
街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum
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カナダ・ケベック水族館の11歳のティグアク、歯科治療の麻酔中に亡くなる

また一つ、悲しい事件が発生しました。4月1日の午前にカナダのケベック水族館(L'Aquarium du Québec)で飼育されていた11歳になる雌のホッキョクグマのティグアクが歯の治療のための麻酔中に呼吸器障害を起こして亡くなってしまったとのことです。このティグアクは1999年にシカゴのブルックフィールド動物園生まれで2002年からこのケベック水族館で飼育されていたそうです。となれは母親はあのアーキでしょう。死因の詳細な調査はこれから行われるそうです。
(*追記)非常に重要なことが欠落していました。このティグアクがシカゴのブルックフィールド動物園で1999年に雌の双子として誕生した際に、母親のアーキは過去にはちゃんと赤ちゃんを育てた経験があったにもかかわらず、この双子を生んで4日後に産室を出てしまったそうです。要するに育児放棄ですね。ブルックフィールド動物園では早速、人工哺育に切り替えたそうです。このティグアクは成育しましたが、もう1頭は数日後に亡くなってしまったそうです。このティグアクの人工哺育の心温まる記録がブルックフィールド動物園によって写真付きで公開されていますので是非こちらをご覧ください。

こうやって折角努力して育てた個体を麻酔などで簡単に死なせてしまったとすれば、本当に当時のシカゴの関係者の方々は落胆しているに違いありません。
ケベック州はこの雌のティグアクと雄のエディの繁殖環境を整備するための現在の新施設に130万カナダドル(約一億円強になりますか)をかけたわけで、そうした意味でもティグアクの死は痛恨事であることは間違いありません。11歳の雌の死という点でも、あまりにも大きな損失です。
昨年の12月にアメリカ・アリゾナ州のレイドパーク動物園で飼育されていたボリスが麻酔の副作用で亡くなった件についても投稿していますが(「アメリカ・アリゾナ州レイドパーク動物園のボリス、麻酔の副作用で死亡」)、こうやって麻酔が原因によって貴重な個体が失われることは本当に残念です。今回のケベック水族館のティグアクの件については麻酔が決定的な原因かどうかはまだ不明ですが、その場に5人もの獣医さんと4人の助手がいたにもかかわらずこうなってしまったわけで不可解な点を感じます。これほどの数の獣医さんその他のスタッフがいた大掛かりな歯の治療となれば思い当たることがありますね。それは以前の「モスクワ動物園・ウランゲリ(旭山動物園イワンの父)の虫歯治療 ~ 動物歯科医チームの活躍」という投稿で御紹介したことのあるZoodentという歯科医療チームです。このチームが今回のティグアクの歯の治療も担当したのではないかと推察します。 確証はありませんけれどもね。それから昨年秋の投稿、「スコットランドのハイランド野生公園、ウォーカーの歯科手術」もこのチームが行ったのではないかと思います。もし今回のケベック水族館のティグアクの死が麻酔の副作用だとすれば(多分そうでしょう)、過去の治療(手術)を見事に成功させたこのチームにしては麻酔に足をすくわれてしまった痛い失敗例になるでしょう。ホッキョクグマ(そしてその他の多くの動物たち)を全身麻酔にかけるには幼少個体を除けばおおむね麻酔銃が使用されるのでしょう。 猛獣でない場合は注射でしょうね。どちらにしても、つまり血液に直接麻酔薬を注入することになるはずですが、これが人間の全身麻酔の場合とは異なります。人間の全身麻酔は吸入麻酔薬を肺から入れて血液に送り込む点で注射による麻酔とは違います。 動物の場合の麻酔死は、麻酔薬の量の問題と同時に、私にはどうもこの注入方法にも問題が潜んでいるのではないかと感じます。即効性の重視、これが動物の麻酔における背後に潜む問題点なのかもしれません。
最後に、謹んで11歳で世を去ってしまったティグアクの冥福を祈ります。
(*追記)Le Journal de Québec紙の今回のこのニュースの見出し"Tiguak n’est plus" は凄い表現だと思いました。 一目この見出しを見て胸がズキンとしました。 「今まで存在していたもの」が喪失してしまったというニュアンスの表現ですね。明晰、かつ客観的で簡素な表現の背後に多くの感情が込められている表現、これこそフランス語の真骨頂だといえると思います。想像するに、この記事を書いた記者は多分かなりボードレールを読んでいるのではないでしょうか。 陳腐な日本語にすれば、「ティグアクはもういない」となるでしょう。一方、Radio Canadaのwebの見出しは、"L'ourse Tiguak est morte" です。この表現は「死んだ」という「新しい状態」を客観的事実として伝える以上のものではありません。
(資料)
Le Journal de Québec (Apr.1 2011)
Radio-Canada (Apr.1 2011)
(過去関連投稿)
アメリカ・アリゾナ州レイドパーク動物園のボリス、麻酔の副作用で死亡
モスクワ動物園・ウランゲリ(旭山動物園イワンの父)の虫歯治療 ~ 動物歯科医チームの活躍
スコットランドのハイランド野生公園、ウォーカーの歯科手術
by polarbearmaniac
| 2011-04-04 17:00
| Polarbearology
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