアイリシャ (Айриша) の二頭が暮らしています。この動物園のホッキョクグマ飼育展示場は二区画あるのですが、このたびロシア最大の石油会社であるロスネフチ社の資金提供によって一か月後に室内の飼育展示場が新しくオープンするそうで、現在その工事が行われているそうです。それを報じる地元TV局のニュース映像をご紹介しておきます。下をワンクリックして下さい。なかなか素晴らしい映像です。
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この新しい飼育展示場はプールと人工雪製造機が設置されるそうです。チェリャビンスクは夏期には非常に気温が高くなりますし現在の飼育展示場は日陰の部分が少ないわけで、こうした室内の飼育展示場はホッキョクグマたちの夏の暑さ対策だろうと思います。多分、室内と屋外の出入りが自由になるはずでアルツィンとアイリシャにとってはあのチェリャビンスクの夏の気温の高さであっても快適にに毎日を過ごせるようになると思います。またライブ映像の配信も行う予定だそうです。これは素晴らしいことだと思います。ライブ映像の配信が開始されましたらご案内したいと思います。
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Image:Первый областной канал

アルツィンは私が8月初頭に会ったときには非常に痩せていた印象があるのですが今回の上のTVニュースの映像では体重がかなり増えてきているようです。体毛の感じも良く彼の体調は回復していることは間違いないと思います。これは非常にうれしいことだと思いました。
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アルツィン Image:Первый областной канал
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アイリシャ Image:Первый областной канал

(資料)
Первый областной канал (Sep.28 2017 - Вольер для белых медведей в зоопарке расширят)

(過去関連投稿)
・ロシア・地方都市の動物園で人々に愛されるホッキョクグマ
・ロシア・チェリャビンスク動物園の体重700キロの心優しきホッキョクグマ
・有力企業のホッキョクグマ飼育への支援申し出に喜ぶロシア・チェリャビンスク動物園
・ロシア・チェリャビンスク動物園のホッキョクグマのイベント
・ロシア・チェリャビンスク動物園のホッキョクグマのおもちゃはなんと黄色いスケートボード!
・ロシア・チェリャビンスク動物園のアルツィン  ~ 飼育下では世界最大の体重か?
・ロシア・ウラル地方、チェリャビンスクの動物園のプール開き
・ロシア・ウラル地方、チェリャビンスクの動物園の夏 ~ ホッキョクグマにオモチャのプレゼント
・ロシア・ウラル地方、チェリャビンスク動物園のペアの演じる「タンゴ」
・ロシア・ウラル地方、チェリャビンスク動物園のホッキョクグマたちの夏の日の姿
・ロシア・ウラル地方、チェリャビンスク動物園のアルツィンの頭のタイヤが抜けなくなりレスキュー隊が出動
・ロシア・ウラル地方、チェリャビンスク動物園の動物たち、近郊への隕石落下の被害から全頭無事が確認
・ロシア・カザン市動物園に短期出張したアルツィンがチェリャビンスク動物園に帰還 ~ 行方不詳のユーコン
・ロシア・チェリャビンスク動物園のホッキョクグマたちに地元アイスホッケーチームがプレゼント
・ロシア・ウラル地方、チェリャビンスク動物園のアルツィンの行動に対する専門家の奇妙な(?)解釈
・ロシア・チェリャビンスク動物園でホッキョクグマと共に祝われた地元アイスホッケーチームの新年
・ロシア・ウラル地方、チェリャビンスク動物園のホッキョクグマたちの夏のシーズンのプール開き
・ロシア・ウラル地方、チェリャビンスク動物園のアルツィンとアイリシャ ~ 地元アイドルの座は不動
・ロシア・ウラル地方、チェリャビンスク動物園のアルツィンとアイリシャの近況 ~ 施設の一部改修工事が終了
・ロシア・ウラル地方、チェリャビンスク動物園のアルツィンの2001年の物語 ~ 野生孤児の秘史
・ロシア・南ウラル地方、チェリャビンスク動物園がペンザ動物園のベルィの入手を画策 ~ 繁殖成功への執念
(*2017年8月 チェリャビンスク動物園訪問記)
・チェリャビンスク動物園の夏の日 ~ アルツィンとアイリシャの姿
・アルツィン (Белый медведь Алтын) の素顔とその性格
・アイリシャ (Белая медведица Айриша) の素顔とその性格
・地方都市のチェリャビンスク動物園で体を寄せ合って暮らすアルツィンとアイリシャ ~ 心動かされるその姿
by polarbearmaniac | 2017-09-29 06:00 | Polarbearology

ロシア・ペンザ動物園の過ぎ去った夏 ~ ベルィが三週間ぶりに飼育展示場に復帰

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ベルィ Photo(C)Пензенский Зоопарк

