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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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「クヌートブランド」 と 「ロッシー債」 の意味するもの

「クヌートブランド」 と 「ロッシー債」 の意味するもの_a0151913_1926320.jpg
Berliner Volksbank発行の「クヌートブランド」のクレジットカード

ベルリン動物園のクヌートが亡くなってからすでに3か月近くが経過しようとしています。しかし依然として今のところは「クヌートブランド」も健在のようです。ベルリン動物園はクヌートの生前、このホッキョクグマの存在によって3千万ドル以上の利益をあげたと言われていますし、世界の環境ビジネスには1億4千万ドル以上の市場を生んだといわれるのもこのクヌートの存在の大きさを物語るものでしょう。
「クヌートブランド」 と 「ロッシー債」 の意味するもの_a0151913_19311689.jpg
ベルリン動物園(Zoologischer Garten Berlin AG) の株価推移
(資料:Corporate Information)

クヌートが一般公開された2007年3月よりベルリン動物園の株価はじりしりと上昇し、またベルリン動物園は株式会社(Zoologischer Garten Berlin AG )としてこのクヌートの存在によって業績を大きく伸ばしたことも間違いない事実です。公営が大部分である日本の動物園と株式会社であるベルリン動物園とを比較することはかなり難しい話であり、「クヌートビジネス」、「クヌートブランド」対して我々が素朴に眉をひそめるというのもできない話です。

動物の特定の個体の存在を金銭に結びつけた例は日本にもあります。それは日本平動物園のロッシーを名前にした「ロッシー債」です。これによって集めた資金で主に日本平動物園の再整備事業を行うということで静岡市によって起債されたわけです。しかしこれが「クヌートビジネス」と大きく異なるのは、「ロッシー債」はあくまでも借金であるということです。ベルリン動物園がクヌートの存在から得た利益は株主に還元されるわけで、それも「ロッシー債」とは大いに性格を異にするわけです。地方自治体の財政の悪化から、日本の公営の動物園を取り巻く厳しい環境は依然として続き好転する光が見えないのは事実です。ピリカグッズなどというものもありますが、これなどはむしろ「ささやかなお土産品」程度のもので、それをどうこう言うほどのものではないでしょう。「動物を金儲け(金集め)の手段とする」と言えば抵抗があるのは不思議ではないものの、ではどうやって動物園の苦しい財政を補っていくかについてのアイディアを提示できなければ、「XXグッズ」の存在を批判することはできないでしょう。
「クヌートブランド」 と 「ロッシー債」 の意味するもの_a0151913_20533527.jpg
特定の人気動物に対して通常では考えられない特殊な展示方法によって人の目を引こうとしたり、あるいはなにかの芸をさせて見世物にしたりということを行うことによって金儲け(金集め)のさらなる手段にするならば大きな問題ですが、そういうことはクヌートにはなかったはずだし、ロッシーにもないはずです。仮に「クヌートブランド」や「ロッシー債」は我々の批判の彼方にあると言ってよいでしょう。

(資料)
Bloomberg BusinessWeek (May 26 2011)
Corporate Information (Zoologischer Garten Berlin AG )
静岡市 (しろくまロッシー債
by polarbearmaniac | 2011-06-07 19:30 | Polarbearology

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