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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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探検家バレンツのホッキョクグマとの遭遇

探検家バレンツのホッキョクグマとの遭遇_a0151913_21583096.jpg
ホッキョクグマに遭遇した探検家バレンツ(1596) by Gerard De Veer
Image:University Library of Tromsø

男鹿水族館の豪太の母であるモスクワ動物園のムルマが野生孤児として保護されたバレンツ海ですが、歴史を紐解いていきますとなかなか興味深い事実があります。そして人間とホッキョクグマの遭遇についても歴史のエピソードはいくつか残されています。以前、「歴史を変えたかもしれない1頭のホッキョクグマ ~ 危機一髪のホレーショ少年」というタイトルでイギリスの名将ネルソン提督が若かりしときの1773年、バレンツ海のスヴァールバル諸島でホッキョクグマに遭遇して素手で立ち向かおうとしたエピソードをご紹介会しています。しかしそれを遡ること約200年前の1596年の9月に、やはりこの付近でホッキョクグマに遭遇した探検家がいました。それはオランダ人探検家のヴィレム・バレンツ(c.1550 ~ 1597)です。
探検家バレンツのホッキョクグマとの遭遇_a0151913_21585586.jpg
ヴィレム・バレンツ(c.1550 ~ 1597)

16世紀末、このあたりの北方の海はまだよく状況が知られていませんでした。そういった北の海へ北方航路の開拓のために3度にわたってアムステルダムからこの北方海域に航海したのがバレンツでした、1596年、彼の3度目の航海でとうとうスヴァールバル諸島を発見したわけでした。このスヴァールバル諸島のスピッツベルゲン島で彼と彼の船団のクルーはホッキョクグマと遭遇したわけでした(冒頭の絵)。遭遇したのは3頭だったそうで、そのうちの1頭が船に接近してきたためクルーは銃を発砲したそうです。北方に住む先住民族のイヌイットなどは生活の中で当然ホッキョクグマとの接触があったわけですが、当時欧州から航海してきた探検家とホッキョクグマとの出会いは、少なくとも記録に残る限りではこれが最初だったかもしれません。
探検家バレンツのホッキョクグマとの遭遇_a0151913_21591642.jpg
by Gerard De Veer(1598)
探検家バレンツのホッキョクグマとの遭遇_a0151913_21593845.jpg
バレンツと彼の船団のクルーは1596年の冬はノーヴァヤ・ゼムリャー島での越冬を余儀なくされました。翌年の初夏にそこを脱出しようとした中で、バレンツは命を落としてしまったのでした、享年47歳。現在の「バレンツ海」という名称は彼にちなんでつけられたものです。

これはノヴァヤゼムリャ島の風景です。




なかなか気候的には厳しい場所です。ホッキョクグマの生息地ですからね。

(資料)
DBedia (Willem Barentsz)
The Northern Lights Route (Willem Barentsz)
(過去関連投稿)
歴史を変えたかもしれない1頭のホッキョクグマ ~ 危機一髪のホレーショ少年
ロシア・ペルミ動物園、アンデルマの表情(2) ~ その存在への認識
ノルウェー・スピッツベルゲン島へのホッキョクグマツアー研究
ホッキョクグマの最古の化石が語ること
by polarbearmaniac | 2011-05-20 01:00 | Polarbearology

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