ロシアのヴォルガ川流域の街であるペンザの動物園にも夏は過ぎ去り、これからは冬に向かってひたすら歩みを進めていく季節となっているようです。ここのところ三週間にわたってペンザ動物園のホッキョクグマ飼育展示場では冬に備えての修理工事が行われていたそうです。修理が行われたのは主にプールであり、水の浄化フィルター設備の整備に加えて室内外の移動部分にも工事が行われたようです。屋外の飼育展示場から室内にへの出入り口の部分にケージが設置されたようで、ベルィは屋外の飼育展示場から室内に収容されてもケージの部分に留まることが可能で必ずしも室内に入らなくてもよいという構造になったようです。以前にもご紹介していましたがこのベルィは夜でも屋外にt℃待っていることが好きで、そのためにスタッフは何日間も飼育展示場の掃除ができないことに頭を悩ませていたからです。
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ベルィ Photo(C)Пензенский Зоопарк

同園で飼育されている6歳の雄(オス)のベルィはこういった工事の行われていた三週間は飼育展示場に出ることができず、ベルィを愛する地元ファンからはかなり不満の声が上がっていたそうです。私がペンザ動物園を訪問したのは7月でしたが、仮に訪問が9月でしたらベルィに会うことができなかったでしょう。遠方から訪問する人間にとってはこうした工事が行われてホッキョクグマに会えないということならば痛恨事なのです。
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Photo(C)Пензенский Зоопарк

一連の整備・修理工事が終了しベルィは28日に三週間ぶりに飼育展示場に姿を見せ、早速プールに飛び込んで遊びだしたそうです。そういった彼の姿に子供たちは大喜びだったそうです。ペンザ動物園はベルィのためにいろいろな形状のおもちゃを用意して与えているそうです。今回の修理・改修工事の資金もロスネフチ社の援助によるものだそうでペンザ動物園は同社に感謝の言葉を述べています。ロスネフチ社はロシア最大の石油会社ですが、当然ロシアの権力者との深い関係に不透明な部分が多くあります。同社の会長であるセーチン氏はプーチン大統領と非常に親しいことが知られています。こうしたことから生じている利権構造はロシアの闇の部分であるわけですが、ロスネフチ社はせっせとロシアの動物園に飼育されているホッキョクグマたちに資金的な援助を惜しまず、同社のイメージアップに専心しています。ロシアの動物園はロスネフチ社の援助に非常に感謝しており、そのためにホッキョクグマの飼育展示場の改修工事であるとか、獣医さんを派遣したホッキョクグマの健康診断とか、あるいは特別の給餌とかがあるごとに各動物園は自園のホッキョクグマたちの様子をネット上に多く公開し、そしてそういった記事には必ずロスネフチ社への感謝が述べられているわけです。特に今年に入ってからはロシアの動物園のホッキョクグマに関する報道記事は多くなっており、そういうことが理由で当ブログもロシアのホッキョクグマたちの投稿が多くなっているわけです。今までロシア各地のホッキョクグマに関する情報を得ることは簡単ではない場合も多かったのですが、現在では小さな話題を中心にロシアのホッキョクグマのニュースは非常に多くなっています。それは非常にありがたい話です。
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Photo(C)Пензенский Зоопарк

(資料)
Пензенский Зоопарк (Sep.28 2017 - Вот и кончилось лето)
РИА Пензенской области (Sep.28 2017 - В пензенском зоопарке вольер белого медведя подготовили к зиме)
Пенза-взгляд (Sep.28 2017 - В пензенском зоопарке вольер белого медведя подготовили к зиме)
ГТРК Пенза (Sep.28 2017 - Пензенский белый мишка поборол боязнь замкнутых пространств)

