ベルリン動物園、ロシアのロストフ動物園よりホッキョクグマを入手か？

ロストフ動物園のホッキョクグマ
Photo(C)Презренный Манимейкинг

昨年9月1日に「ロシア・ロストフ動物園の損得勘定　～　雌のホッキョクグマの等価交換価値対象は？」という投稿をいたし、ロシアのロストフ動物園とドイツのベルリン動物園との間でホッキョクグマ1頭とアジア象3頭の交換合意がなされたという3年ほど前のニュースについて考察を加えました。まずそれをご参照いただければ幸いです。　すでに2009年8月に旧東ベルリンのベルリン動公園からロストフ動物園にはアジア象3頭が移送されています。ロストフ動物園からベルリン動物園及びベルリン動物公園にはまだホッキョクグマが移送されていなかったわけですが、とうとうその移動が夏に行われるという報道がロシアのコムソモリスカヤ・プラウダ紙のロストフ地方版5月24日付に掲載されました。具体的にどの個体になるのかは明らかにされていません。まさか昨年暮れにサンクトペテルブルクのレニングラード動物園から移動してきたイョシではないと思われます。　ロシアの地方都市の動物園におけるホッキョクグマ、特にその「第二列目の個体」には不明な点が多くあります。今回ベルリンに送られるホッキョクグマもそのような「第二列目」の個体である可能性がありますね。ですから当初ベルリン動物園のブラスキエヴィッツ園長さんが狙っていたカザン市動物園に関係した個体ではないと考えます。今回のロシア側の報道にも不明瞭な点がありますので、しばらく調査してみたいと思います。下の映像はサンクトペテルブルクからイョシが移動してくる前の一昨年の12月にロストフ動物園で撮られたホッキョクグマの映像ですが、この個体がベルリンに行くと考えたらよいのでしょうか？　（＊後記　－　そうではなかったようです。この下の映像は2009年の映像ですが、ベルリン動物園に送られる個体は2011年の3月頃になってロストフに突如姿を現したからです。下の後記をご参照ください。）

このホッキョクグマですが、おそらく旧東ベルリンのベルリン動物公園のほうに送られるのではないでしょうか。といいますのも、旧西側のベルリン動物園（クヌートの飼育されていた動物園です）は、クヌートの死の原因となったウィルスの調査が終了するまでは新しいホッキョクグマを入園させないという方針も伝えられているからです。ベルリン動物園(西）とベルリン動物公園（東）は運営が一体ですので現時点でホッキョクグマを入手して飼育するならば旧東側とみるのが正しいでしょう。

(＊後記―５月２７日)　その後、５月２７日付けのコムソモリスカヤプラウダ紙のロストフ地方版にロストフ動物園の園長代行の方のインタビュー記事が掲載されました。それを見ますとベルリンに移送される個体はモスクワ動物園で２００９年暮れに生まれた１頭だということですから、これはシモーナお母さんの生んだツインズの１頭のことでしょう。何故ならムルマお母さんの生んだ一人っ子ちゃんは北京動物園に送られているので、今回問題となっている個体はシモーナお母さんの生んだ個体でしかあり得ないからです。これは昨年、私がさんざんモスクワ動物園で見てきた個体です。このブログにも何枚も写真をアップしています。この雌の個体、２か月前からすでにロストフ動物園で飼育されていたそうですが、そんなことは全く知りませんでした。ベルリン動物園のブラスキエヴィッツ園長、とうとう雌の個体を入手したことになります。しかもモスクワ動物園で生まれた個体をロストフ動物園経由で入手したというわけです。
(後記資料）Комсомольская правда (May 27 2011)

（資料）
Комсомольская правда　(May 24 2011)
（過去関連投稿）
ロシア・ロストフ動物園の損得勘定　～　雌のホッキョクグマの等価交換価値対象は？
ロシアの動物園での「第２列目」のホッキョクグマの存在
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のイョシ、ロストフ動物園に引き取られる
サンクトペテルブルクに別れを告げるイョシ　～　サーカス出身のホッキョクグマの境遇
ロシア・サンクトペテルブルクのイョシ、新天地ロストフへ出発