街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園がヤクーツク動物園のハールチャーナの12月来園を告知

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ハールチャーナ (Белый медвежонок Хаарчаана) Photo:SakhaLife.ru

ロシア・サンクトペテルブルクのレニングラード動物園が20日付で告知を行い、ロシア北東部のヤクーツク動物園で昨年2016年の11月30日にコルィマーナ (Колымана) お母さんから誕生した雌(メス)のハールチャーナ (Хаарчаана) が12月に彼女の祖母であるウスラーダの暮らすレニングラード動物園に来園することを発表しました。コムソモリスカヤ・プラウダ紙の報道によりますと具体的な日付は12月6日だそうです。レニングラード動物園がさらに述べるところによりますと、同園はいずれかの時期にこのハールチャーナのパートナーとなる雄(オス)の個体を選定してレニングラード動物園における将来の繁殖を担っていく個体にするつもりであることも明らかにしました。このことはつまり、ハールチャーナがあの偉大なるウスラーダの後継者となることが正式に決定したということになります。このことを同園は、「レニングラード動物園における偉大なるホッキョクグマの王朝 ("выдающаяся династия белых медведей Ленинградского зоопарка") の継続」という言い方で表現しています。いかにもロシア語らしい表現だと思います。この件を報じるサンクトペテルブルクの地元TVニュースを二つご紹介しておきます。下をワンクリックして下さい。
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サンクトペテルブルクの地元メディアはこのハールチャーナの名前を「スネジンカ (Снежинка)」と表記していますが、これはハールチャーナという名前がロシア語としては聞きなれない感じを抱く名前だからでしょう。"ハールチャーナ (Хаарчаана)" という名前はヤクート語(サハ語)で「雪片」を意味しますからロシア語では "Снежинка"(スネジンカ)となるわけです。ひょっとして改名されてしまう危険性がないわけではないですが、私が今年の夏にレニングラード動物園を訪問した時には同園ではやがて来園する彼女のことをちゃんと「ハールチャーナ (Хаарчаана)」として紹介していましたので改名はないだろうとは思います。それから、こういった幼年個体についてはそれが雌(メス)であっても「ホッキョクグマ」という表現は男性形で "Белый медвежонок (Хаарчаана/Снежинка)" を用いるのが普通です。ドイツ語の知識のある方ならば感覚的にも頷いていただけるでしょう。ドイツ語では「女の子 (ein Mädchen)」は女性ではなく中性です。「女」になる前の「女の子」は女性形ではなく中性形だということですからハールチャーナ(スネジンカ)が雌(メス)であっても幼年個体ならば "Белый медвежонок" となるわけで、類推は容易でしょう。しかしその一方でレニングラード動物園がハールチャーナのことを幼年個体であっても "Белая медведица" と、あえて成年個体の女性形にしているのはハールチャーナの性別を強調する目的だからでしょう。こういった細かいところを見ていくと実は非常に多くの重要なことが隠されていることがわかるわけです。

(資料)
Ленинградский зоопарк (Новости/Nov.20 2017 - Белая медведица Хаарчана приедет в Ленинградский зоопарк)
Комсомольская правда (Nov.20 2017 - 6 декабря в Ленинградском зоопарке поселится Снежинка)
ГТРК "Санкт-Петербург" (Nov.21 2017 - В Ленинградском зоопарке поселится белый медвежонок из Якутии)
НТВ (Nov.21 2017 - Внучка медведицы Услады едет к бабушке в Петербург)
Известия (Nov.22 2017 - Ленинградский зоопарк ждет из Якутии маленькую белую медведицу)
Санкт-Петербург.ру (Nov.20 2017 - Белый медвежонок Снежинка переедет из Якутии в Ленинградский зоопарк)
YakutiaMedia.ru (Nov.22 2017 - Якутский медвежонок Хаарчаана уезжает в Санкт-Петербург)
SakhaLife.ru (Nov.21 2017 - Медвежонок Хаарчаана уезжает в Санкт-Петербург)

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# by polarbearmaniac | 2017-11-22 06:00 | Polarbearology

ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダが満10歳となる ~ ロシアの伝統的な「偉大なる母」への道を歩む

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ゲルダ (Белая медведица Герда/Eisbärin Gerda)
(2014年9月12日撮影 於 ロシア、ノヴォシビルスク動物園)

ロシアの西シベリアにあるノヴォシビルスク動物園のゲルダが11月20日に満十歳の誕生日を迎えました。このゲルダが大阪・天王寺動物園で暮らすシルカの母親であることを知らない人はほとんどいないでしょう、今やこのゲルダはロシアのホッキョクグマ界において非常に重要な位置を占めるホッキョクグマとなっています。
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ゲルダ (Белая медведица Герда/Eisbärin Gerda)
(2014年9月12日撮影 於 ロシア、ノヴォシビルスク動物園)

