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エストニア・タリン動物園、ホッキョクグマ舎改築は予算獲得が難問

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タリン動物園のホッキョクグマ舎 Photo (C)povodok.ru

バルト海に面した小国エストニア、その首都タリンにあるタリン動物園のホッキョクグマについては以前、「エストニア・タリン動物園の気骨のホッキョクグマ、フランツの非業の死 ~ 待ち望まれる新施設」という投稿でご紹介したことがありましたので最初にそれをご参照いただければ幸いです。タリン動物園における飼育環境の改善のために新施設建設が待ち望まれているわけですが、現在の施設ではとりわけホッキョクグマ舎が非常に貧弱であるということが外部調査機関からの評価でも指摘され続けているそうです。欧米におけるホッキョクグマ飼育に対する意識の高まりが急激なものであり、ホッキョクグマ舎はその動物園の中心施設であるという観点から動物園の評価が決定するといっても過言ではないそうです。ホッキョクグマが満足に泳ぐことのできないような小さなプールはその典型で、この点でもタリン動物園への評価は極めて厳しいものとなっています。タリン動物園の園長さんはこの評価に対して強く反発していますが、さりとてやはり飼育施設の現状が劣悪なものであることへの評価への反論は容易ではないようです。なにしろこの動物園の施設はもともと軍の倉庫を転用したものだそうですから本来動物の飼育などを想定していなかったわけでした。

施設改良のための予算は年間22万5千ユーロ(約3千万円)ほどしかないわけで、当然政府の援助が必要なわけですがエストニア政府は動物園などには関心がないようで、そもそも動物園をどの官庁が管轄しているのかも定かではないようで、ほんのわずかばかりの金が時には文化省、時には環境省から出るといったありさまだそうです。政府としてみれば動物園はタリン市の資産であるというのが金を出し渋る口実になっているようです。以下の映像はタリン動物園のホッキョクグマ舎の様子です。





これは動物園だけの話ではなく社会一般にも当てはまる話ですが、「ベルリンの壁崩壊後」の旧東欧諸国やバルト諸国ではいきなり旧西側の基準を満たすことが要求されるがために多くの予算が必要になってしまうということです。諸々の制度やインフラが旧社会主義国の基準で造られているがために、いきな西側の基準で判断されれば不十分であることは明白です。チェコ、ハンガリー、ポーランド、旧ソ連のバルト諸国においては自分たちは長い間ソ連に従属せざるを得なかったものの本来自分たちは欧州の進んだ文化国家であるという自負があるために西側基準に、しゃにむに適合させようとしてかなりの無理を重ねているわけです。それから落ちこぼれてしまっているのが動物園だというように思われます。チェコのブルノ動物園のホッキョクグマ舎など本当に施設が貧弱のようですが、そこであのウスラーダの娘のコーラは2007年暮れにトムとビルの双子を生み立派に育て上げたのでした。EAZAもいい気なものでブルノ動物園のホッキョクグマ舎の貧弱さには目をつぶったまま、このコーラの生んだ双子をEEPに組み入れて他の動物園に移動させたわけでした。EAZAにとってはこういう時にはチェコは突然「文化国家」になるようですが、いかにアジアの施設で優秀なものがあったとしてもアジアは彼らからしてみれば常に「非文化国家」なのでしょう。かつてあったEAZAとシンガポール動物園との確執はそれを物語っています。まあなにかと「アングロサクソン気取り」のシンガポールのほうにも大いに問題はあったわけでしたが。  この話は後日あらためて投稿します。

(資料)
Postimees (May 27 2011 - Государство и город забыли о существовании Таллиннского зоопарка)
(過去関連投稿)
エストニア・タリン動物園の気骨のホッキョクグマ、フランツの非業の死 ~ 待ち望まれる新施設
by polarbearmaniac | 2011-06-03 09:00 | Polarbearology

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