街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

<   2017年 12月 ( 21 )   > この月の画像一覧

ロシア・クラスノヤルスク動物園のオーロラの出産準備体制に同園の大きな誤解の存在の危険性

a0151913_23253541.jpg
オーロラ  Photo(C)Олег Сергеевич Чипура

ロシア・シベリア中部のクラスノヤルスク動物園(正確には、ロエフ・ルチェイ・クラスノヤルスク動物園 - Красноярский зоопарк "Роев ручей")に暮らす12歳の雄(オス)のフェリックスと8歳の雌(メス)のオーロラのペアは共に野生孤児の出身でありこのペアの間での繁殖に成功すれば新血統の誕生になるという点で私は以前から注目しています。このペアが繁殖に成功するかどうかは世界のホッキョクグマ界では最も注目されることとなっているわけです。このペアの11月にクラスノヤルスク動物園からオーロラの出産準備体制に入ることが明らかにされていました。今月12月に入ってからの状況について同園と地元メディアは報じています。
a0151913_23341484.jpg
Photo(C)"Роев ручей" Красноярский зоопарк

クラスノヤルスク動物園ではホッキョクグマの飼育展示場の周辺では来園者は静寂を維持するように求められているそうで、上の写真のように立ち入り禁止の状態になっているそうです。総じて言ってクラスノヤルスク動物園はオーロラの出産準備についてかなり悠長なスケジュールで事を運んできているのが気になる点です。同園はホッキョクグマの平均妊娠期間を7カ月であると語り、そして地元メディアの取材に対して驚くべきことにオーロラの出産は1~2月であると語っています。これは全く不可解な認識なのではないでしょうか。以前に「ホッキョクグマの出産シーズンを迎えて ~ データを基礎にした知識・情報整理」という投稿などでもロシアの生物学者であるトゥマノフ氏の研究報告としてReproductive Biology of Captive Polar Bears (by IGOR TUMANOV. Research Institute of Nature Conservation of the Arctic and North, St. Petersburg, Russia)というデータをご紹介していますがホッキョクグマの妊娠期間(Pregnancy Duration) は164~294日です。これは確かに大雑把に言えは7カ月ということになりますが、繁殖行為の時期が遅い(つまり6月など)場合にはこの妊娠期間は短くなるという傾向が明確に示されていることをクラスノヤルスク動物園は無視しているのではないでしょうか。つまりホッキョクグマはその繁殖行為は早かろうが(2月上旬)遅かろうが(6月中旬)、出産は11~12月に行われるということなのです。クラスノヤルスク動物園はおそらくオーロラとフェリックスの繁殖行為が6月に行われたために、そこから単純に約7カ月後、つまり1~2月の出産だろうと計算しているような気がします。しかし繁殖行為が6月に行われると妊娠期間(Pregnancy Duration) は短くなるという明白な傾向があることを無視しているためにオーロラの出産予定は1~2月だなどと考えているのではないかと思うわけです。これは相当に危険な考え方だろうと思います。同園が産室準備やらモニターカメラやらの設置を随分のんびりとしたスケジュールで行ってきたことに私は疑念をもっていましたが、そういったことの理由の一端がわかったような気がします。
a0151913_0403342.jpg
フェリックス(手前)とオーロラ(奥)
Photo(C)"Роев ручей" Красноярский зоопарк

前回の投稿にも述べましたがクラスノヤルスク動物園はホッキョクグマの繁殖の経験はないわけで、物事の進め方にいささか不安を感じさせることを指摘しましたが、どうもその不安が現実のものになってきたような気がします。これはかなり心配ですね。大切な野生孤児同士のペアですのでしっかりとした情報のもとで万全を尽くしてもらいたいと思います。以下は今年の7月のフェリックスとオーロラの姿です。



(資料)
НГС.НОВОСТИ (Dec.12 2017 - Белой медведице Авроре достроили берлогу с видеонаблюдением в ожидании потомства)
НИА-Красноярск (Dec.12 2017 - В Красноярском зоопарке могут появиться белые медвежата)
Проспект Мира - Красноярск (Dec.17 2017 - Сотрудники «Роева ручья» построили белой медведице берлогу с подогревом и ждут от нее потомства)
KrasnoyarskMedia.ru (Dec.12 2017 - В "Роевом ручье" для белых медведей, ожидающих пополнения, сделали берлогу с подогревом)
Reproductive Biology of Captive Polar Bears (by IGOR TUMANOV. Research Institute of Nature Conservation of the Arctic and North, St. Petersburg, Russia)

(過去関連投稿)
ロシア・シベリア中部、クラスノヤルスク動物園の野生出身の新ペアの繁殖への期待 ~ 日本は果実を狙え
ロシア・シベリア中部、クラスノヤルスク動物園の「プール開き」 ~ 夏に向けたフェリックスとオーロラの姿
ロシア・シベリア中部、クラスノヤルスク動物園の野生出身のフェリックスとオーロラのペア形成への準備
ロシア・シベリア中部、クラスノヤルスク動物園の「国際ホッキョクグマの日」のフェリックスとオーロラの姿
ロシア・クラスノヤルスク動物園のフェリックスとオーロラの同居開始 ~ 新血統の誕生への大きな期待
ロシア・クラスノヤルスク動物園、野生出身のフェリックスとオーロラが繁殖に向け驀進
ロシア・シベリア中部、クラスノヤルスク動物園のホッキョクグマたちに欧州の来園者からプレゼント
ロシア・クラスノヤルスク動物園の新飼育展示場計画発表 ~ 欧露の「囲い込み」体制に日本はどう対応するか
ロシア・クラスノヤルスク動物園のフェリックスとオーロラ、来年の繁殖シーズンへの大きな期待
ロシア・クラスノヤルスク動物園でホッキョクグマのバレンタインデーが祝われる ~ 冬期の新しいイベント
ロシア・シベリア中部、クラスノヤルスク動物園のプール開き ~ フェリックスとオーロラの夏の季節の始まり
ロシア・中部シベリアに記録的な最高気温の夏が到来 ~ フェリックスとオーロラの夏の過ごし方
ロシアのクラスノヤルスク環境監視検察庁が監査で問題視したクラスノヤルスク動物園のホッキョクグマの移動
ロシア・シベリア中部、クラスノヤルスク動物園の7歳のオーロラに出産の期待 ~ 「新血統」の誕生なるか?
ロシア・シベリア中部、クラスノヤルスク動物園のオーロラの出産準備体制 ~ 一抹の不安を感じる経験不足
by polarbearmaniac | 2017-12-13 01:00 | Polarbearology

ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、元気に生後四日目が経過

a0151913_2244363.jpg
Photo(C)Tierpark Berlin

12月6日、あるいは7日にドイツのベルリン動物公園でトーニャお母さんから誕生した赤ちゃんですが、同園はその続報を発表しています。赤ちゃんは元気でいるそうです。すでに誕生後四日目にはいっていて最初の最も厳しい第一関門は突破しています。月曜日の朝にトーニャお母さんは初めて産室の隣の部屋に行って水を飲んだそうです。産室内の様子が公開されましたので見てみましょう。音声は必ずonにして下さい。



トーニャお母さんに抱かれると赤ちゃんは安心するらしく泣くのを止めています。トーニャお母さんはなかなか堂に入った母親振りです。このトーニャはTonjaと綴るのですがドイツ人はおもしろいことに "トンヤ" と発音する人が比較的多いようです。つまりドイツ語圏では "Ton" と "ja" を分けて発音するほうがしっくりくるのでしょう。この名前は本来ロシアの名前ですので "To" と "nja" に別れるわけで、こういった発音の違いは興味のあるところです。ベルリンのブランデンブルク放送が12月8日に赤ちゃん誕生のニュースを報じていますのでこちらでご覧ください(12月16日まで視聴可能です)。

(資料)
Tierpark Berlin (Dec.11 2017 - Tonjas Wochenstart)
Tagesspiegel (Dec.11 2017 - Kuschelfoto vom neuen Eisbär-Baby)

(過去関連投稿)
ベルリン動物公園でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生! ~ 一頭は死産でもう一頭は生存中
by polarbearmaniac | 2017-12-12 00:15 | Polarbearology

大阪・天王寺動物園のシルカの満四歳を祝うイベントが開催される

a0151913_0595661.jpg
シルカ (Белая медведица Шилка/Eisbärin Shilka)
(2017年5月17日撮影 於 大阪・天王寺動物園)

ロシア・ノヴォシビルスク動物園で2013年12月11日に誕生した雌(メス)のホッキョクグマであるシルカの満四歳を祝うイベントが10日に大阪の天王寺動物園で開催されたとのことです。早いものですね。そのイベントの様子を見てみましょう。




Shilka the Polar Bear celebrates her 4th birthday at Tennoji Zoo, Osaka, Japan, on Dec.10 2017.

