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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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サツキ、産室から出る...~ ホッキョクグマの歴代最高齢出産成功記録は35歳11ヶ月? 

旭山動物園のHP(しいくのぶろぐ)、及び朝日新聞の地方版(1月7日付け)によりますと、旭山動物園のサツキの妊娠はなかったそうですね。記録用に記事をコピーしておきます。

>旭山動物園で出産準備をしていたホッキョクグマの「サツキ」について同園は、妊娠はしていなかったと判断、7日に産室から出すことを決めた。サツキは「イワン」と交尾をしたため、昨年11月から通常の飼育場所とは違う産室に入っていた。だが1~2週間ほど前から室内を活発に動き回るようになり、妊娠の兆候は見られなかったという。サツキは19歳で、円山動物園にいたが、ペアリングがうまくいかず、昨年2月に旭山動物園へ移動させたところ交尾に成功。同園の担当飼育員は「残念だが、まだ2~3年は出産できる年齢。これからに期待したい」と話した。同園では16歳の「ルル」も産室に入っており、もうしばらく様子を見るという。

彼女がこれでチャンスが全て無くなったかといえば、決してそうではないわけで、諦めずに再度チャレンジさせるべきでしょう。でも、「1~2週間ほど前から室内を活発に動き回るようになり」という記事の内容は、いかにもさっちゃんらしい感じがしてほほえましく感じます。

さて、あるホッキョクグマの研究報告書(Reproduction of Sexual Behavior of Polar Bears in the Kazan Zoo botanical Gardens)によりますと、ホッキョクグマの最高齢出産記録はアメリカのデトロイト動物園での記録で、なんと38歳2ヶ月での出産で、この年齢で出産した雌のホッキョクグマは2頭いるとのことです。 しかしこの2頭が生んだ赤ちゃんは成育しなかったとのこと。 では、最高齢出産成功記録はといえば35歳11ヶ月での出産で、この時の赤ちゃんは成育したそうです。 おそらくこれは同じホッキョクグマだと思われます。 35歳で出産(赤ちゃんは成育)した個体が、さらにその後38歳でも出産したが、そのときの赤ちゃんは成育しなかった...そういうことでしょう。 この記録ですが、直ちに信じてよいか否かは判断がつきません。30歳前後での出産記録がいくつかあって、さらにこの35歳11ヶ月という記録があるのなら理解できるのですが、24歳前後という上限年齢の一般的認識から、からいきなり35歳の出産記録へと飛んでいるわけで、このあたりが気になります。しかし、しっかりとした学術研究書の中で触れられていることですので、無碍に無視するわけにもいかないでしょう。 これが事実か否かの判断は留保したまま、一応御紹介だけしておきます。

この学術報告者を書いたソ連(当時)のマリノフ氏ですが、このアメリカでの最高齢出産(成功)記録について、「ソ連における最高齢記録よりも11歳11ヶ月も上回っている。」と述べています。 この言い方・書き方からすれば、マリノフ氏の気持ちにもやや懐疑的なものがあるようにも思われます。しかしこうして自分の報告書に記載しているところを見ると、他の研究者もこの「35歳11ヶ月」という記録を認識してauthorizeしている可能性は十分にあります。 そういったわけでマリノフ氏もこの記録を報告書の中で触れざるを得なかった...そういう気もします。 これはなかなか評価が難しいですね。

*(資料)
旭山動物園 (しいくのぶろぐ - 1月7日
朝日新聞ー北海道版 1月7日付け
Reproduction of Sexual Behavior of Polar Bears in the Kazan Zoo botanical Gardens

(過去関連投稿)
「高齢熊初産」に挑戦するサツキ(旭山動物園)への声援
by polarbearmaniac | 2011-01-07 17:00 | Polarbearology

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