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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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女王ウスラーダと偉大な男メンシコフ (レニングラード動物園)

女王ウスラーダと偉大な男メンシコフ (レニングラード動物園)_a0151913_1691458.jpg
Photo(C)Ленинградский зоопарк

秋田県がホッキョクグマを購入しようと計画していることはこのブログでも何度が記事にしましたし、それに対する危惧もさらにここで申し上げてきた通りです。そして、購入のターゲットであった「東欧の個体」の成育が順調でないため移動が不可能となっていることについても投稿しましたし、その問題のターゲットである「東欧の個体」の写真についてもここで以前御紹介させていただきました。そういう状況の下で、また新しいニュースが流れてきました。とりあえず毎日新聞の記事を御紹介しておきます(記録用に全文コピーいたします)。
>県観光課は26日、購入のうえ北海道の釧路市動物園に貸し出しを予定していた東欧の動物園のホッキョクグマ(1歳)について発育不良で入手を断念することを明らかにした。別の個体を探す方針で、釧路側から男鹿水族館GAOに雌を借り入れる予定は変わらないという。県議会農林商工委員会で同課が報告した。同課によると、仲介している動物商を通じて動物園から「発育不良で回復が困難」との見解が示された。このため他のクマを雌雄を問わずに探し、購入して国内での繁殖に役立てる。県はGAOの雄グマ「豪太」の繁殖相手に、釧路市動物園から2頭の雌「クルミ」「ツヨシ」のいずれかを借り受ける予定。また雄グマを購入して釧路市側に貸し出す予定だった。釧路市側からは、雌の貸し出し方針に変わりはないとの回答を得ているという。

いやはや、またまた危惧される状況になってきました。秋田県はこの「東欧の個体」購入不調に懲りずに、また新たな個体の購入を画策しているようです。となれば...秋田県が真っ先に食指を伸ばすのはロシアで昨年暮れに誕生した個体でしょう。モスクワ、サンクトペテルブルク、カザン、この3都市の動物園の個体を真っ先にターゲットにするでしょう。万が一にでも秋田県の担当者がこのブログを読んでいましたら(そんなことは万が一にでもないでしょうが)、こういう新規個体の情報は全部このブログで筒抜けですね。ただ、奇跡的にでもここを読んでいましたら申し上げておきたいと思います。昨年誕生したロシアの個体は、全て現在ペルミ動物園で飼育されているアンデルマの血が入っています。そして、日本の動物園の適齢期、もしくはこれから適齢期を迎える個体としてこのアンデルマの血が入った個体はこれだけいます。すなわち、

イワン(旭山動物園/アンデルマの曾孫
ホクト(姫路市立動物園/アンデルマの息子
カイ(八木山動物公園/アンデルマの孫)
ゴーゴ(天王寺動物園/アンデルマの息子)
ロッシー(日本平動物園/アンデルマの孫)


こんな具体です。ただし、「イワンとゴーゴの兄弟説」(それは事実ではないことも投稿しました)に従えばイワンはアンデルマの孫ではなく息子になってしまいますし、ホクトについてはアンデルマの息子であるか孫であるかについては不確実な要素が残るという状況ですが、どっちに転んでもこの5頭は確実にアンデルマの血統なのです。 こういう状況では日本のホッキョクグマの繁殖は、次世代は可能でも次々世代では非常に難しくなります。それで、円山動物園に一昨年暮れに生まれたイコロとキロルを海外個体と交換しようと努力したり、サツキとイワンのペアリングを図ろうと努力しているわけです。そうした状況であるのに、またモスクワやサンクトペテルブルクやカザンからアンデルマ(そしてウスラーダ)の血が入った個体を日本に連れてこようとするのでしょうか? お止めいただきたいと申し上げたいです。ゴーゴのパートナー探しすら難儀している中で、アンデルマの血の入った個体をこれ以上日本に入れるのは、日本のホッキョクグマの繁殖にとって「自殺行為」です。本当にロシアから個体を入れようとするならば、遅ればせながら、このロシア血統(正確にはアンデルマ/ウスラーダ血統)が濃くなることに危機を感じ、血統の多様性を図ろうとしている日本の動物園担当者の神経を逆撫でする行為となるでしょう。ロシアから連れてくるならば、野性で捕獲され、動物園で飼育されている個体を購入して下さい(現実的にロシアから野生の個体を購入することはロシアの輸出貿易管理法上、極めて難しい作業が伴います。そして「政治力」も必要でしょう)。EAZA加盟の西ヨーロッパからの個体輸入は事実上不可能です。あと、残るはカナダとアメリカですが、前者はいかなる場合も不可能、後者もほぼ不可能(交換なら幾分かの余地は残りますが)です。

以前私は、「世界で最も偉大なホッキョクグマ」のことを投稿すると予告しました。このホッキョクグマはアンデルマの息子である、とも書きました。なにを隠そう、この「世界で最も偉大なホッキョクグマ」とは、かなり以前に「極北の地より動物園へ(1) ~ ゴーゴのお母さんの物語」で触れました「親子3頭のホッキョクグマ」のうちの1頭です。母親はもちろんアンデルマです。アンデルマは2頭の子供を従えていましたが、そのうちの1頭こそ、この「世界で最も偉大なホッキョクグマ」、名前はメンシコフです。サンクトペテルブルクでこのメンシコフのパートナーとなったのがモスクワ動物園生まれのウスラーダです。この2頭(一番上の写真です)の間にこれまで14頭の子供が生まれていますが、そのうち日本にいるのがカイ(八木山動物公園)とロッシー(日本平動物園)なのです。そしてやはりウスラーダの娘の1頭に現在モスクワ動物園で飼育されているシモーナ(シーマ)がおり、シモーナの息子がイワン(旭山動物園)です。(ただし、「イワンとゴーゴの兄弟説」に従えば、イワンはなんとアンデルマの曾孫ではなく息子になってしまいます。)アンデルマは野生で捕獲された後、ペルミ動物園でユーコンをパートナーとしましたが、その子供たちのうちの1頭がゴーゴなわけです。(「イワンとゴーゴの兄弟説」に従えば、イワンもアンデルマの息子になってしまいますし。ホクトもその可能性があります。) ウスラーダこそ、現在世界のホッキョクグマ界の頂点に位置する女王なのです。そして彼女の夫、つまりアンデルマの息子であるメンシコフこそ、世界で最も偉大な雄のホッキョクグマだと申せましょう。

いずれにせよ、日本の動物園におけるホッキョクグマの繁殖は、赤信号が灯っている状態です。秋田県が仮にロシアの動物園で昨年暮れに誕生した個体を入手しようとすれば、首の皮一つ残して踏ん張っている現在の状態をさらに瀕死の状態にまで追い込むこととなります。秋田県がそういうことを強行しようとすれば、今後のホッキョクグマの繁殖にとっては万死に値するほどの暴挙となるでしょう。

*(後記) 当初の投稿では、イワン(旭山動物園)をアンデルマの「孫」と誤記していました。正確にはアンデルマの「曾孫」ですので、上記本文をそのように訂正いたしました。
by polarbearmaniac | 2010-04-27 17:00 | Polarbearology

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