四歳といえば繁殖への挑戦ができる年齢になったとは言えます。つまり来年の春から雄(オス)との同居を始めることの年齢になったとは言えます。しかし日本においては四歳から繁殖を試みるといったことはありません。ロシアだったらやるでしょう。たとえばペルミ動物園のミルカ(ユムカ)は今年の春、つまり四歳で繁殖の舞台に立ち11月に出産しました。ただ育児には成功しませんでした。しかし出産したという事実は大きな意味を持ち、来年以降は非常に期待できる状況です。シルカの場合は多分、彼女が6歳になってから繁殖が試みられるように思います。だいたいそれが日本のホッキョクグマ界の「相場感」でしょう。ということは2020年の繫殖シーズンからシルカは繁殖に挑むということになるだろうと思います。私が「大阪・天王寺動物園がゴーゴの帰園に対する考え方を発表 ~ 両立せぬ大阪と白浜の飼育・展示方針」という投稿でゴーゴの帰園時期は早くても2019年と述べたのはそういった意味からです。


ノヴォシビルスク動物園でのシルカ - Shilka the Polar Bear cub at Novosibirsk Zoo/Белый медвежонок Шилка в Новосибирском зоопарке

(資料)
NHK (Dec.10 2017 - ホッキョクグマ 4歳のイベント)
あべの経済新聞 (Dec.11 2017 - 天王寺動物園でホッキョクグマ「イッちゃん」の誕生日祝う サケをプレゼント)
НГС.НОВОСТИ (Dec.11 2017 - Ведро подарков: японцы поздравили Шилку с четвёртым днём рождения)
Вести Новосибирск (Dec.11 2017 - Новосибирцы поздравили медведицу Шилку с четвертым днем рождения)

(過去関連投稿)
ロシア、ノヴォシビルスク動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ ロッシーの双子兄弟が父親となる
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園で誕生の赤ちゃん、ゲルダお母さんと共に初めて戸外へ!
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園で戸外に登場したゲルダお母さんと赤ちゃんの追加画像
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの戸外映像 ~ ゲルダとクラーシンの幼年時代
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの戸外映像追加 ~ 絵になる親子
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園で誕生の赤ちゃんの性別は雌(メス)と判明
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のゲルダお母さんと雌の赤ちゃんの週末
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の雌の赤ちゃんの名前の公募始まる
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の雌の赤ちゃんの近況  ~ 名前公募の一次募集が終了
ロシア、ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの選考候補名が決まる ~ なんと"ミユキ" (美雪)も候補に
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの命名決定投票の中間結果が発表される
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の雌の赤ちゃんの名前が 「シルカ」 に決定
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の6歳のゲルダお母さんの育児に同園が高い評価を与える
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のゲルダお母さんと娘のシルカの展示場にライブカメラ設置!
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のライブカメラ映像に見るゲルダお母さんとシルカとの関係
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシルカの入手を狙う日本の動物園 ~ 売却金額は三千万円前後か?
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のゲルダお母さんとシルカとの関係を探る ~ 映像分析は難解
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のゲルダお母さんと娘のシルカのライブ映像が大人気
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子の展示場改修工事が終了 ~ 映像配信再開へ
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のシルカの旅立ちの日近づく ~ 移動先は日本の動物園か?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとシルカの母娘が本日突然永遠の別れ ~ ゲルダお母さんの動揺
ロシア・ノヴォシビルスク動物園で別離したゲルダお母さんと娘のシルカの近況 ~ 母娘共に依然として動揺
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のゲルダとシルカの母娘をめぐってシロ園長の発言
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園で母親と別離したシルカの奇妙な常同行動への同園の解釈
ロシア、ノヴォシビルスク動物園でクラーシン(カイ)とゲルダの再会、同居開始の光景に割れる市民の意見
「ホッキョクグマ飼育マニュアル(Care Manual)」よりの考察(11) ~ 母子をいつ引き離すか
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園のシロ園長が批判する近年の欧米の 「三年サイクルの繁殖」
ロシア、ノヴォシビルスク動物園のシルカの今春来日が決定的! ~ 日本の動物園との契約の締結が完了
ロシア、ノヴォシビルスク動物園のシルカは3月に来日の模様 ~ 地元のファンのシルカへの熱い想い
ロシア、ノヴォシビルスク動物園がシルカの出発情報に職員に固い緘口令を敷く ~ 約一か月半後に来日
ロシア、ノヴォシビルスク動物園の 「国際ホッキョクグマの日」 のゲルダ、クラーシン、そしてシルカの姿
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシルカの来日後に彼女を飼育するのはどの動物園なのか? (上)
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシルカの来日後に彼女を飼育するのはどの動物園なのか? (下)
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシルカの近況 ~ 「ヒガシアサヒカワ・アサヒカワドウブツエン...」
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシルカが大阪・天王寺動物園へ! ~ 「ロシア血統の闇」の深淵を覗く
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシルカ (Шилка Красиновна) の偉大で華麗な血族たち
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシルカの移動日程を知らされぬ現地ファン ~ 送り出す側の方々の心境
ロシアのコムソモリスカヤ・プラウダ紙がノヴォシビルスク動物園のシルカの移動日程、移動先を報じる
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシルカがノヴォシビルスクを出発し空路モスクワへ ~ 日本への旅立ち
「ロシア血統の謎」に迫る(1) ~ ラスプーチン、ゲルダ、血統番号2893個体の三頭の謎を追う
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシルカの出発に感じた後味の悪さ ~ 大阪市発表を知らなかったロシア側
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシルカが無事日本に到着 ~ 天王寺動物園にライブカメラ設置を要請の意向
ロシアのマスコミがシルカの大阪・天王寺動物園到着を報じる ~ 「売却金額は約43万ドル」 は事実か?
大阪・天王寺動物園のシルカの「放飼練習」がマスコミに公開 ~ Шилка вышла в свет !
大阪・天王寺動物園のシルカの一般公開が開始 ~ 「園付き個体(Polar Bears in residence)」の意義
ロシアのノヴォシビルスク市長が日本の原田駐露大使に大阪・天王寺動物園のシルカへの配慮を要請
大阪・天王寺動物園のシルカの近況とノヴォシビルスク動物園のシロ園長の発言を報じるロシアのTV映像
大阪・天王寺動物園のシルカ(Шилка)がマザーケア(Mothercare)社の子供衣料品で再び世界へ
アイラとシルカ、二つの光 ~ "Der Sonnenschein in Aïra" und "Das Mondlicht auf Shilka"
シルカ(ノヴォシビルスク動物園)の2014年3,4月の成長を映像で追う ~ 親子関係変質の萌芽を探る
シルカ(ノヴォシビルスク動物園)の2014年5,6,7月の成長を映像で追う ~ 一筋縄ではいかぬ親子関係
シルカ(Шилка)、その成長の軌跡 ~ 来園者の心の中に「物語」を作り出す稀有のホッキョクグマ
Исполнения всех желаний! С днём рождения, Шилка!

