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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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ドイツ・ニュルンベルク動物園の2つの選択(1) ~ ヴィルマとヴェラの出産 

ドイツ・ニュルンベルク動物園の2つの選択(1) ~ ヴィルマとヴェラの出産 _a0151913_19412458.jpg
 ヴィルマ  Photo(C)Reuters
ドイツ・ニュルンベルク動物園の2つの選択(1) ~ ヴィルマとヴェラの出産 _a0151913_19421072.jpg
ヴェラ  Photo(C)Getty Images

長くて暑い夏も終わりを告げ、もう間もなく10月になります。ホッキョクグマファンにとっては神経のぴりぴりとしてくるホッキョクグマの出産シーズンである11~12月が近づいてきました。 現に聞くところによりますと、北海道の釧路市動物園ではクルミの出産準備のために寝室にはモニターカメラが設置され、夜間のクルミの完全監視体制もすでに開始されているようです。そういった中でこれから何回が断続的に、あらためて少し腰を据えてホッキョクグマの出産について過去の情報と問題点を整理しておきたいと思います。そうすることによって北海道の3園を筆頭に日本の動物園からの来るべき朗報を待つべく心の準備としておきたいと思います。すでに多くのホッキョクグマファンの方々には今さらここで改めて御紹介するまでもない情報でも、あらためて情報を整理する目的で再び触れておきたいと思います。

まず今回は最初にいきなりホッキョクグマの出産に関する中心的テーマから初めていくこととします。そうなるとこれは人工哺育になってしまうのですが、今回はその前に別の一つの具体的事例を取り上げます。それはいわゆる「食害」というものです。「食害」といえば広義の意味も狭義の意味もあるでしょうが、生まれた子供を母親のホッキョクグマが食べてしまうという狭義の意味の例です。円山動物園のララに関して飼育員さんがプレゼン資料としてまとめられた「ホッキョクグマの繁殖に関する一考察」というものをネット上で公開しています。ここでララの2000年から連続3年間の出産に関する情報で、いずれも生育状況欄が「食害」となっています。これが今回のニュルンベルク動物園でのケースと全く同じものであるかどうかのは判断できませんが、同じである可能性自体は大きいと推察します。

さて、2007年の暮のドイツのニュルンベルク動物園(Tiergarten Nürnberg)では2002年生まれの2頭の雌のホッキョクグマがいずれも彼女たちにとっての初めての出産に臨んでいました。1頭はロストック動物園生まれのヴィルマ(彼女については是非9月15日の、こちらの記事を最初にご参照下さい)、もう1頭はモスクワ動物園生まれのヴェラでした。このヴェラは母親があのシモーナ、父親がウランゲリです。つまりあの旭山動物園のイワンの2歳年下の妹にあたるわけです。さて、今回まず御紹介する話はヴィルマの出産に関してです。

2007年11月のある日、ニュルンベルク動物園の担当者はヴィルマの産室の様子を外からうかがっていました。この動物園には産室にモニターカメラがなく、中の様子は外から物音をうかがうしか方法がありませんでした。この日とうとう中の物音からヴィルマが赤ちゃんを出産したことがわかりましたが頭数がはっきりしません。ニュルンベルク動物園としてはホッキョクグマの赤ちゃんの出産を大いに喜びましたがマスコミへの発表は直ちに行いませんでした。その後の様子でもヴィルマは2頭の赤ちゃんへの授乳を行い、初めての出産であったにもかかわらず非常に見事な子育てを行っているらしい様子がわかりました。それから5週間、ヴィルマの子育ては何の問題もないように見えました。ニュルンベルク動物園側は胸をなでおろしたのでした。そろそろ出産の事実を公表すべきだとういう声はありましたが、マスコミ等から受けるストレスを考え、まだ情報の発表は行われませんでした。同じ時期の12月、もう一つの産室でもヴェラの出産が確認されました。一度に2頭の雌の出産という実におめでたい出来事だったわけでした。動物園側もこの赤ちゃんたちの成長に対して非常に楽観的な見通しを持ったようです。

ところがそういったニュルンベルク動物園側の見通しは甘かったのでした。
続く

*(資料)
Stern (Jan.5 2008)
(今回御紹介しているヴィルマとヴェラの出産、そしてその後の経過については動物園側が出産直後よりその状況をマスコミに発表するということがなかったために、後日の報道ではドイツのマスコミ各社の伝える事実関係に幾分の相違が見られます。また、動物園側の説明にも不可解な点がないわけではありません。そういったことを念頭においていただき、「資料」は最後にまとめて開示することとしたいと思います。とりあえず今回は上のStern誌の記事だけを挙げておきます。)

*(後記)やはり産室にはモニターカメラを設置すべきでしょう。そうすることによって飼育担当者の負担の軽減につながりますし、第一赤ちゃんとお母さんの様子が観察できて安全です。すでに何回か御紹介していますが、下はカナダ・ケベック州のサンフェリシアン原生動物園で昨年11月に生まれた赤ちゃんの産室での映像です。これだけの画像で産室内部を確認できれば理想的でしょう。

by polarbearmaniac | 2010-09-29 20:00 | Polarbearology

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