(過去関連投稿)
ロシア極北で漁民に保護された1歳の野生孤児が中部ロシアのペンザ動物園での飼育が決定
ホッキョクグマ飼育経験のないロシア・ペンザ動物園が飼育準備を開始 ~ 「親和性」、「運」とは?
ロシア極北で保護された孤児のウムカ、依然としてモスクワ動物園で待機か? ~ 野生孤児保護の問題点
モスクワ動物園で待機中の野生孤児のウムカ、11月末までにペンザ動物園へ移動
モスクワ動物園で待機中だった野生孤児のウムカが陸路、ペンザ動物園に無事到着
ロシア・ヴォルガ川流域のペンザ動物園にモスクワから移動したウムカの近況 ~ 待たれる新施設の完成
ロシア・ヴォルガ川流域、ペンザ動物園のウムカの新しい名前を公募することが決定
ロシア・ヴォルガ川流域、ペンザ動物園のウムカの新しい名前が「ベルィ」に決まる
ロシア・ヴォルガ川流域、ペンザ動物園の苦境続く ~ ベルィ に仮仕様のプールが完成 
ロシア・ヴォルガ川流域、ペンザ動物園の2歳の野生孤児ベルィの近況
ロシア・ヴォルガ川流域、ペンザ動物園の野生孤児ベルィが間もなく3歳に ~ 完成が待たれる新展示場
ロシア・ヴォルガ河流域、ペンザ動物園のベルィがソチ冬季五輪のプロモーション映像に登場
ロシア最大の石油会社 ロスネフチがロシアの動物園の全ホッキョクグマへの援助・保護活動開始を表明
ロシア・ヴォルガ河流域、ペンザ動物園の野生孤児ベルィの新飼育展示場建設にロスネフチ社の援助決定
ロシア・ヴォルガ河流域、ペンザ動物園でのソチ冬季五輪開催イベント ~ 2026年札幌冬季五輪招致へ
ロシア・ヴォルガ河流域、ペンザ動物園のベルィの新飼育展示場建設計画が出直しの形で開始される
ロシア・ヴォルガ河流域、ペンザ動物園の 「国際ホッキョクグマの日」 のベルィの姿
ロシア・ヴォルガ河流域、ペンザ動物園のベルィの近況 ~ 遂に新展示場建設着工の見通し
モスクワ動物園のシモーナの双子が一歳となる ~ 双子のうち雌が来年にペンザ動物園へ移動か?
ロシア・ヴォルガ河流域、ペンザ動物園のベルィの新展示場建設工事が開始 ~ 雌の導入計画の謎
ロシア・ペンザ動物園のベルィの新展示場が秋に完成の予定 ~ ロシアの中小地方都市の動物園の苦闘
ロシア・ペンザ動物園の新ホッキョクグマ飼育展示場が9月にオープン ~ それが意味する重要なこと
ロシア・ペンザ動物園のベルィに夏の旧舎最後の特別給餌 ~ ロシア地方都市動物園の素朴なイベント
ロシア・ヴォルガ川流域、ペンザ動物園で最終段階に入りつつある新ホッキョクグマ飼育展示場の建設
ロシア・ヴォルガ川流域、ペンザ動物園のベルィに子供達が慈善活動の売上を寄付
ロシア・ヴォルガ川流域のペンザ動物園がベルィのパートナーにモスクワ動物園のニカを希望
ロシア・ペンザ動物園のベルィが完成した新飼育展示場へと移動する
ロシア・ペンザ動物園の新ホッキョクグマ飼育展示場が遂にオープン ~ 次なる課題はベルィのパートナー探し
ロシア・ヴォルガ川流域、ペンザ動物園のベルィは新飼育展示場に移動して伸びやかに遊ぶ
ロシア・ペンザ動物園の新飼育展示場で早々とベルィに「国際ホッキョクグマの日」のイベントが開催
ロシア・ペンザ動物園のベルィの近況 ~ ロシアの飼育下の野生出身個体の繁殖と再配置の問題点
ロシア・ペンザ動物園のベルィの「帰宅拒否」のエピソード ~ ロシア地方都市の素朴な報道
ロシア・ヴォルガ川流域のペンザ動物園、ベルィの健康管理のために入念なチェック体制をとる
ロシア・南ウラル地方、チェリャビンスク動物園がペンザ動物園のベルィの入手を画策 ~ 繁殖成功への執念
ロシア・ペンザ動物園のおもちゃの破壊王ベルィを報じる地元メディアの素朴な報道
(*2017年7月 ペンザ動物園訪問記)
・快晴の土曜日、ペンザ動物園でのベルィとの対面へ ~ 抑制、洗練された行動を行うベルィの趣味の良さ
・ベルィ、謙虚さと「大陸的」なスケールの大きさを兼ね備えたロシア・ホッキョクグマ界の逸材
・ペンザ動物園訪問二日目 ~ 生活のペースが確立したベルィ、待ち望まれる彼のパートナーの決定
by polarbearmaniac | 2017-09-29 01:30 | Polarbearology

アメリカ・ボルチモア、メリーランド動物園のアノーキは人工授精での世界初の出産に成功するか?