(2014年9月ノヴォシビルスク動物園訪問記)
◎2014年9月11日(木曜日)訪問
・リバーパークホテルからノヴォシビルスク動物園へ ~ ホッキョクグマたちに御挨拶
・容姿端麗なゲルダお母さん、その娘への態度に見る子育て初体験の初々しさ ~ 育児スタイルを模索中
・シルカ、順調に成長を遂げるその素顔
◎2014年9月12日(金曜日)訪問
・ノヴォシビルスク動物園訪問二日目 ~ ゲルダお母さんとシルカの不安定な関係
・ゲルダの将来への道のりと課題 ~ 一頭の母親と一頭の雌の二役の演技の動機となっているもの
・シルカ、その聡明かつ醒めた知性が発散する魅力 ~ ミルク、マルル、ポロロを超える逸材か?
・クラーシン(カイ)の性格とその素顔 ~ 双子兄弟のピョートル(ロッシー)との違い
◎2014年9月13日(土曜日)訪問
・ノヴォシビルスク動物園訪問三日目 ~ "Pour que Gerda et Shilka soient heureuse..."
・シルカちゃん、ゲルダさん、クラーシン君、お元気で! そしてまた会う日まで!
(大阪・天王寺動物園訪問記
(*投稿準備中) シルカ(Шилка)、その色褪せない怜悧な魅力
(*投稿準備中) シルカ(Шилка)の日曜の初夏 ~ ノヴォシビルスク時代と変わらぬ姿
シルカ (Шилка)、生後一歳半となる ~ 「豊饒な深み」と「黒光りする陰影」を湛えたホッキョクグマ
シルカ (Шилка)、日曜日の午後の饗宴 (*投稿準備中)
シルカ (Шилка)、その印象の厚みと深さ ~ ララファミリーの個体の対極にある、ロシア的存在感
梅雨期らしからぬ爽やかな日の大阪、バフィン、モモ、シルカ(Шилка)の気ままな日曜日
真夏の気配濃厚な大阪の水曜日のシルカ、その刺激に対する反応と行動の一日を分類する
シルカ(Shilka/Шилка) に漂うロシア的雰囲気を感じて先日のロシア滞在を懐かしむ
暑さを無視したシルカ(Шилка)の生活ペースの確立 ~ "Mein Lebenslauf ist Lieb' und Lust"
シルカ(Шилка)の演じる"Notte senza fine" という名の「ドラマ・ジョコーソ(Dramma giocoso)」
柔和さと冷静さと理性、そして落ち着きを見せるシルカ(Shilka/Шилка) こそがララの後継熊なのか?
シルカ(Шилка)、その好奇心を駆り立てるもの ~ 多層的エンリッチメントの見事な成果
午後から雨が落ちた大阪、シルカ(Шилка)、バフィン、そしてモモの勤労感謝の日の月曜日
シルカ(Шилка)、その饗宴の後の展示場不退去 ~ "La valse langoureuse après le déluge"
シルカ(Шилка)、その魅力を引き出すもの ~ エンリッチメントの属人化を憂う
師走の日曜日の賑わいと元気なシルカ(Шилка) の姿 ~ 今年最後の天王寺動物園訪問
シルカ (Шилка)、その成長と抽出された長所のエキス部分 ~ Shilka retrouvée ....
シルカ (Шилка) の一日 ~ 授与物よりも授与者を重視するシルカと、正反対のララの娘たちとの関係
by polarbearmaniac | 2017-12-11 01:30 | Polarbearology

エストニア・タリン動物園のノルト、新飼育展示場への移動を依然として拒否 ~ 苦慮する同園

a0151913_1743647.jpg
ノルト Photo(C)Postimees

エストニアのタリン動物園では長い間念願だったホッキョクグマの新しい飼育展示場が完成しすでのフリーダとアロンの親子はそこに移っているるものの16歳の雄(オス)のノルト (Nord) は移動用ケージに入ることを拒否したままである件はすでにご紹介しています。そういった状態は現在も続いているそうでタリン動物園としては依然として苦慮している状態のようです。そういったノルトの様子をタリンのTV局が報じていますので見てみましょう。以下をワンクリックしてみて下さい。
a0151913_17443696.jpg

このノルトは2001年11月にウィーンのシェーンブルン動物園で生まれた後に2003年から2008年までノヴォシビルスク動物園で暮らし、その後は半年ほどモスクワ動物園で暮らした後に2009年からタリン動物園で暮らしています。そういった過去の移動用ケージでの移動の際に不愉快な体験をしたらしく、もうそういったことはいやだという意思が働いているようです。移動用ケージの中に好物を置いてもそういったものには騙されないという気持ちになっているのでしょう。広くて快適な飼育展示場に移れるなどということを彼は全く理解していませんから狭くても住み慣れた場所に留まりたいという気持ちなのでしょう。
a0151913_2345487.jpg
ノルト Photo(C)LIIS TREIMANN/PM/SCANPIX BALTICS

札幌の円山動物園の新しい飼育展示場への移動はケージを用いなくて可能だそうですが私はその移動の際にはどのようなことになるのかは興味のあるところです。ララは極めて警戒心が強いですから、飼育員さんが誘導してもおいそれとは自らすすんで動こうなどという気持ちはないでしょう。さらにデナリは「住めば都」といった気持ちの強いホッキョクグマです。今までとは異なり彼もすんなりとは協力してくれないかもしれません。しかしそもそも私の理解では円山動物園の現在の飼育展示場にはララとデナリは残留するものだとばかり思っていました。同園は以前から複数ペアによる繁殖を狙うと述べていましたから新飼育展示場の主はララの子供達だとばかり思っていました。いろいろな事情もあるのでしょうがララとデナリはこのタリン動物園のノルトのように移動を拒否する可能性はあるかもしれません。タリン動物園はいったいどうやってノルトを新しい飼育展示場に移すのかに注目したいと思います。最後の手段としては麻酔を打って眠らせてという方法はありますが、果たしてそこまでノルトが頑張るのかにも注目したいところです。

(資料)
Postimees (Dec.9 2017 - Vaata, miks pole Tallinna loomaaia jääkaru Nord end veel uues polaariumis sisse seadnud?)

(過去関連投稿)
エストニア・タリン動物園で秋の新飼育展示場オープンを待つホッキョクグマたち
エストニア・タリン動物園のフリーダとアロンの親子が完成した飼育展示場へ移動
エストニア・タリン動物園の新飼育展示場にフリーダとアロンの親子が初めて登場 ~ 落ち着かない親子の様子
エストニア・タリン動物園、苦節36年の果てに悲願の新ホッキョクグマ飼育展示場が完成
エストニア・タリン動物園の新ホッキョクグマ飼育展示場が公式にオープン ~ 日に日に環境に慣れる親子
エストニア・タリン動物園に降った雪、そしてフリーダと間もなく満一歳になるアロンの親子の様子
エストニア・タリン動物園、新しい飼育展示場で伸び伸びと行動するフリーダとアロンの親子
エストニア・タリン動物園のノルトが新飼育展示場への園内移動に必死に抵抗 ~ 「住めば都」の狭い旧展示場
エストニア・タリン動物園のノルトが新飼育展示場への園内移動に必死に抵抗 ~ 「住めば都」の狭い旧展示場
by polarbearmaniac | 2017-12-11 00:30 | Polarbearology

カザフスタン・アルマトイ動物園のアリコルが28歳となる ~ 故スネジンカ、コメタを想う

a0151913_17541422.jpg
アリコル (Белый медведь Алькор / Eisbär Alkor)
Photo(C)Руслан Канабеков

中央アジアのカザフスタンのアルマトイ動物園に暮らす雄(オス)のホッキョクグマのアリコルが去る12月1日に満28歳の誕生日を迎えました。彼は1989年12月1日にロシア西端のカリーニングラード動物園で誕生しています。母親は故スネジンカです。このスネジンカというホッキョクグマは私が今まで会ったホッキョクグマの中でも非常に強い印象を残したホッキョクグマの一頭でした。私はこのスネジンカが38歳を目前にして亡くなる僅か一か月半前にカリーニングラードを訪れて彼女に会うことのできた体験は実に素晴らしいものでした。それについては下の過去関連投稿の「カリーニングラード動物園関連」の投稿を御参照下さい。
a0151913_1835670.jpg
アリコル Photo(C)Руслан Канабеков

