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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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ニューヨーク・セントラルパーク動物園のガス ~ ホッキョクグマにも「離(死)別の悲しみ」はあるのか?

ニューヨーク・セントラルパーク動物園のガス ~ ホッキョクグマにも「離(死)別の悲しみ」はあるのか?_a0151913_20595060.jpg
ガス Photo (C) CanGo.com

先日6月5日にニューヨーク・セントラルパーク動物園で飼育されていた25歳の雌のイダ(Ida)の訃報について投稿しています(「ニューヨーク、セントラルパーク動物園のイダ逝く」)。 その後ですが地元では、残されたパートナーの雄のガス(Gus)の心身の状態について懸念する声もあがっているようです。

New York Timesの地域版のブログ記事、その他の現地の情報を読みますと、24年間イダと一緒に暮らしていたガスがイダに先立たれ1頭になってしまったため、ここしばらくはガスの状態については要観察ということのようです。それというのも、どうもガスがパートナーであったイダがいなくなってしまったことを感じて、明らかに落ち込んでいる様子が見られるそうです。動物園で2頭で飼育されていたホッキョクグマのうち1頭が亡くなったときによく、「ホッキョクグマはもともと単独で生活する習性なので同居の他の1頭がいなくなっても気にはしていない。ホッキョクグマにはもともと離(死)別の概念はない。」という動物園側の担当者の説明を聞くことがあります。私は以前からこの説明には納得できないものを感じています。それどころか、典型的な例として阿蘇のカドリードミニオンでトウチャンに先立たれたカアチャンが果たして何も感じなかったかについては、その後のカアチャンの状態を見てこの説明には大きな疑問を感じているわけです。(ちなみに先日の札幌・円山動物園で、いろいろな動物園で時々偶然にお会いし、お話しさせていただいている方から、最近カドリードミニオンに行かれてカアチャンの健康状態がかなり回復してきているという情報をいただきました。貴重な情報に深く感謝いたします。)
ニューヨーク・セントラルパーク動物園のガス ~ ホッキョクグマにも「離(死)別の悲しみ」はあるのか?_a0151913_2057946.jpg
ガスと在りし日のイダの姿
Photo (C) E. Kellerman/Wildlife Conservation Society 

ホッキョクグマの行動を広く研究しているポートランドのオレゴン動物園のデイヴィッド・シェファードソン博士は、「お互いに密接な絆を形成すれば、どんな動物でも(その一方がいなくなった時には)喪失感を感じるものだ。」と述べていますが、それはホッキョクグマも例外ではないだろうと思います。全部が全部ではないにせよ、飼育下においては常に一緒に生活してきたパートナーがいなくなったときにはやはり残ったホッキョクグマは何らかの寂しさを感じている場合があるという理解のほうが、野生下におけるホッキョクグマの一般的な特性・習性がそのまま飼育下においても当てはまると考えるよりも私には理解しやすいように感じます。

もともとガスは以前からやや神経質なところがあるらしいようですが、これからも元気で暮らしていってほしいと思います。ガスのことを心配する地元の人々に関する記事などは、これはやはりドイツ人ではなくアメリカ人の考え方、感じ方がよく反映されていると思いました。以下は体を雪に擦りつけるガスの姿です。



(資料)
The New York Times – N.Y./Region (Jun.6 2011)
CBS Business Network (Dec. 1994)
(過去関連投稿)
ニューヨーク、セントラルパーク動物園のイダ逝く
by polarbearmaniac | 2011-06-09 09:00 | Polarbearology

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