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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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デナリ (円山動物園) とその母親、兄弟姉妹たちの姿 ~ ユタ州・ソルトレイクシティーの地元紙の記録

デナリ (円山動物園) とその母親、兄弟姉妹たちの姿 ~ ユタ州・ソルトレイクシティーの地元紙の記録_a0151913_0164626.jpg
「偉大なる男」デナリ  (2011年6月18日撮影 於 札幌・円山動物園)
Nikon D7000 
Ai AF VR Zoom-Nikkor 80-400mm f/4.5-5.6D ED

なかなか興味深い記事を見つけました。アメリカ・ユタ州、ソルトレイクシティーのホーグル動物園と言えば円山動物園のデナリの生まれ故郷ですが、この動物園は今年で開礎100年になるそうです。これにちなんで新施設のオープンとともにいろいろな催しも行われるようですが、新しいホッキョクグマ飼育展示場は来年オープンの予定だそうで現在は工事中だそうです。地元の新聞であるDeseret News紙が、このホーグル動物園で飼育されていた過去の動物の写真の一部を公開していますが、その中にデナリの母であるシヌックと彼女が生んだ赤ちゃんの写真が含まれていましたので再度ご紹介しておきます。シヌックについては以前何度もご紹介していますが、彼女はその生前、10頭の子供を出産した偉大なる母でした。私などはツヨシ、ピリカ、イコロ、キロル、そして今回のララ2世の祖母といえばすぐクーニャのことを考えるのですが、実は彼(女)らはこのアメリカにおける偉大な母であったシヌックの孫たちであることも忘れてはいけないでしょうね。 この下の写真(以前に2度ほどご紹介しています)でシヌックお母さんと一緒に写っているのは多分デナリではないでしょう。 (*後記 - その後調査してみましたところ、この写真が撮影されたのは1999年ではなく1994年であることが判明し、その結果この赤ちゃんはデナリであることが確実であることがわかりました。) それにしてもこの下の写真、何度見ても実に素晴らしい写真です。 まさに「偉大なる母」にふさわしい姿です。
デナリ (円山動物園) とその母親、兄弟姉妹たちの姿 ~ ユタ州・ソルトレイクシティーの地元紙の記録_a0151913_0192715.jpg
シヌック(デナリの母) 
Photo(C) Rick Egan/The Salt Lake Tribune

まずこの下の写真は、このシヌックが1985年に最初に生んだ赤ちゃんが翌年の4月12日に一般公開された日の写真です。この赤ちゃんがホーグル動物園で初めて生まれたホッキョクグマの赤ちゃんだそうです。 デナリの一番上の兄ということになります。
デナリ (円山動物園) とその母親、兄弟姉妹たちの姿 ~ ユタ州・ソルトレイクシティーの地元紙の記録_a0151913_0203242.jpg
Photo(C) Garry Bryant/Deseret News Archive


この下の写真は1989年にシヌックが生んだ双子です。翌年の1990年に一般公開された時の写真ですね。 このうちの一頭は現在セネカ動物園で飼育されているオーロラです。 もう一頭は後年スペリオル湖動物園で飼育されることになるバッバです。
デナリ (円山動物園) とその母親、兄弟姉妹たちの姿 ~ ユタ州・ソルトレイクシティーの地元紙の記録_a0151913_0212212.jpg
Photo(C) Wallace Kasteler/Deseret News Archive


この下の2枚の写真はシヌックが2000年12月に生んだ最後の子供で、デナリの妹にあたるアナーナです。彼女については以前、「デナリ(札幌・円山動物園)の母シヌックの「育児記録写真集」でご紹介したことがあります。現在は父親アンディの故郷であるバッファロー動物園で暮らしています(父親アンディがシヌックの2番目の夫としてバッファロー動物園からソルトレイクシティーのホーグル動物園に行ったのがBLだったために、アナーナが父親の故郷であるバッファロー動物園に移動したわけです)。 2枚目の写真など見るとアナーナはデナリにそっくりです。シヌックお母さんはこのアナーナを23歳のとき生んだあと、育児などで体調を大きく崩し、2002年12月に25歳で安楽死という方法によってこの世を去ったのでした。
デナリ (円山動物園) とその母親、兄弟姉妹たちの姿 ~ ユタ州・ソルトレイクシティーの地元紙の記録_a0151913_0552460.jpg
デナリ (円山動物園) とその母親、兄弟姉妹たちの姿 ~ ユタ州・ソルトレイクシティーの地元紙の記録_a0151913_11169.jpg
アナーナ Photo(C)AP/ Don Heupel

また、このDeseret News紙の過去のアーカイブでさらに興味深い記事を見つけました。それは1993年のクリスマスの2日前、つまりデナリが誕生してから約40日ほどして雄のカーマイケル(デナリの父)が亡くなっているという事実です。感染症による腹膜炎が死因だったそうです。実は1993年にこのホーグル動物園ではいろいろな死因で7頭もの動物が亡くなっており、このカーマイケルが8頭目の死亡だったようです。アメリカ農務省の検査がすでに11月にホーグル動物園で行われた直後のことだったそうです。同年11月のデナリの誕生も、このカーマイケルの死も直ちには発表されなかったそうです。当時のホーグル動物園にはそのような動物の誕生や死亡を公表するという方針がなかったようですね。デナリはお母さんのシヌックが産室に籠ってから約2週間経って生まれたそうですが、飼育員さんが産室の中から聞こえる赤ちゃんの声の初めて聞いたのは11月11日のことだったそうです。誕生から2日後ということになりますね。デナリが一般公開されたときの様子は以前の投稿、「デナリ(現・円山動物園)の1994年一般公開初日の様子」でご紹介していますのでそちらをご参照下さい。 シヌックお母さんがデナリを生んだのは、現在のララと同じ年齢である彼女が16歳の時でした。 そしてデナリは、シヌックが彼女の最初の夫であるカーマイケルとの間に生まれた最後の子供ということになります。

それからこの下の映像は、1996年にシヌックが生んだ双子の兄弟であるキスカ (Kiska)とコルーク (Koluk)の映像です。彼らは現在、アメリカ・ニューメキシコ州アルバカーキのアルバカーキ動物園 (ABQ BioPark)で暮らしています。この2頭は父親はシヌックの2番目の夫であるアンディですので、デナリとは母親は同じですが父親が違うことになります。




こうやってデナリに関する過去の記録やら彼の親族の写真やらを見て、あらためてデナリ大将を見つめ直してみますと、今までとは少し違う大将の姿が見えてくるかもしれません。

(札幌にて記す)

(資料)
ABC 4.com (Jun.17 2011)
Deseret News (Sep.20 2010 - Hogle Zoo history full of cute, cuddly, cantankerous critters)
Deseret News (Jan.2 1994 - INFECTION KILLS HOGLE POLAR BEAR)
Deseret News (May 22 2001 - Hogle's polar bear cub gets name — Anana)
Deseret News (Dec.25 2002 - Famous Utah 'mom' dies)
Zoo Life - Project Polar Bear (pdf file)

(過去関連投稿)
デナリ(現・円山動物園)の1994年一般公開初日の様子 ~ 雄の「偉大さ」とは?
デナリ(札幌・円山動物園)の母シヌックの「育児記録写真集」  ~ “Project Polar Bear”
デナリの義父の悲劇的な死の真相 (前)
デナリの義父の悲劇的な死の真相 (後)
「偉大なる男」デナリを生んだ「偉大なる母」の姿
by polarbearmaniac | 2011-06-19 09:00 | Polarbearology

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