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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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ロシア・サンクトペテルブルクのツインズ別離の時来る ~ 1頭がモスクワ動物園へ!

ロシア・サンクトペテルブルクのツインズ別離の時来る ~ 1頭がモスクワ動物園へ!_a0151913_1626185.jpg
ウスラーダお母さんとツインズ(サンクトペテルブルクのレニングラード動物園) 
Photo : Вечерний Петербург
ロシア・サンクトペテルブルクのツインズ別離の時来る ~ 1頭がモスクワ動物園へ!_a0151913_16264075.jpg
モスクワ動物園に移動するサイモンの出発当日の様子 
Photo(C) Фонтанка.Ру

ロシア・サンクトペテルブルクのレニングラード動物園で昨年暮れに誕生したツインズについてはここで何度も御紹介してきましたし、私もGWに現地へ行きホッキョクグマ舎前から直接写真をここにアップしてレポートしたりしました。そのツインズですが、とうとう別れの日がやってきました。今週の月曜日に1頭がお母さんのウスラーダと兄弟の1頭に別れを告げ、モスクワ動物園に移動したそうです。

実はこのツインズの名前についてレニングラード動物園は表立って名前を公表していませんでした。 だだ、現地のファンの方の一人は夏前からサムソン(Самсон)とサイモン(Саймон)と呼んでいましたので、それが本当なのかと思っていましたが、今回のニュースでその名前が本当だったことが確認できました。モスクワ動物園に移動になったのはこの2頭のうちサイモンのほうですね。報道によればサイモンというのはウスラーダお母さんにべったりの甘えっ子ちゃんのほうのようです。27日にここで動画を御紹介しましたが、その一番下の動画のうちウスラーダお母さんと一緒にいるほうがサイモンでしょう。私が現地から4月29日にこのブログに送った写真では、手前ではなく常に奥にいるのがサイモンだと思われます。

ホッキョクグマの運送作業というのが大変なのは日本もロシアも同じようです。報道によれば、モスクワ動物園から移動用のトラックで運ばれてきたケージ(ということは運送費用はモスクワ動物園持ちですか)に入れるために、今回は軽い麻酔が用いられたようです。眠ってしまったサイモンの体を獣医さんが一応チェックし、毛布に包んで大人5人がかりでケージに入れたそうです。この作業は月曜日(27日)の昼間行われたとのこと。モスクワ動物園には翌日の火曜日に到着したそうです。モスクワ動物園によれば、サイモンは新居でリラックスしているそうです。でも報道にはちょっとホロリとなることが書いてありました。それは、この1頭の赤ちゃんは自分がお母さんから離されることを最初から感じていて、普段からお母さんの近くを片時も離れなかったのだという記述です。これはまあ記者の想像力で書いたことだとしても、「甘えっ子ちゃん」のほうが移動した事実をこう解釈して記述した記者の想像力と表現力は、私はいい意味で素晴らしいと思いました。

報道によれば、この1頭のモスクワ動物園への移動についてはすでに以前から決まっていたようです。さらに、今後ウスラーダが生む子供たちについては1頭はモスクワ動物園に移動になるようです。実はなぜモスクワなのかという事情ですが、以前から御紹介しようと考え何度も予告している「ロシアのホッキョクグマ界を覆う闇」、つまりモスクワ動物園とレニングラード動物園の間の確執から生じた複雑なロシアホッキョクグマ界の事情がからんでいます。実はある動物園のホッキョクグマ舎前で別々の機会に見知らぬ方からこの件で2度も話しかけられる機会があり、このロシアの動物園の事情について私に質問がありました。そこにいた私が何故「しろくま狂」であるのかがその方々にわかるのか、いつも不思議に思うのですが、ともかくその方々には簡単に事情を御説明したことがあります。 詳しくこのブログの記事にするのは後日にさせていただき、今日はごく簡単に一部を説明しておきます。

