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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・エカテリンブルク動物園の仲良しペアへの大きな期待 ~ ロシアの新しい繁殖基地を目指して

ロシア・エカテリンブルク動物園の仲良しペアへの大きな期待 ~ ロシアの新しい繁殖基地を目指して_a0151913_19504117.jpg
アイナ Photo(C) Екатеринбургский зоопарк
ロシア・エカテリンブルク動物園の仲良しペアへの大きな期待 ~ ロシアの新しい繁殖基地を目指して_a0151913_19512128.jpg
ウムカ Photo(C) E1.RU

ロシアでホッキョクグマの繁殖に実績のある動物園といえばモスクワ、サンクトペテルブルクの両動物園が双璧であり、これに続くのがカザンの動物園です。その他のロシアの都市の動物園で繁殖が期待されているペアについて御紹介しておきます。
ロシア・エカテリンブルク動物園の仲良しペアへの大きな期待 ~ ロシアの新しい繁殖基地を目指して_a0151913_2091755.jpg
ロシア・ウラル地方の都市であるエカテリンブルクの動物園でゴーゴ(天王寺動物園)の姉である雌のアイナが飼育されていることは、かなり以前に御紹介しています(下記資料参照)。 ペルミ動物園生まれでアンデルマの娘であるこのアイナ(98年12月18日生まれ)のパートナーであるのが野生出身のウムカです。ウムカは98年の4月にロシア極北のチェクチ半島で孤児として保護されてからこのエカテリンブルク動物園で飼育されるようになりました。1年ほどしてペルミ動物園からエカテリンブルク動物得に移動してきたのがまだ1歳にもならない雌のアイナでした。それ以来この2頭はパートナーなのですが大変に仲が良いようです。下の写真の通りこの2頭は最近は繁殖シーズン以外が互いに隔てられていますが姿は見えますので、ウムカはアイナに柵越しに鼻を鳴らして挨拶するようです。
ロシア・エカテリンブルク動物園の仲良しペアへの大きな期待 ~ ロシアの新しい繁殖基地を目指して_a0151913_19565286.jpg
Photo(C) Екатеринбургский зоопарк

アイナは魚が大好物なのですがウムカはもっぱら肉を食べる量が多いようです。1週間の2回、昼間に魚のプレゼントがありますがその時の魚の量は1頭あたり6~10キロだそうですが、これは相当の量です。(私もこの夏、ペルミ動物園のホッキョクグマ舎で活魚のプレゼントを見ましたが、あれはカマ河で捕獲した魚だと思いますが、ものすごい大きさの魚なのにびっくりしたのをおぼえています。アンデルマはそれを水中であっという間に捕まえて上にあがったあとバリバリという音をたてて食べていましたが、ロシアで採れる魚の大きさに今さらながら驚いたものです。)このウムカとアイナには土曜日と日曜日の昼には魚やニンジンが入った氷のプレゼントもあるそうで、そういった氷はプールに浮いた状態で与えられるようです。特にアイナは水中で氷と「格闘」するのがお好みのようです。ウムカは水に入らずになんとか陸から氷を捕まえようとするのですがなかなかうまくいかず、ため息をつきながらようやく水に入って氷を取るそうです。

この2頭に繁殖の期待は大きいのですが、普段仲のよいペアだから繁殖の可能性が大きいとは直ちに言えないようです。よく動物園関係者には、繁殖のためにはペアは若いときから同居させたほうがよいという人もいますが、若いときから同居したからといって繁殖のないペアは数限りなくあるように見えます。一方で、シヌックやアンデルマのように10代半ばを過ぎた時点で彼女達にとっての2番目あるいは3番目のパートナーを得て、しかもその雄が10歳近く年下であるのもかかわらず2頭で同居を開始して早い時期に出産したケースもいくつもあります。 ですので、「繁殖のためにはペアは若いときから同居させたほうがよい。」という考え方は必ずしも成立しないと思われます。若いときからパートナーだったペアの間で繁殖した割合と、年齢を経てから新しくパートナーを組んだペアの間で繁殖した割合を比較してみて前者の成功例の比率が圧倒的に多いならば「繁殖のためにはペアは若いときから同居させたほうがよい。」という考え方は成立するでしょう。しかし私は欧米やロシアの例でいろいろあたってみた限りでは、数よりも比率でいったら前者と後者の割合は同じぐらい、あるいはひょっとして後者の成功の割合のほうが多いのではないかという印象すら持ちます。なによりもまず、日本ではペアを変えてみるということをほとんどやっていないのですから、「繁殖のためにはペアは若いときから同居させたほうがよい。」という考え方は一種の「宗教的信念」のようなものであって、統計的な裏付けのない根拠薄弱な考え方だと思われます。

ともあれ、このウムカとアイナの間の繁殖を是非期待したいと思います。アンデルマの娘に対して野生出身のパートナーを付けるのは当然正解なわけです。

*(後記)その後、このエカテリンブルク動物園のホッキョクグマ(アイナ)の映像をアップした方がいらっしゃいますので以下で御紹介しておきます。



*(資料)
Комсомольская правда (Jan.12 2009)
Медведь Технические Системы Безопасности (Aug.31 2010)
Новости E1.RU. (Jan.11 2009)
(過去関連投稿)
「天王寺動物園・ゴーゴのお姉さんのアイナは魚が大好物!」
by polarbearmaniac | 2010-11-29 20:00 | Polarbearology

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