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アノーキ Photo(C)Scripps Media

アメリカでまたホッキョクグマの人工授精が行われました。今年の2月に行われていたそうですが、9月の下旬になってその事実が明らかにされました。行ったのはメリーランド州ボルチモアのメリーランド動物園に暮らす20歳の雌(メス)のホッキョクグマであるアノーキ (Anoki) に対してです。

このアノーキにはマグネットという長年のパートナーがいたわけですが彼は2015年4月に亡くなっており、それ以来アノーキは一頭で暮らしていたわけです。彼女はまだ20歳と年齢的にも若いわけで、メリーランド動物園はシンシナティ動物園の絶滅危惧種保護・研究チーム (CREW - Conservation and Research of Endangered Wildlife) から申し出による多大な協力を得て今年の2月にアノーキに人工授精を行ったそうで、精子のドナーはシカゴ・ブルックフィールド動物園の雄(オス)のハドソンだそうです。ちなみに世界初のホッキョクグマへの人工授精を行ったのは2012年のロチェスターのセネカ動物園でした。今年に入ってからもヘンリー・ヴィラス動物園の18歳のベリットに対して行われています。ホッキョクグマの人工授精はまだ世界でも成功した例はなく、今回のメリーランド動物園ではアノーキが史上初の人工授精による出産成功を非常に期待しているそうです。(中国の動物園でジャイアントパンダへの人工授精の技術を応用してすでにホッキョクグマの人工授精に成功しているという説もありますが、具体的なデータが全く公表されておらず世界的には全く認知されていない説です。) 今年2月に行われたアノーキへの人工授精について同園の映像記録をご紹介しておきます。音声はonにして下さい。



人工授精を行うに当たっては、その数週間前から担当飼育員さんが発情を促すためのホルモン剤の注射を定期的に行えるようにアノーキにトレーニングを行ったそうです。その甲斐あってアノーキは定期的なホルモン剤の投与を注射によって受け、シンシナティ動物園の絶滅危惧種保護・研究チーム (CREW)がメリーランド動物園に到着したときにはちょうど発情が起こっていた時期だったそうです。アノーキは麻酔にかけられ、そして人工授精が行われたという経緯になります。

このホッキョクグマへの人工授精ですが、常識的に考えてやはり成功率は非常に低いだろうと思います。日本でもこれを行ってみるべきかどうかですが、考え得る成功率の低さによって私は懐疑的です。人工授精を行うためにはドナーである雄(オス)に麻酔をかけて精子を採取し、そしてさらに今度は雌(メス)にも麻酔をかけて精子を入れるわけです。はたして二頭ものホッキョクグマに麻酔をかけてまで行うほどのものかどうかについて私は懐疑的だということです。そういったことはともかくとして、メリーランド動物園のアノーキには是非出産を成功させてもらいたいと思います。

(資料)
The Maryland Zoo (Sep.27 2017 - Maryland Zoo Participates In Polar Bear Reproductive Research)
CBS Baltimore / WJZ (Sep.28 2017 - Maryland Zoo’s Polar Bear Could Be 1st To Give Birth By Artificial Insemination)
ABC2 News (Sep.27 2017 - Maryland Zoo artificially impregnates female polar bear)
POLAR BEAR (Ursus maritimus) CARE MANUAL - Association of Zoos and Aquariums)

(過去関連投稿)
アメリカ・メリーランド州ボルチモアのメリーランド動物園のアラスカ逝く ~ サーカス後の安住の地での死
アメリカ・メリーランド州ボルチモア、メリーランド動物園のマグネット逝く
アメリカ・メリーランド州ボルチモアのメリーランド動物園のアノーキ、故マグネットとの間の繁殖は成功せず
(*人工授精関連)
アメリカ・ニューヨーク州 ロチェスターのセネカ動物園が史上初のホッキョクグマの人工授精を行う
アメリカ・サンディエゴ、シーワールドの19歳の雌のスノウフレイクに人工授精が試みられる
アメリカ・ウィスコンシン州のヘンリー・ヴィラス動物園の18歳のベリットに人工授精が行われる
ロシアの3つの動物園が共同で異種間移植(ホッキョクグマ → ヒグマへの胎仔移植)の実験を行うことを発表
ロシア・カザン市動物園のマレイシュカに人工授精が計画される ~ ドナー候補はどの雄(オス)の個体か?
by polarbearmaniac | 2017-09-28 06:00 | Polarbearology

エストニア・タリン動物園のフリーダとアロンの親子が完成した飼育展示場へ移動

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アロン Photo(C)Madis Veltman

バルト海に面した小国エストニアの首都タリンの動物園では数年前より新しいホッキョクグマ飼育展示場の建設に大変に苦心していたわけです。資金の調達が大問題であったわけで、これについては募金活動の呼びかけから始まり、そして紆余曲折を経てようやく自治体からの援助にまでこぎつけ、そして建設工事が進展していく経緯などは全て本ブログでご紹介してきたつもりです。このタリン動物園のホッキョクグマ、そして彼らを取り巻く問題点などについては本ブログでは遂次ご紹介してきたつもりです。今年7月にこの新飼育展示場の建設工事の様子が地元TV局によって放送されましたのでそのニュース映像を下にご紹介しておきます。下をワンクリックして下さい。
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そういったタリン動物園の苦闘の末にとうとう新飼育展示場が完成し、フリーダと彼女の息子である生後9ヶ月のアロンの親子が9月25日に現在の古い飼育展示場から新しい飼育展示場に移動したそうです。
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フリーダとアロンの新飼育展示場への移動
Photo(C)Tallinna Loomaaed
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新飼育展示場 (C)Tallinna Loomaaed