そのスネジンカの息子がこのアルマトイ動物園のアリコルなのです。そしてそういった意味つまり血統面での彼への関心は同時に、彼がカリーニングラード動物園からアルマトイ動物園に移動して以来、劣悪な飼育環境に暮らし続けてきたという状況への同情という面における関心が重なっているというわけです。しかし27歳となっていたアリコルは今年の夏にようやく芝のある新しい飼育展示場に移ることができたというニュースを大きな喜びを持って受け止めることができたことは幸運だったと思います。
a0151913_17473986.jpg
(C)Алматинский зоологический парк

このアリコルの満28歳の誕生会が7日の11時からアルマトイ動物園で開催されました。その様子をご紹介しておきましょう。二番目の映像は写真をワンクリックしていただくと開始画面が現れます。



a0151913_17362257.jpg

アリコルは今年の6月に旧展示場の隣の新しい飼育展示場に移ったわけですが、それ以降の彼の変化についてですが食欲が増して体重も増えたとのことです。特に鮭が好物だそうで毎日食べているとのことです。全体的な健康状態が非常に良好になって、やはり芝と大きなプールのある新しい飼育展示場への移動は彼にとって全てがプラスに働いているようです。この新しい飼育展示場を増設する資金を全額負担したのはセルゲイ・スピーツィン氏という実業家なのですがスピーツィン氏が子供のころにアルマトイ動物園を訪れて最もお気に入りだったのがホッキョクグマのアリコルだったそうです。当然その頃はアリコルは劣悪な飼育環境で暮らしていたわけですが、そういったアリコリにもっと良い環境を与えてやりたいというのが子供のころからのスピーツィン氏の夢だったそうです。そしてとうとうそれを実現したというわけです。地元のファンの一部には、何故ホッキョクグマだけが新しい飼育展示場が与えられて他のクマは依然として惨めな状態で飼育され続けているのかといった不満の声も湧いてきたわけすが、資金を負担するスピーツィン氏にとってみれば自分はホッキョクグマだけに関心があったのだというわけで他のクマの新しい飼育展示場建設への資金負担を行う気持ちは全く無いようです。それについてはアルマトイ動物園が建設することになっています。ただしそれがいつになるのかは明らかになっていません。

そういった地元のいろいろな思惑はともかくとしてアリコルにはまだまだ元気で暮らしていってほしいものです。カリーニングラード動物園で私が魅了されたスネジンカの血は息子であるこのアリコルからチェコ・ブルノ動物園のウムカ(あのコーラのパートナー)、そしてウムカの子供であるコメタ(ロストフ動物園)へと繋がっており、今年の夏にロストフ動物園でコメタに会った時に私は6年前のカリーニングラードでのスネジンカの姿を懐かしく思い出していました。

(資料)
Вечерний Бишкек (Dec. 7 2017 - Старейший белый медведь отметил день рождения в зоопарке Алматы)
BNews.KZ (Dec.7 2017 - Старейший белый медведь отметил день рождения в зоопарке Алматы)

(過去関連投稿)
カザフスタン・アルマトイ動物園、アリコルの独居の「孤独」
カザフスタン ・ アルマトイ動物園に暮らすアリコルへの朗報 ~ 動物園大改修計画による飼育環境改善へ
カザフスタン・アルマトイ動物園のアリコルの近況 ~ 地元のファンの温かいまなざし
カザフスタン・アルマトイ動物園の「国際ホッキョクグマの日」のアリコルの姿 ~ 氷のケーキのプレゼント
カザフスタン・アルマトイ動物園のアリコルの夏の日 ~ 情報の少ない旧ソ連圏のホッキョクグマたち
カザフスタン・アルマトイ動物園のアリコルが飼育展示場で三匹の猫たちと平和に共存
カザフスタン・アルマトイ動物園、アリコル(Алькор) の「国際ホッキョクグマの日」
デンマークのオールボー動物園が雌のメーリクとヴィクトリアのパートナー候補の雄を世界中に求めて調査中
カザフスタン・アルマトイ動物園がアリコルのパートナー探しを開始 ~ 旧ソ連圏の事情の背景を読む
カザフスタン・アルマトイ動物園のアリコルの近況、そして同園のスキャンダルと背後の「黒い影」
カザフスタン・アルマトイ動物園のアリコル、抜歯治療はX線検査の結果次第とモスクワ動物園主任獣医が診断
カザフスタン・アルマトイ動物園がモスクワ動物園主任獣医の診断に反発 ~ アリコルのX線検査は様子見へ
カザフスタン・アルマトイ動物園のアリコルが病気であることを同園が明らかにする
カザフスタン・アルマトイ動物園のアリコルの近況 ~ 新飼育展示場の建設へ同園の背負う課題
カザフスタン・アルマトイ動物園のアリコルの27歳の誕生会が開催 ~ 動向不明期間が長い旧ソ連圏の個体
カザフスタン・アルマトイ動物園のアリコルの新しい飼育展示場が完成 ~ 27歳で初めて芝のある飼育展示場へ
(*カリーニングラード動物園関連)
カリーニングラード動物園を訪ねる ~ 老ホッキョクグマの姿を求めて
世界最高齢のホッキョクグマ、間もなく38歳になるスネジンカの姿に感激!
カリーニングラード動物園訪問2日目 ~ スネジンカさん、お元気で! 必ずまたお会いしましょう!
ロシア・カリーニングラード動物園のスネジンカ、その日常の姿(1) ~ 遠征での映像より
ロシア・カリーニングラード動物園のスネジンカ、その日常の姿(2) ~ 遠征での映像より
ロシア・カリーニングラード動物園のスネジンカ、その日常の姿(3) ~ 遠征での映像より
ロシア・カリーニングラード動物園、最高齢のスネジンカ逝く...
ロシア・カリーニングラード動物園で一昨年亡くなった故スネジンカのソ連時代 (1980年) の貴重な映像
by polarbearmaniac | 2017-12-10 00:30 | Polarbearology

ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のハールチャーナへの市民の関心の高さ

a0151913_1653992.jpg
ハールチャーナ Photo(C)Ленинградский зоопарк

ロシア北東部・サハ共和国のヤクーツク動物園から12月1日にサンクトペテルブルクのレニングラード動物園に移動してきた一歳になったばかりの雌(メス)のハールチャーナ (Хаарчаана) ですがサンクトペテルブルクの市民の関心は大変に高いようです。同市のメディアのほとんどがレニングラード動物園に来園したハールチャーナの引き渡し式の様子を映像で報じています。私も先日の投稿でそういったニュース映像をかなりご紹介したのですが、その時にご紹介できなかったニュース映像はまだいくつかありますのでここでそれらを含め、他の映像もご紹介しておきたいと思います。まず最初の映像はニュース映像ではないのですがこのハールチャーナの引き渡し式を取材に来た地元メディアのカメラマンの様子などが映っています。こういった感じでは撮影の場所を確保するのが大変だったでしょう。引き渡し式は15時から行われたそうですが、その時刻からだんだんと暗くなっていく園内の様子をうまくとらえています。薄暗い園内でのウスラーダの様子も挿入されています。そして最後には夜の闇があたりを覆うといったかなり凝った映像ですが、なかなか素晴らしいと思います。



それから次はレニングラード動物園の公式映像です。動物園のスタッフならば人止め柵を越えて撮影できるといったアドバンテージがあります。但しこの映像は引き渡し式の映像ではなく多分ハールチャーナを移動用ケージから出した後の映像のような気がします。



次はロシアの国営放送のニュース映像ですが日本ではNHKのようなものと考えていいでしょう。非常にオーソドックスな報道のやり方だと思います。下の写真をワンクリックして下さい。
a0151913_16235252.jpg

次は民放のニュース映像ですが非常に美しくて素晴らしいと思います。サンクトペテルブルクのこの時期の寒さが映像から伝わってきます。途中にハールチャーナの父親であるロモノーソフがまだウスラーダと同居していた幼年期の映像も挿入されています。ワンクリックして下さい。
a0151913_19362194.jpg

