街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum
by polarbearmaniac
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西部ドイツ放送のドキュメンタリー番組に見る動物園での野生動物の飼育への問題意識
実は今週月曜日にドイツで、WDR (西部ドイツ放送 - Westdeutscher Rundfunk Köln)のTV番組で「動物園でホッキョクグマとゾウたちに本当に何が起きたか? - Zoogeschichten - Was passiert wirklich mit Eisbär, Elefant & Co.?」という45分のドキュメンタリー番組が放送されました。これを早速ネットで見てみましたが実におもしろい番組でした。登場したのがいつもご紹介しているベルリン動物園(こういった番組になるといつも批判の対象になりますが)のブラスキエヴィッツ園長さん以下、このような問題に対して一家言を持つドイツの論客たちです。どの方もなかなか雄弁でした。番組が問題点に対して問いかける姿勢の一部とか、あるいは論者の意見には賛成できない点が勿論いくつかあるのは事実ですが、しかしこういった問題意識で動物園の現実をえぐっていく番組というのは、まず日本のTV局には制作できないでしょう。「動物園で野生動物を飼育していくことには問題はないのか?」、「動物園の存在意義はいったい何なのか?」などという根源的な問いかけと緊張感が社会に存在しているドイツならではの番組です。ホッキョクグマといえばファンの意識もTV番組も「甘口」がほとんどの日本(私もその典型の一人ですが - 苦笑)とは大いに異なるようです。ご興味のある方は西部ドイツ放送(WDR)の こちらのページを開いていただき、動画をクリックしてみて下さい。 45分間、仮にもし言語の問題を抜きにして単に映像だけで見たとしても、クヌートの貴重な映像とかドイツの動物園の様子などもよくわかり非常におもしろいです。(経験的に言うと、このWDRのページは時々開かない時間帯があります。特に日本時間の昼間です。)
しかし番組では非常に気になる点もありました。実はこの番組の中で札幌・円山動物園のキャンディの生まれ故郷であるヴッパータール動物園が紹介され、そしてホッキョクグマ舎の施設が非常に狭くて貧弱であることが指摘されています。番組では幾分告発調のニュアンスで指摘されています。現在このヴッパータール動物園ではクヌートの父のラルスとロストック動物園から昨年暮れに繁殖目的で移動してきた雌のヴィルマが飼育されています(この件については、「ドイツ・ヴッパータール動物園のヴィルマとラルス ~ 繁殖が期待される新ペア」という以前の投稿をご参照下さい)。このラルスについて近親交配の血統であるとか1頭(クヌート)しか生存した子供がいないとかの指摘がなされています。前者についてはクヌートの死亡直後からそれを指摘する報道がありましたが、これははっきりと否定されていたはずです。また、1頭しか子孫を残していない(そのクヌートも亡くなりましたが)というのは基本的にはラルスの問題ではないはずです。この下のイメージ(番組に登場します)はラルスが関わった過去の繁殖記録ですがトスカが2006年暮れにクヌートを出産する前の出産は2005年11月27日の三つ子の出産ですか! 3頭とも生まれた日に亡くなっていますね。ということはトスカの初出産は彼女が19歳の時だった...そういう理解でよいのでしょうか?
これだけの問題意識を持って制作されている番組としては他にも問題があるように思いました。雌のヴィルマがヴッパータール動物園の飼育展示場で常同行動を行っていることと、今後のこの2頭の繁殖がうまくいかないだろうというような勝手な予想を結び付けるような方向に視聴者を誘導しているように感じられることは問題ですね。この2つを結びつけることははほとんど根拠がないと思われます。ましてや、そこに飼育展示場の狭さの問題まで付け加えて問題点を指摘することは論拠をさらに拡散させているように思われます。案の定、ヴッパータール動物園の担当者はこの番組の内容に反論しています。 しかしいずれにせよ、野生動物の動物園における飼育に関して根元的な問題意識が存在しているのはドイツらしいと思います。アメリカ人とも日本人とも異なり、非常に突き詰めた考え方をしますね、ドイツ人は。
この下の映像はヴッパータール動物園のホッキョクグマ舎でのラルスとヴィルマの様子です。 ウーム...確かに狭いといえば狭いですね。日本の動物園並みでしょうかねえ。
(資料)
WDR Fernsehen (die story : “Zoogeschichten - Was passiert wirklich mit Eisbär, Elefant & Co.?” )
njuuz (Jun.8 2011)
BZ (Nov 23 2009)
(過去関連投稿)
ドイツ・ヴッパータール動物園のヴィルマとラルス ~ 繁殖が期待される新ペア
by polarbearmaniac
| 2011-06-10 09:00
| Polarbearology
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