古い飼育展示場には雄(オス)のノルドと彼とフリーダの間に生まれた第一子であるノラが若干の期間は残るそうです。すでに移動しているフリーダとアロンの姿はまだネット上では確認できないものの、来週月曜日に地元のTV局が新飼育展示場を紹介した番組を放送するそうですので、そういったものもご紹介したいと思っています。新飼育展示所の一般へのオープンは10月8日になるようです。

(資料)
Tallinna Loomaaed (Sep.25 2017 - Friida ja Aron kolisid uude majja)
Tallinna Loomaaia Sõprade Selts (Jääkaru uus kodu)
Õhtuleht (Jul.19 2017 - Meie loomaaia jääkarude uus kodu kerkib mühinal!)
Delfi (Jul.29 2017 - Jääkarumaja avab peagi uksed)
GoodNews (Jul.26 2017 - Tuhandete inimeste abiga valmib jääkarude uus kodu)

(過去関連投稿)
エストニア・タリン動物園のノラがフリーダお母さんと別れて単独飼育へ ~ 同園に残留の見通し
エストニア・タリン動物園、ホッキョクグマたちの「国際ホッキョクグマの日」~ 苦悩が続く同園
エストニア・タリン動物園のノルトの軌跡 ~ 偉大なる雄への階段を登る
エストニア・タリン動物園のノラのハロウィーン ~ ノラを愛するタリンの人々の願い
(*アロン関連)
バルト海沿岸・エストニアのタリン動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
エストニア・タリン動物園で誕生の赤ちゃんが生後10日目となる ~ ノラとノルトの誕生会が開催
エストニア・タリン動物園で誕生の赤ちゃんが生後3週間が経過 ~ 飼育マニュアルを無視した同園の謎
エストニア・タリン動物園で誕生の赤ちゃんが生後4週間が経過 ~ 映像から伝わってくる安定感
エストニア・タリン動物園の赤ちゃん、生後二ヶ月が経過 ~ 秋には新飼育展示場へ移動
エストニア・タリン動物園で誕生の赤ちゃんが生後12週間経過へ ~ 寝心地の悪そうな産室
エストニア・タリン動物園の赤ちゃんは雄(オス)と判明 ~ 一般公開は3月5日からの予定
エストニア・タリン動物園で誕生の雄(オス)の赤ちゃんがフリーダお母さんと戸外に登場 ~ 見事な映像記録
エストニア・タリン動物園のフリーダお母さんと赤ちゃんの追加映像 ~ お披露目は本日のイベントでの予定
エストニア・タリン動物園の「国際ホッキョクグマの日」 ~ 赤ちゃんの一般へのお披露目
エストニア・タリン動物園の雄(オス)の赤ちゃんの名前が「アロン (Aron)」に決まる
エストニア・タリン動物園で誕生の赤ちゃんアロンとフリーダお母さんに与えらえた大量の雪
エストニア・タリン動物園で誕生のアロンとフリーダお母さんの近況 ~ 将来の立ち位置が微妙な同園
エストニア・タリン動物園の雄(オス)のアロンの成長 ~ 性格判断の難しさ
エストニア・タリン動物園で秋の新飼育展示場オープンを待つホッキョクグマたち
by polarbearmaniac | 2017-09-28 03:00 | Polarbearology

周南市・徳山動物園で動物供養祭が行われる ~ 亡くなっても光褪せることのないホッキョクグマ

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故ユキ (ca.1984 ~ 2016) (Eisbärin Yuki/Белая медведица Юки)(2012年6月13日撮影 於 徳山動物園)

山口県周南市の徳山動物園で9月25日に動物供養祭があったことを報道は伝えています。祭壇には昨年11月に亡くなったホッキョクグマのユキの写真も飾られ昨年9月から今年8月に同園で亡くなった34種59匹の動物たちと共に、供養祭に参加した170人の子供たちによってあらためて冥福が祈られたそうです。