次も民放の映像です。スキーバ園長がウスラーダのそばでインタビューに応じていますがウスラーダは園長さんを無視しているようです。



次は政府系メディアである Russia Today の映像です。



次はサンクトペテルブルクの放送局ではなくヤクーツクの放送局のニュース映像です。



ロシアの都市で最もホッキョクグマに関するニュースが報じられるのはサンクトペテルブルクでしょう。ウスラーダの赤ちゃんの屋外デビューとか、他園への移動とかについてサンクトペテルブルクのメディアは各社こぞって映像入りのニュースを放送します。サンクトペテルブルクというのは革命前の帝政ロシア時代はペテルブルグと呼ばれて首都だったわけですが、現在でも歴史・文化・芸術の雰囲気が漂う素晴らしい都市です。日本からロシアへの観光旅行客はあまり多くはないのですが、しかしいざロシア旅行となるとほとんどの旅行者は必ずサンクトペテルブルクを訪問します。観光地としての魅力が非常に大きいですね。そういったこの街でメディアの報道では政治、文化を含めた非常に多くの情報、話題が報じられていますがホッキョクグマに関するニュースについても各報道の内容はなかなか充実しています。それはやはり人々の関心があっての話なのです。ウスラーダと故メンシコフという繁殖に輝かしい実績を持つホッキョクグマたちを擁してレニングラード動物園はホッキョクグマに関しては世界でも屈指の動物園である(あった)わけですが、いかんせん飼育環境が良好ではないのが問題でした。しかし今回のハールチャーナの来園は彼女がウスラーダの孫であると同時にウスラーダの後継のホッキョクグマとしてこの街でホッキョクグマの繁殖を担っていくということですから人々にとっては「ウスラーダ王朝」の世代交代といった意味で注目しているということなのでしょう。ホッキョクグマはレニングラード動物園にあってはやはり別格の存在なのです。

(資料)
Ленинградский зоопарк (Новости/Dec.7 2017 - В Ленинградском зоопарке торжественно встретили белую медведицу Хаарчаану.)
ГТРК Санкт-Петербург (Dec.6 2017 - Якутия подарила Ленинградскому зоопарку белую медведицу Снежинку, близкую родственницу знаменитой Услады)
Фонтанка.Ру (Dec.8 2017 - Белый медвежонок Снежинка переехала в Ленинградский зоопарк)
Общественное телевидение России (Dec.8 2017 - В Ленинградский зоопарк из Якутии перевезли самку белого медведя)
RT на русском (Dec.7 2017 - Медведица по имени Снежинка: пополнение в Ленинградском зоопарке)
МИР 24 (Dec.7 2017 - Медведица Снежинка поселилась в Ленинградском зоопарке)
ТВ Центр (Dec.7 2017 - Ленинградскому зоопарку передали медвежонка Снежинку)
Sputnik Узбекистан (Dec.7 2017 - Пушистая Снежинка: медведица из Якутии переехала к бабушке в Петербург)
78.ru (Dec.7 2017 - В Ленинградском зоопарке встретили Снежинку)
Комсомольская правда - Санкт-Петербург (Dec.8 2017 - Снежинка прилетела в Ленинградский зоопарк)

(過去関連投稿)
ロシア・ヤクーツク動物園のハールチャーナが11月にサンクトペテルブルクのレニングラード動物園へ
ロシア・サハ共和国、ヤクーツク動物園のハールチャーナが間もなく満一歳へ
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園がヤクーツク動物園のハールチャーナの12月来園を告知
ロシア北東部 ヤクーツク動物園のコルィマーナが娘ハールチャーナとの別れが迫ったことを直感的に理解
ロシア北東部 ヤクーツク動物園のハールチャーナが満一歳となる ~ ゲルダ/シルカの先例を危惧する同園
ロシア・ヤクーツク動物園のハールチャーナが本日ヤクーツクから予想外の出発 ~ 親子の永遠の別れの唸り声
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園でハールチャーナ到着の日のウスラーダの姿
ロシア・サンクトペテルブルクのレニングラード動物園に到着したハールチャーナの姿
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園でハールチャーナの引き渡し式が行われる
by polarbearmaniac | 2017-12-09 00:30 | Polarbearology

ベルリン動物公園でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生! ~ 一頭は死産でもう一頭は生存中

a0151913_18351322.jpg
トーニャお母さんと赤ちゃん Photo(C)Tierpark Berlin

旧東ベルリンのフリードリヒスフェルデにあるベルリン動物公園 (Tierpark Berlin) から発表がありました。同園で飼育されている8歳になったばかりのトーニャが昨日12月7日の木曜日の朝に産室内で一頭の赤ちゃんを出産したとのことです。その出産の瞬間の映像を同園が公開していますので見てみましょう。これは数あるホッキョクグマの出産シーンの映像の中でも最も素晴らしいものの一つでしょう。トーニャは自分が出産したことの意味を完全に認識し、そして育児へと向かう姿勢を見せています。



あとからの映像解析では実はトーニャは前夜(つまり12月6日の夜)に二頭を出産していたものの最初に産んだ一頭は死産だった模様で彼女は食害という方法でその赤ちゃんを「処置」し、そして残った赤ちゃんについては7日の朝8時に飼育員さんがモニターカメラの映像によって初めて見つけたということが正式な状況だそうです。となれば現在生きている赤ちゃんの誕生日は12月6日が正式なものかもしれません。上の映像は二頭目の赤ちゃん、つまり現在生存している赤ちゃんの誕生シーンということになります。

トーニャは昨年も双子の赤ちゃんを出産しており、そのうちの一頭は早く死亡し、残る一頭である雄(オス)のフリッツは一般公開を目前にした時期に亡くなってしまったということがありベルリン動物公園としてはまだまだこれからが問題であると非常に緊張した態度でモニターカメラの映像を見つめているといった段階です。同園の主事であるジックス氏はインタビューに答える形で、授乳音がすでに確認できていると語っています。ベルリン動物公園は昨年同様、ホッキョクグマの赤ちゃんの生後10日間の生存率は50%であると語っています。

まず最初の生後72時間の第一関門があるわけですが、現在の一頭の赤ちゃんは授乳音が確認されていますので第一関門は生後一日ほどで早々と突破していることになります。ですから同園はもう赤ちゃん誕生の事実を公表したのでしょう。ただしベルリン動物公園は一般で言うところの第一関門、つまり生後72時間以内に授乳音が確認できるかといった時点ではなく、それらを取り込んだ生後10日間を第一関門ととらえていることは昨年のフリッツ誕生の時もそうでした。こういったあたりは考え方の違いだと思います。そういったことはともかくとして、ベルリン動物公園のスタッフの方々の緊張した時間はまだまたこの先も長く続くことは間違いありません。このような早い時期に赤ちゃん誕生の事実を発表してしまうと、それ以降は比較的頻繁に現状報告を公表せねばならなくなり、また赤ちゃんが死亡すればその死因云々といったことを述べねばならなくなるわけで担当者としてはまるで十字架を背負ったような状況になるのですが、そうすることの意義は赤ちゃんの成育をファンと共に見守っていくという姿勢を重視するわけです。デンマークの動物園も非常に発表が早いわけで、特にスカンジナヴィア野生動物公園などは一般に対して徹底的に説明を行うという態度で赤ちゃんお情報を次から次へと発表することに特徴があります。一方でロシアやアメリカの動物園は赤ちゃんの情報を非常に少なくしか公表しません。これはあらぬ憶測を防ぎたいということなのだろうと思います。

(資料)
Tierpark Berlin (Dec.8 2017 - Späte Nikolaus-Überraschung im Tierpark Berlin)
Berliner Morgenpost (Dec.8 2017 - Tierpark Berlin: Eisbären-Dame Tonja bringt Baby zur Welt)
Berliner Zeitung (Dec.8 2017 - Nachwuchs im Tierpark So sieht Berlins neues Eisbärenbaby aus)
Tagesspiegel (Dec. 8 2017 - Eisbären-Nachwuchs in Berlin geboren)
B.Z. Berlin (Dec.8 2017 - Überraschung! Berlin hat wieder einen Mini-Eisbären!)

