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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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緑色となったホッキョクグマについて(下) ~ 動物園に責任はあるか?

緑色となったホッキョクグマについて(下) ~ 動物園に責任はあるか?_a0151913_19401693.jpg
アメリカ・カリフォルニア州 サンディエゴ動物園 Photo(C)UPI

前投稿よりの続き)
2年前の東山動物園のケースでは、動物園側が水道代節約のために水の交換頻度を減らしたことが「藻の増殖」の大きな要因となったと当時考えられていました。しかし今回の姫路市立動物園の場合は、報道によれば動物園側は「プールの水は毎日交換しているので清潔」と言っています。これが事実とすればホッキョクグマの体が緑色になることは頻繁に水を交換してもやはり生じるということになります。 一方逆に、私は先日7月末にモスクワ動物園のホッキョクグマ舎を見てきましたが、そこの水は緑色になっており明らかに藻が繁殖しているように見えました。 補充の水はちょろちょろと新しいものが流れてきていましたが、あそこの水全体を1日で入れ替えるほどの量ではなく、頻繁にやっているとは到底思えませんでした。たとえば、この写真そしてこの写真です。しかし、モスクワ動物園ではムルマもシモーナも彼女たちの3頭の子供たちも体はまったく緑色になってはいませんでした。あのレオマアニマルパークでほとんど水を交換してもらえなかった今は亡きクーニャの体が、この季節に緑色になった姿を私は目撃していません。レオマの水は緑色で水中に藻が増殖していたように思えたにもかかわらずです。ということは、「水の交換頻度を減らした」ことが必ずしもいつも緑グマを生じさせる原因とは断言しにくいように思われます。

では次に、これは水質が原因ではないかという考えもなりたちます。基本的に水道水を使用したか(若干の処理を加えた場合も含む)それとも地下水かという問題です。地下水ということならば、熊本市動植物園は地下水を利用していますが、先日見たミッキーの体は緑色になっていました。一方同じ地下水を利用している釧路市動物園のクルミやツヨシは体が緑に変色してはいませんでした。 ですので、水質が原因だとも言いきれないでしょう。

次に梅雨期~夏季の降水量が関係しているのでないかという仮定も成り立ちます。この統計を見る限りこの時期に1ヶ月200ミリ以上の降水量がある都市といえば熊本も名古屋も当てはまるように思います。一方高松(レオマはこれに該当します)などは当てはまりません。北海道も当てはまりませんね。 この資料によればモスクワも当てはまりません。 さて今回問題の姫路はといえば....この資料では完全に当てはまりますね。この資料ではシンガポールも当てはまります。(シンガポールは通年夏の気温ですので、いわゆる日本の夏季降水量を見るのではなく冬季の降水量を参照します。)そうするとどうもこれは降水量がなんらかの関係があると疑ってみるだけの根拠はあるかもしれません。しかし一方で、上海は当てはまりませんが緑色に変色しています。となれば降水量に原因の一端ありとも言い難く思います。

では湿度でしょうか? 感覚的にはこれが一番の要因のように感じるのですが、次のデータを見ますと意外な事実がわかります。札幌の夏季の平均湿度は、なんと名古屋や大阪よりも高いんですね。これでは湿度に原因ありとは言えないでしょう。札幌の夏が名古屋の夏よりも快適なのは「不快指数」が小さいからですね。この「不快指数」というのはあくまでも人間の感覚の数値化ですから、これをすぐホッキョクグマには当てはめることは無理と思われます。

では気温でしょうか? 同じように上のデータで当たっていきますが、消去法でいけば気温という要因にならざるを得ないかもしれません。しかし6月からあれほど暑かったモスクワのホッキョクグマが何故緑色になっていないのかの説明ができません。

次に、彼らが水に濡れたまま日光に当たったためではないかとも考えられますが、いったいどのホッキョクグマが1日にどれだけの時間日光に当たったかのデータがありませんので検証のしようがありません。

以上、私なりに現時点の情報からホッキョクグマの体毛内の藻の増殖の原因を探ってみましたが、これだといって完全に特定できる「藻の増殖」の要因が見当たりません。私はここで姫路市立動物園の飼育のやり方やその環境を弁護しようという気はありません。それどころか私は、ホクトとユキが別の動物園に移ってパートナーを換えて繁殖を試みて欲しいと思っています。しかし、今回のこのホッキョクグマの体の色の変色問題について姫路市立動物園の飼育方法に変色に関して相当因果関係に基づく責任があるかと言われれば、多少の疑わしきところが無いわけではないものの、この件に関する限りでは姫路市立動物園はNot guilty であると判断せざるを得ません。 藻の増殖の原因が完全には解明されているわけではないため、現実にここまで増殖したことに対する予見可能性はなかったと考えられます。また、一応水は頻繁に交換していることから、一般的な意味での藻の増殖への回避義務は怠ってはいなかったと言えるからです。 現実に緑色になっていることについての結果責任のようなものが全く無いとはいえないでしょうが、そういう一種の道義責任と通常の責任論とは別の話しでしょう。

プールの水の藻の増殖を完全に防ごうとすれば水に塩素を入れることなのでしょうが、そうするとホッキョクグマは眼をやられてしまいます。 このホッキョクグマの体毛の変色原因となっている藻の増殖の要因については、引き続きもっと多面的で科学的な検証が必要と思われます。


by polarbearmaniac | 2010-09-22 00:15 | Polarbearology

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