このゲルダは、いわゆる伝統的なロシアの大物の母親としての道を真っ直ぐに突き進んでいることに疑う余地はありません。ロシアのホッキョクグマの特徴である巨体と重心の低さといった外形的な特徴はもちろんのこと、その感情の変化が表面的ではなく彼女の深い部分から発せられているという点にも特徴があります。その育児スタイルはレニングラード動物園のウスラーダとはかなり違う要素を備えています。「理性」よりも「感情」のホッキョクグマであるという点で彼女は来園者との間で心の交流ができるホッキョクグマだろうと思われます。つまり、ゲルダはウスラーダよりも親しみを感じさせるホッキョクグマであることは間違いありません。


得意気なゲルダ - Gerda the polar bear is showing her high profile, at Novosibirsk Zoo, Russia, on Sep.11 2014.

このゲルダが彼女の第一子であった娘のシルカ(現 大阪・天王寺動物園)を育児中であった2014年の9月に私はこの親子に会ったのですが、その際にはゲルダは母親としては安定性に欠けた面を見せていました。次に彼女は第二子となった雄(オス)のロスチクの育児に関しては、これは映像だけですが私はゲルダはかなり安定性を保った姿勢で息子に接していることが感じられました。最初に一度シルカとの姿を見ておくと次のロスチクに対するゲルダの姿勢については映像だけでもかなり判断が付くわけです。これは今まで何組もの親子を実際に見てきた自分の経験が生きてくるということなのです。しかしゲルダがロスチクに対して示した安定的な態度は、子供が雄(オス)であったからだという可能性はやはり多く残ります。シルカのように子供が娘であった場合にはゲルダは娘に対してライバル関係を感じていたために娘に対する態度が、ある時は厳しく、ある時は非情で、ある時は競い合うといった関係が次から次へと刻々と変化していったのだろうという見方を私は持っています。
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ゲルダ (Белая медведица Герда/Eisbärin Gerda)
(2014年9月12日撮影 於 ロシア、ノヴォシビルスク動物園)

仮にゲルダの第三子がシルカのように雌(メス)であった場合、果たしてゲルダはその娘にどのような態度を示すかということは注目してよいでしょう。ゲルダがシルカに対して示したような態度を第三子の娘に再び示せば、そのことはつまりゲルダは子供が雌(メス)の場合と雄(オス)の場合には異なった姿勢で育児を行うということを意味します。しかし仮に第三子が雌(メス)だったとしても第二子のロスチクに対する姿勢と同じ態度で対応するとすれば、それはゲルダが育児経験を重ねることによって次第に安定性を増していく母親なのだということになるわけです。このあたりは注目しておくべきでしょう。


気取ったゲルダ - Gerda the polar bear is showing her pretty profile to the visitors, at Novosibirsk Zoo, Russia, on Sep.12 2014.

ここで最も最近のゲルダの映像を見てみましょう。出産準備のために給餌量が増やされてきた結果としてゲルダはますます巨体となっています。



ゲルダはロシアの伝統的な「偉大なる母」への道を真っ直ぐに歩んでいるように思います。

(資料)
Комсомольская правда (Nov.20 2017 - Белой медведице Герде из Новосибирского зоопарка исполнилось 10 лет)
НГС.НОВОСТИ (Nov.20 2017 - Белой медведице Герде — 10 лет: публикуем 5 лучших фото любимой новосибирцами именинницы)
НГС.НОВОСТИ (Nov.20 2017 - Она всегда была жирненькая: новосибирцы заподозрили, что белая медведица Герда беременна)
Вести Новосибирск (Oct.17 2017 - Медведица Герда из Новосибирского зоопарка поправилась) (Nov.21 2017 - Медведице Герде из Новосибирского зоопарка исполнилось 10 лет)
Новости Mail.Ru (Nov.21 2017 - Белая медведица Герда из новосибирского зоопарка отметила юбилей)
VN.RU (Nov.21 2017 - Каю и Герде исполняется по 10 лет: неизвестные факты)
Аргументы и Факты (Nov.21 2017 - Белая медведица Герда из новосибирского зоопарка отметила юбилей)

(過去関連投稿)
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(*クラーシン/カイとゲルダの幼年時代関連)
・ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの戸外映像 ~ ゲルダとクラーシンの幼年時代
・ロシア・ノヴォシビルスク動物園のクラーシン(カイ)とゲルダの幼年時代の成長を映像と写真で追う
・ロシア・ノヴォシビルスク動物園の「カイとゲルダ」の最近の話題 ~ このペアの名前の由来の真相を考える
・ピョートル(ロッシー)とクラーシン(カイ)、双子兄弟のそれぞれの生き方
# by polarbearmaniac | 2017-11-22 00:30 | Polarbearology

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