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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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カナダ・サンフェリシアン原生動物園の双子、旅立ちの時来る ~ 2頭共にケペック水族館へ

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Photo (C) Zoo sauvage de St-Félicien

カナダ・ケペック州のサンフェリシアン原生動物園(Zoo sauvage de St-Félicien)で2009年11月30日に生まれた双子のタイガとガヌークについては何度も御紹介してきましたが(過去関連投稿参照)、とうとうこの双子はエサクバクお母さん、そして生まれ故郷のサンフェリシアン原生動物園から2歳の誕生日を目前にした11月16日に旅立つことになりました。移動先は同じケペック州のケベック水族館(Aquarium du Québec)とのことです。サンフェリシアン原生動物園では、この週末のタイガとガヌークの同動物園における最後の姿を是非見に来てほしいと呼びかけています。比較的最近のタイガとガヌークの姿を以下で御紹介しておきます。



報道によりますと雌のタイガは将来はケベック水族館で現在飼育されている雄のエディーとパートナーを組むことになるようです。実は今年4月にこのケペック水族館で飼育されていた11歳の雌のティグアクの麻酔中の死について投稿したことがあります(「カナダ・ケベック水族館の11歳のティグアク、歯科治療の麻酔中に亡くなる」)。 このティグアクのパートナーだったのがエディーだったわけです。今度ケベック水族館にやってくるタイガが繁殖可能年齢となるまであと3~4年あるわけですが、でも今時新しいパートナーとして雌を獲得する自体が非常に難しいことですからエディーには朗報だと言ってよいでしょう。
カナダ・サンフェリシアン原生動物園の双子、旅立ちの時来る ~ 2頭共にケペック水族館へ_a0151913_2292320.jpg
雌のタイガ Photo (C) Le Gouvernement du Québec
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雄のガヌーク Photo (C) Le Gouvernement du Québec

もう1頭の雄のガヌークですが、報道によれば彼はこのケベック水族館がとりあえずの場所であって、さらに移動する模様です。これも以前投稿していますが、彼はまず間違いなくカナダ・オンタリオ州のホッキョクグマ保護教育生活文化村(Polar Bear Conservation and Educational Habitat and Heritage Village)に移動するものと思われます。これについては是非7月の投稿である、「カナダ・オンタリオ州、コクレーンのホッキョクグマ保護教育生活文化村の苦闘 ~ 新しい個体を求めて」をご参照下さい。

さて、こうしてサンフェリシアン原生動物園の双子は間もなく旅立つわけですが、そうなると来年はエサクバクと雄のジェルとの間で繁殖が試みられることになるでしょう。このジェルといのはオランダ・ネエネンの動物帝国とサンフェリシアン原生動物園との間で個体の交換がなされたために欧州からカナダにやってきた個体です。この経緯については5月の投稿である「オランダとカナダの施設のホッキョクグマ個体の交換が発表 ~ 遂に開始された北米・欧州間の個体交換」を是非ご参照下さい。欧州とカナダとの間で、こうやって見事にホッキョクグマのパートナーをアレンジしていく様は実に手品のようで見事です。

サンフェリシアン原生動物園というのは私がいろいろと情報を調べた限りでは、実にしっかりとして飼育計画と繁殖計画を実行している動物園のようです。タイガとガヌークの双子を2年間サクバクお母さんと同居させたのも考えあってのことのようです。自然界では子供は2年間は母親と共に過ごすわけで、それを飼育下でも再現させたわけです。実は飼育下ではお母さんがアザラシ狩りを子供たちに教える必要がないため生後2年間の同居は必要がないと考えられているようです。しかしサンフェリシアン原生動物園では、そういった「生きるための技術」以外に子供たちの情操面を考慮に入れて、当初よりやはり2年間はお母さんと過ごさせるという方針だったそうですね。動物園のホッキョクグマの頭数が減って焦っている我々日本の動物園では考えにくいことでしょうね。お母さんと1年間しか過ごさなかった個体と2年間すごした個体との間で情操面で差があるかどうかはわかりませんが、日本平動物園のロッシーがウスラーダお母さんから生後半年ほどで引き離された例、そしてその後の彼が情緒不安定な腕白小僧だったことを考えれば、飼育下でもお母さんと2年間同居させるという方針は正しいような印象も持ちます。 これについては、いろいろな考え方があるということでしょう。
カナダ・サンフェリシアン原生動物園の双子、旅立ちの時来る ~ 2頭共にケペック水族館へ_a0151913_0343118.jpg
タイガとガヌーク Photo(C)REUTERS/Mathieu Belanger

(資料)
Zoo sauvage de St-Félicien (Nov.10 2011 Les oursons blancs quittent le Zoo)
Le Gouvernement du Québec (Communiqué de presse)
CANOE.CA (Nov.10 2011 - Des oursons à l’Aquarium du Québec)

(過去関連投稿)
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園で生まれたホッキョクグマの赤ちゃん情報
カナダ・サンフェリシアン原生動物園の赤ちゃん、遂に一般公開!
ホッキョクグマの赤ちゃんの名前公募にみる契約文化の差異 (カナダ・サンフェリシアン原生動物園)
カナダ・ケベック州のサンフェリシアン原生動物園のツインズの名前がとうとう決定!
カナダ・サンフェリシアン原生動物園の情報発信力の質の高さ ~ 新しい時代の繁殖へ
カナダ・ケベック水族館の11歳のティグアク、歯科治療の麻酔中に亡くなる
カナダ・オンタリオ州、コクレーンのホッキョクグマ保護教育生活文化村の苦闘 ~ 新しい個体を求めて
オランダとカナダの施設のホッキョクグマ個体の交換が発表 ~ 遂に開始された北米・欧州間の個体交換
by polarbearmaniac | 2011-11-11 22:00 | Polarbearology

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