(過去関連投稿)
ベルリン動物公園がトーニャの出産準備体制へ ~ 自ら産室に入ったトーニャの出産は間近か?
(*2016年のトーニャの出産関連)
ベルリン動物公園(Tierpark Berlin)でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生! ~ 第一関門は週末
ベルリン動物公園で誕生の双子の赤ちゃん、第一関門の生後72時間を見事に乗り切る ~ 授乳音確認
ベルリン動物公園で誕生の双子の赤ちゃんは生後五日を乗り切る ~ 生後10日間を最初の関門ととらえる同園
ベルリン動物公園で誕生の双子の赤ちゃん、一頭が産室内で姿を消す? ~ 生存は一頭と同園が発表
ベルリン動物公園、産室内のトーニャお母さんに若干の余裕が生まれる ~ 隣室での水分補給
ベルリン動物公園の赤ちゃんが生後20日が経過 ~ 産室内のトーニャお母さんにニンジンとリンゴの差し入れ
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、生後25日が経過し前脚で踏ん張って前に進もうとし始める
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、順調に満一ヶ月へ
ベルリン動物公園のトーニャお母さんと生後一か月を越した赤ちゃんの様子が公開
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、生後40日で立ち上がり始める ~ 同園がトーニャを「熟練の母親」と評価
ベルリン動物公園のヴァロージャ(Володя/Wolodja)の来園の経緯 ~ 霧の中に浮かぶ真相
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、生後50日が経過する
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、生後約二ヶ月が経過
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんの性別は雄(オス)と判明 ~ "Es ist ein Junge!"
ベルリン動物公園の雄(オス)の赤ちゃんの故クヌートと重なり合うもの、合わないもの
ベルリン動物公園のトーニャお母さん、散らかった床を片付ける ~ 初めて肉に挑戦した赤ちゃん
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんの命名投票が始まる
ベルリン動物公園で誕生の雄の赤ちゃんの名前が "フリッツ(Fritz)" に決まる
ベルリン動物公園がフリッツのために飼育展示場を一部改修の予定 ~ 父親のヴァロージャはベルリン動物園へ
ベルリン動物公園の赤ちゃん、フリッツの近況 ~ 「国際ホッキョクグマの日」に間に合わない一般公開
ベルリン動物公園のフリッツが間もなく生後四カ月へ ~ 自分での行動よりも母親の真似の段階
ベルリン動物公園の赤ちゃん、フリッツの一般公開は三月中~下旬の予定
ベルリン動物公園がフリッツのために飼育展示場を一部改修の予定 ~ 父親のヴァロージャはベルリン動物園へ
ベルリン動物公園の赤ちゃんのフリッツが肝臓に広範囲の炎症で重体となる ~ 憂慮すべき病状
ベルリン動物公園の生後四カ月の赤ちゃんのフリッツが死亡! ~ さようならフリッツ......
ベルリン動物公園のトーニャが息子のフリッツと引き離された後の状態 ~ 難しい今年のシーズンの繁殖再挑戦
ベルリン動物公園のトーニャが息子フリッツの死後初めて屋外に登場 ~ 世界中からの弔意に感謝する同園
ベルリン動物公園で死亡した赤ちゃん、フリッツの死因が依然として不明 ~ ヴァロージャが同園に帰還へ
(*2013年1月 ベルリン動物公園訪問記)
旧東ベルリンのベルリン動物公園へ ~ アイカとトーニャの2頭の雌に御挨拶
トーニャの素顔 ~ その怜悧な性格の魅力
32歳となったアイカの素顔 ~ 老いを感じさせぬプライドの高さと足腰の強靭さ
(*2013年12月 ベルリン動物公園訪問記)
ベルリン動物公園 (Tierpark Berlin) を訪問 ~ アイカ、トーニャ、ヴァロージャの奇妙な三頭同居
33歳になったアイカ、その誇り高きプライド ~ 心配される足腰の衰え
ヴァロージャ (Володя) の素顔 ~ シモーナお母さんの三つ子の一頭は「慎重派ちゃん」?
トーニャの素顔、そしてその血統の謎に迫る ~ 北京に負けたベルリン
by polarbearmaniac | 2017-12-08 18:00 | Polarbearology

ロシア・ノヴォシビルスク動物園で二歳となったロスチク ~ 欧州行きの可能性は消えた模様

a0151913_084742.jpg
ロスチク (Белый медведь Ростик/Eisbär Rostik)
Photo(C)Новосибирский зоопарк

ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクが12月7日に満二歳となりました。まずはその誕生日にお祝いの気持ちを表したいと思います。彼は母親であるゲルダの第二子であるものの。第一子であるシルカの場合とは異なりすでに母親から引き離されて、もう一年以上もノヴォシビルスク動物園に留まっていることになります。ロスチクが同園に待機している理由としては欧州のEAZAのコーディネーターがロスチクの欧州への移動先の選定が行われ、それに従ってノヴォシビルスク動物園がロスチクを送り出すといった順番となるというのがノヴォシビルスク動物園(そしてモスクワ動物園)より語られていた情報でしたし、昨年秋からの欧州とロシアのホッキョクグマ繁殖に関する協力関係の強化によってこうした状態がもたらされたことはすでにご紹介してきました。

本ブログではロスチクが欧州域内のどの動物園に移動するのかについて欧州側の動きを追いつつ、なんとか発表前に移動先を突き止めたいと考えていたわけです。その際にポイントとなるのがモスクワ動物園で飼育されていたシモーナの娘であるスネジンカの欧州域内への移動時期だったわけですが、何故そうかといえばスネジンカとロスチクの欧州への移動はセットになるであろうことが周囲の関連情報から強く示唆されていたからです。そのスネジンカはとうとう11月末にハンガリーのソスト動物園に移動してしまい、残るはロスチクの動向が問題となったわけです。ここで満二歳の誕生日のロスチクの様子を見てみましょう。





さて、12月7日のロスチクの満二歳の誕生日に関してノヴォシビルスクの地元メディア (ГТРК Новосибирск) はノヴォシビルスク動物園から得たと思われる興味深い内容を報道しています。記者は何気ない気持ちで書いたかもしれませんが、実は極めて重要なことです。小池都知事流に言えば、これぞまさに「パラダイムシフト」ということなのです。こう報じています。

- В скором времени сотрудники зоопарка начнут искать ему невесту.

つまり、「間もなくノヴォシビルスク動物園のスタッフはロスチクのパートナー探しを開始する。」という内容です。これはロスチクの置かれた状態として現在まで同園から語られていた内容からは劇的な転換を意味しています。今までノヴォシビルスク動物園は欧州側 (EAZAのコーディネーター) の指示待ちといった状態だったわけですが、今後は同園が自らロスチクのパートナー探しを始めるという能動的な姿勢に転換せざるを得なくなってしまったというわけです。これが意味するところは、欧州側からロスチクについては欧州への移動は不要であるという見解が示されたということに違いありません。つまりロスチクを欧州のEEPを構成する個体群に入れないということを意味しているわけです。これはモスクワ動物園のスネジンカの11月末のハンガリーへの移動が完了した後に欧州側からノヴォシビルスク動物園(あるいはモスクワ動物園経由で)にもたらされたものに違いありません。そう考えれば時期的に完全に説明がつくわけです。つまりロスチクの将来についてはノヴォシビルスク動物園が自ら考えねばならないことを意味しているわけです。何故欧州側がモスクワ動物園のスネジンカを欧州に受け入れロスチクを受け入れなかった(今のところ)の理由はやはり血統問題でしょう。それは私もおそらく欧州はこの問題を重視するだろうという予想が立っていました。

さて......円山動物園はロスチクを入手しようとすれば非常に簡単になったと言えます。彼を入手してリラのパートナーにするということならばロシアにおける繁殖計画を主導しているモスクワ動物園も許可するでしょう。なにしろ「アンデルマ/ウスラーダ系(カザン血統)」の幼年・若年個体をロシアの動物園はこれ以上抱えておくことが難しいのです。ただしかし....ロスチクの母親であるゲルダの血統問題という大きな問題は解決されていないことが問題です。私の意見では...やはり円山動物園はロスチクの入手を狙うことは止めておいたほうがよいと考えます。

「ロシア血統の深淵」.... これは深い闇の世界なのです。

(資料)
ГТРК Новосибирск (Dec.7 2017 - Белому медвежонку Ростику из Новосибирского зоопарка исполнилось два года)
Комсомольская правда (Dec.7 2017 - Белому медвежонку Ростику из Новосибирского зоопарка исполнилось два года)
Сиб.фм (Dec.7 2017 - Тёзка Ростилава Шило из новосибирского зоопарка празднует второй день рождения)
НГС - Независимые Городские Сайты (Dec.7 2017 - Названному в честь директора зоопарка медвежонку исполнилось два года)

