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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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ホッキョクグマ界の超エリート、イワン(旭山動物園)への期待(下) ~ その性格と期待される第一子

ホッキョクグマ界の超エリート、イワン(旭山動物園)への期待(下) ~ その性格と期待される第一子_a0151913_14424644.jpg
イワン (2010年10月3日 於 旭山動物園)

前投稿よりの続き)

先日の「ウランゲリ銃撃事件」の際に私は多くのロシアの新聞記事を読みましたが、そういった記事のいくつかにモスクワ動物園の飼育主任のエゴロフさんがイワンの父親ウランゲリの性格について語っていました。 それによるとウランゲリは親しみやすく紳士的で温和な性格だそうです。ロシア第一TVの表現では、「いかなる点からみても本当にいい奴だ(“И по общему мнению, он один из самых добродушных его обитателей.” )。」ということになるでしょう。ウランゲリは数多く飼育されているモスクワ動物園のホッキョクグマの中でもとりわけエゴロフさんのお気に入りのホッキョクグマのようです。ですので、そのウランゲリが「銃撃」されたと考えたエゴロフさんの怒りは凄さまじかったわけです。昨年の夏のモスクワは猛暑だったわけですが、その暑さの中でエゴロフさんがバックヤードのウランゲリに水をかけてやっているロシアのTV局の映像があります。一度御紹介していますが、是非もう一度ご覧下さい。エゴロフさんが「ウランゲリ、ウランゲリ!」と呼びかけながら水をかけてやっています。また、これも御紹介済みですが次のTV映像は例の「銃撃事件」のときの映像でエゴロフさんとウランゲリが写っています。ウランゲリの横顔には、やはりイワンの面影を感じます。 ホッキョクグマにおいて顔を合わせたことのない父親の性格がどの程度まで子供たちに「遺伝」するかはわかりませんが、仮にそれがあるならイワンの性格は父親ウランゲリに似ているといってよいでしょう。

一方、イワンの母親のシモーナですが、私は昨年2度にわたってモスクワを訪問し、モスクワ動物園で合計3回、彼女の子供たちへの接し方を長い時間観察しましたが、シモーナは非常にスキンシップで子供たちと接する優しいお母さんでした。子供たちと一緒の遊ぶ時間が非常に多く、子供たちもお母さんの愛情を一杯に受けて育っている様子がよくわかりました。ララと同じ年齢のシモーナは今ですらあれだけ子供たちと遊ぶわけですから、ましてや第一子であるイワンに対して溺愛に近いアプローチをとったに違いありません。モスクワでシモーナお母さんの愛情を1年半もの間、一杯に受けて育ったのがイワンだったと考えて間違いないでしょう。この下の映像もすでに御紹介していますが、イワンの母親のシモーナが一昨年暮れに誕生したツインズと水の中で遊んでいるシーンです。私がモスクワで見た限りでも実際にこういうシーンが非常に多かったです。



こうした両親の優しい性格、アプローチによって現在のイワンの温和な性格が形成されたとみて間違いないように思います。モスクワ動物園の飼育主任のエゴロフさんは自分のひいきのホッキョクグマであるウランゲリとシモーナの間に誕生した第一子であるイワンを2002年6月24日にモスクワ動物園から送り出すときに、飼育記録(*)にイワンの行き先をしっかりと「Асахикава(Asahikawa)」と書き込んだのでした。彼の日本での幸福と子孫の繁栄を切に願っていたでしょう。

そういうイワンです。そろそろ第一子の誕生を期待したいところです。 いや、期待どころか、それが彼に課された早急な義務なのです。イワンの子供を生む雌がサツキになるかルルになるかクルミになるか、それとも他の雌になるのかもしれません。しかし以下のように考えてみるのは比喩ですが、おもしろいかもしれません。 それは、人間のシステムに無理やり引き寄せて考えるならばイワンの第一子は「アンデルマ/ウスラーダ王朝」のイワンの次の「家督相続者」、「王位継承者」になります。このままイワンに子供がいなければ、現在イワンの次の代の新しい「家督相続者」、「王位継承者」の位置にいるホッキョクグマは、イワンのすぐ下の妹であるドイツ・ニュルンベルク動物園のヴェラの生んだ第一子である、あの有名なフロッケです。フロッケにその次の「家督」を奪われることのないように、イワンに期待されているのは結果そのものなのです。

(追記)(*Polar Bear InternationalのHPのリニューアルの際にこの記録記事が無くなってしまったが残念ですが、私の手元には残してあります。)

*(資料)
Вести/Государственный интернет-канал "Россия" (Jul.12 2010 - Московское лето-2010: как у мартеновской печи)
Первый канал (Nov.13 2010)
Polar Bear Husbandry at the Moscow Zoo (By I.V.Yegorov, Y.S.Davydov)
(過去関連投稿)
モスクワ動物園・ウランゲリ(旭山動物園イワンの父)の納涼姿
モスクワ動物園のウランゲリ(旭山動物園のイワンの父)、負傷するも生存中! ~ 犯人は治安関係者か?
モスクワ動物園の奏でるPolyphony ~ ロシア的混沌は続く
母親の子供達への接し方の違いとツインズの性格/好奇心
ドイツ・ニュルンベルク動物園の2つの選択(3) ~ ヴェラの狂気
ドイツ・ニュルンベルク動物園の2つの選択(4) ~ 赤ちゃん救出劇
by polarbearmaniac | 2011-01-21 01:00 | Polarbearology

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