これは私自身の注意力に問題があるのだろうと思いますが、海外の動物園で日本の動物園のように園内に亡くなった動物たちの慰霊碑があるのを私はまだ気が付いた経験はありません。動物園全体として行う動物供養祭というものは日本独特のものであるとまでは言い切れませんが、海外ではあまり聞かない話です。我々日本人の死生観のなかにこういった動物たちの供養祭を行ってやるということが存在する余地があることは間違いありません。それは大学においても同じで、筑波大学では "Laboratory animal memorial ceremony" という動物実験のために殺した動物たちの供養祭は行われているわけです。こういった動物たちの供養祭を行うという感覚は東日本よりも西日本に強いような気がします。そして北海道が一番淡泊であるように感じます。何故そうなのかについては日本の文化に対する考察が必要だろうと思いますが、神道の影響の強さにその理由を求めたくなる誘惑に駆られます。
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故ユキ (Eisbärin Yuki/Белая медведица Юки)
(2012年6月13日撮影 於 徳山動物園)

徳山動物園のユキが亡くなったのは昨年2016年の11月28日のことでした。いまだに彼女の姿はあざたかに私たちのまぶたの裏に記憶されています。故ユキは南アフリカのヨハネスブルク動物園の故ギービーと双子姉妹でした。その故ギービーは札幌・円山動物園で初めてホッキョクグマの繁殖に成功して誕生したポロのパートナーだったわけです。故ユキと故ギービーはそれぞれ別の道を歩んだわけですが、そういった物語を想像してみることの必要はないほど故ユキは周囲に発散する強い光を感じさせる素晴らしいホッキョクグマでした。さらに付け加えれば、故ユキのような印象を与えるホッキョクグマはロシアの動物園には見当たらないということです。ロシアのホッキョクグマは、その姿の背後に個体としての奥深い実像が隠されているわけですが、この故ユキはその姿そのものとして輝かしさを感じさせるホッキョクグマだったのです。彼女こそ「非ロシア的ホッキョクグマ」の典型だったということです。それはまさに光に満ちたものだったということです。

(資料)
毎日新聞 (Sep.26 2017 - 動物供養祭/徳山動物園で 愛護週間、園児170人も参加

(過去関連投稿)
徳山動物園のユキとヨハネスブルグ動物園の故ギービー(札幌生まれのポロのパートナー)は双子姉妹だった!
周南市・徳山動物園のユキが亡くなる ~ 「永遠の若さ」を抱いて星の彼方へ....
ユキ (ca.1984 ~ 2016)、「まぶたの裏」で永遠に記憶されるホッキョクグマ
by polarbearmaniac | 2017-09-27 06:00 | 動物園一般

アメリカ・トレド動物園のホープがソルトレイクシティのホーグル動物園に無事到着

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ホープ Photo(C)Hogle Zoo

すでに今年の5月に決定されていたようにアメリカ・オハイオ州のトレド動物園で2015年12月3日に誕生した雌(メス)のホープ (Hope) が先週末に無事にユタ州ソルトレイクシティのホーグル動物園に無事到着したそうです。もちろんまだ検疫期間中で一般公開の日程は決まっていないそうです。ホープは新しい環境に適応しつつあるとホーグル動物園では述べています。
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ホープ Photo(C)Hogle Zoo

このホープがホーグル動物園に来園した目的は、もちろんオレゴン動物園からやはり先日このホーグル動物園にやってきた雌(メス)のノーラの遊び友達になることです。ノーラはコロンバス動物園で人工哺育された個体ですので「適応化 (socialization)」、つまりホッキョクグマとしての本来の特性を獲得するための「指導者」としての別の個体が必要であり、その役を担っているのが今回到着したホープということなのです。ホープはノーラと同年齢ですのでこうした役割を期待するのに最も適した個体でしょう。

(資料)
fox13now.com (Sep.25 2017 - ‘Hope’ the polar bear arrives at Hogle Zoo)

(過去関連投稿)
アメリカ・オハイオ州 トレド動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ クリスタルの安定感
アメリカ・オハイオ州 トレド動物園の赤ちゃんの近況 ~ 一般公開に向け準備中
アメリカ・トレド動物園の赤ちゃんの性別は雌(メス)と判明 ~ 報道陣にのみ公開される
アメリカ、トレド動物園の雌の赤ちゃんの名前が「ホープ(Hope)」に決まる ~ 本日より一般公開開始
アメリカ、トレド動物園の赤ちゃん、ホープの一般公開開始のネット・ライブ中継が行われる
アメリカ・トレド動物園のクリスタル親子の近況 ~ 北米で最高との評価を持つクリスタルの育児を探る
アメリカ・オハイオ州のトレド動物園、活動的なホープと手慣れした育児のクリスタルお母さん
アメリカ・トレド動物園で満一歳となったホープ ~ 飼育下の繁殖を野生個体保護の延長線上に位置付ける同園
アメリカ・トレド動物園のホープ、及びオレゴン動物園のノーラが共にソルトレイクシティのホーグル動物園へ
by polarbearmaniac | 2017-09-26 10:00 | Polarbearology

ロシア北東部の内陸をさまよう個体への対応の二つの選択肢 ~ 動物園での保護か生息地への移送・解放か?