(過去関連投稿)
ロシア・ノヴォシビルスク動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ やはり出産していたゲルダ!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの登場を待つ人々 ~ その時を親子の意思に委ねる度量
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃん、一瞬姿を見せる ~ 'authenticity' への視座
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんがゲルダお母さんと本日、初めて5分間だけ戸外に登場!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園、ゲルダ親子の「国際ホッキョクグマの日」
ロシア・ノヴォシビルスク動物園で誕生の赤ちゃんの「国際ホッキョクグマの日」の映像を追加
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの声を札幌のリラ、大阪のモモと比較する
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの性別予想に盛り上がる地元 ~ 雄(オス)の予想に高い支持
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子の近況 ~ 親子関係を破壊しかねない来園者のエサやり行為
ロシア・ノヴォシビルスク動物園、日曜日に来園者が入場に長蛇の列 ~ 大人気のゲルダ親子
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃん、生後100日を超える
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんは雌(メス)と判明 ~ 赤ちゃんはシルカの妹だった!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの命名への同園の迷い ~ シルカ同様の過熱を恐れる同園
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子の近況 ~ ララ/アイラの多層的な親子関係と比較する
ロシア・ノヴォシビルスク動物園が赤ちゃん命名について沈黙状態 ~ 「シルカ事件」から学ばぬ同園
ロシア・ノヴォシビルスク動物園が赤ちゃんの性別を訂正発表! ~ 赤ちゃんは雄(オス)だった!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダお母さんと赤ちゃんの近況
ロシア・ノヴォシビルスク動物園、ゲルダお母さんとオイゼビウス(Ойзебиус - 仮称)のプール開き
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃん、オイゼビウス(Ойзебиус - 仮称)が泳ぎ始める
ロシア・ノヴォシビルスク動物園生まれの二頭 ~ シルカ vs オイゼビウス (Ойзебиус - 仮称)
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダをシモーナと比較する ~ 母親と息子の実力は反比例?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のホッキョクグマ飼育展示場のライブカメラ映像配信、遂に復活!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のオイゼビウス(Ойзебиус - 仮称)が間もなく生後半年が経過へ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のオイゼビウス(仮称)の正式命名が後日行われる予定となる
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の雄の赤ちゃんの名前が「ロスチク (Ростик)」に決まる
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの成長 ~ シルカ/ゲルダとは非常に異なる親子関係
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子のライブ映像配信が二年前と同様に大人気となる
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチク、その日常の姿 ~ 経験を積んだゲルダお母さん
ロシア・ノヴォシビルスク動物園、ゲルダお母さんの機嫌を損ねないように巧妙に立ち回るロスチク
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの成長 ~ 「シルカの物語」を乗り越えられるか?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子の近況 ~ 「ゲルダ/シルカ」、「バフィン/モモ」と比較する
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチクの親子の姿 ~ 娘とよりも息子との関係が気楽か
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの近況 ~ 予想の難しい彼の将来の移動先
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチクの親子模様 ~ 「未完の大器」ゲルダ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチクの親子、その秋の日の姿
ロシア・ノヴォシビルスク動物園、ロスチクに手こずり始めたゲルダお母さん ~ 成長の確かな手応え
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチク、 地元のファンの暖かい視線に見守られ間もなく満一歳へ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園で満一歳となったロスチク ~ 移動先候補の複数の動物園と交渉が進行中
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチクの冬の日 ~ シルカの「あの日」とロスチクの「その日」
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子の冬の日の本能 ~ ロスチクの移動先は欧州以外か?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のホッキョクグマたちの冬の日 ~ 人工雪製造機の導入が決定
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子の近況 ~ ロスチクの成長によっても基本的に不変の親子関係
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの移動時期が迫る ~ バルナウル動物園への移動は否定
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクに生じる中国への移動の危険性 ~ 「セカンドライン」へ後退か?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の「国際ホッキョクグマの日」 ~ ゲルダ親子を愛する「草の根のファン」
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチク、親子としての一つの「完成形」を達成か?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクが母親ゲルダと別居となる ~ シルカもいた同園内の別の場所へ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の「二つの愛の心」 ~ "Два любящих сердца"
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクが母親ゲルダと別居となる ~ シルカもいた同園内の別の場所へ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの別居は安全上の理由と同園は説明 ~ 移動先決定は難航か?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園でゲルダとクラーシン(カイ)の同居が始まる ~ 従来の繫殖方針維持
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの欧州への移動は2018年以降の可能性が高い?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のホッキョクグマ飼育展示場にガラスフェンスが設置の予定 ~ 減じる魅力
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの近況から、彼の今後の移動問題を考える
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシロ園長がロスチクの移動問題について語る ~ 決断できぬ欧州側
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの待機続く ~ 移動先候補にフランスのセルザ動物園が急浮上か?
(*ゲルダの血統問題)
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のシルカが大阪・天王寺動物園へ! ~ 「ロシア血統の闇」の深淵を覗く
「ロシア血統の謎」に迫る(1) ~ ラスプーチン、ゲルダ、血統番号2893個体の三頭の謎を追う
南フランス・アンティーブ、マリンランドの「国際ホッキョクグマの日」~ "Savoir-vivre au Marineland"
by polarbearmaniac | 2017-12-08 01:00 | Polarbearology

カナダ・マニトバ州チャーチル付近で保護された二頭の野生孤児がアシニボイン公園動物園に到着

a0151913_19595277.jpg
シルカ (Белая медведица Шилка/Eisbärin Shilka)
(2015年7月14日撮影 於 大阪・天王寺動物園)

カナダ・マニトバ州のチャーチル付近で発見されて保護された生後11ヶ月と思われる二頭のホッキョクグマの孤児の幼年個体(性別が異なるそうです)についてチャーチル市長や市議会がアシニボイン公園動物園に送らずに自然の生息地に戻すことを主張している件ですが、この二頭は当初の予定通りウィニペグのアシニボイン公園動物園の「ホッキョクグマ保護・厚生センター (Leatherdale International Polar Bear Conservation Centre)」に火曜日の夜に無事到着したことが報道されています。これから30日間の検疫期間に入るとのことです。

ひとまずは胸をなで下ろしたわけですが、しかしこれを機会としてカナダにおけるホッキョクグマ孤児の保護政策が大きな転機を迎える可能性が無いとはいえない点で極めて注意して動向を追っていくことが必要になるでしょう。 事実、マニトバ州の持続可能開発省 (Ministry of Manitoba Sustainable Development Minister) の大臣であるスクアイアス氏は州におけるホッキョクグマに関する諮問委員会のメンバーを拡大し、そしてこの地域におけるホッキョクグマの孤児個体の管理 ("Orphan cub management") について新しい政策を考慮することを議題に上げることを指示したそうです。たとえば一案として現在はウィニペグのアシニボイン公園動物園にだけある保護施設をチャーチルにも建設できないかといった解決策を提案するようです。

チャーチル近郊に生息する多数のホッキョクグマはチャーチルにとっては一つの「資源」であり、そういった中から生じた孤児が動物園に運ばれてしまうのはおかしいというチャーチルのスペンス市長の意見に賛同する住民は少なくないそうで、諮問委員会ではスペンス市長にそういった声をあげている人々を諮問委員に任命させるべくスペンス市長を招致しているそうです。

持続可能開発相のスクアイアス氏もアシニボイン公園動物園のピーターセン博士もこのような年齢の孤児の幼年個体を生息地に戻せば生存していく可能性はないと認識している点では同じです。しかしスペンス市長は「それは単なる推量に過ぎず実際にそうなるかについての研究報告はない。」と語り、「今回の二頭の孤児の首に発信器のついたカラーを巻いて行動をモニターし、いったい彼らはどうなるのかについての研究をすべきである。」という提案をしています。「孤児になればただちに動物園へ」といった従来の方法からの脱皮を主張しています。しかしスペンス氏の主張には動物園という存在を終身刑の場所であるといった発言からもわかるように認識の背後に動物園への蔑視があるわけです。このことがスペンス氏の主張が持ついくらかの説得性を奪っていると私は感じます。アシニボイン公園動物園のピーターセン博士は、「動物園におけるホッキョクグマの存在は野生のホッキョクグマたちを救うより大きな計画の中の一部を成しているのです。」と語っていますが、私はその意見に賛成したいと考えます。

