街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ウィーン・シェーンブルン動物園、ターニャの孤独(下)

前投稿よりの続き)
こうしてウィーンのシェーンブルン動物園で1頭で暮らすターニャですが、やはり地元の人々の眼には「孤独なホッキョクグマ」として映り、同情する声が多くあるようです。 地元の新聞、ヴィーナー・ツァイトゥンク(Wiener Zeitung)紙は2月8日付け記事("Die einsame Eisbärin im Zoo")でそういった声について伝えています。 同動物園のダクマール・シュラッター園長はそういった声に対して、「ホッキョクグマはもともと自然界では子育てに関する以外は1頭で生きている動物です。」と述べています。 こういう説明は一般的に多くの動物園関係者から良く聞く言葉です。 しかしシュラッター園長は続けます。「通常は動物園ではホッキョクグマはペアで飼育します。繁殖期を除いて雄と雌は見えないように離して飼育させるというのが最近の傾向ですが。」と言い、やはりシェーンブルン動物園のホッキョクグマが現在は1頭しかいないことと、ターニャのパートナーがいないことについて幾分のわだかまりがあるのではないかと思われるニュアンスの発言も伝わってきます。 記者も欧州で最高という評価を得たシェーンブルン動物園に、かつて4頭もいたホッキョクグマはいったいどうしたのかについては不満を感じているようで、それも記事のニュアンスから伝わってきます。

以下でウィーンでのターニャの映像を御紹介しておきます。




このシェーンブルン動物園のホッキョクグマ舎は2014年までに700万ユーロをかけて改築される予定があるようで、その期間中ターニャもミュンヘンのヘラブルン動物園に預けられるようです。 いままで散々移動されてきたターニャですが、また移動があるようですね。 繁殖計画による移動であるならばまだしも、それから外されてしまった個体の移動は本当に可哀想な気がします。ターニャはウィーンでの孤独を楽しんでいるのかもしれませんが、しかし状況を考えればやはりこの孤独は悲劇でしょう。

飼育下におけるホッキョクグマの繁殖は急務であるわけですが、それに伴う移動計画において犠牲となる個体が生じる可能性もあります。 ウィーンで2007年にアルクトスとナヌークの双子を生み、今度はロッテルダムで昨年12月に1頭の赤ちゃんを生んだオリンカが賞賛され光を浴びる一方で、このターニャのように「陰」に押しやられようという個体もいるわけです。 そういった「陰」の個体についてもこのブログでは光を当てていきたいと願っています。それは海外の個体であろうが国内の個体であろうが無関係です。

(資料)
Tiergarten Schönbrunn  (Eis)bäriger Austausch – Mar. 5 2010
Wiener Zeitung (Feb.8 2011)
ORF.at (Feb.2 2011)
(過去関連投稿)
ターニャの悲劇(前) - 「繁殖計画(EEP)」と「個体の幸福」の狭間で
ターニャの悲劇(後) - 「繁殖計画(EEP)」と「個体の幸福」の狭間で
いなくなったオリンカお母さんを呼び続けるウィーンの双子兄弟(アルクトス&ナヌーク)
オリンカとエリックの「再会」、そして「成就」...
オランダ・ロッテルダム動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
by polarbearmaniac | 2011-02-10 09:00 | Polarbearology

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