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(C)Министерство охраны природы Республики Саха (Якутия)

実に興味深い事案となっているのが一昨日に「ロシア北東部サハ共和国で北極海岸より700キロも離れた内陸で野生孤児が目撃 ~ 保護に動く自然管理監督局」という投稿でご紹介した件です。こういったニュースを追っていくことはロシアというホッキョクグマの生息地を自国領内に有している国が、野生のホッキョクグマの保護についてどう考え、そして実践していくかを私たちが知ることのできる、言ってみれば現在進行形のケース・スタディのようなものであるということです。

本日の月曜日になって新しいニュースが報じられています。まず、サハ共和国の自然保護省 (Министерство охраны природы Республики Саха) が組織した専門家からなる捕獲チームのメンバーがこの個体がいると思われる場所にすでに向かったそうですが、このメンバーの見解として今回の問題のホッキョクグマの年齢を一歳、あるいは一歳未満という当初の地元の自然管理官の見立てを否定して写真や映像の判定を基にして二歳であると見解を改めたそうです。なるほど、確かに前回の投稿の写真では一歳(一歳未満)という見解には幾分無理があるだろういという気はしました。この見解に基づいて、捕獲後には動物園で保護して飼育するということの他に、場合によっては極北の地のホッキョクグマの生息地である島(ウランゲリ島などでしょう)に移送してそこで自然に戻してやるという選択肢も考慮に入れることにしたそうです。つまり、二歳(ということはもうすぐ三歳になることを意味していますが)の個体ならばすでに母親から離れて単独生活を開始した個体である可能性が大きく、その場合には自然に戻してやるほうがよいということになるというわけです。

動物園で保護・飼育するにせよ本来の生息地に戻してやるにせよ、まずは捕獲しなければ次につながっていかないというのがサハ共和国の自然保護省の現時点での見解であり、この選択肢のうちどちらを採用するかは捕獲後に決定するようです。動物園で保護するとすればまずサハ共和国のヤクーツク動物園に収容し、しかる後にモスクワ動物園に移送される見通しであることも同省によって公式に明らかにされました。

まずはなんとか無事にこの個体を早く捕獲してほしいと思います。そして果たしてどのような考え方によって今後は動物園で飼育していくか、それとも本来の生息地で解放してやるのかを決定するプロセスには興味が尽きません。私の思うところでは、捕獲した個体を観察して果たしでその個体が離乳して単独生活をすでに始めた個体であるのか、それとも母親からはぐれてしまっただけなのかをどう判断するのかということです。一つのニュースソースによれば、自然保護官はこの個体はどこか人間に親しみを持っているようであるといった印象を持っているようです。この背後の意味を考えますと、つまりこのコルィマ河の流域の村で誰かに食べ物をもらっていた形跡があるということではないでしょうか。何故この個体が北極海岸から700キロも離れた場所にいるのかという謎を解く鍵はそこにあるかもしれません。つまり、人間によって運ばれてきてある場所で食べ物をもらい、そして誰かによって別の場所に連れてこられて「捨てられた」のではないかという疑惑です。ということならば生息地に戻して解放してやるという選択肢は難しくなるかもしれません。

モスクワ動物園としては自分たちで飼育することを希望しているでしょう。ヴォロコラムスク附属保護施設での飼育になるはずです。注目して事態の推移を見守りたいと思います。

(資料)
Министерство охраны природы Республики Саха (Якутия) (Новости/Sep.25 2017 - Минприроды Якутии: решается вопрос дальнейшей судьбы белого медвежонка)
YakutiaMedia (Sep.25 2017 - Белого медвежонка, который бродит у села в Якутии, могут отправить в Московский зоопарк)
SakhaNews (Sep.25 2017 - В Якутии решилась судьба "заблудившегося" белого медведя)
SAKHALIFE.RU (Sep.25 2017 - Минприроды Якутии: решается дальнейшая судьба белого медвежонка)

(過去関連投稿)
ロシア北東部サハ共和国で北極海岸より700キロも離れた内陸で野生孤児が目撃 ~ 保護に動く自然管理監督局
by polarbearmaniac | 2017-09-26 03:00 | Polarbearology

ウクライナ・ハリコフ動物園の偉大なる母であったセヴェリャンカの姿 ~ 写真という実相を語らぬ媒体の限界

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故セヴェリャンカと三つ子の赤ちゃん (Белая медведица Северянка с малышами) Photo(C)Харьковский Зоопарк