ただしカナダにおける野生孤児の保護政策が一つの転換点を迎えつつあるともいえるわけで、今後の動向については注視が必要でしょう。

(資料)
CBC (Dec.6 2017 - Churchill cubs now at Winnipeg's polar bear centre) (Dec.5 2017 - 'Enough's enough': Number of polar bear cubs shipped out of Churchill could be cut back)
CTV News (Dec.6 2017 - Orphaned polar bears arrive in Winnipeg)

(過去関連投稿)
カナダ・マニトバ州チャーチルの当局者がホッキョクグマ孤児の保護方針の転換を主張 ~ 科学と倫理の相克
カナダ・マニトバ州 チャーチルで保護された二頭の幼年孤児は生息地に戻さずにアシニボイン公園動物園へ
by polarbearmaniac | 2017-12-08 00:15 | Polarbearology

ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園でハールチャーナの引き渡し式が行われる

a0151913_035383.jpg
レニングラード動物園でのハールチャーナ 
Photo(C)Игорь Руссак/MR7.ru

ロシア北東のヤクーツク動物園からサンクトペテルブルクのレニングラード動物園に12月1日に移動してきた一歳になったばかりの雌(メス)のハールチャーナ (Хаарчаана) に関して昨日6日に州知事の二人も参加してレニングラード動物園のバックヤードにてヤクーツク動物園からレニングラード動物園への正式な引き渡し式が行われました。そのハールチャーナの様子が映像で公開されましたのでご紹介しておきましょう。最初の二つは式典の報道の映像、最後の映像はライブ映像です。







(*追記 - 日本時間の夜中にサンクトペテルブルクの複数のTV放送局がニュースを報じています。上よりも素晴らしい映像です。以下にご紹介しておきます。それぞれワンクリックしてみて下さい。三番目のニュースが一番素晴らしいように思います。)
a0151913_17345978.jpg

a0151913_17351838.jpg

a0151913_188448.jpg

式典では州知事がヤクーツク動物園への謝意を述べ、サハ共和国とサンクトペテルブルク市の友好関係を謳いあげるスピーチが行われたとのことです。レニングラード動物園は将来的にこのハールチャーナのパートナーを確保してレニングラード動物園における将来の繁殖を担うペアとしたい意向です。先日の発言ですとハールチャーナのパートナーはロシア国外から連れてきたいと述べていたんですが本日の発言では野生出身の個体を彼女のパートナーにしたいと語っています。それは妥当なことでしょう。なにしろハールチャーナはウスラーダの孫ですので「アンデルマ/ウスラーダ系(カザン血統)」に属しています。ですから彼女のパートナーはこの血統以外でなければならないというわけです。しかしこの血統以外の他血統を調達するのは容易ではありません。ですから当然野生出身の個体を狙うということなのですが、これも野生孤児の出現を待つということになりますのでなかなか時間がかかるだろうとは思いますが、そうする以外はないでしょう。

(資料)
НВК Саха (Dec.7 2017 - Хаарчаана официально передана Ленинградскому зоопарку)
ИА ЯСИА (Dec.7 2017 - Внучка вернулась к бабушке: Хаарчаану официально передали Ленинградскому зоопарку)
РИА Новости (Dec.7 2017 - Медвежонка из Якутии по имени "Снежинка" передали Ленинградскому зоопарку)
MR7.ru (Dec.6 2017 - Снежинка-Хаарчааны переехала в Ленинградский зоопарк)
(*追記資料)
Телеканал Санкт-Петербург (Dec.6 2017 - В Ленинградском зоопарке поселилась медведица Снежинка)
НТВ (Dec.6 2017 - Петербургские вольеры начала обживать якутская Снежинка)
Первый канал (Dec.7 2017 - В Ленинградском зоопарке появился новый питомец — годовалая белая медведица Снежинка)

(過去関連投稿)
ロシア北東部・ヤクーツク動物園のコルィマーナ、出産成功が濃厚の模様 ~ 2月21日に正式発表となる予定
ロシア北東部・ヤクーツク動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ 5歳のコルィマーナが見事に出産
ロシア北東部・サハ共和国、ヤクーツク動物園で誕生の赤ちゃんの産室内映像が遂に公開
ロシア北東部・サハ共和国、ヤクーツク動物園で誕生の赤ちゃんの近況 ~ 生後4ヶ月程でもう他園に移動か?
ロシア北東部・サハ共和国、ヤクーツク動物園で誕生の赤ちゃんが屋外に登場 ~ 早々と6~7月に移動の予定
ロシア北東部・サハ共和国、ヤクーツク動物園で誕生の赤ちゃんが地元で大人気 ~ 来園者が大幅に増加
ロシア北東部・サハ共和国、ヤクーツク動物園のコルィマーナ親子の追加報道映像 ~ 性別への憶測
ロシア・サハ共和国、ヤクーツク動物園の赤ちゃんは雌(メス)と判明 ~ サンクトペテルブルクへの移動時期
「ホッキョクグマ飼育マニュアル(Care Manual)」よりの考察(11) ~ 母子をいつ引き離すか
ロシア・サハ共和国、ヤクーツク動物園の赤ちゃんの早期移動に反対するヤクーツクの地元の人々
ロシア・サハ共和国、ヤクーツク動物園がホッキョクグマ繫殖に一年サイクルを採用 ~ 理解不能な方針の背景
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園がヤクーツク動物園の赤ちゃんの来園予定を告知
ロシア・サハ共和国、ヤクーツク動物園の赤ちゃんのサンクトペテルブルクへの移動は年末に延期となる
ロシア・ヤクーツク動物園の雌(メス)赤ちゃんの名前が "ハールチャーナ (Хаарчаана)" に決まる
ロシア・ヤクーツク動物園のハールチャーナの将来 ~ ロシア・ホッキョクグマ界の期待の星
ロシア北東部・サハ共和国、ヤクーツク動物園のコルィマーナとハールチャーナの親子関係考察の難しさ
ロシア・ヤクーツク動物園のハールチャーナが11月にサンクトペテルブルクのレニングラード動物園へ
ロシア・サハ共和国、ヤクーツク動物園のハールチャーナが間もなく満一歳へ
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園がヤクーツク動物園のハールチャーナの12月来園を告知
ロシア北東部 ヤクーツク動物園のコルィマーナが娘ハールチャーナとの別れが迫ったことを直感的に理解
ロシア北東部 ヤクーツク動物園のハールチャーナが満一歳となる ~ ゲルダ/シルカの先例を危惧する同園
ロシア・ヤクーツク動物園のハールチャーナが本日ヤクーツクから予想外の出発 ~ 親子の永遠の別れの唸り声
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園でハールチャーナ到着の日のウスラーダの姿
ロシア・サンクトペテルブルクのレニングラード動物園に到着したハールチャーナの姿
by polarbearmaniac | 2017-12-07 00:30 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

ロシア・クラスノヤルスク動物..
at 2017-12-13 01:00
ベルリン動物公園で誕生の赤ち..
at 2017-12-12 00:15
大阪・天王寺動物園のシルカの..
at 2017-12-11 01:30
エストニア・タリン動物園のノ..
at 2017-12-11 00:30
カザフスタン・アルマトイ動物..
at 2017-12-10 00:30
ロシア・サンクトペテルブルク..
at 2017-12-09 00:30
ベルリン動物公園でホッキョク..
at 2017-12-08 18:00
ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2017-12-08 01:00
カナダ・マニトバ州チャーチル..
at 2017-12-08 00:15
ロシア・サンクトペテルブルク..
at 2017-12-07 00:30

以前の記事

2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Lenin's Tomb: The Last Days of the Soviet Empire


Resurrection: The Struggle for a New Russia


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag