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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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ドイツ・ニュルンベルク動物園の2つの選択(3) ~ ヴェラの狂気

ドイツ・ニュルンベルク動物園の2つの選択(3) ~ ヴェラの狂気_a0151913_17433794.jpg
赤ちゃんを咥えて産室を出るヴェラ  Photo(C)DPA

ドイツ・ニュルンベルク動物園の2つの選択(3) ~ ヴェラの狂気_a0151913_1744481.jpg
Photo(C)AP
ドイツ・ニュルンベルク動物園の2つの選択(3) ~ ヴェラの狂気_a0151913_9395019.jpg
赤ちゃんを虐待し始めたヴェラ Photo(C)AP

前投稿よりの続き)

事件が起こったのは、前回御紹介したヴィルマの赤ちゃんがお母さんによって食べられてしまった事件の起こったなんと翌日でした。

前日のヴィルマの2頭の赤ちゃんの「消失」についての記者会見の日の夜、ドイツ各地でこのニュースが報道されるに及んで一般の人々からもニュルンベルク動物園に批判の声があがるようになり、その激しさは刻一刻と高まりはすれ沈静化する気配を見せません。この批判は、「動物園が赤ちゃんを見殺しにしたのだ。」という批判です。 動物園側は懸命に状況を説明しようとします。それは、「ヴィルマは5週間にわたって育児に専念し最後の瞬間まで問題はなかった。異変は突然起こり、その時点では手の打ちようがなかった。」という弁明です。しかし、もともとマスコミの報道による事実関係の細部にはっきりしない点が残っていたために、非難の声は止むことがありません。

翌日の8日になりました。マスコミはドイツ国内からの批判を浴びているニュルンベルク動物園をさらに取材しようと多くのカメラマンがやってきたのでした。 前年の12月に出産していたもう1頭のヴェラは産室の外の異常な雰囲気に気が付いたのでしょうか、なんと産室を出て外に姿を現しました。 (*追記 - 何故産室の外に出られる状態になっていたかについて報道内容は必ずしも一致していませんが、彼女はしばしば赤ちゃんを産室に放置したまま飼育場に出ていたという報道があります。彼女が戸外に出ることを妨げないということも、このニュルンベルク動物園の不干渉政策の結果だといえば、この状態もわかるような気もします。) そしてなんとヴェラはその時、自分の赤ちゃんを口に咥えていたのです。近くにいたカメラマンも驚きの声を上げたのでした。しかしそれに引き続くヴェラの行動....それは信じ難い光景でした。自分の赤ちゃんを口で咥えて振り回し、そして何度も地面に落下させたのでした。4週間もの間、自分の赤ちゃんを大事に守り育てていこうと、きちんと子育てをしてきたヴェラにいったい何が起こったのでしょうか。明らかにヴェラには、これ以上自分の生んだ赤ちゃんを育てていこうという気持ちを失っているように見えました。 いや、それどころではありません、殺そうとして虐待していると言っても過言ではないように見えたのでした。(この光景、大変に貴重な映像がありますので是非こちらでご覧下さい。この映像の冒頭よりの14秒間です。)
(*後記 - このシーンについてyoutubeでも映像がありましたので下にご紹介しておきます。)




ドイツ・ニュルンベルク動物園の2つの選択(3) ~ ヴェラの狂気_a0151913_1755158.jpg
Photo(C)DPA

もともとホッキョクグマの赤ちゃんに対しては自然の成り行きに任せる「不干渉政策」を是としてきたニュルンベルク動物園ですが、前日の事件、そしてそれに対する国内外からの非難の「悪夢」から覚めやらぬうちにこの光景を見て、ついに一つの決断を下したのでした。

母親ヴェラにまさに「殺されん」としていた赤ちゃん...この赤ちゃんこそあの有名なフロッケなのです。
続く

*(追記)資料については最後にまとめて付記します。
by polarbearmaniac | 2010-10-04 18:00 | Polarbearology

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