世界の動物園で飼育されてきたホッキョクグマたちには過去に偉大な母であったホッキョクグマが何頭か存在していますが、そういったホッキョクグマたちの大部分は死後に忘れ去られてしまうといったことは珍しくありません。そういった偉大なホッキョクグマたちが飼育されていた当時に担当していた飼育員さんも年月を経て動物園から去り、そういった過去の素晴らしいホッキョクグマたちを語る証人はいなくなってしまうわけです。実に惜しいことだと思います。私は少なくとも現在、動物園で活躍しているホッキョクグマたちについては単に写真や動画だけでなく、彼ら(彼女ら)の生き様についてしっかりと記述して残しておいてやりたいと常に思っています。そうしたことはウスラーダやシモーナやララといった偉大な母であるホッキョクグマたちがいかに母親として子供たちを育て、そして彼女たちがどのようなホッキョクグマであるかを記録し続けることで実践している(してきた)と思っています。

ウクライナのハリコフ動物園で1960~70年代に偉大なる母として君臨したセヴェリャンカ(1955~?)については以前に「ウクライナ ・ ハリコフ動物園に到来した暑い夏とサーカス出身のティムの近況 ~ 同園での繁殖の歴史」という投稿の中でご紹介したことがありました。彼女は1966年から1977年にかけて13頭の子供たちを産み育てた、当時としては世界屈指の名ホッキョクグマであり、幸運なことに少なくともその名前と功績だけは現在のハリコフ動物園でも「伝説のホッキョクグマ」として記憶されているわけです。しかし彼女がどのような母親であったかを記述した文章は見つかりません。現在大規模な改造工事のために閉園中の同園の前には過去に飼育していた動物園たちの記録写真が展示されているそうで、そういった中にこのセヴェリャンカが三つ子の赤ちゃんと共に写っている写真があるそうで、冒頭の写真がそれなのです。このたった一枚の写真が何を語るかですが、私の見たところたった一枚であっても、ある程度はセヴェリャンカの偉大さを見せてくれているようにも感じます。

このセヴェリャンカはおそらく、長い時間にわたって彼女の三頭の子供たちそれぞれに対して注意力を払い続けることのできたホッキョクグマだったように推測します。そうした彼女であっても一日のちょっとした時間ではこうして居眠りをしていたのでしょう。しかし子供たちは勝手に遊び回るということをせずに母親に寄り添っているという姿を見せています。こうしたことから想像できるのは、セヴェリャンカは私の分類で言えば「関与性」の高い母親であったのではないかと考えます。そして「理性型」であるよりも「情愛型」のタイプではなかったかと推測します。ウスラーダはこういったシーンを見せることは極めて稀だったのです。つまりウスラーダは自分の子供を自分の外に存在しているものと認識するホッキョクグマであり、セヴェリャンカは子供たちを自分の一部として内側に認識していたホッキョクグマではないかとおいことです。つまりセヴェリャンカはシモーナやララに近いホッキョクグマだったのではないかと想像することはあながち間違いではないように思うわけです。

このセヴェリャンカの母親としての在り方は私の経験から導いた単なる推測にすぎず、実際はどうだったかについては今となってはわからないということです。近年において私は感じるのですが、写真といものは実はあまり多くのものを語らないと思うようになりました。動画は写真以上のものを語ることが比較的多いとも感じるようになりました。しかしそういったものよりも、「セヴェリャンカはどういう母親であったか?」、つまりセヴェリャンカの母親としての実像を明らかにできるのは当時彼女を実際に観察した人の書いた文章、あるいは証言だろうと思います。そういった当時のものを読むことができないのは非常に残念です。

(過去関連投稿)
サーカスを「引退」し余生を送るホッキョクグマ ~ ウクライナ・ハリコフ動物園のティムの夏
ウクライナ・ハリコフ動物園のティムの近況 ~ 繁殖の「過去の栄光」をどう考えるか
ウクライナ ・ ハリコフ動物園に到来した暑い夏とサーカス出身のティムの近況 ~ 同園での繁殖の歴史
ウクライナ・ハリコフ動物園のティムにとっての不安 ~ 同国の政治的混乱とハリコフ動物園の窮状
ウクライナ東部、ハリコフ動物園のティムの無事を願う ~ ウクライナの動物園に蔓延した根深い腐敗
ウクライナ、チェコ、ポーランド、スロヴァキアの四か国の動物園が「欧州スラヴ圏動物園共同体」を形成か?
ウクライナ・ハリコフ動物園のティムの知られざる過去 ~ 1998年にキエフで起きた悲劇
ウクライナ・ハリコフ動物園の最低二年間の閉園期間中での老齢のティムの健康状態と将来を憂う
ウクライナ・ハリコフ動物園がホッキョクグマ飼育にEAZA(欧州動物園・水族館協会)への依存に傾斜深める
by polarbearmaniac | 2017-09-25 03:00 | Polarbearology

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