まず、このレニングラード動物園のウスラーダお母さんはカザン市動物園生まれで、このサンクトペテルブルクのメンシコフ(アンデルマの息子)のもとに「嫁入り」してきたわけです。ところがこのウスラーダの所有権は意外にもモスクワ動物園にあるそうで、要するにモスクワ動物園の意図によって彼女はBLに近い条件でサンクトペテルブルクへの「嫁入り」が実現したわけです。 そうなるとウスラーダとメンシコフの間に生まれた子供の権利の半分はモスクワ動物園にあるわけです。レニングラード動物園はウスラーダの子供たちを他の動物園に売却したわけですが、その利益の半分はモスクワ動物園に権利があるわけです。いつの頃からかレニングラード動物園はこの売却利益をモスクワ動物園に払うことをやめてしまいました。怒ったモスクワ動物園はウスラーダお母さんをモスクワに戻せとレニングラード動物園に要求したわけです。そして、これに応じなかったレニングラード動物園に対してモスクワ動物園は凄まじい圧力を加えました。モスクワ動物園が牛耳っているEARAZA(EAZAのユーラシア版)からレニングラード動物園への資格停止措置が加えられたりもしました。そのために仙台の八木山動物公園に売却が決まっていたラダゴル(日本名カイ)の移動が一時的に宙に浮いたわけです。 ピョートル(日本名ロッシー)の日本平動物園への貸与についてもモスクワ動物園は激怒しました。売却ならば自分のところに利益の半分の権利が生じるのに所有権をサンクトペテルブルクに残したままの日本平動物園への貸与ではモスクワ動物園が利益を主張することができなくなるからです。

実はこの話は、もっともっと広がりがあるとてつもない話なのですが、単純に一部だけで言えばこんなところです。先のお二人の方々にもこのように説明しています。どうせ11月にでもなればホッキョクグマの赤ちゃん誕生のニュースをひたすら待つ状況となり、ホッキョクグマのニュースはパタリとマスコミから消える期間があります。その期間にでもこの刺激的な話題をここで御紹介しようかと思っています。とにかくロシアというのは実に怖い国です。陰に陽にいろいろな場面で社会にはマフィア化された勢力が見え隠れします。常に社会不安を抱えています。ですから当然治安もいいとは言えません。 しかし、怖いからこそエキサイティングであり何度も行ってみたくなるわけです。

ともかくこういった事情から、これで何故今回レニングラード動物園のツインズの1頭であるサイモンが、すでにホッキョクグマが何頭も飼育されているモスクワ動物園に移動になったかが完全に理解できるわけです。 報道では両動物園間の新しい合意書の内容によって移動となったとされています。つまりレニングラード動物園はモスクワ動物園に屈したわけです。今後も2頭の赤ちゃんが生まれれば、そのうちの1頭は、ともかくモスクワに移動させざるを得ないということです。

ともあれ、サイモン君、元気にモスクワに到着してよかったね! これからはいろいろ新しい仲間たちと付き合うことになると思うけれど、ウスラーダお母さんの教えを守って元気に暮らして下さい。そしてくれぐれも、自分は世界で最も偉大なホッキョクグマであるお父さんのメンシコフの息子であるという誇りを忘れないで下さい! またモスクワで君に是非再会したいです。その日までお元気で!
ロシア・サンクトペテルブルクのツインズ別離の時来る ~ 1頭がモスクワ動物園へ!_a0151913_21123776.jpg
Photo(C) Фонтанка.Ру

*(資料)
Вечерний Петербург (Sep.28 2010)
Фонтанка.Ру (Sep. 28 2010)
「ぽーらーべあーまにあっく」過去記事
1月6日  1月20日  3月5日  3月15日  3月24日  4月6日  
4月21日  4月28日~5月5日(本年第一次ロシア遠征)
*(後記 - Oct.27 2010)  実はこの投稿の資料としてクレジットしておいたこの1頭のモスクワ動物園への移動に関するロシアの2つの記事には、報道としては致命的な矛盾があります。Фонтанка(Fontanka)の報道ではモスクワに移動したのはサムソン(Самсон)だと報道しています。ところがВечерний Петербургの報道ではモスクワに移動したのはサイモン(Саймон)だと書いています。 いったいどちらが正しいのでしょうか? 10月27日になって、サンクトペテルブルクに残っていた1頭が韓国のソウル動物園に送られるБалтИнфоの10月26日付けの記事が出ましたが、その記事ではソウルに送られるのはサムソンだと書いてあります。 となれば、これはやはりモスクワに送られたのはサイモンだったと考えるほうが正しいでしょう。つまりВечерний Петербургの記事のほうが正しかったといえると思います。よって、その結果をふまえてこの記事も若干訂正しています。
by polarbearmaniac | 2010-09-30 17:00 | Polarbearology

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